2018年08月04日

愛情空間と友情空間

8月も早や4日が経ち、いよいよ明日からは高校野球が開幕。
今年は第100回の記念大会とのことで、いつも以上に「あの時の名勝負」といった映像を見る機会が目立ちます。

高校野球を一番熱心に見ていたのは、桑田真澄氏と清原和博氏のKKコンビが活躍していた時期なので、調べてみると1983年から1986年。中学生だった私は、野球部に所属していましたから、熱心に見ていたのは当然といえば当然です。
また、この時期は、名作アニメである「タッチ」が連載されていた時期でもあり、「夏の甲子園は、日本中の人が見ているもの」ぐらいの感覚だったことを思い出します。

ちなみに、それから30年ほどを経た2014年。
母校の卒業生イベントの関係で、桑田真澄さんと直接お会いしてお話する機会があったわけですから、人のご縁とは不思議なものです。

人のご縁と言えば、私の好きな作家さんである橘玲氏の著書「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」の中で
「友達になるには、同じ時間と場所を共有していなくてはならない。だからぼくたちの時代の友だちは、学校でしか生まれない」
という言葉が出てきます。

さらに、
「地球上には何十億人ものひとが生きているけれど、ぼくたちはこのきわめて限定的ンア条件を満たしたひととしか友達になれない。そのうえ仮に友だちになったとしても、それを維持するのはもっと難しい。こんなにハードルが高いのだから、「友だち」がいるということ自体がひとつの奇跡だ」
と続きます。

せっかくなので、私自身の経歴を振り返って考えてみました。

幼稚園2年間、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間、大学4年間で、合計18年間。それぞれの時期に、お弁当を一緒に食べていたとか、授業で教室を移動する時にいつも一緒だったとか、通学で一緒だったとか、休みの日にしょっちゅう遊んだとか、そういう友達を考えると、まあ3人前後なのではないでしょうか。これで54人。実際には学年が変わるごとに総入れ替えというわけではないでしょうから、その半分と考えると27人。

日本の人口を1億2,700万人とすると、0.0000213%です。約470万分の1。
世界人口は約74億人と言われてますから、こちらを分母にすると約2億7,400万分の1ですから、確かに「奇跡のようなもの」と言っても過言ではなさそうです。

ちなみに、こちらの本の中では、このような自分中心の人間関係の輪を、「愛情空間」「友情空間」「政治空間」と名付けられています。

愛情空間は、家族や恋人などの関係で、友情空間は親しい友達。
でも、実際の生活においては、愛情空間や友情空間を共有する人たちと過ごす時間はそれほど長くなくて、政治空間の人と付き合う時間が多くを占めているのではないでしょうか。

多様化した世の中では、すべての人にとって家族が愛情空間にいるとは限らないのでしょう。
警察庁の調べによると、2016年に発生した殺人事件の55%が親族間で起きているという現実もあります。

そうそう、家族と言えば、先日ディズニーアニメの「リメンバーミー」をみました。
家族の絆や、人の思い出に存在することの大切さなどを深く考える内容で、涙が止まりませんでした。

この夏は、改めて自分自身の愛情空間、友情空間、政治空間を見つめてみたいと思った次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 22:49Comments(0)日常のつぶやき

2018年07月21日

公的介護保険、自己負担割合3割の導入に際して知っておきたいこと

2018年8月、つまり来月から、一定以上の所得がある人の公的介護保険の自己負担割合が3割に引き上げられます。そこで、改めて公的介護保険についてまとめてみました。

■公的介護保険の概要


公的介護保険は、要介護状態や要支援状態になった場合に必要となる介護サービスなどを、一部負担金の負担のみで受けることができる制度です。40歳になると対象となり、40歳〜64歳までの第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者に区分されています。

家族に介護を必要とする人がいる場合、外部のサービスを何も利用せず、家族内だけで全てが完結するのであれば、費用がかかることはありません。一方で、介護事業者のサービスを利用する場合、利用したサービスに応じた負担が必要となります。

この際に公的介護保険を活用すると、かかった費用の1割だけを負担すれば、残りの9割は保険でカバーしてくれるわけです。
もちろん、誰でも利用できるわけではなく、1割負担でサービスを受けるためには、市区町村に対して介護認定の申請を行い、要支援または要介護認定を受ける必要があります。

■自己負担割合の引き上げ


さて、この「1割」という自己負担割合について、2015年から一定以上の所得のある方は「2割負担」に引き上げられていました。

引き上げの対象をざっくりというと、合計所得金額が160万円以上であり、単身世帯の場合で「年金収入+その他合計所得金額=280万円以上」の人、二人以上世帯の場合は「年金収入+その他合計所得金額=346万円以上」の人です。介護保険利用者のうち、約10%の方が2割負担の対象になっているようです。

ここに、2018年8月から「3割負担」となる人が追加になります。

これも、世帯の状況によって細かく規定がありますが、ざっくりいうと、合計所得金額が220万円以上であり、単身世帯の場合で「年金収入+その他合計所得金額=340万円以上」の人、二人以上世帯なの場合で「年金収入+その他合計所得金額=463万円以上の人」となっています。

今回の引き上げで3割負担に該当する方は約12万人で、受給者全体に占める割合は3%程度と試算されているようです。

ちなみに、介護保険を利用している受給者1人当たりの費用額は、要支援の方に対する介護予防サービスでは 27,500円、介護サービスでは 194,200円となっています。

つまり、介護サービスを受けている方が1割負担に該当する場合、自分のお財布から出るお金は19,420円(194,200円の1割)だったのに、2割負担に該当すると38,840円、3割負担に該当すると58,260円となるわけで、家計からするとかなり大きな支出増となるでしょう。

■高額介護サービス費を忘れないように


では、1割負担から2割負担、そして3割負担になった方の支出は、計算通り2倍や3倍になるのでしょうか?

実は、そうではありません。なぜなら、介護保険には「高額介護サービス費」という制度があるからです。
この制度は、介護サービスを利用する場合、1ヶ月に支払う利用者負担の合計額が、定められた上限額を超えたときは、超えた分が払い戻されるものです。

こちらの上限額も、世帯の所得状況によって異なりますが、「世帯の全員が市区町村民税を課せられていない方」は、世帯としての自己負担上限額が24,600円、「世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方」は44,400円です。
先ほどのケースで、自己負担額が月58,260円になったとしても、実際の負担は24,600円や44,400円といった上限額までとなるのです。

いずれにしても、自己負担が上がったから大変だというだけではなく、こうした様々なサポート制度を正しく理解すること、そして、こうした制度を忘れずに活用することが大切なのです。

■地域包括支援センターを確認しておく


最後に1つ。

いろいろな制度を知ることが大切だといっても、当事者意識がない限り、なかなか頭に残らないものです。そこで知っておきたいのが、地域包括支援センターの存在です。

ここは、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門家が常駐しており、高齢者に対する総合的な公的窓口という位置づけになります。つまり、高齢者問題で困った時に頼れる心強い窓口なのですが、その存在を知らない人も多いのが実態です。

すでに全国で5,000を超えているセンター。近くにあるセンターを確認したうえで、何かがあった時には、まず地域包括支援センターに相談する、ということをしっかり覚えておきましょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)社会保険

2018年07月14日

夏のある日の徒然日記

西日本を中心とした記録的な大雨は、改めて自然の怖さを思い知らされました。

川の氾濫で自宅が浸水した知人の方は、事前に避難指示は出ていたものの、これまでの経験から大丈夫だろうと自宅に残っていたようです。最終的には、1階が完全に水没する事態となり、命の危険を感じたと言われてました。

今までが大丈夫でも、これから大丈夫とは限らないのが最近の天災。
慎重になり過ぎるぐらいでいいのかもしれません。
亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災されたみなさまが、1日でも早く日常の生活に戻れますことをお祈り申し上げます。

■琵琶湖の氾濫


今回の豪雨では、琵琶湖の水位上昇もニュースになっていました。
6月ごろから8月ごろまでは、マイナス0.2mが水位調整の基準とされているそうですが、7月7日には「氾濫注意水位」の0.7m超えを記録。ちょうどそのころ、琵琶湖から流れ出る瀬田川撮った写真がこちらです。

瀬田川20180707


普段の写真との比較がなければ、どの程度なのか想像つかないと思いますが、いつもは人が入っても溢れない程度のお湯が入っている浴槽に、縁ギリギリまでお湯が張っているようなイメージといえばいいのでしょうか。

とはいうものの、危機感を感じることはなく、実際にも0.77mをピークに落ち着きました。
ちなみに、0.8mに達すると「避難判断水位」、そして1.15mになると「氾濫危険水位」となるようです。
最近では、平成7年に0.95mにまで達した記録がありますが、明治29年9月の台風時には3.76mに達した記録も残っていましたが、いまより湖岸の整備も整っていなかった時代ですから、大変だったのではないかと想像してしまいます。


■ハザードマップの確認


今回、西日本の各地で発生した川の氾濫などを受け、地域のハザードマップが改めて注目されているようです。琵琶湖でも、水位が2.1mに達した状況のハザードマップが公表されています。

ハザードマップとは、被害予測地図ともいわれ、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものです。
各自治体が公表しているほか、国土交通省ハザードマップポータルサイトでも確認できますので、お住まいの地域やお仕事場など、いざという時に想定される状況を知っておくようにしたいものです。
6月の大阪北部地震の際にもブログを書きましたが、「何が起こる可能性があるのか?」を想定し、その時にどうするのかを一度でも考えておくことは、とても大切だと思うのです。


■お祭りと花火の季節


さて、7月も中旬となり、全国のほぼ全域で梅雨明け宣言がなされています。
何が起ころうとも季節は流れていくのです。

そしてお隣の京都では、日本三大祭りの1つである祇園祭が、最高潮の時期を迎えています。
八坂神社のお祭りである祇園祭は、7月1日から1ヶ月間にわたり続いていますが、山鉾巡行(2018年は7月17日)と、その前三日間の宵山の時期が、なんといってもクライマックス。
猛暑日となる中、多くの観光客でにぎわっている様子です。

祇園祭2018


そして、これから全国各地で開かれるであろう花火大会。

ここ数年は、お祭りや花火を純粋に楽しむ機会がありませんが、やはり昔から脈々と続く行事にはそれなりの意味があるものですし、心安らぐ独特の時間の流れがあると思います。

経済合理性だけではない時間も大切にしたいですね。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2018年07月03日

