栗野的風景

写真と文章で綴るフォトエッセイ

2012年04月

尾所の花たち

尾所の桜05

 尾所の一本桜は既に散っていたが、周囲を見回すと桜も咲いていたし、

スイセンも咲いていた。

この桜は山桜の一種だろうと思うが名前は分からない。

オオシマザクラだろうか。

スイセンはヤエザキスイセンの白色と黄色。

ヤエザキスイセン02


尾所01



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散り急いだ尾所の一本桜

尾所の桜02

 津山市阿波の尾所(おそ)地区に一本桜があるというのは昨年から知っていた。

山桜でソメイヨシノより遅咲きだし、高地でもあるし、連休初日までぐらいは

なんとか見られるのではないかと思い、昨日出かけた。

津山市というから津山ICから30分もかからないだろうぐらいに考えていたが

ほとんど鳥取県境。

聞けば平成の大合併で津山市に繰り込まれたものの、それまでは村だった。

このように市とは名ばかりの町村が全国に増えているが、

本当に市町村合併はよかったのかどうか。

それはともかく、田舎道をどんどん走っていくと、途中から「尾所の桜」と書かれた

幟が立っているのでそれを目印に走るが、近くで見失ってしまった。

道を聞きたいが人は見当たらず、たまたま見つけた小さな店も休日で休み。

引き返し駐在所に寄るが、ここも休み。

尾所の桜01

 だが、場所はすぐ近くだった。

周辺を見回すと左折した少し山の上の方に幟が見え、そちらに行くとテントが張ってあり

地域の人たちが集まり露店らしきものまで。

「桜が咲いている場所はどこですか」

「あれです」と指差された方を見ると、そこには既に花がなく葉だけになった樹が。

「今年はどこもそうじゃと思うけど、咲いている期間が短こうてな。もう散ってしもうたんじゃ。

そいでもせっかくじゃから見ていってつかあさい」

尾所の桜04

 「花咲いてないといまひとつ力が入らん」

祭りの主催者たちもそう口にしていた。

「騙された」

そう言った見物客がいたが、それは言い過ぎだ。

誰も騙したわけではない。

桜の樹にしても老木に頑張って花を咲かしたのだし。

ただ、例年に比べ咲いている期間が1週間と短かっただけだ。

地元の人も「まだ咲いている」と偽って人を呼び込んだわけではない。

彼ら自身が一番がっかりしているのだ。

それでも桜まつりの期間中は、花が散ってしまっていても皆が集まりテントを張り、

食べ物や飲み物まで出して観光客をもてなしているのだから、

「騙された」というような言い方は地元の人に対しても桜の木に対しても失礼だ。

こういう言い方をするのは良くない。

ただ飲食代の売り上げはほとんど上がらなかったと思うが。



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その先に見えるのは出口、それとも入口。

DSC_5306_1

 桜の花びらが風に舞い、道路上には

かつての美しかった日々の面影。

新緑はこれから訪れる清々しい季節。

その中を肩を寄せ合い歩く男女。

先に見えるゲート。

このゲートは散りゆく桜に象徴される出口か、

それとも春の訪れを示している新緑か。

人は見たものを信じるというが、実は目にしたものの方が騙されやすい。

はて、この写真、今日を最後のデートと決めた二人なのか、

それとも新たな船出に向かっている二人なのか。

春の主役たち

八重桜01

 今年は冬が長かったせいで桜の開花は遅れ、

その分長く咲いているのかと思えば、

花の命は短くて、と散り急いで行った。

代わりに舞台に上がってきたのは春の主役たち。

桜ばかりが春の主役じゃないよ、ソメイヨシノばかりが桜じゃないよと、

八重桜がいたずら好きな風を供に従えて、

ピンク色のドレスを翻して観客を魅了すれば

