2006年10月12日
朝霧で今年も燃え尽きました。
もう残りの2ヶ月ちょいはあってないようなもの。今年もよい一年でした。。
フェスが終わると毎年こういった心境になってしまって。秋の静けさも余計に身にしみるってもんです。
しかし!レコードオタクにとってはこれからの季節が本番。ようやくフェス気分に左右されず、己の道を探求できる時期がやってきました。それはそれでまた楽しい日々。レコ屋と自宅の往復が続くことになるのか。。
夏あたりから細々と続けてきたフォー・シーズンズ研究も、このアルバムを入手したことで一段落したと言えるかも知れません。本日のエントリは、フォー・シーズンズ「The Genuine Imitation Life Gazette」です。
フォー・シーズンズが単なるオールディーズグループでない、オリジナルな存在であるということは前回エントリした「Rag Doll」の項でもちらっとふれましたが、彼らのその歴史の中でも、数奇な運命をたどったアルバムがあります。それが本作「The Genuine Imitation Life Gazette」なのです。
まあ分かりやすく言うと、BB5で言う「ペット・サウンズ」〜「スマイル」、トーケンズで言う「インターコース」みたいな存在、所謂「実験作」と呼ばれるたぐいのアルバムです。
「ペット・サウンズ」などは現在ではきちんと評価され、代名詞的なアルバムとなっているわけですが、当時の評価は散々たるものだったというのは皆さんご存知のことと思います。
本作もまたしかりで、しかし悲しむべきは今現在に至るまでまともに再評価すらされていない、という事実なのです。
本作は、69年に発表されたフォー・シーズンズ流トータルアルバムと呼べる作品で、全ての曲をメンバーであるボブ・ゴーディオが手がけています。そしてそれまでのプロデューサーであったボブ・クルーと離れ、音楽面での指揮をゴーディオがとった意欲作でもあったのです。
完成までには6ヶ月以上の期間が費やされ、演奏、コーラス共にメンバーが一丸となって作り上げられました(この辺がペットサウンズとの大きな違い!)
その内容は、今までのフォー・シーズンズとは全く異なり、特にフランキー・ヴァリがあまり目立っておらず、正に「作品」こそが主役という、ゴーディオのディレクションが前面に出た仕上がりになっています。(この辺はペットサウンズのブライアンと同様)
サウンドは実に複雑でアンキャッチー。時にサイケデリックでもありつつ、ロックオペラ的とも言える壮大な音世界が展開されます。
タイトルトラックではビートルズの「ヘイ・ジュード」が引用され、デビュー当時からなにかと比較されてきたビートルズに対してのゴーディオ流のおちょくり、歪んだ対抗意識とも取れます。ブックレットの中にも彼らをおちょくったイラストが描かれており、当時としてはかなりパンクな姿勢と言えるかも。
アナログ時代ならではの凝ったジャケットにも、多くの時間が費やされ、新聞風のパロディ記事で埋め尽くされています。(変形ジャケット6面の他に8ページのブックレットがついているそうなのですが、俺の持っているものには残念ながらブックレットが入っていませんでした)
警官隊と衝突するフォー・シーズンズのメンバーの記事から始まり、American Rock League Standingsなる勝敗表ではフォー・シーズンズが1位、2位がビートルズ、3位ストーンズといいたい放題。4位ファグスって。。笑
ちなみにNational Rock Leagueでは1位フォー・シーズンズ、2位ジェファソンエアプレイン、3位デッドだそーです。笑
しかしこうした凝りに凝った全てが裏目に出て、当時は全く売れなかったそうです。よって本作は失敗作とされ、フォー・シーズンズの歴史の中でもあまりクローズされない1枚となっています。一度CD化されたみたいですが現在は入手困難ですし。
で、俺の評価はどうなのか、と申しますと。これがまた微妙な所でして。確かに彼らの歴史上重要な1枚ですし、これを聴いた、聴かないではフォー・シーズンズに対しての見方も全然違うと思います。ただねぇ、ちょっとやりすぎ感も感じるんですよね。もう1,2曲キャッチーな曲が入っていれば。。B1「Wall Street Village Day」なんかは彼ら流のソフトロックとしては最高の部類に入ると思うんですけどね。惜しい。