変動金利型住宅ローンで金利が上昇した際の影響

住宅ローンを借りる際に、変動金利を選択する方が増えているそうです。
住宅金融支援機構のアンケート調査によると、2017年度下期に借り入れした人の56.5%が変動金利型だった様子。

ローンの決め手となった理由を見ると、69.7%でダントツ1位は「金利が低いこと」ですから、当然といえば当然の結果なのでしょう。

ちなみに、「将来金利上昇でどのくらい返済額が増えるか」を理解しているかどうかを尋ねた質問に対する回答は「全く理解していない(3.2%)」「理解していない(11.1%)」「理解しているかどうか不安(37.7%)」となっているようで、変動金利でローンを組んだ際のリスクを認識していない方が多いことは気がかりです。

■金利上昇による返済額の変化


では、金利上昇によってどの程度の影響があるのでしょうか。
ある大手銀行の変動金利水準である0.625%を例に計算してみます。

2,000万円を30年返済で借りた場合の毎月返済額は、ボーナス払いなしの元利均等返済で60,941円。このままの水準が変わらないとしたら、30年間の支払利息総額は1,938,750円です。

比較となる、固定金利の水準も確認しておきましょう。

全期間固定金利の代表であるフラット35は、窓口となる金融機関によって水準が異なりますが、2018年7月で一番多い適用金利は1.34%となっているので、この数値を使います。

2,000万円を30年返済で借りた場合の毎月返済額は、ボーナス払いなしの元利均等返済で67,499円。
変動金利との差額6,558円を大きいと見るか小さいと見るかは人によると思いますが、支払利息総額は4,299,633円なので、30年間で約236万円の差。これは大きいですね。

ただ、これはあくまでも、変動金利ローンの金利水準が30年間変化しなかった際の数字ですから、世の中の金利上昇によって変化します。

仮に10年後に金利水準が3%になったとしましょう。

0.625%で組んだローンの10年後の残債は1,375万円。
この残高を基に、残り20年間の返済を3%の金利で計算すると毎月返済額は76,257円。差額は15,316円なので、それなりに大きな金額です。
ちなみに、変動金利ローンには、返済額が上がるときは直前の返済額の1.25倍が上限になるというルールがあります。60,941円の1.25倍は76,176円なので、3%で計算した数字がほぼ上限というわけです。
上限を超えるような金利上昇があるとどうなるのか?というお話は今回は割愛しますが、考えるだけでもちょっと怖いですよね…。

さて、先ほどの3%への上昇で、最終的な利息の支払総額を計算すると5,614,600円となり、全期間固定金利のローンより131万円ほど多くなります。

ここまでの話はあくまでも皮算用です。

実際、過去20年ほどを振り返ると、金利上昇の局面はほとんどなかったため、変動金利や固定金利選択型のローンを組んだ人の方が、利息の支払総額が少なかった事実があります。

これを受けて、金利水準が低いから固定金利を選びなさいとするアドバイスは間違いだったという論調も見受けられますが、これはあくまでも結果論です。
変動金利を選択した人は、「金利変動による返済額の変化」というリスクを取った結果、「支払総額が少なくて済んだ」というリターンを得たわけです。

リスクを取る以上、リスクコントロールが不可欠ですが、この場合に考えておくべきことは、金利が上昇した際にも対応できるように、余力を持った返済計画を立てておくことなのでしょう。

■人生で一番高い買い物を衝動買い?


住宅価格は地域差がとても大きいのですが、一般的に数千万円規模のお買い物のため、多くの人にとって人生で一番高い買い物です。
一番高い買い物であるがゆえに、慎重に慎重を重ねて買うことを決めると思いがちですが、実はそうでもないという実態が、今回の住宅ローン利用者調査から見える気がしました。

そこでふと思い出したのが、FPになりたてのころに住宅メーカーの社員さんから聞いた言葉です。
それは「栗本さん、家を買う時ってすごく慎重になるものと思うかもしれませんが、実は衝動買いする人が多いんですよ」というもの。

そんなバカな…とは思ったものの、その後多くの方の相談をお受けする中で、「なるほど、確かに衝動買いといっても過言ではないな…」と感じるケースは少なくありませんでした。
「買いたい気持ち」がすべてに勝ってしまい、冷静な判断が遠のいてしまうというわけです。

今回は、金利上昇の影響だけで見ましたが、実際には収入の減少という事態もあるため、いずれにしてもギリギリのラインでの返済計画にはリスクが伴います。特に変動金利型や固定金利選択型でローンを組む際は、金利上昇による返済額アップに対応できる余力は残しておくようにしましょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)住宅・不動産

2018年06月26日

働くことによる収入増と老齢年金受給額の関係

公的年金といえば、退職後の生活を支える「老齢年金」をイメージする人が多いでしょう。
原則として65歳から受け取りが始まる老齢年金は、保険料の納付実績によって受給額が変わるほか、受け取り開始時期や年金以外の収入による受給額の調整の仕組みもあります。

■老齢年金はいくらぐらいもらえるのか?


公的年金には、ベースとなる国民年金(基礎年金)と、企業などに勤めている人が加入する厚生年金があります。

このうち、国民年金から受け取る老齢年金を「老齢基礎年金」と呼びます。
受給額は20歳〜60歳までの40年間(480月)のうち、何ヶ月保険料を納めたかによって決まり、一度の滞納も無く支払っている場合受給額は年額779,300円です(平成30年度価格)。

これは月額にすると約6.5万円。家賃やローンの返済などが無ければ、何とか生活できるかもしれませんが、これだけでは厳しいのも現実でしょう。

なお、以前は保険料の納付実績が25年(300月)以上なければ1円も受け取ることができませんでしたが、この受給資格期間は10年以上に改められています。
つまり、40年間のうち10年以上保険料を納めれば受け取れるわけですが、その場合の受給額は、年額で19.5万円。月額16,200円ほどですから、生活するために必要なお金には程遠い金額になります。

厚生年金の受給額は加入月数に加えて、勤めていた期間の平均報酬額によっても大きく違うため、平均を出すのはあまり意味がありません。毎月2万円もらえる人と、毎月20万円もらえる人がいた場合に、「平均は11万円です」という情報が2人にとって役に立たないのは当然でしょう。

ただ、それではイメージすらできないので、厚生労働省のモデルケースを見ると、「40年間会社員だった夫と専業主婦の世帯」で、月額約22万円。先ほどの老齢基礎年金が夫婦2人分で約13万円ですから、そこから逆算すると厚生年金の受給額は約9万円となります。

「厚生年金保険・国民年金事業の概況」による老齢基礎年金の受給額平均は月額5.5万円で、老齢厚生年金を加えた受給額平均は14.7万円です。ここから逆算した厚生年金だけの受給額は月9.2万円となるので、やはり9万円ぐらいが1つの目安となりそうです。

■働くと年金が減るから損なのか?


さて、老齢年金は退職後の収入を支える制度ですから、退職せずに働き、生活するのに十分な収入がある人には必要ないという考えが出てきます。
この点は制度として確立しており、これを在職老齢年金といいます。簡単に言うと、その人が得ているお給料と年金額の合計に応じて、年金が減額される仕組みです。

65歳までの人を例にすると、「お給料+月額換算した年金額」が28万円を超えると、超えた金額の2分の1が年金からカットされます。
平均的な厚生年金の受給額が月額9万円程度ですから、お給料が19万円を超えると、カットの対象となるわけです。

さて、この制度に絡んで「働いてお給料が増えると損する」という話を聞くことがあります。
これは本当でしょうか?

計算しやすいように、月換算の年金額を10万円として考えましょう。この人が月18万円の収入を得ても、ちょうど28万円なので年金カットはありません。

では、収入が20万円になったケースを考えてみます。

年金+お給料は30万円となるため、28万円を超えた部分の2分の1、つまり1万円の年金がカットされます。この結果、お給料20万円+年金9万円=29万円となり、確かに1万円カットされています。
でも、この人の収入金額は29万円ですから、お給料18万円+年金10万円=28万円よりも増えているのは明らかです。
ようするに、収入が増えると損する、ということにはならないのです。「年金がカットされる」という話と、「世帯の収入合計が減る」という話はイコールではないという点の正しい理解が大切ですね。

■退職後のキャッシュフローを考える


退職を何歳に想定するかは、人によって様々です。

老齢年金を受給する年齢になった後も、働くことによる年金カットが世帯の収入減につながらない点は、先ほど説明しました。働くことが許される環境で、働く意思があるのでしたら、できる限り働く方が将来のキャッシュフローは改善するわけです。

ちなみに、老齢年金には繰り上げと繰り下げという仕組みがあります。
受給開始年齢の65歳を基準として、受給開始を早める(=繰り上げする)と減額され、受給開始を遅くする(=繰り下げする)と増額されます。

増額の仕組みは、「1ヶ月遅らせるごとに0.7%増」なので、仮に70歳からの受給を選択すると、5年間(60ヶ月)遅らせることになるため、42%の増額となります。

先ほどご紹介した、月額14.7万円の年金が42%増になると、約21万円。年額にして約74万円の増額になるので、キャッシュフローの改善に大きく貢献するでしょう。

ちなみに、繰り下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に利用できます。
細かい話は割愛しますが、年下の配偶者がいるケースでは、老齢厚生年金を繰り下げることで、加給年金(年額約39万円)がカットされる影響も考慮する必要があります。

様々な仕組みが絡み合って、正しい理解が難しい公的年金ですが、自分の生活に直結する大切な制度である点を改めて意識し、キャッシュフロー表に当てはめ、その影響を数字で確認することが大切なのです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)社会保険

2018年06月19日

地震の度に感じること

6月18日の地震には驚きました。

当時私がいた場所は、震源の大阪府北部から、距離にして約50キロの滋賀県大津市。震度5弱と公表されていますが、短い時間ながらも下からの突き上げるような揺れは、23年前の阪神淡路大震災を思い起こすものでした。
今回の地震による被害を受けられた方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。また、尊い命が犠牲になったことは、本当に心が痛みます…。

■地震はいつでも起こっている



地震大国の日本では、震度1以上の地震が毎年2,000回程度発生しています。
こちらのサイトによると、2017年は2,025回ですから、1日平均5.5回。ちなみに、熊本地震が記憶に新しい2016年は6,587回、東日本大震災が発生した2011年には、10,681回もの地震が発生しています。

