2016年12月02日

制度変更を他人事にしない大切さ

2016年度の税収は、7年ぶりに当初の見積もりから下方修正されるようです。
逆をいえば、2010年度から6年連続で上方修正されていたわけです。日本は経済成長が見込めないとか、長期的に停滞しているという論調を目にすることが多い反面、数字を見る限り「停滞」という言葉が当てはまらないように感じます。

さて、税金といえば、2017年度の税制改正案の大枠が固まりつつあります。

このところ、報道を目にする機会の多い配偶者控除の見直しでは、扶養されている側(多くの場合は妻を想定)の対象となる年収を現在の103万円から150万円に拡大する一方、扶養している側(多くの場合は夫を想定)の年収が1,220万円以上になると控除額がゼロとなる内容が濃厚です。
税制改正大綱は12月8日に決定され、12月下旬に閣議決定を経て、年明けに国会に提出され、3月までには法案が確定する流れとなります。

◆勤務先の配偶者手当


配偶者控除の問題と一緒に取り上げられることが多いのは、勤務先から支給される配偶者手当や家族手当といったものです。
この手当の支給要件は勤務先によって異なるものの、「配偶者控除の対象となる配偶者がいること」のように、税制連動の例が少なくありません。

例えば、配偶者手当として、夫が勤務先から毎月15,000円を受け取っていたとしましょう。
手当の対象となる配偶者(この場合は妻)が、「税制上の配偶者控除の対象」から外れると、勤務先からの配偶者手当もなくなってしまうため、年間180,000円の収入減となります。
もちろん、妻がその分収入を得られるのであれば問題ないのですが、こうした手当が無くなることを気にされる方もいらっしゃいます。

こうした点を考慮し、11月16日の参議院本会議において、国家公務員の配偶者手当を段階的に減らす改正給与法が可決、成立しています。
配偶者手当の比重が低くなれば、これを気にして働き方を調整するケースも少なくなるわけですから、民間企業も含め、世の中の流れ的に「配偶者手当」は縮小する方向に向かっているようです。

◆働くことの意味


ライフプランを作成するまでもなく、世帯収入が多いと家計にゆとりがでるのは間違いありません。ただ実際には、1,000万円を超える世帯収入がありながらも、ゆとりとはほど遠い家計状況の方もいらっしゃれば、300万〜500万円の世帯収入でも、十分にゆとりをもって生活されている方もいらっしゃいます。
つまり、収入というのは「絶対的な金額」が大事なのではなく、その方の生活環境や生活スタイルに応じた「支出とのバランス」が大事だと言えるでしょう。

税金や社会保険料の支払いによって、手元に残るお金(=可処分所得)が変動するのは事実ですから、まったく気にしないというのは難しいかもしれません。ただ、そもそもなぜ自分が働くのかを考えた時に、家計を支えることが目的であれば、現在の環境で達成できる最大限の収入獲得を目指すべきでしょうし、社会貢献や生きがいという要素に重きを置くのであれば、税制を気にして調整するということ自体が馴染まないように感じます。

◆制度変更は他人事ではない!


少子高齢化の進行が続く日本では、高齢者に対する社会保障の負担増の傾向は避けられないでしょう。実際、公的介護保険では、2015年8月に2割に引き上げられた一部の高所得者に対する自己負担割合を、3割に引き上げる案が検討され始めていますし、後期高齢者医療制度において、専業主婦向けの保険料を軽減する優遇措置の見直しや、高額療養費制度の自己負担引き上げも話題になっています。

こうして見ると、なんだか気持ちが暗くなってしまいますが、国全体でみんなを支え合う制度(=公助)だと考えると、私たち1人1人が制度をちゃんと知ることが大切です。
その上で、何かおかしなことが起こっていたら、その意見をちゃんと伝えるようにしなければいけません。そのためには、国に対して意見を伝えてくれる人をちゃんと選ぶ必要があり、選挙のことをもう少し真剣に考えないといけないよね・・・という話に繋がります。