もちろん、良いアルバムですよ。純粋に素晴らしい、と思います。ただ、気持ちの持ってかれ具合が足りないかな、と。
過ぎたるは、及ばざるが如し。「スマイル」を聴いた時にも感じましたが。天才の頭の中は、凡人には理解できない部分というのも多いんですよね。
フォー・シーズンズというグループの性質上、中古も安いですし、興味を持たれた方は、是非。聴いて後悔はないと思いますよ。
もう残りの2ヶ月ちょいはあってないようなもの。今年もよい一年でした。。
フェスが終わると毎年こういった心境になってしまって。秋の静けさも余計に身にしみるってもんです。
しかし!レコードオタクにとってはこれからの季節が本番。ようやくフェス気分に左右されず、己の道を探求できる時期がやってきました。それはそれでまた楽しい日々。レコ屋と自宅の往復が続くことになるのか。。
夏あたりから細々と続けてきたフォー・シーズンズ研究も、このアルバムを入手したことで一段落したと言えるかも知れません。本日のエントリは、フォー・シーズンズ「The Genuine Imitation Life Gazette」です。
フォー・シーズンズが単なるオールディーズグループでない、オリジナルな存在であるということは前回エントリした「Rag Doll」の項でもちらっとふれましたが、彼らのその歴史の中でも、数奇な運命をたどったアルバムがあります。それが本作「The Genuine Imitation Life Gazette」なのです。
まあ分かりやすく言うと、BB5で言う「ペット・サウンズ」〜「スマイル」、トーケンズで言う「インターコース」みたいな存在、所謂「実験作」と呼ばれるたぐいのアルバムです。
「ペット・サウンズ」などは現在ではきちんと評価され、代名詞的なアルバムとなっているわけですが、当時の評価は散々たるものだったというのは皆さんご存知のことと思います。
本作もまたしかりで、しかし悲しむべきは今現在に至るまでまともに再評価すらされていない、という事実なのです。
本作は、69年に発表されたフォー・シーズンズ流トータルアルバムと呼べる作品で、全ての曲をメンバーであるボブ・ゴーディオが手がけています。そしてそれまでのプロデューサーであったボブ・クルーと離れ、音楽面での指揮をゴーディオがとった意欲作でもあったのです。
完成までには6ヶ月以上の期間が費やされ、演奏、コーラス共にメンバーが一丸となって作り上げられました(この辺がペットサウンズとの大きな違い!)
その内容は、今までのフォー・シーズンズとは全く異なり、特にフランキー・ヴァリがあまり目立っておらず、正に「作品」こそが主役という、ゴーディオのディレクションが前面に出た仕上がりになっています。(この辺はペットサウンズのブライアンと同様)
サウンドは実に複雑でアンキャッチー。時にサイケデリックでもありつつ、ロックオペラ的とも言える壮大な音世界が展開されます。
タイトルトラックではビートルズの「ヘイ・ジュード」が引用され、デビュー当時からなにかと比較されてきたビートルズに対してのゴーディオ流のおちょくり、歪んだ対抗意識とも取れます。ブックレットの中にも彼らをおちょくったイラストが描かれており、当時としてはかなりパンクな姿勢と言えるかも。
アナログ時代ならではの凝ったジャケットにも、多くの時間が費やされ、新聞風のパロディ記事で埋め尽くされています。(変形ジャケット6面の他に8ページのブックレットがついているそうなのですが、俺の持っているものには残念ながらブックレットが入っていませんでした)
警官隊と衝突するフォー・シーズンズのメンバーの記事から始まり、American Rock League Standingsなる勝敗表ではフォー・シーズンズが1位、2位がビートルズ、3位ストーンズといいたい放題。4位ファグスって。。笑
ちなみにNational Rock Leagueでは1位フォー・シーズンズ、2位ジェファソンエアプレイン、3位デッドだそーです。笑
しかしこうした凝りに凝った全てが裏目に出て、当時は全く売れなかったそうです。よって本作は失敗作とされ、フォー・シーズンズの歴史の中でもあまりクローズされない1枚となっています。一度CD化されたみたいですが現在は入手困難ですし。