このサイトの中で、地震の発生個所を日本地図に落とし込んだ資料があるのですが、こちらを見ると、ここ数年の関西圏は地震が多くありません。滋賀県在住の私の感覚でも、ほとんど揺れの記憶がない感じです。

その結果、「日本に地震が多いことはわかっているけど、自分たちのところは大丈夫だろう」という気持ちがどこかにあったことは否めません。でも、日本全国のどこかでいつでも自身は起こっているのです。改めて、いつ身近で大きな地震が起こってもおかしくない、という認識を持ち続けることの大切さを実感しました。

■日頃の備え


では、何に対して備えておくべきなのでしょうか?
FPという立場上、地震の備えというと、まず地震保険や地震共済(自然災害共済)の話題が出ます。これはもちろん大切です。でも、それ以前に大事なのは、イザという時に必要なモノの用意と、家族間での連絡手段等の確認でしょう。

今回の地震では、交通機関こそ終日のマヒで混乱したものの、日常生活に支障を来す事態になった地域は限定的でした。
そのため実感がわかないのですが、電気やガス、水道といったライフラインが止まった場合のことを想定し、せめて3日間ぐらいは過ごせる状態を確保しておくべきでしょう。

一般的に、大人1人につき、一日2〜3リットル飲料水が必要と言われているそうです。
2リットルのペットボトル1本分。家族4人であれば、4本×3日分として12本。
この程度は、常にストックしてある状態が最低限なのでしょう。
それ以外にも、生活用水として同じぐらいの水を用意しておくべきです。、実行するのは難しいかもしれませんが、ペットボトル10本ぐらいに水道水を入れておき、3日〜1週間程度で中身を入れ替えておくことが望ましいようです。
それよりも、水が出ない時には、食事をしても洗い物が出ないように、紙皿や紙コップをストックしておくことが大切かもしれません。
こうした知恵は、インターネットを検索するとたくさん出てきますので、できることから実行することが大切なのです。

■無形資産と情報リテラシーを大切にする


また、こういう時に大切になるのは、お金や不動産などの「有形資産」より、人とのご縁や情報などの「無形資産」です。
以前、ある経営者の方との会話の中で、「無形資産というのは、自分自身のスキルや人とのご縁など。そのつもりで努力をして築き上げていけば決して減ることがなく、イザという時に自分を助けてくれる。本当の意味でのセーフティーネットになる」というお話を聞いたのですが、本当にそうだと感じます。

そして、SNSで発信されるデマ等を判断するだけの「情報リテラシー」もとても大切です。東日本大震災や熊本地震の際にも問題となりましたが、「発信されている情報が正しいか否かを取捨選択し、正しい情報に従って行動する力」は、今の時代に必須の基礎力になっていると感じます。
意図的なデマ情報はもちろん、リツイート等による知り合いからの情報であっても、ネット上の真偽不明の情報を鵜呑みにするのは危険です。
必ず情報の出元を確認し、最初の第一報が信頼できる人や団体からの発信であるかどうかを確認する癖をつけたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2018年06月12日

理屈の話と感情の話

日本FP協会から毎月手元に届く会報誌(FPジャーナル)の中で、米国のFP事情が紹介されるコーナーがあります。

■感情に基づく行動の裏にある理由


ここでは、以前より心理学的要素からのアプローチに言及される機会をよく見かけます。
お金との向き合い方だけに限りませんが、世の中には理屈に沿った合理的な考え方に基づいて動く人もいらっしゃれば、自分の気持ち(感情)の欲するまま、あまり先のことを考えずに動く人もいらっしゃいます。また、同じ人でも時には合理的に動き、時には感情的に動くことがあるでしょう。

2002年に、ダニエル・カーネマン教授がノーベル経済学賞を受賞されたあたりから、行動経済学や行動ファイナンスという概念が広く知られるようになりましたが、人が感情の赴くままに取っている行動にも、ちゃんと理由があることがわかる点で興味深いものです。

■損失回避と未達回避


今回、改めて面白いなと思ったのが、損失回避の願望と、未達回避の願望について紹介された記事でした。

例えば、「自分の投資した10万円が50%の確率で2倍になり(=10万円儲かり)、50%の確率でゼロになる(=10万円損する)状況」は、多くの人が避けるそうです。これは、多くの人が自然と理解している「損失回避」の行動そのものでしょう。

一方で、同じことを「10万円の含み損がある人」に対して尋ねると、別の答えになるそうです。
つまり、「50%の確率で10万円儲かる(=含み損がなくなって収支ゼロとなる)が、50%の確率で新たに10万円損する(=トータルでは20万円の損失となる)という取引は受け入れる傾向があるというお話です。

合理的に考えると、今の状況がどうあれ、儲かる確率と損する確率が50%ずつの取引ですから、受け入れる人は受け入れるし、受け入れない人は常に受け入れないと思われがちです。

しかし、10万円の含み損がある人は、何もしなければ10万円の損失が確定してしまいますが、取引を行うことで、10万円の損失を避けられる可能性があります。逆をいえば取引を行わなければ10万円の損失を避けられる可能性がゼロになるから、少しでも可能性の高い方にかけるわけです。「達成しないことを避ける」という意味で「未達回避」というわけです。

■理屈だけで説明できない行動を大切に


確率論でいうと、買った瞬間に50%以上の損失となる宝くじも、この未達回避の理屈で説明ができるそう。
合理的な判断では誰も買わない宝くじも、買わなければ当たる可能性はゼロです。
でも、買うことで何億円というお金が手に入る可能性がゼロではなくなる。つまり、未達の回避のためには「買う」という行動になるわけです。

様々な場面において、統計に基づく確率論が大切なのは間違いないのでしょう。ただ、理屈ではわかっていてもその通りの行動をとらない人もいますし、そこには本人も気づいていない合理的な理由があるのかもしれませんね。

改めて、理屈で説明できない行動も大切にするべきだなと感じた次第です。  

2018年06月05日

仮想通貨の最近の話題

仮想通貨交換事業者のコインチェックにおいて、約580億円分の巨額流出事件が発生したのは1月26日。早いもので約半年が経ちました。

コインチェックの口座を持ち、流出したNEM(ネム)を(ほんのわずか)保有していた私は、当事者の1人として一連の成り行きを見てきましたが、最近は関心の薄れを実感します。
ましてや、仮想通貨取引と無縁の多くの方にとっては、ほとんど終わった過去の話なのかもしれません。

■広がりを見せる仮想通貨関連の動き


国際決済銀行が報告書の中で「仮想通貨の本源的な価値はゼロである」と言うなど、本質的な存在について疑問を呈される場面が多くなっています。
一方で、4月にはマネックスグループがコインチェックの買収を公表し、6月4日からはSBIホールディングスの完全子会社であるSBIバーチャルカレンシーズを通じて、仮想通貨販売所の営業開始を発表するなど、仮想通貨そのものは、少しずつ根を広げているようにも感じます。

仮想通貨技術を使った資金調達であるICO(=イニシャル・コイン・オファリング)の実績も拡大している様子。日本経済新聞の記事(5月11日付)によると、世界での資金調達実績は1〜3月だけで63億ドル(1ドル=109円換算で約6,867億円)となり、昨年1年間の54億ドル(同、5,886億円)を超えたとのことです。

■時価総額が伸びている仮想通貨


仮想通貨の代表格であるビットコインは、昨年の急騰時に約220万円まで上昇した後に急落し、現在の価格は約84万円と、約4割の水準になっています。時価総額も約27兆円から14.1兆円と落ち込んでいるもののこちらは約52%の水準。

さらに言うと、仮想通貨全体の時価総額は37兆2,455億円で、昨年12月10日に調べた際の43.7兆円の85%の水準を維持しています。

ちなみに、時価総額2位のイーサリアムの時価総額は、昨年12月時点の4.9兆円から約6.5兆円、リップルも約1兆円から約2.8兆円と、大きく拡大しています。
両者とも、価格は大きく下落しているわけですから、取引規模の拡大が時価総額の拡大につながっており、まだまだ投機の域を出ないとは言われながら、その裾野は確実に広がっているようです。

■ブロックチェーンの信頼性を揺るがす事件


このような中、ブロックチェーンと呼ばれる仮想通貨取引の根幹技術において、その安全性を揺るがす事件が発生しています。標的になった仮想通貨は「モナコイン」。2013年末に公開された日本発祥の仮想通貨です。

報道によりますと、モナコインの取引記録を改ざんする形でブロックチェーンが書き換えられ、ロシアの仮想通貨交換所(ライブコイン)に1,000万円ほどの損失が発生したそうです。

技術的な深い話はさておき、仮想通貨が財産として価値を持つのは、このブロックチェーンがあってこそです。

例えば、私が日本円80万円を1ビットコインに交換したとしましょう。
仮想通貨は文字通り「仮想」ですから、現実の紙幣や硬貨は存在しません。でも私が1ビットコインを保有している事実はあり、仮に1ビットコインの価格が100万円に上昇した後に売却すると、ちゃんと日本円で100万円が振り込まれることになります。

この場合に、私が「正当な1ビットコインを保有している」というお墨付き(=承認)を与える技術が、ブロックチェーンだと考えればいいかもしれません。
承認された取引データが「ブロック」として鎖のようにどんどん繋がっていくからブロックチェーン。

ということは、この承認作業を意図的に書き換えられたら、存在しない取引記録を作ったり、あるはずの取引記録を無効にできたりしてしまうわけですが、今回モナコインで発生したのは、まさにこうした書き換えでした。

以前から、ブロックチェーンの特性を悪用した不正は、理論上可能と指摘されながらも実際には行われた例がほとんどなかったようです。ビットコインのように、取引量が莫大になってくると、書き換え自体が不可能だともいわれています。それでも、現実に発生した今回のモナコイン事件は、ブロックチェーンの安全性に対する大きな警鐘となったのでしょう。

まだまだ「よくわからない」と言われることが多い仮想通貨ですから、一般への普及に際して超えるべきハードルはまだまだ多い気がします。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)金融・経済・政治

2018年05月22日

実家不動産に抱く、淡い期待

5月は、固定資産税や自動車税など、税金の納付書が届く時期です。
固定資産税については、今年度(2018年度)が評価替えの年にあたるため、いつもより中身をしっかり確認しておきましょう。

■自宅の評価額の確認


少し前に、ある週刊誌で「高過ぎる評価額に要注意」という特集が組まれていました。
固定資産税は「課税標準×税率」で計算されます。この場合の課税標準が俗にいう評価額のことで、お住いの市区町村の算出した額が記載されています。