選挙のたびに報じられる「投票率の低さ」こそが、問題の根源なのかもしれませんね。
  
Posted by kurisuke701 at 10:59Comments(0)TrackBack(0)政治・経済

2016年11月22日

必要保障額の先にあるもの

人生初の北海道に来ています。

新千歳空港に降り立った時には、それほど寒さを感じなかったのですが、夜になると強烈な寒さに一変。
地元の方が教えてくださった、大通り公園のイルミネーションを見に行ったのはいいものの、あまりの寒さに3分ともたずに退散いたしました。

それにしても、綺麗なイルミネーションでした。

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さて、先日、ソニー生命時代から20年近くお世話になっていた方が56歳で亡くなりました。
今もそのままの状態で残されているFB上の優しい笑顔を見ると、二度と会えないことが信じられません。

心よりご冥福をお祈りいたします。

訃報をお知らせくださった故人の会社の方に、「何かお困りごとはありませんか?」とお聞きしましたら、「生前にすべて段取りをしてくれていたので大丈夫です」とのお返事がありました。さすがです。

永遠に生きる人はいません。

だからこそ、今のうちにできることはやっておきましょうという話の大切さを意識している人は多いものの、実際に準備を進めている人は、私が知る限りそう多くありません。

忙しい日常に紛れてついつい後回しになってしまう気持ちはよくわかるのですが、いつか必ず訪れるその日のために準備しておくことの大切さを改めて感じた次第です。


私も今回のことで、「くりちゃん、ちゃんとやってる?」と言われたような気がしてなりません。


では、できることって何でしょうか?

例えば生命保険や共済などの死亡保障であったり、エンディングノートや遺言書であったり、不要なモノを整理しておくことなどが考えられます。

でも、実は一番大切なのは「周りに人に、自分がいなくなった後の生活をイメージしておいてもらう」ことなのかもしれません。

万一の際に備えるための保険や共済というのは、「自分がいなくなった後の生活を支える経済的な支え」ですが、それはあくまでも手段の1つです。遺された家族が、生きていくのに十分な経済力があるならば不要ですよね。
実際、収入の担い手の人が死亡した際、どれだけのお金があればいいかを計算する「必要保障額」においても、「遺族が得る収入」を計算し、今後必要な支出を十分に補える収入があれば、必要保障額はマイナスとなります。これが意味するのは「計算上は死亡保障が不要」ということです。

もちろんこの通りで間違いないのですが、もう少し深く「自分がいなくなった後の生活」をイメージしてみましょう。

もしかすると、あなたの配偶者は、あなたを亡くしたショックで仕事どころではないかもしれません。
逆に、あなたを亡くしたショックを忘れようとして、これまで以上に仕事に励むかもしれません。
父親や母親を亡くしたお子さんは、学校に行くよりも、少しでも早く働いて家族を支えたいと考えるかもしれません。

ここには、数字の計算だけでは知ることのできない要素があるはずです。

人が誰しも迎えるその時に備えて、経済的な支えは絶対に必要です。
日常のお金を無駄にしないためにも、合理的に保障を掛けるためのロジックと、具体的な計算により必要保障額を算出することはとても大切です。

でも、もう一歩、その先にある「人の心」の部分にも思いを致すことも大事なのではないかと感じています。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)共済・保険

2016年11月15日

国民年金法等の改正による、遺族・障害年金への影響

国民年金の受給資格期間を短縮する改正法案が参議院本会議で可決し、来年度からの施行が正式に決まりました。
これによって、将来の年金(=老齢年金)を受給する資格を得るために必要な保険料納付期間(=受給資格期間)の要件が現在の25年から10年に短縮されるのは、11月1日のブログでもお伝えした通りです。

ちなみに、その時にも触れていますが、今回成立した法律は「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」が正式名称で、かいつまんで言うと、「以前に法律改正案で上げた受給期間の短縮は、消費税が10%に上がることとセットとなっていたけど、待ってられないので先行して実施します」というお話。
受給資格期間が10年以上25年未満の人は、2017年9月分からの年金を受け取れるようになるので、実際に年金が振り込まれるのは2017年10月からとなります。

◆老齢厚生年金はどうなる?


