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オールトの雲 (新書館ディアプラス文庫)
オールトの雲 (新書館ディアプラス文庫)
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「オールトの雲」
一穂ミチ
ディアプラス文庫

久しぶりにBL文庫を衝動買いしてみました。
表紙もそうだけど、中のタイトルページのロゴが可愛いです。

幼馴染みカップルのお話でした。
攻が美形なのが良いですね。

最初は、わりとベタな定番的なBLのお話だと思いました。
美形だけど、口下手で人付き合いが苦手な幼馴染みがいて、あるとき、主人公が彼を好きだと気付くというそんな話かあと。

文章の上手い下手はよく分からないけど、心に響く書き方の出来る人だなあと思いました。
すごく緻密に計算されているのか、感性で書かれているのか、どちらなんだろう。

たとえば、流星が質問するときに疑問系の口調ではないとかの細かい設定が、そこに流星がちゃんといるって気がしてドキリとしました。
このお話の中で、多分相当重要なシーンにそれがかかってくるのも、感動です。
そのあたりのシーンの比喩も好きです。
「卵を抱えた動物みたいに」ってとこ。

簡単に言ってしまえば「口下手で人付き合いが苦手な幼馴染みがいて、あるとき、主人公が彼を好きだと気付くというそんな話」でまとめてしまえるんだけど、それだけでない厚みがあります。

太陽っていう男の子がいて、太陽はお父さんとお母さんの子で、引っ越してきた綺麗な女の人に見とれて、その息子の流星と仲良くなって、流星には離れて暮らしてるお父さんがいて、そのお父さんは再婚して奥さんがいて子供もいて・・・。
二人が出会って二人が恋しただけじゃなくて、何故二人がそこにいるのか、何故惹かれあったのか、という根本的なところを、難しくなくサラリと物語に絡めてあって、すごく登場人物を身近に感じられました。
物語の中で、二人の転機になる大きな出来事が起こるのですが、ものすごく悲劇的に描かれていないのが、また良いと思いました。
そのことに関して、どう思ったとかどう行動したということを細かに書かずに、でも、必要最小限の描写で、登場人物たちがどう思ってるのか、想像できます。
そういう押し付けがましさのない表現に好感が持てました。

ラブシーンも素敵でした。
とても初々しいんだけど、恥ずかしい気持ちとかニヤニヤする気持ちにはなれなくて、一生懸命だなあと思って、感動しました。

良い小説だなと思うし、感動もしたんだけど、ただね、読んだあとで「おもしろかった!!」「さいこー!!」とか高揚した気分にならないのは、自分的に今ひとつハマリきれてないのかなー。
そういうわけではないと思うんだけど。
はしゃいで話すような内容ではないからかなあ。
しんみりと余韻に浸ってる状態なのかもしれません。