風子は部屋に戻ると、両腕に抱えた山猫の入った段ボールをそっと床に置いて、クローゼットから薄手の毛布を取り出し簡単なベッドを作った。ベッドの上に山猫を寝かせる。力無くダラリとした体が微かに上下に動いている。口元に耳を傾けると寝息が聞こえた。生きているんだ、と風子は右手で山猫の体を撫でた。風船がしぼんだり、膨らんだりするように、山猫の体も呼吸に合わせて伸縮した。手のひらから山猫の体温が伝わってくる。そうだ!申請書を作成しなきゃ。