納付すべき税金額がびっくりするほど多くない限り、「へー、自分の家の評価額ってこれぐらいなんだ」という程度の認識の方も多いかもしれませんが、自治体のミスによって多めの固定資産税が徴収され、あとから還付されるケースもあるのだとか。

ただ、おかしいと思ったからといってすぐに確認してもらえるわけではありません。

まず、納付通知書が交付された日の翌日から3ヶ月以内に「固定資産評価審査委員会」に対して申し出をしなければいけません。その後、審査申出や審査請求にかかる決定または裁決の送達を受けた日の翌日から6ヶ月以内に、お住いの市区町村を被告とする提起が必要となります。なかなか高いハードルですね。

ちなみに、昨年話題になったタワーマンションの按分計算の方式変更が今年度から適用されます。同じ間取りでも、低層階より高層階の時価が高い点を反映するわけですが、投資目的等でない人にとっては、今までと同じように住んでいた自宅の評価額が突然上がることに違和感があるかもしれませんね。

原則として建物は時間の経過とともに価値が下がるものです。築30年を超えてくると、実際の売買ではほとんど価値が無いと判定されるケースもあるでしょう。ただ、固定資産評価額はゼロにならず、「再建築価格の20%を下回らない」ことになっているそうなので、ある程度価値の下がりきっている建物は、今回も金額は変わっていないでしょう。


■自分の持ち物に対する過大評価


不動産に限らず、自分が持っている物の価値は高く見積もりがちです。
相続で引き継いだ実家などを売却する際でも、価値を過大評価しているケースは少なくありません。「建物は古いけど頑丈だ」とか、「こういう古い家に魅力を感じる人もいる」とか、本人的にはちゃんと理由があると思っているのですが…。

でも、実際には思い通りの評価を得られることは少なく、現実的な売却価格を聞いてがっかりする結果になります。不動産の取引は相対のものですから、どれだけ高くても買う人さえいれば売買は成立する一方、どれだけ安くしてもまったく売れない可能性もあります。この辺りは、地元の信頼出来る業者さんを見つけ、その意見を参考に決めるしかないでしょう。

「自分が買うとしたらいくら出す?」や「自分が借りるとしたらいくら出す?」という視点で考えると、冷静に厳しい目で見ることができるのかもしれません。

■手取り額で考えるのは不動産も同じ


なお、不動産を売却して利益が出ると税金がかかります。

しかも、ずっと昔から持っている土地などは、取得価格(買ったときの値段)がわからないケースがほとんどで、その場合は「売却金額の5%」を買い値として計算します。
売却価格が3,000万円だとしたら150万円ですね。

150万円で買った土地が3,000万円に値上がりしたと考えるので、利益は2,850万円。
不動産の譲渡による利益は「譲渡所得」として分離課税です。売却した年の1月1日までの保有期間が5年を超えていれば税率は所得税15%(復興特別所得税が別途かかります)と住民税5%。2,850万円から、売買時にかかる手数料などの経費が差し引けますが、単純計算では所得税427.5万円と住民税が142.5万円の合計570万円。かなり大きな金額です。

相続で引き継いだ実家等の不動産の処分を考えなくてはいけないケースは、今後増えることが予想されますが、淡い期待を持つだけでなく、こうした「シビアな目」も忘れないようにしましょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)税金

2018年05月15日

変化はあってもゼロにはならない、お金周りの悩み事

金融機関、とりわけ銀行の将来について、悲観的な立場の書籍や雑誌の特集がずいぶんと増えている印象です。

■日常生活の中での銀行窓口との関わり


個人差は大きいと思いますが、自分の生活を振り返っても、銀行窓口に足を運ぶ機会は減ったなあと実感します。
そもそも現金を下ろす際は、駅やコンビニ等のATMを使うことが多く、税金の支払いや各種の振込も、コンビニの利用やネットバンキングを利用するため、わざわざ平日の昼間に時間を作って窓口に行くことがありません。

ただ、これらはすべて「銀行の店舗に行く機会が減った」話であり、振り込みや引き落とし等、銀行の機能を利用する機会が減っているわけではないことに気付きます。
実際、冒頭で示した書籍や雑誌の中でも、「機能は必要だが、必ずしも銀行という組織でなくてもよい」という点は、繰り返し触れられています。

■お金周りの悩みの相談先


こうした世の中での流れを受けてか、三菱UFJフィナンシャル・グループは、2023年度までに傘下の銀行で行員が接客する店舗を半減させる戦略を公表しています。同様の発表は、みずほフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャル・グループからも出ており、店舗数の削減や見直しのほか、自然退職等も含む人員削減案が注目されました。

ただ、これらの見直しが単なる「業務全体の縮小」だけに留まるのであれば、とてももったいないことだなという感じがします。
というのも、生活に関わるお金周りの様々な悩みに対して、「気になるけれども誰に聞けばいいかわからない」という状況は、ますます増えているように思うからです。
もちろん、ファイナンシャル・プランナー(FP)は、こうした相談に応じる専門家なのですが、どこでどんな相談ができるかという実態まではまだまだ知られていない部分が多いのではないでしょうか。だからこそ、多くの人が気軽に足を運べる場所で、お金周りの悩み相談ができる世の中になればいいなと思うのです。

例えば、生命保険の見直し相談は、ここ10年ほどで随分大きく変わりました。

私がソニー生命にいた1990年代後半は、保険営業マンが顧客先に行くという、消費者からすると受け身の形態が多かったものですが、今では保険ショップに行って話を聞くという能動的な形態も一般的になっています。だからと言って、従来型の保険営業マンはなくなったませんし、FPに対する保険相談も当時に比べれば随分増えていると思います。

今までには無かった「店舗」という形態が増加しているという点において、今回話題にしている銀行の店舗縮小とは真逆の話です。

これはあくまでも一例ですが、このように「形態」を変えることで「消費者の行動が変わる」可能性はまだまだあるのかな、と感じる次第です。

■変化はあってもゼロにはならない


AIの広がりによって、業務の効率化が進むことは間違いないでしょうし、根本的に不要となるサービスも出てくるとは思いますが、こうした流れは、何も銀行だけの話ではありません。

「AIのディープラーニングを超える分析・提案ができる人材と、単純作業をする人間に分かれる。」

「現在の店舗網からの延長線上で、次世代型店舗や軽量店舗を作っても、顧客ニーズとの乖離と中途半端さから全滅のする可能性もある」

とは、ある雑誌の特集の中に書かれていた言葉ですが、世の中で不足していることや求められていることは、時代の変化とともに変わることがあっても、ゼロになることはないはずです。

銀行の方とご一緒する機会が増えているだけに、改めて意識した話題でした。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2018年05月08日

1日自動車保険を検討する場面

子どもの成長に伴って必要となるお金の筆頭は教育費ですが、それ以外にも支出が増える要素はいろいろとあります。

■無料から大人料金への変化


例えば、公共交通機関の運賃は、親と同伴の場合には無料となる時期を経て、小児料金、大人料金と変化します。特に航空機の場合、1人で席に座るようになる時点から大人料金がかかるケースもあるため、家族旅行の金額が一気に上がるようになります。

これはテーマパークなどのレジャー施設や宿泊施設でも一緒。夫婦二人の大人料金で利用できていたものが、例えば2人のお子さんが成長していくと、最終的には大人4人の料金が必要となるので、単純計算で2倍の支出となるわけです。

中学卒業後は、自分のお小遣いはアルバイト等で賄うケースはあるものの、親がお小遣いを渡すケースが多いでしょう。
金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査(2015年度」による、お小遣いの平均値は、小学生が約1,000円、中学生が約2,500円、高校生で約5,100円となっています。

■子どもの運転免許の取得と自動車保障の見直し


子どもが自動車免許を取ることになると、まず教習所の費用がかかります。合宿免許などでは普通免許で20万円を切るキャンペーンなどもあるようですが、通常の通所だと概ね25〜30万円程度が一般的です。ちなみに、合宿免許の場合、仮免や卒検等の節目で試験に不合格となると、かなりの追加料金がかかるケースがある点は注意が必要です。

昨今は、若年者の自動車離れが進んでいると言われていますが、警察庁の運転免許統計によると、20歳〜24歳の免許保有者は474万人。同年齢帯の人口が616万人ですから、免許保有率は約77%。都市部では免許を取らない割合が高かったり、社会人になってから自分の負担で取得する人もあるので、一概には言えませんが、それでも4人に3人は24歳までに免許を取得するようです。

さて、無事に免許を取得した後は車に乗ることとなりますが、最初のうちは、親の車を利用することも多いでしょう。その際に忘れてはいけないのが自動車保険や共済の見直し。特に運転者の年齢条件は掛金が大きく変わる要素なので、家計に及ぼす影響も大きくなります。

車種や条件によって異なるものの、「30歳未満不担保」を「全年齢担保」に変えると、掛金が2倍〜3倍近くに跳ね上がることも。我が家で以前試算した際には、もともと年間6万円弱だった掛金が、16万円ほどに上がった時がありました。

■1日自動車保険を利用してみる
もちろん、掛金が上がるからといって、無保険で運転するのはあまりにも危険です。ただ、考えてみると、友人と遊びに行くときはレンタカーを利用するなど、親の車を運転するのは年に数回だけ、というケースも少なくありません。

そうであれば、乗るときだけ「1日自動車保険」に加入することも選択肢です。

代表的商品である、三井住友海上の「1DAY保険」や東京海上日動の「ちょいのり保険」は、車両保険無しの掛金が1回あたり500円。
基本的に人身傷害補償は無く、搭乗者傷害補償が1,000万円なので、自分に対する保障は決して厚くないものの、対人賠償・対物賠償は無制限となっており、相手に対する保障はしっかり準備できます。
車両保険を付けると掛金が1日1,500円(または1,800円)となりますが、免責金額(=自分で負担する必要のある金額)が15万円(または10万円)である点は気をつけましょう。(各社の補償内容はご自身でご確認ください)

ちなみに、車両保険を付けるかどうか悩むケースが多いようですが、「たちまち必要となる数十万円の修理費用の負担」を考えたときに「それぐらいなら大丈夫」というのであれば不要、「いきなり数十万円の修理費を払えと言われたら困る」のであれば付けておきましょう。