ちなみに、会社員や公務員、団体職員の方は、国民年金に加えて厚生年金にも加入しているため、これらの年金も国民年金と厚生年金の双方から受け取れます。

例えば65歳になった際には国民年金から「老齢基礎年金」を受け取ると同時に、厚生年金からは「老齢厚生年金」を受け取るわけです。
老齢厚生年金を受け取るための条件の1つは「老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たしている」ことなので、これまでは25年間の保険料納付期間(免除期間等も含みます)がなければ、厚生年金も受け取れませんでした。今回の改正で10年間の受給資格期間を満たしていれば、老齢厚生年金を受け取れるようになります。

◆遺族厚生年金と障害厚生年金の最低保証期間は変更無し?


さて、ここで疑問に思う1つが、遺族厚生年金や障害厚生年金にかかる「300月(=25年)」の最低保証です。

今回の改正で、受給資格期間が10年(120月)に短縮されたのなら、遺族年金と障害年金の最低保証期間である25年(300月)も、10年(120月)に変更されるのかと思いきや、ここの変更には触れられていません。厳密にいうと、今回の改正案の元となった社会保険審議会では「遺族年金と障害年金の受給資格要件について特段の変更は行わない」と書かれている一方、「バランスが崩れるのは適当ではない」という記述もあります。

そもそも、所定の障害状態に該当した際に受け取れる「障害年金」と、被保険者が亡くなった際に遺族が受け取れる「遺族年金」のうち、厚生年金からの受給には「短期要件」と「長期要件」というものが定められています。

詳細は省きますが、簡単にいうと短期要件に該当するのは保険料納付期間が短い人です。
例えば、Aさんが25歳で亡くなったとします。20歳から社会人となり、国民年金と厚生年金に加入していたとしても、加入期間は5年しかないため、「受給資格期間」は満たしていません。
でも、そこは関係なく、別途定められている遺族年金の受給要件を満たせばAさんの遺族は遺族年金を受け取れます。
この場合、遺族基礎年金の年金額は保険料納付期間に関係なく「定額」です。一方、遺族厚生年金の年金額は「これまでの平均報酬と保険料の納付期間」によって違ってきます。
つまりAさんが5年(60月)しか保険料を払っていなければ、60月分しかもらえないはずですが、ここには最低保証期間が定められており、この期間が「25年(300月)」なのです。これが短期要件に該当した場合の扱いとなります。

◆短期要件と長期要件の整合性


さて、このように短期要件に該当するAさんは、「300月保険料を払っていたもの」として年金額が計算されるわけです。
一方、「国民年金の受給資格期間を満たしている人」は短期要件ではなく、長期要件に該当し、実際の保険料納付期間に基づいて年金額が計算されます。今回の改正によって受給資格期間は10年に短縮されたので、先ほどのAさんの保険料納付期間が15年(180月)あれば長期要件に該当し、年金額は180月で計算されてしまいます。
ということは、保険料納付期間が5年の人は25年分で計算してくれるのに、15年の人はそのまま15年で計算するため、5年の人の方がたくさんもらえてしまいます。

この部分は、2012年の年金部会での審議の中でも課題になっていて、「仮に今回、老齢年金の要件に併せて、長期要件を10年に短縮する場合には、この両者のバランスが崩れることとなり、基本的に適当でない。」と明記されています。

改正法案が成立による、具体的な受給要件の変更についても要注目です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2016年11月08日

シェアリングエコノミーは古き良き時代?

インターネットを通じたソーシャルメディアの発達により、モノやお金、サービス等の交換・共有により成り立つ「シェアリングエコノミー」という概念が広がっています。

日本では、法的な問題などもあってまだまだ馴染みの薄い面がある一方、世界に目を向けると自家用車のライドシェアサービスを展開する「Uber(ウーバー)」や、自宅の空き部屋や空家等を宿泊施設として貸し出す際の情報を提供する「Airbnb(エアビーアンドビー)」といった企業が、これまでの産業の枠組みにはないサービスを展開して業績を拡大しています。

◆誰もに馴染みのある「シェア」の概念


必要なモノを買うという行動は当たり前のように思いますが、本来であれば「今だけ必要」なのか、「常時必要なのか」によって対応が違ってきますし、欲しいモノの種類によっても違ってくるはずです。

例えばスキーやスノーボードを考えてみてください。

毎シーズン、スキーやスノーボードを複数回楽しむような人は、自分専用のモノを購入するのが一般的でしょう。一方、年に1度とか数年に1度行く程度であれば、「レンタル」を利用する人が多いと思います。そして、このニーズに応えるため、スキー場には十分な数のレンタル商品が用意されており、必要な時だけの使用をサポートしています。

では、スキーウェアはいかがでしょう?