チューリップも負けじと赤や黄色のドレスを着て、

スラリとした姿勢を見せびらかす。

小さな体ながらシャガも負けてはいない。

一見清楚な装いながら、個性的な顔立ちで、近づく男たちを虜にする。

目にまばゆいのはツツジたち。

アップでも集団でもきれいなのは私たち、と誘いかける。

春は誘惑の多い季節、

春の主役たちがこちらにおいでと誘いかける。


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チューリップ01


シャガ02


ツツジ01


チューリップ02


歴史に思いを馳せる。

名護屋城跡03

 太閤の睨みし海の霞かな、と詠んだのは青木月斗だが、

「睨みし」としたのは、この歌が詠まれた昭和8年という時代を考えれば

多少やむなしと思わぬこともないが、

「兵どもが夢の跡」と詠んだ芭蕉の感性とは比べるべくもなし。

底の浅さを感じる。

それにしても秀吉という男、二流の人物である。

この狭い地域に諸大名の軍勢を集め、自分は毎日宴を催していたのだろう。

この地が栄えたのは極々短い期間。

バブルは秀吉の死とともに、あっという間に弾け、

城は取り壊され、残ったのは廃墟だけ。

まさに夢のまた夢である。

火事で消失ならまだしも、諸侯は蜘蛛の子を散らすようにこの地を後にし

城さえ取り壊された事実を知れば、月斗も冒頭の句など読めなかったと思うが。

彼も秀吉に似て二流の俳人なりや。

はや藤の花が

藤棚0422_04

 やっとツツジが咲こうかというのに、はや藤の花が咲いていた。

場所は福岡市・花畑園芸公園。

ツツジでも見られるかと思い、ウォーキングを兼ねて運動公園を抜け、

花畑園芸公園まで行ったのだが、思わぬ収穫だった。

しかも、同じ藤棚に紫と白の藤の花。

ほんのちょっぴり幸せな気分。


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思索する時間

名護屋城跡01

 「ミネルヴァーの梟は日暮れて飛び立つ」と言われるが、

いま梟はどこにもいない。

いるのはチュンチュンさえずる(twitter)雀ばかり。

時には日暮れに遠くを見つめ、哲学してみることも必要だろう。

静かに思索する時間が必要だ。

この国の人々には。


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お母さん、ぼく蜂になったよ!

一心行08

 雨上がりの菜の花畑

体に花粉が付くのが面白くて

走り回って黄色い花粉を付ける少年。

お母さん、ぼく蜂になったよ!


八重の方が色っぽい

塩釜桜01

 いつの頃からだろうか、八重桜が好きになったのは。

若い頃は桜といえばソメイヨシノしか知らなかった。

八重桜もあったのだろうが、見た記憶はない。

いや見ていたのかも分からないが、記憶にはない。

八重桜の存在(美しさ)に気付いたのは比較的最近のこと。

それまではボテッとした感じが野暮ったくて好きではなかった。

しかし、人間、歳とともに柔軟になるというか、多様性を認めるようになるもので、

八重桜の美しさに気づいてきた。

第一、ソメイヨシノの薄情そうな白っぽさに比べて、随分色っぽい。

そう、桜色というのは八重桜の色のことで、ソメイヨシノの色ではない。

ところで、八重桜を見ると桜餅を連想するのはなぜだろう。

やはり色から来ているに違いない。

いままで八重桜って一種類だと思っていたが、実は色々種類があるということを

今年はじめて知った。

上の写真は唐津市で見た塩釜桜。

下の八重桜に比べると色が薄く、花びらも少し層が薄い。

しかも、朱一色ではなく、白っぽい色の花弁に朱色が少し混じっている混血。

こちらの方が気品と色ぽさを感じられる、と思うのは私だけだろうか。

八重桜


地方を旅する面白さ〜えっ、小学校なの?