さて、自動車の利用が月に1度=年間12回であれば、車両保険有りプランでも年間の掛金負担は18,000〜21,600円ですから、加入中の自動車保険や共済の年齢制限を外すより負担をかなり抑えられます。さらに言うと、1日保険には等級制度がないため、保険を利用することとなった(=事故を起こした)場合でも、等級が下がらないというメリットもあります。

初回の利用時には日数を要しますが、二度目からの利用は車に乗る直前にスマホ等の簡単な手続きで利用もできるので、お子さんの自動車保険対策として検討してみてはいかがでしょうか。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)共済・保険

2018年05月01日

技術の発展がもたらす新しいリスクとリテラシー

5月1日付の日本経済新聞の特集ページにおいて、ゝ嬋SNS、仮想通貨、自動運転、EUで個人情報大規制の4つの話題が取り上げられていました。

一見すると、以外はお金の話と無関係に見えますが、そうでもないようです。

■情報を見極める目とリテラシーはますます重要になる


まず、ゝ嬋SNSに関しては、文字通り、ソーシャルネットワークサービス(SNS)に対する逆風が強まっているというお話。

きっかけとなったのはfacebookでの個人情報の大量流出問題でした。
Facebookやtwitter、LINE、Instagramは、今や多くの人が利用している日常的なツールでしょう。

ただ、総務省の情報通信白書(平成29年)を見ると、2016年時点のLINEの利用率が67%になっているのに対し、facebookは32.3%、twitterは27.5%ですから、サービスによってずいぶん差があるようです。

細かい数字はさておき、このように日常生活に深く浸透しているSNSは、あらゆる意味で諸刃の剣です。
情報発信しているすべてのユーザーが記者みたいなものですから、世界中で発生している出来事に対して、現地から生の情報がいち早く届きます。加工されていない文字通りの一次情報が世界に発信される点や、誰もが自分を自由に表現できる点は、SNSの良い面でしょう。

一方で、情報の信ぴょう性はわからず、いわゆるフェイクニュースも多く存在します。また、SNS上にあるユーザーの情報は宝の山ですから、マーケティングには欠かせないツールである反面、今回問題になった情報の流出のように、一度情報が外部に漏れると、かなり大きなことになります。

また、全世界の人と気軽に交流できるという部分は、自分が望んでいない人ともつながってしまう危険な一面でもあります。こういった点はいわば悪い面です。

お金周りの話でいうと、根拠の薄い(あるいは、まったく無い)話が広がるケースがあります。例えば、仮想通貨のブームは、SNSの存在が大きな役割を果たしたように感じます。これは、誰もが気軽に多くの情報を取れる面では良かったものの、本来最初に学ぶべき基本的な知識がないまま取引にのめりこみ、あっという間に多額のお金を失った人もいたという面では、注意すべきものでした。

いわゆる「バブル現象」は、インターネットが普及する遥か前から存在しましたから、ネットだけが理由でないのは明らかですが、情報にアクセスする人が圧倒的に多くなったことや、リテラシー(基礎的な能力)が十分でない若年層が巻き込まれることで、より深刻な状況になりかねないように感じるのです。

■新しくなる「不測の事態」


の自動運転は、新たなテクノロジーとして注目度が高い話題です。衝突回避装置(自動ブレーキ)が事故の減少に貢献しているように、車社会の中で高齢化を迎える日本にとっては、特に有用性が高い技術だと思います。

ただし、事故がゼロになるわけではありません。アメリカでは実験時に死亡事故も発生しています。現時点では、自動運転時の事故については、原則として車の所有者に賠償責任を負わせる方針となっているようです。でも、自動運転=コンピューター制御である以上、外部からの不正なアクセスを完全に防ぐことは難しいでしょう。気に入らない人の所有する車のコンピューターをハッキングし、無謀な運転で事故を起こす、なんてことがあれば、いったいどうなるのでしょうか。

こうした「不測の事態」に備えるのが保険ですが、これまでには無かった経済リスクをカバーする保険がどうなるのか、そもそも対応可能なのか、という点は気になるところです。

■変化の意味を考える


最後にい慮朕余霾鸞腟制。
EUでは、5月25日に個人データ保護を大幅に強化する新ルール「一般データ保護規則(GDPR)」が施行されます。個人にとっては、情報が守られる点でプラスの話ですが、企業にとっては情報を保護するためのコスト負担や情報漏洩時のリスクが大きくなるでしょう。そして、こうした状況は、サービスの価格の上昇やサービスの停止などで、個人の生活にも思いがけない不便をもたらすかもしれません。家計簿アプリなどは、できる限り手軽に(=安く)利用したいと考える一方、情報が外部に流出すると困るからコストをかけてしっかり対策を取ってほしいわけですから、利用者の要望もますます矛盾したものになるように思います。

「私たちは、外部からの問いに頭を悩ませるばかりで、自分にとって重要な問いを問えずに生きている」


というのは、以前哲学の本を読んでいた時にメモしていた言葉です。
新しい技術の発展は大歓迎である一方、便利さの追求が自分たちを苦しめる要因になりかねない今の状況を見ると、外からの変化をただ受け入れるだけではなく、「いったいこの変化にはどんな意味があるのだろうか?」という問いを考える時間が必要なのかもしれません。

残るゴールデンウィークも、素敵な日々をお過ごしください。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2018年04月24日

将来の住まいから考える、自分に合った生活環境

2017年度の首都圏の新築マンション平均価格は5,921万円だったそうです。
これは、不動産経済研究所が公表された数字ですが、バブル期の価格6,214万円に迫っている実態が話題になっています。
ちなみに、当時(1990年)の日本の人口は1億2,361万人。2018年4月1日現在は1億2,653万人ですから、当時よりは多いとはいえ、直近の1年間では約23万人の減少です。また、2018年以降にも首都圏の超高層マンションだけで8万戸以上の新規供給計画があるようなので、これから先どのような状況になるのか気になるところです。

なお、近畿圏の新築マンション平均価格は3,846万円なので、ずいぶんと差がありますね。

◆空き家の増加


不動産と言えば、空き家の問題も話題になります。

国土交通省のデータによると、2013年時点の日本の空き家率は13.5%。数にして820万戸です。
ただ、ここには賃貸物件の空室や売却前の物件も含まれるため、これらを除いたいわゆる純粋な空き家は318万戸だそうですが、今後も増えることが予測されています。

数字だけではピンとこない部分もありますが、ようするに「新しいマンションが増えているし価格も上がっている一方で、人口減少によって空き家は今後も増えていく」という構図があるということです。

◆人口集中と過疎化の問題とコンパクトシティ構想


さて、不動産の動向は人の生活にも大きな影響を及ぼします。

身近なところでは、タワーマンションの増加に伴う人口の集中で、小学校が不足したり、最寄り駅の利用客が一気に増加して通勤通学に支障をきたしたりといった問題があります。
一方で、空き家が増えている地域では、採算が取れないバスや電車の運行本数が極端に減ったり、地元の商店街がシャッター街になったりして、日々の生活の利便性が損なわれていきます。

つまり、日本は全体として人口減少社会ではあるものの、人口集中と過疎化の正反対の課題が起こっているこというわけです。

人口が減っても、電気や水道、ガスといったインフラは維持しなければならないので、行政の負担も大きな問題となります。そこで考えられているのがコンパクトシティ化。
コンパクトシティとは、土地利用の郊外への拡大を抑え、商業地や行政サービスといった、生活上必要な機能を一定範囲に集める都市政策のこと。要するに、人を集める考え方です。限られた予算の中でインフラを維持するためにもコンパクトシティ化を進めている自治体は多いようですが、思うように進んでいない現実もあるようです。

◆高齢者の課題と将来の住まい


将来の生活の拠点をどこに置くのかは、大事な問題です。
自然が多い環境での暮らしを好む人もいれば、利便性を求めて都市部での生活を望む人はいるでしょう。ただ、ここでの問題は「自分の気力や体力や行動力」の低下を、正確には予測できないという点です。

最近、自分の親も含め、70代以上の方と接する機会が増えています。その中で感じるのは、アクティブに行動される時期が、あるタイミングで突然終わるケースが少なくないことです。
その後は、日常の買い物に不便がないことと、何かがあった時に気軽に声を掛けられる若い世代の知り合いが近くに住んでいることがとても重要になる気がします。

人は必ず歳をとりますし、いつまでも今と同じ生活スタイルを維持できるわけではありません。
そう考えると、昔多かった三世代同居というのは、いろいろな意味で合理的だったんだなって感じます。
テクノロジーの発達によって解決できる課題も多くあるかと思いますが、自宅を託児所のような形で開放するケースや、高齢者と若い世代を繋ぐタイプのシェアハウスなど、新しい形での三世代協力生活スタイルが出てきているのは、そんな背景があるのでしょう。

最適な生活環境は人それぞれ違うのは当然です。自分にとってストレスや不安のない生活環境がどのようなものかを考え、その環境を目指して行動しておくことが大切だと感じた次第です。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)家計・ライフプラン

2018年04月17日

テクノロジーによる変化と人とのふれあい

仮想通貨NEM(ネム)の流出問題で話題となったコインチェックに対し、マネックスグループが買収に名乗り出て、その手続きが完了したとの報道がありました。

マネックスグループを率いる松本大氏は、1999年に従来の金融機関での約束された地位や高報酬を蹴って「ネット証券」という未知の分野に進出された、金融業界では伝説ともいえる人ですが、これから先の世界を見据える中で、仮想通貨事業は欠かせないと判断されたのでしょう。

◆既存金融機関が抱える危機感


時を同じくして、金融庁の有識者会議がまとめた報告書が話題になりました。
この「地域金融の課題と競争のあり方」と題された32ページのレポートの冒頭では、

「本検討会議では、人口減少による資金需要の継続的な減少など、地域金融機関を取り巻く経営環境が構造的に厳しさを増している中で、将来にわたって金融機関の健全性と金融仲介機能の発揮を両立させ、地域経済や地域の企業・住民の立場から最適な競争のあり方について議論を行った」


とあります。

地方銀行が抱える課題としては、「1.資金需要の減少」と「2.低金利での貸出競争」などが挙げられ、2016 年度の決算では地域銀行(106 行)の過半数の 54 行が本業赤字となっていることに触れています。
人口減少などによる収益の悪化により、「地方銀行が単独で存続するのは難しい」県が23もあると指摘されており、これまでと同じやり方では存続さえも厳しいという危機感の中にある現状が伝わってきます。

