2007年07月

2007年07月21日

アラン・ギルバートはニューヨークの選択

 ロリン・マゼールの音楽監督退任が決定していたニューヨーク・フィルハーモニックですが、遂に後任が決まったようです。

 なんと、アラン・ギルバート。
http://nyphil.org/

 ギルバートは40歳。古参オケも思い切ったことをするものです。
 そういえばドゥダメルがロスフィルの次期音楽監督に決定しているように、同じアメリカ5大オケのニューヨークフィルも意欲的なところを見せた、というところでしょうか。
 アラン・ギルバートの両親はニューヨークフィルの奏者です。そのことからしても、ギルバート本人にとって悲願の人選であることでしょう。

 ニューヨークフィルのサウンドは好きなので、このコンビでの快演を聴いてみたいところです。まあ、来日公演はまだまだ先の話でしょうが...


kurakichy at 00:38|PermalinkComments(2)TrackBack(0) News 

2007年07月11日

のだめパリ編ドラマ化決定

 アニメが終了するのを待っていたかのようなタイミングでの発表ですね!

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070711-00000003-sanspo-ent

 熱烈な「のだめ」ドラマファンの後押しによって、パリ編がドラマ化決定。やっぱりゴールデンタイムのドラマでなければ、世間に与えるインパクトは違いますよね。

 パリ編だと、オーケストラで日本人エキストラは使えないけどどうすんだろ...外国人奏者をエキストラに多数起用してくるのかな。ここはマルレ・オケに期待ですね。フランスのオケを使ってくれないものか。

kurakichy at 23:03|PermalinkComments(2)TrackBack(0) News 

2007年07月10日

ニューヨークフィル・ブラス・クインテット

newyorkphil
ニューヨークフィル・ブラス・クインテット

2007年7月9日(月)19:00-

ディロレンゾ:ファイア・ダンス
ヴィズッティ:プレリュード・アンド・プレスト
フェッロ:エア・オブ・マンハッタン
バーンスタイン(ゲイル編):『ウエスト・サイド・ストーリー』組曲
ダール:「金管楽器のための音楽」より『間奏曲』
バーンスタイン:ダンス組曲
ターリン:「サウンドスケープ」より『ジャイブ・ダンス』
ストレイホーン(エルカー編):ラッシュ・ライフ―飲んだくれ人生
エリントン(コズミナ編):スイングしなけりゃ意味ないね
カンダー(エルカー編):ニューヨーク・ニューヨーク
(アンコール)ジョンソン・ラグ
(アンコール)ザッツ・ア・プレンティ

フィリップ・スミス (トランペット)
マシュー・マッキー(トランペット)
ジョゼフ・アレッシ(トロンボーン)
フィリップ・マイヤーズ(ホルン)
アラン・ベイアー (テューバ)

電気文化会館ザ・コンサートホール 

 トランペットのフィリップ・スミス、トロンボーンのジョセフ・アレッシ、ホルンのフィリップ・マイヤース。その楽器の分野では泣く子も黙るビッグネームにして、ニューヨーク・フィルハーモニックの首席の現役プレイヤーたちであるのは周知のところ。
 その彼らによるブラス・クインテット(いわゆる金管五重奏、略して金5)がついに名古屋にやってきました。

 彼らのブラスにはニューヨークフィルのライヴにて過去2回にわたって体験してきましたが、どれもこれもものすごい迫力。このクインテットの演奏も、とても聞き逃せるものではありません。とはいっても、上記のプレイヤーたちはニューヨークフィルの実演を触れるずっと以前から好きなのですが...
 80年代以降のニューヨーク・フィルハーモニックの録音からは、彼らの超絶ブラスがしっかりと聴こえてくるのです。

 実際には、クインテットとしての名古屋公演は3年ぶり2度目。当日券ナシの大盛況。黒一色のいささか着荒しの服装をした5人が出てくると、会場からは大拍手。5人の配置は、向かって右端にトランペットのフィル・スミス、左端に若手のマッキーがそれぞれ座り、スミスの左隣にはアレッシ、マッキーの右隣にはマイヤース、中央に若手のベイアーという布陣。
 マイヤースの巨漢振りといったら、相変わらずとてつもない。今までニューヨークフィルのライヴで、客席から遠目に見ても彼が相当デカイことが知れたが、この室内楽用の会場で間近で見てみると、それに輪をかけたインパクト。人間がここまで巨大になれるものなのか。こんな巨漢で、飛行機に乗れるのだろうか...エコノミーでは無理だなあ。と考えていたら、イントロなしで曲が開始。