粟井小03

 地方を旅していると思わぬものを発見することがある。

この時もそうだった。

「こぶしの里」という看板につられて田舎道を走っている時、目に入ったのが

この建物(写真右端の2つ)。

土蔵のように見えたので、一瞬酒蔵?と思い、車を止め近寄ってみる。

そこで目にしたのはプール。

小学校(岡山県美作市・粟井小学校)だったのだ。

粟井小01

 木造ではなくコンクリート造りで、屋根には屋根瓦。

見た感じ建物はそれほど古くない。

なにかいわれがありそうなデザイン・・・。

室内に蛍光灯の明かりが見えたので、そちらに近寄って行くと、

女性が一人出てきた。

手にしたボールペンのノックをカチャカチャと言わせながら。

粟井小02

 建物のいわれについて尋ねると「私は昨年赴任してきたばかりで分かりません」。

では、校長にと思ったが、校長は今春からの赴任だから分からないでしょう。

教頭先生ならご存知かも、とのこと。

あいにくこの日は日曜日。しかもこちらはたまたま見かけて立ち寄っただけ。

分かったのは現在の児童数は20人で、複式学級とのこと。

つまりこの建物の大半は使われていないのだろう。

こんな地方で生徒に教えられたら・・・、そんな夢がふと過ぎった。

それにしても校舎が立派過ぎる、というか、この辺りは木材の産地ではないのだろうか。

コンクリート造りよりは木造にしておけばよかったのに、とちょっと残念な気がした。


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千成瓢箪に見える太閤桜

太閤桜01

 佐賀県唐津市・名護屋城跡のすぐ近くに法光寺という寺があり、

そこに咲いている桜が今ちょうど満開だ。

このお寺、構えや造りが寺らしくない。

普通の民家のような感じがする。

不思議に思い住職に尋ねようかと思ったが、この日は地域の花見らしく、

境内に檀家が集まり宴を開いていた。

住職はと見れば少し酔っ払って旧知の友人と思しき男性としきりに話していたので

他の人に話を聞く。

火災で何度か焼失したらしい、ということが分かった。

元々の場所は秀吉が名護屋城を築いた辺りにあったらしいが、

城の近くに寺があるのは縁起が悪いと現在地に移転させたらしい。

その代わりというか、多少なりとも気の毒に思ったのだろう、

秀吉が自らの手で境内に八重桜(塩釜桜)を植えたそうで、

別名太閤桜として地域の人に親しまれてきたとのこと。

そういえば、この八重桜、秀吉の馬印、千成瓢箪に似ているような・・・。

太閤桜02



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そこにさくらん

南阿蘇村01

 見上げれば青空をバックにきれいな桜が咲き誇っている。

誰もが認める美しさだ。

あ〜、きれいだね。

見上げた人は思わずそう呟く。

誰に話しかけるわけではないが、なぜかそう呟かずにはいられないのだ。

だが、ここにも桜が。

上を見上げてばかりでは気づかないが、もっと低い所、身近な場所でも

桜はきれいな姿を見せている。

私も一生懸命に咲いているのよ。

そう囁きかけている。

南阿蘇村で見つけた、そこにさくらん。

南阿蘇村03


一心行の大桜の周囲に集まる人々

一心行01

 もう九州では桜は散ってしまい、見られないと思っていた。

ところが、調べてみると一心行の桜(熊本県阿蘇郡南阿蘇村)は

まだ満開だと分かり、さっそく14日に車を飛ばして出かけた。

現地に着いた時は午後2時前。

それまで曇っていた空に青空が覗きだし、絶好の花見日和。

多くの人たちが大樹の周りを囲み花を見上げていた。

桜は並木もきれいだが1本桜も美しい、とこの時初めて感じた。

特に樹齢を重ねた樹は神々しささえ感じられる。

一心行の大桜を見たのは今回が初めてで、現物を目にするまでは

さほど期待してなかったが、期待はいい方に裏切られた。

一心行02


一心行04


一心行09



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春うらら

秋月01

 晴天に誘われるまま、桜の名所、秋月城跡まで出かけた。

桜並木のメーン通りは既に色あせ、緑色が目立ちつつあった。

そこで観光客が多い城前の通りには寄らず、

少し離れた所を歩いていると、まだ梅が咲いている景色に出合った。

秋月02

 今度は通りを挟んで反対側に移動すると、田んぼの中の1本道をぞろぞろと

まるでアリの行進のように生徒達が歩いていた。

彼らはどこから来て、どこへ行くのだろう。

つい好奇心が頭を持ち上げ、「遠足?」と尋ねる。

「はい、そうです」

その返事に思わず戸惑う。

えっ、遠足ってまだやっているんだ?!

地方の中学だからだろうか、それとも都会の中学でも遠足はあるのだろうか。

ちょっと懐かしくなった。

それにしても人数が多い。

1学年だけ? まさか全校生徒? いやー、それはないよね。

春うらら、ポカポカ陽気に遠足、いいよな〜、のどかで。

秋月03

 撮影場所:福岡県朝倉市秋月


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散り急いだ桜

甘木小01

 三日見ぬ間の桜かな、と言われるが、それにしても今年の桜は短すぎた。

咲くのが遅かったのに見頃の時期が短かった。

まるで散り急ぐかのように散ってしまった。

10年前の12日、桜はまだ満開だった。

桜の頃に入院し、桜とともに逝った妻。

わずか1年の闘病生活だった。

 いつか桜前線を追って旅したいね。

そう言っていた妻の願いは永遠に叶わなくなった。

以来、桜を追い続けている。

たった一人で。

Sakura040402

 12日、妻を連れて秋月まで桜を見に行ってきた。

「もうかなり散りはじめています」

そう言われたけど、それでも行ってきた。

胸のポケットに入れて、

お前が好きだった桜を見に。

Sakura040405

 夜は2人で静かに日本酒を飲んだ。

酔っぱらい、10時にはもう寝てしまった。

いつになく寝苦しい夜だった。

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