◆金融に関する様々な変化


少し前に「お金2.0」という書籍が話題になりました。

金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を合わせた「フィンテック(Fintech)」という言葉が世の中で使われ始めたのは2008年のリーマンショック後と言われてますが、こちらの本では、フィンテックにも「フィンテック1.0」と「フィンテック2.0」があると指摘されています。

ロボアドバイザーやスマホ決済、クラウドファンディング等、既存の業務を効率化するのが1.0であり、ビットコイン等のように、既存の枠組み自体を無視し、全くのゼロベースで再構築された仕組みが2.0。
この「フィンテック2.0」は、既存の金融知識が豊富な人ほど理解に苦しむと指摘されています。

実際、日常生活で関わる新たな金融サービスは、金融機関とは関係ない新興企業(スタートアップなどと呼ばれています)から提供されることが多いようです。

進化論で有名なダーウィンは、
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が残るのでもない。唯一生き残るのは変化する者である」

という言葉で有名ですが、これはあらゆる分野に当てはまる言葉で、金融機関もこうした波とは無縁でいられない時期に来たのでしょう。

◆本当に大事なことは変わらない


さて、今回の話は「世の中はどんどん変化しているし、生き残るには変化への対応が大切だ」という展開で進めてきました。
先に紹介した「お金2.0」の中でも、お金や経済の世界で最も大きな変化の流れを「分散化」だとして、「これは既存の経済や社会のシステムを根本から覆す概念」と表現されています。
このような世の中では、どんどん新しい情報を取り入れ、それに応じて自身の行動も変えていかなければいけないように感じるものです。

一方で、変わらないものも多いですし、むしろ数十年前の状態に戻っているように感じることも多くあります。

以前、所有するのではなく、必要なものを必要な時に分け合って利用する「シェアリングエコノミー」を取り上げたことがありましたが、これは昭和の時代によくあった「おすそ分け」文化です。

「民泊」という言葉で注目され、少しやっかいな話のように取り上げられている「エアービーアンドビー」も、安い宿泊先を確保したいというだけでなく、「そこに住む人との交流を楽しみたい」という背景がありました。

こうしたことからも、本当に大事なことって、人と人とのふれあいであり、コミュニケーションなんだと感じるわけです。

先日、ある方との話の中で、犬の殺処分ゼロを目指した団体が、クラウドファンディングやふるさと納税の仕組みの活用により、2億円以上の活動資金を集めた話がでていました。
これだって、利用している制度は、20年前には考えられなかった新しいテクノロジーかもしれませんが、行動をもたらした原動力は、人と犬との交流なのではないでしょうか。

テクノロジーの変化は、時として人間味の無い冷徹な社会を想像させます。
しかし一方で、テクノロジーの上手な活用によって、失われかけていた人間らしさ(?)を取り戻すきっかけにもなるのかもしれないとも思えるのです。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)金融・経済・政治

2018年04月10日

保険や共済の見直しは、自分が使える制度の確認から

先日、久しぶりにユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ってきました。
今回の目的は、「コナン・ザ・エスケープ」というリアル脱出ゲームへの参加。
ネタバレ禁止のためここでは何も語りませんが、一度体験する価値ありの時間だったと思います。

◆4月からの改正事項


それはさておき、新年度となる4月には、身の回りで改正されたことがいろいろあるので、そのいくつかをご紹介。

まず、国民年金保険料は月額16,490円から16,340円に引き下げられました。
国民年金保険料を個別に支払うのは、自営業者などの「第1号被保険者」と呼ばれる方に限られますが、学生さんでも20歳になれば支払い義務が生じます。
ただ、学生の間は「学生納付特例」が用意されていますから、16,340円の支払いが厳しい場合、必ず届け出をしておきましょう。

ちなみに、2018年度は年金受給額の変更はありません。

医療関係では、診療報酬の改定により診察代や入院代が値上げされているほか、入院時の食事代も1食あたり360円から460円に引き上げられています。

他にも、法人に対する実効税率の引き下げ(29.97%から29.74%)や、児童扶養手当の0.5%引き上げ、そして、生命保険で使われている「標準生命表」の11年ぶりの改定も行われています。

◆各社で違う、保険料への影響


標準生命表が改定されたのは、保険会社が保険料を決めるもととなる「標準死亡率」が11年ぶりに下がったためです。

標準死亡率が下がるのは、平均寿命が延びたことが理由ですから、死亡時に保険金を支払う「死亡保険」では保険料の値下げ要因となります。
一方、長生きすることで、医療ニーズは高まりますから、医療保険やがん保険にとっては値上げ要因となります。

結果として、今回の改定では「保険料の値上げと値下げが混在する」ことになり、生命保険各社の対応もバラバラとなっています。
死亡保障を目的とした定期保険1つをとっても、性別・年代によって20%以上の値下げになっているケースもあれば、逆に値上げとなっているケースも。医療保険はほとんどの保険会社で据え置かれていますが、一部で値上げとなっています。

◆見直しの際は自分が使える制度を確認する


保険料改定のタイミングでは、保険会社からのご案内を受ける機会が増えるものです。
特に「今後値上げしていく」という話を聞くと、「値上げ前に加入しないと損」という考えになりがちですが、こういう時ほど自分が本当に必要とする保障の見極めが大切です。

死亡保障にしても入院時に備える医療保障にしても、見直しの基本的なステップとされているのが次の3段階です。

  1. 自分にとっての必要保障額を知る

  2. 使える制度を知る(公的保障と職域保障)

  3. 自分で準備すべき金額を知る


ここで気を付けたいのが第2ステップ。

これは、今の自分の立場で利用できる保障制度を知るステップで、簡単に言うと公的年金や公的医療保険といった公的保障と、お勤め先や所属団体で用意されている企業内(職域)保障があります。

公的保障は、インターネットやマネー雑誌等で調べられる一方、企業内(職域)保障は自分で確認しないとわかりようがありません。
所属先の企業や団体等で用意されている「グループ保険」や「共済制度」は、個別に加入するより圧倒的に有利な(=掛金が安い)ケースがありながら、そもそも制度の存在自体を知らないことも少なくないようです。

保険ショップやネット保険の広がりにより、複数の保険を比較して加入する流れは一般的となりましたが、その前にご自身が使える職場の制度を正しく知ることが大切です。
これから迎える5月前後は、こうした職場の制度の募集期間が設定されることも多い時期なので、まずは制度案内の資料を手に入れることから始めましょう。

  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)共済・保険

2018年04月03日

FPとして収益を上げるための要素

新年度になりました。
進学や就職、転職、異動などで、生活環境の変わる方も多いのではないでしょうか。
例年になく早く咲き始めた桜は、既に散り始めているところもありますが、気温の高まりとともに、新鮮な気持ちが湧いてくる時期でもあります。

さて、そんな時期柄もあってか、最近立て続けにファイナンシャルプランナー(FP)として独立を考えている方からのご質問を受ける機会がありました。そこで今回は「独立系FPの仕事」をテーマにしてみます。

■独立系FPってどういう意味?


そもそも「独立系FP」という呼び方には違和感を覚える人が多いかもしれません。他の資格ではあまり聞かない呼び方ですよね。「独立系税理士」とか「独立系弁護士」とか。

金融機関に所属していないとか、金融商品の取り扱いをメインにしていないとか、いろいろな解釈がありますが、ここでは単純に「FPと名乗って仕事を行い、その業務からの収益によって仕事や生活を成り立たせている人」と定義しておきます。

当然、FP事業をビジネスとして発展させていくには、組織化が欠かせない課題となりますが、とりあえずその前の段階、つまり個人としての独立事業者をイメージしてください。

■収益を上げる要素


FPが業務によって得る収益には、相談料や提案書の作成料のほかに、講演料や原稿の執筆料などがあります。他にも、フィンテックに関連したシステム系のアドバイスのように、FP試験では触れられないタイプのFP業務もあります。何をもってFP業務というかの議論はさておき、忘れてはならないのは、独立した以上「仕事を依頼(または紹介)してくれる相手を自分で見つける」ことが必須になることでしょう。
個別相談では、お金を払って相談してくれる人に選んでいただく必要がありますし、講演では、講演を依頼してくださる組織や、受講料を払って講演を聴きに来てくださる人が欠かせません。

独立した当初は、これまでに関わってきた人や仕事のご縁から仕事のご依頼をいただくケースが多いと思うので、「独立前の人との繋がり」は重要な要素です。また、ホームページの作成や、ブログ、メルマガ、SNS等の活用によって、自分を知ってもらう活動も欠かせませんが、その際に大切なのは「自分はお客様にどういった利益をもたらすことができるのか?」を誠実に伝えることではないでしょうか。

とにかく、お客さんに選んでもらうことができない限り、売り上げが立たず、事業の継続はおろか、そもそもの生活が成り立たないわけで、これは何もFPに限る話ではありません。
FPとしての知識や情報発信でどれだけ人に勝っているだけではダメで、大切なのは「継続して受注できる状態を築くこと」に尽きるでしょう。

■自分自身のコントロール


仕事を継続して受注する活動と同時に、もう一つ大切になるのは自分自身のコントロールでしょう。

今回の定義における「独立」では、自分を管理する人がいない状態になるのが普通です。しかも最初のころは、ひっきりなしに仕事が舞い込む状況にはならないものなので、簡単にいうと自由時間が多くなります。こうした時間を無駄に使わないためには、自分の中での就業時間をしっかりと決め、たとえ自宅にいる場合でも、その時間はすぐに人と会える状態を作っておくのが望ましいと思います。
今は、一般の会社でもカジュアルな服装が普通にありますから、必ずしもスーツを着る必要はありません。「自分にお給料を払う立場」として、自分の姿を客観的に見たときにどう感じるかを考えてみるといいかもしれません。

また、ご家族のいる方、特に小さいお子さんがいらっしゃる方は、仕事とプライベートの線引きを意識的に決めておく必要があります。小さなお子さんから見ると、家にお父さんやお母さんがいると、話しかけたくもなるでしょうし、遊んでほしくもなるでしょう。このような感情面の課題は、自分の意思だけで切り抜けるのは難しい場合もあります。自信がなければ、多少コストがかかっても仕事用のスペースを別に設けるべきかもしれません。人の意思の力をあまり過信せず、仕事に集中できる環境を作ることが大切だといえるでしょう。