 この5人にとって今日の電気文化会館は狭かった、というのが第一印象。序盤から観客の身体まで震わせるような大音響がホールを満たし続ける。もしかして、倍くらいの空間のあるしらかわホールの方が向いていたのかも。
 しかし、サウンドとしては強力だけれど、ふとしたソロから温かみが伝わってくるのが彼らの特色です。特にアレッシとマイヤースのソロは惚れ惚れするくらい。この音色の良さを堪能できるのが、生演奏ならではの醍醐味ですねー。金管のパワフルな大騒ぎの中に訪れる豊かで温かい音、これが非常に心地よいものなのです。
 あとは5人のダイナミックレンジはどこまで広いのか、ということに尽きます。5人が息をピッタリと合わせたppからffに至るクレッシェンドは、「どこまでいくの?」とつい突っ込んでしまいそうなくらいの音量のピークにまで至るもの。

 さて、金管ではありえないくらい5人の指が回っていた最初の2曲を終えると、突如フィル・スミスがマイクを持ち出す。おお、彼はトークの才能もある男だったのか!メンバー紹介と1曲ごとに曲解説を担当していたが、これが実に聞き取りやすい英語で、かつ内容もわかりやすい。ユーモアたっぷりでツボをきちんと押さえた話術は、会場を何度も沸かせていました。
 スミスのトークもそうだが、やはり、彼らから伝わってくるのはアメリカン・テイスト。基本的にネアカなひとたちなのです。どの曲だったかは忘れたが、各人が示し合わせたように足の裏をピッタリと同じ角度に曲げていたりと、些細なところにもお茶目さをを感じさせてくれるところも面白い。

 本日のプログラムは前半にクラシック曲、後半にいかにもアメリカンなジャズ曲を持ってくるという構成だったが、金管という楽器の特性上、ジャズ曲の方がよりハマって聴こえる(それでも、ジャズには似つかわしくないような轟音が吹き荒れるところが何度もあったのですが...笑)
 
 本編が終わって会場が大いに沸く中、アンコールへ。1曲目の『ジョンソン・ラグ』は、今まで床に向けていた金管のアサガオを遠慮なく客席の方向へ開放して轟音を撒き散らすというサービスぶり。
 2曲目は『ザッツ・ア・プレンティ』。今まで座って吹くだけだった5人が、一斉に立ち上がって楽器を鳴らす!と思うと、今度は各自が思い思いに動き出す!エンターテナーですな。
 ここで、マイヤースが休符になった時が見ものだった。なんと、ホルンを持ちながら相撲の四股を踏むパフォーマンス!このサービスぶりに、本日最高潮の盛り上がり様が客席に巻き起こる。
 実は、マイヤースは前半のメンバー紹介の時に、この時期には名古屋場所があるから、夕方テレビをつけるとスモウが見れるのがうれしい、といってしっかりと笑いをとっていたのでした。この彼の巨躯とスモウレスラーをひっかけたギャグ、伏線の張りかたはほぼカンペキでしょう(?)。
 
 万雷の拍手が巻き起こり、演奏会は終了。終演後には、マイヤースとマッキーがサイン会に向かいながら途中にいた観客たちと自由に会話をし、握手をしている光景が見られた。このフランクさもまた、アメリカン・テイスト(しつこいけれど)。この彼らのキャラクターも、またよいものだ。

 そういえば、フィル・スミスのトークのどこかで、マッキーについて「彼は“the newest”なんだ。私は“the oldest”だけどね」と言っていた。そういえば、マッキーは去年ニューヨークフィルに入団し、首席のフィル・スミスの次席に座っている。
 このブラス・クインテットは、若手のマッキーとベイアーの「ヤング・チーム」と、フィル・スミスら古参の3人の「オールド・チーム」の共存。どんな難曲でも、難しさをまったく感じさせずに軽々と吹き鳴らすオールド・チームに、ヤング・チームのフレッシュさがうまく絡んでいたように思う。5人が5人ともオールド・チームだったら、サウンドが少し老獪なものになっていたのかもしれない。そう考えると、クインテットに君臨する往年のオールド・チームがヤングチームを迎えるという図式は、サウンドをバランスのとれたものにしていた、というのは考えすぎかな。
 要するに、この5人は素晴らしかった、ということ。

 また会場には吹奏楽部な高校生が多数いたことも印象的。彼らにとってもアレッシたちは神なのだろうか...ちなみに、私の母校の制服も多かった...汗。


 追記:これを書きながらニューヨークフィルのインターネットラジオでマラ7をかけています。これもまたブラス大活躍の凄い演奏...なんだ1楽章のこの遅さは。

http://nyphil.org/attend/broadcasts/index.cfm?page=broadcastsByMonth

※公開は13日までなのでお早めに。


kurakichy at 00:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) Concert