で、俺の評価はどうなのか、と申しますと。これがまた微妙な所でして。確かに彼らの歴史上重要な1枚ですし、これを聴いた、聴かないではフォー・シーズンズに対しての見方も全然違うと思います。ただねぇ、ちょっとやりすぎ感も感じるんですよね。もう1,2曲キャッチーな曲が入っていれば。。B1「Wall Street Village Day」なんかは彼ら流のソフトロックとしては最高の部類に入ると思うんですけどね。惜しい。
もちろん、良いアルバムですよ。純粋に素晴らしい、と思います。ただ、気持ちの持ってかれ具合が足りないかな、と。
過ぎたるは、及ばざるが如し。「スマイル」を聴いた時にも感じましたが。天才の頭の中は、凡人には理解できない部分というのも多いんですよね。
フォー・シーズンズというグループの性質上、中古も安いですし、興味を持たれた方は、是非。聴いて後悔はないと思いますよ。
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この記事へのコメント
1. Posted by モスコ 2006年10月13日 00:26
しかし90’sはBB5、というかペット・サウンズ〜スマイルの再評価っていうのが大きかったと思いますけど、果たして00’sに一番再評価されたグループって何なんでしょうね?もうジャンルで細分化されすぎちゃって、そういうデッカイ動きは無理なのかな。
フォー・シーズンズが再評価される時代って、果たしていつくるんでしょうね。
このアルバムの存在すら知りませんでした。なかなかの勝負作のようで、聴いてみたいですね。
大阪にこんなののアナログって、売ってるのかしら?あっても高そう??
フォー・シーズンズが再評価される時代って、果たしていつくるんでしょうね。
このアルバムの存在すら知りませんでした。なかなかの勝負作のようで、聴いてみたいですね。
大阪にこんなののアナログって、売ってるのかしら?あっても高そう??
2. Posted by kura_mo 2006年10月13日 02:20
>モスコさん
'00に再評価。ですか。ということは今現在バリバリ再評価中ってことですよね。う〜ん、なんだろ。ディランかなぁ。自伝以降の再評価ぶりは凄まじいですよね。あとは最近中古市場でのAORの高騰化が気になる。
俺はこのレコ、北海道の中古レコ屋から通販でかいました。今や中古盤漁りもネット時代。アナログだって郵送で買えちゃうんです。凄いですよね。ちなみに2000円ちょいでした。
'00に再評価。ですか。ということは今現在バリバリ再評価中ってことですよね。う〜ん、なんだろ。ディランかなぁ。自伝以降の再評価ぶりは凄まじいですよね。あとは最近中古市場でのAORの高騰化が気になる。
俺はこのレコ、北海道の中古レコ屋から通販でかいました。今や中古盤漁りもネット時代。アナログだって郵送で買えちゃうんです。凄いですよね。ちなみに2000円ちょいでした。
3. Posted by ハリー 2006年10月13日 23:37
私の好きなフォー・シーズンズの1枚がこれです。
フランキー・ヴァリのソロよりも聴いた回数は多いはず。
残念ながらCDでの所持なので、アナログ仕様の楽しみがないのですが。
一番ロック寄りな感じなので、私のような狭量なロック者にも
十分アピールする音なので、広く聴かれて欲しいですね。
フランキー・ヴァリのソロよりも聴いた回数は多いはず。
残念ながらCDでの所持なので、アナログ仕様の楽しみがないのですが。
一番ロック寄りな感じなので、私のような狭量なロック者にも
十分アピールする音なので、広く聴かれて欲しいですね。
4. Posted by kura_mo 2006年10月14日 02:51
>ハリーさん
お。流石ですね。俺はつい最近まで知らなかった1枚です。しかしモンド本などで取り上げられたからか、他のアルバムに比べると「フォー・シーズンズのアルバム」としての地位を確立している感もあり、歪んだ評価の1枚ともいえますね。
この後のアルバムも聴いてみたいんですよね。モーウエストでのアルバムとか。
ヴァリのソロ、未聴。まだまだ先は長いようです。。
お。流石ですね。俺はつい最近まで知らなかった1枚です。しかしモンド本などで取り上げられたからか、他のアルバムに比べると「フォー・シーズンズのアルバム」としての地位を確立している感もあり、歪んだ評価の1枚ともいえますね。
この後のアルバムも聴いてみたいんですよね。モーウエストでのアルバムとか。
ヴァリのソロ、未聴。まだまだ先は長いようです。。