また、世の中では「働き方改革」や「ワークライフバランス」という言葉が一般的になってます。これは、とても大切な要素である一方、人生における優先順位をどう考えるのかは、その人によりけりです。
「独立後1年間は1日も休まない」と決め、ハードワークを自分に課すのであれば、ワークライフバランスなど気にする必要はありませんし、「家族との時間を大切にする」ということで、家族の行事に合わせた十分な休みを取ることを選択するなら、それも全く問題ありません。

ただし、売り上げが立たなければ事業が続けられないし、生活もできません。もちろん家族を養うこともできなくなり、せっかく始めた仕事を手放さなければならないケースも起こり得ます。売り上げを立てるための仕組みは自分でしっかり組み立て、その計画を実行するためのルールをしっかり決めて、「自分の意思に頼らずとも継続できる仕組み」を作り上げることはとても大切な要素なのです。
(私もこれまでに何度も挫折を経験しています)

それと、仕事が増え始めた際に備え、自分自身の仕事のキャパシティを意識しておかなければなりません。最初のうちは、スケジュールの空白が不安なので、キャパシティを無視して多くの仕事を受けてしまいがちです。
当然、仕事には準備のための時間が不可欠ですが、スケジュールが詰まってくることで準備時間が削られ、必要なインプットも不足してしまいます。その結果、仕事の質が落ちるようなことになると、最終的には信用を無くし、仕事を失うことになりかねないのです。

ちなみに、インターネットの普及により、情報のインプットに苦労することはないと思いがちですが、本当に必要な情報は意外と見つからないものです。
一方で、一般的な情報は処理できないぐらい多くありますから、その中で本当に役に立つもの(=適切なアウトプットができるもの)を取捨選択する力はとても重要です。

その意味でも、自分が得たい情報を定期的に発信されている方のブログやメルマガ、SNSなどのチェックは欠かせない要素でしょう。その上で、情報の元ネタ(=一次情報)を必ず自分でチェックする癖をつけ、その後は直接その一次情報を見ることが大切です。

ただし、本当に大切なのは「情報」を「知識や知恵」に変えることです。
ただ受け取っただけ(=ネット上や雑誌で知っただけ)の状態では、イザという時に使うことができないので、それでは意味がありません。「自分の頭で考える」プロセスが大切になる点を意識しておきたいものです。

そんなわけで、とりあえず頭に思い浮かんだことをざっとお伝えしました。

最後に1つ。どのような仕事(あるいはプライベート)でも大切となる「コミュニケーション力」については、4月1日配信のメールマガジンで取り上げていますので、併せて参考にしていただければ幸いです。  
Posted by kurisuke701 at 23:48Comments(0)FP実務

2018年03月27日

「メリットだけの話」を怪しいと感じない不思議な現象

お昼間はすっかり春の陽気で、桜の咲き始めた地域も多いようです。
さて、国会で審議中の平成30年度税制改正の中に、一般社団法人に対する相続税課税の項目があります。
これは、多くの人にとって意識する必要のない話ではあるものの、最近身近で発生した出来事と相まって、気を付けたい視点が含まれております。

■社団法人を使った相続税逃れ?


そもそも一般社団法人とは、営利を目的としない法人です。

詳細は省きますが、個人での活動に不都合が生じる場合に設立する様々な団体の中で、比較的簡単に設立できる形態とあって、特に平成20年の法律改正以降、かなり数も増えているようです。

さて、この法人を、相続対策のために設立する場合があります。

通常、個人が自分の名義で持っている財産が一定額を超えると、亡くなった時に相続税の課税対象となります。でも、自分の持っている財産を社団法人に移してしまえば、その分個人名義の財産が少なくなるため、相続税は少なくなるのです。

社団法人名義となった財産でも、理事として自由に使える状態にしておけば、実質的に何も変わりません。理事が亡くなった時も、社団法人名義の財産は相続税の課税対象とならず、その人の子等が新たな理事になれば、これまでと同じように自由に使うことができます。

実際にはここまで単純ではないものの、結果として、相続税を大幅に抑えることができる仕組みとして、資産家等の相続対策に活用されているのです。

■リターンにはリスクがあるのが当たり前


このやり方は以前から問題視されていたようですが、今回の税制改正により、「一定の条件に当てはまる社団法人には相続税が課せられる」ということになりました。

問題視されていたことへの対応という点では良い話ですが、困るのはこうした対策を取っていた人です。法律で定められた枠内でやっていたことが、あるタイミングから「それはダメですよ」と言われるわけですから、たまったものではありません。

しかし、本当にそうでしょうか?

ここでも話を単純化しますので、細かい点は無視していただきたいのですが、
「現状のままだと相続税が1億円かかりますけど、この仕組みを使えば相続税は5,000万円になりますよ」
と言われた時、メリットだけで何もデメリットが無いとしたら不思議に感じないでしょうか?

これって「絶対に儲かりますよ」というお話と一緒のことです。

「絶対に儲かる」なんて言われたら、多くの人は「え?ホント?何か裏があるんじゃないの?」とか「絶対に儲かるなんてありえない、何か怪しい話なんじゃないの?」と感じるはずです。

リターンがあるところには、必ずそれに応じたリスクがあるのは当然だし、多くの人はそのことをわかっているはずなのに、「自分に理解しがたい複雑な仕組み」が介在した途端、あまりにも無防備にその話を信じてしまう人が多いように感じるわけです。

■最後に責任を取れるのは本人だけ


実は最近、同じような話がありました。

相続とは関係ないのですが、人よりかなり多めの収入を得ている人が「こうすれば税金が安くなる」という専門家のアドバイスに従ってやったことが、後に税務署から否認されたというお話です。

結局この人は、本来の税額に加えて、延滞税や加算税などのペナルティも支払うことになったのですが、最初にアドバイスをくれた専門家に支払ったコンサルティングフィーは返ってきません。
「自分が不勉強だったから仕方ない」とは言いながらも、何か釈然としないご様子でした。

こうした話からの教訓は「本来の趣旨とは違う目的での制度の活用は、ルール変更時のデメリットをしっかり認識しておく」ということでしょうか。

身近な家計の話でいうと、例えば「生命保険料控除を使うために保険に加入する」というのも、同じことが言えるかもしれません。
この場合、仮に「生命保険料控除」そのものが無くなってしまうと、保険を続ける意味が無くなります。だからといってすぐに解約すると、これまでに払ってきた保険料よりずいぶん少ない解約返戻金しか戻ってこないのであれば、それまでの節税効果を考慮しても、結果としてマイナスが大きいかもしれません。

制度の不備を上手く突いて、経済的なメリットを得られることが実際にありますから、こうした「裏技」を好む人がいらっしゃることは理解できます。今回の一般社団法人に対する相続税の課税に関しても、制度が変更される前に相続が発生した人は、しっかりと制度の恩恵を受けられたわけです。

一方で、その制度が変わった際のデメリットのように、対策を実行することで自分が抱えるリスクをしっかり認識しておくことが大切だという点を忘れないようにしたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:16Comments(0)日常のつぶやき

2018年03月20日

専門家を見極める質問力

5月27日に実施されるFP本試験の受検申請が3月16日から始まりました。
これに合わせまして、栗本FPスクールでは、FPI-J.TVにて対策講座の配信をスタートしています。

「あと2ヶ月で間に合うのか?」と感じている方でも、諦める必要はありません。
栗本FPスクールの「2級FP技能検定直前総まとめ講座」は、1課目約40〜50分で、試験合格に必要な知識だけをまとめているので、時間を最大限に効率よく活用し、最短距離で合格水準の力を身につけたい方は是非ご活用ください。


■アドバイスに潜む罠


先日、ある方との会話の中で「一度読んでみてください」と勧められた推理小説があります。勧めてくれた方をAさんとしましょう。
Aさんが推理小説を好んで読まれていることはよく知っていたので、素直にその言葉を受け入れて読んでみたところ、さすがにとても面白い小説でした。

どこにでもありそうなこの話ですが、実はこのことから私は「アドバイスの罠」というものを考えていました。

例えば、私に小説を勧めてくれたのがAさんではなく、これまでに全く推理小説を読んだことのないBさんだったとします。Bさんは、たまたま別の人から勧められた小説がとても面白かったので、それを私に紹介したわけです。

勧められた小説は同じですから、私にとっては「面白い小説を読めた」という結果は変わりません。

でも、最初からAさんとBさんのそれぞれの背景を知っていれば、話の受け止め方に差が出たのではないでしょうか?

■信頼できるアドバイスはどっち?


この話を専門家のアドバイスに当てはめてみます。

つまり「その分野全体に精通しているAという専門家が、自分に合うと思ってしてくれたアドバイス」と、「その分野に詳しくないBという専門家が、たまたま知っていたことを伝えてきただけのアドバイス」であれば、表面的には同じ内容であっても、信頼性に差がありませんか?というお話です。

これだけを聞くと、そりゃAさんのアドバイスの方が信頼できるでしょ、と考える方が多いと思うのですが、AさんとBさんのその分野に対する習熟度を知る術がなかったとしたら、判断のしようがありません。
もしかすると、知名度であったり、人当たりの良さであったり、これまでの他の分野での信頼関係という面で評価し、今回の分野の専門知識の有無を確認することもなくアドバイスを受け入れてしまうかもしれません。

もちろん、人柄という要素も大切なのですが、たまたま知っていることを教えてくれただけのBさんからは、その分野に関する継続した良質なアドバイスは望めない可能性がある点に注意が必要なのです。

■能力を見極めるための質問力と最低限の基礎知識


この点が問題となる場面は数多くあるのですが、その1つに、認知症の方の財産管理があります。

本人の意思判断能力が無いと判断されると、しかるべき人の申し立てによって後見人が選任され、財産管理を行うことになりますが、選任された後見人が財産管理に精通しているかどうかはわかりません。
では、どうすればその人の専門分野を見極めることができるのでしょう?

これという唯一の手段はないと思いますが、仕事を任せる側が「最低限の基礎知識」を身につけた上で、「この場合はどうなるのでしょうか?」といった、素朴な質問を投げかけてみてはいかがでしょうか。
質問を受けた専門家は、当然その内容を説明するわけですが、この時の説明がわかりにくかったり、的を射ていない内容だとすれば、その専門家が精通していない分野である可能性が高まります。

最初の小説の話に戻ると、「この推理小説はお勧めですよ」と言われた時に、「そうなんですね。この作者の他の作品とはどんな点が違うのですか?」という質問を挟むということです。

その結果、他の作品との違いをちゃんと説明してくれれば、「なるほど、確かにこの小説は読む価値がありそうだ」と納得できるでしょう。一方で、「いや、ほかの作品は読んだことなくて、私も人から勧められただけなのです」という答えであれば、それなら他の人の意見の聞いた方がよさそうだな、と考えることになるかもしれません。

そもそも、絶対的な信頼を寄せている相手ならばともかく、初めてアドバイスを受ける相手に対しては、その実力を見極めるためにも「ちょっとした質問」を挟む質問力を身につけてください。

※ブログに関するお知らせ


最後に、ブログに関するお知らせです。

先日、ブログのコメント欄に「月別アーカイブで読めない記事がある」というご意見をいただいておりました。まずは、このコメントに気付くのが遅くなり失礼しました。

こちらのブログの過去記事を読む際、パソコンとスマホでは使い勝手が異なります。

スマホの場合は、トップページを下までスクロールしていただくと、「月別アーカイブ」と「カテゴリー別アーカイブ」という項目があり、こちらを選ぶことで過去の記事をお読みいただけます。例えば、月別アーカイブを選択すると、ブログを始めた2005年3月からの年月を選択でき、ある年月を選ぶと、その月の記事がずらっと表示されます。

一方、パソコン版では左のメニューの下の方から過去の年月を選ぶのですが、その時に表示されるのは、「その月の最後の記事1つ」だけになります。
ここで、その記事の一番下にある「Comments」か「TrackBack」をクリックすると、その下に「前の記事」「次の記事」というボタンが表示されます。
このボタンをクリックすると、その月の他の記事も見ていただくことが可能です。

なんで、こんな仕様になっているのかはわかりませんし、おそらくカスタマイズの方法も用意されているとは思うのですが、今はカスタマイズの時間を取ることができません。ご不便をおかけして申し訳ありませんが、過去記事を読む際は、こちらの手順をお試しください。
今後、時間を見つけて改善を図っていきます。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2018年03月13日

見た目ではなく実質を意識する重要性

この1週間に、2つのメディアで私のことを取り上げてくださる機会がありました。

1つは「日経ウーマン4月号」。
関西を代表する人気FPの前野彩さんが、お金の情報を得ている媒体の1つとして、私のメルマガをご紹介してくださいました。

もう1つは、「パパ1年目のお金の教科書」。
ちくま新書から刊行されたこちらの書籍は、ライフネット生命の代表取締役社長である岩瀬大輔さんが書かれたもので、以前2人で対談させていただいた時の内容を、多くのページを割いてご紹介くださっています。

是非、お手に取ってご覧くださいませ。

■消費者の行動変化による統計の誤差


さて、今回の話題は3月12日付の日本経済新聞のトップ記事からの気付きです。

記事のタイトルは「増殖 デジタル支出」というもの。

「様々な経済指標が回復するなか、消費関連の数字の出遅れが目立つ」

という書き出しで始まります。

では実際に消費が縮小しているのかといえばそうとも言えなくて、減っていると思われていた消費が、ネットを介して活発に行われているケースが具体例とともに紹介されています。

例えば、服をネットショップで購入したとしましょう。
服の購入は「被服費」に分類されるものですが、スマホ代と併せてカード支払いにした場合、購入者の家計簿上では「通信費」に紛れてしまうことも多いそうです。
結果として、実際の消費行動が統計に正しく反映されないわけです。

こうした「ケータイ払い」による利用額について、2017年はドコモだけでも3兆円に達しており、これはコンビニ最大手のセブンイレブン(4兆5千億円)の3分の2の規模だとか。

その他、オークションサイトのような消費者同士の物品のやり取りも増加してますし、物を買わないシェアリングエコノミーも拡大しています。

シェアリングエコノミーは、モノやサービス等の交換・共有により成り立つ経済の概念です。
身近な例である「カーシェアリング」を見ると、1台の車を複数の人がシェアして利用するため、統計上の車の販売台数は減ります。でも、車を利用するという消費者の行動が衰えているわけではありません。

このように「お金の流れる経路の変化」が、消費の実態を正確に表さないケースはこれからも広がっていくのかもしれません。

■消費は拡大している?


ふと気になって、私の手元に残っている資料を確認してみました。

もう10年近く関わっている研修の資料の中で、小売業界の売上を比較している箇所を見ると、2013年に約11兆5千億円だった「ネット通販の売上高」が、2016年は約15兆1,358億円に増加していました。(手元で確認できた一番古いものが2013年だっただけなので、意図的にこの3年間を比べたわけではありません。念のため)

ちなみに、この資料では、ネット通販のほかに、百貨店の売上、スーパーの売上、コンビニの売上、専門店の売上の数字が比較されているのですが、2013年から2016年にかけて売上を落としているのは百貨店だけです。それ以外のスーパー、コンビニ、専門店、ネット通販は伸びているため、全部を合わせた総額は、61兆9,334億円から69兆2,160億円に増加しています。

「企業業績は伸びているけど、賃金が伸びず、個人消費は盛り上がっていない」という説明を耳にする機会が増えたように思いますが、実態としては個人消費の数字が上がっているわけです。

■名目値だけではなく実質値を意識する


現実問題として、消費が盛り上がっているかどうかは、その他の様々な要素を加味する必要がありますが、明らかなのは「目に見えている数字」と「実際の姿」にはズレがあり、「これまで重要とされていた統計」と「実態を捉えるために見るべき統計」にもズレがあるということでしょう。

統計などの数値を見る際、見たままの数字の変化を「名目値」といい、物価上昇のような変動要因を加味した数字の変化を「実質値」といいますが、この「変動要因」がどんどん増えているのかもしれません。

「世の中の変化」に意識を向けるとともに、実際の姿はどこにあるのか?すなわち、名目だけではなく実質を見る重要性が益々高まっているように感じた次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)金融・経済・政治

2018年03月06日

金融ジェロントロジーにおけるFPの役割を考える

「状況がAなら対応はB」式に陥りがちなファイナンシャルプランナーなどの画一的な助言は、さほど役に立つまい。


これは3月5日付日本経済新聞の「核心」のコラム中に書かれていた言葉です。
「死蔵されゆく巨額資産」と題された、高齢者の財産管理に関する話題だっただけに、まだまだFPは、お金周りの専門家として世間的に信頼に足る状態が作れていないことを感じました。

■世界で注目されているジェロントロジー


感情的な話はさておき、この記事で話題になっている「金融老年学」は、今後ますます大切になってくる分野でしょう。

金融老年学は、ファイナンシャル・ジェロントロジーを日本語にしたものです。
そもそもジェロントロジー(Gerontology)は、老年学や加齢学と訳されるもので、

人間の老齢化現象を、医学、生物学、工学、経済学、社会学、心理学、邦楽など多面的、学術的アプローチにより、個人の長寿化と社会の高齢化に適応した社会システムの構築、社会価値観の創造などを追求する学問。

とされています。

1930年代にアメリカで急速に発展し、1981年には国連が「ジェロントロジーの教育研究の推進」を各国に勧告するなど、世界では数十年前から話題になっているそうです。日本では1997年の厚生白書で「ジェロントロジー教育の必要性」が明記されていますが、社会的な認知度は極めて低く、私自身、この分野について知ったのは数年前のことでした。

■高齢者が心配していること


ジェロントロジーの中でも、金融問題を研究している分野が「金融ジェロントロジー」で、高齢者の投資行動や高齢化と経済全般についての研究を指します。

昨年(2017年)金融庁が公表した金融行政方針の中でも、

高齢投資家の保護については、これまでも販売会社における態勢整備が進められているが、フィナンシャル・ジェロントロジー(金融老年学)の進展も踏まえ、よりきめ細かな高齢投資家の保護について検討する必要があると考えられる。

という文言が盛り込まれ、じわじわと注目度が上がっているようです。

また、今年の1月26日には、野村アセットマネジメント株式会社と株式会社野村資本市場研究所が「金融ジェロントロジーにおける資産運用に関する調査」を公表されています。

このレポートの中には、「高齢者が心配していること」を問う項目があります。
高齢者といっても、60代と80代では状況が異なるわけですし、財産の保有額や家族との関係性などによっても答えは変わるものだと思いますが、各世代を通じて最も多いのは「健康を損なわれ、病気となること(約80%)」で、次に多いのは「自立した生活が営めず。介護が必要となること(約60%)」となっていました。

つまり、身体・健康に関することが圧倒的に多いようで、いわゆる資産運用関連の項目に対する心配は、「病気や介護等の費用負担が家計を圧迫すること」を心配されている人が50%程度いらっしゃるものの、「無計画に取り崩し、早くに資産が枯渇してしまうこと(約20%)」や「資産運用で損失が発生してしまうこと(約10%)」について心配されている方は、決して多数派ではありません。

それよりも問題となるのは、日本の家計金融資産の内訳を見たときに、60代以上の高齢者に偏っていること、特に元本毀損の虞があるリスク商品の保有者には高齢者が多く、こうした人たちが「危険資産を保有しながら判断能力が低下していく」ことのようです。

■FPこそが取り組みたい金融ジェロントロジー


冒頭で紹介した新聞のコラムの中で、高齢者の行動について「相手の表現のしかたに自己の決定が左右されやすい」「多くの選択肢への対応が難しくなり、明快な情報と単純な選択肢を好む」といった傾向がある点が紹介されています。

この傾向を導きだされた、慶応義塾大学の駒村教授は、別のメディアのインタビューで

「おそらく高齢者の属性を把握してきちんとしたアドバイスができるという資格を作る必要はある。FPがいいのかなどこれから議論を重ねる必要がある」


と述べられていました。

顧客の側に立ち、顧客の利益のために活動するのは、FPの本来的な役割の1つです。
FPが認知される場面は20年前と比較しても格段に増えていると思いますが、今後需要が高まるであろう高齢者への対応において、迷わず名前が挙がる存在となっていない点は、大いに反省すべき点があるのでしょう。

そもそも、FPの学習ガイドに「高齢者のジェロントロジー」という項目は入っているものの、「高齢者に対する学問的な見方に沿ってアドバイスできる」としか書かれておらず、試験対策の学習で触れられることはないのが現状です。

5年後、10年後には、金融ジェロントロジーを考える際に不可欠な存在として認知されるためにも、学びを深め、経験値を積んでおきたいと思う次第です。  
Posted by kurisuke701 at 15:00Comments(0)高齢者への対応