もちろんレンタルでも用意されていますが、微妙なサイズの違いやデザインの好みなどもあり、自分が望むウェアを借りられる可能性は、スキー用具一式に比べて低くなることが考えられます。「身に付けるもの」であるが故、不特定多数の人が利用するレンタル用品に抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで友人の出番です。

同じぐらいの体型の友人に「持っているなら貸して欲しい」と頼んだ場合、その友人が持ってさえいれば貸してもらえるはずです。だって友達ですから。こうした「シェア」の場面は、多かれ少なかれ経験を持つ人が多いのではないでしょうか。

◆友達1人と顔見知りの知人1,000人


でも、その友人が望んでいるウェアを持っているとは限りません。頼るべき友人が1人しかいなければその時点で「友人に借りる」という選択肢が消えてしまいます。

でも、顔見知りの知人が1,000人いればどうでしょう。1対1で頼めるほどの人間関係がなくとも、「誰か持ってませんか?」と投げかけたら、誰か貸してくれる人が現れる可能性が高いでしょう。しかも、実際には1,000人の知人がいなくても問題ありません。こうした多数の人との繋がりがインターネットによって実現されているのが今の世の中です。FacebookやTwitterなどのSNSの発達により、会ったことがない相手でも、その人の人となりはわかりますし、ある程度の信用の担保も可能です。
言ってみれば、「イザと言う時に頼れる顔見知りの近所の人たち」が1,000人いるようなものといえるでしょう。

◆進歩が極まると昔に戻る


映画「3丁目の夕日」の舞台となった昭和30年台には、「近所の人にモノを借りる」という風景は日常だったように思います。夕食を作っているときに「あ、お醤油が無い」となれば、お隣さんに借りていたといった風景です。
世の中が豊かになることで、必要なモノをすべて自分で手に入れられるようになると、近所の人を頼る機会も減るのでしょうが、こういった「必要なモノはお互いに分けあう」的な要素は、多くの人の心の中に元来あるものなのかもしれません。

そう考えると、「Uber(ウーバー)」の提供するライドシェアサービスも、昔からあった「ヒッチハイク」と同じようなものです。

車を持っていない人が、ちょっと遠くまで行くのに車を利用したいとき、通常利用するのはタクシーです。でも、これだけ自動車がたくさんあるのですから、わざわざタクシーを呼ばなくても、自分が行きたい場所と同じ方向に向かう車はいるはずです。ついでに乗せてもらうだけなので、お金も安くしてくれるはずです。
ヒッチハイクの場合は、行先を書いたボードを掲げてドライバーに見せて、乗せてくれる人を募るわけです。ただ、「周りの人は仲間」的な要素のあった時代と違い、「知らない人は怖い」という感覚が広がる現代では、車に乗せてもらうまでにはいくつもハードルがあるでしょう。
「ボードを持ってる人がカージャックのような悪い人」かもしれないし、周りに仲間が潜んでいるかもしれません。行く方向は同じだけど、なんだか怖い、と考えればその人は止まってくれません。当然、乗せてもらう人だって、止まってくれたら嬉しいけど、その人が変な人だったらどうしよう、というリスクを抱えています。

でも「Uber」を利用すると、スマホのアプリに自分がいる場所と行きたい場所を登録すれば、「お、近くにいる人だな。同じ方面に行くから乗せてあげよう」と考えるドライバーが出てきてくれます。このドライバーは、事前に登録されていて、その情報をアプリで確認することができるので、呼ぶ人は安心です。ドライバーから見ても、アプリを利用している人はクレジットカード等を登録してサービスを利用しているため、ある程度の信用の担保はできているので安心です。

人とのつながりが少なくなったと言われる現代ですが、テクノロジーの発達により、こうした人とのつながりという原点を呼び起こしているようにも感じる次第です。
進歩の先にあるのは、意外と「古き良き時代」なのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2016年11月01日

年金にまつわる違和感の正体

私が主任研究員を務める生活経済研究所長野では、全国の主要な労働組合から高い評価を得るセミナーの中から、さらに厳選したラインナップを「家計の見直しセミナー」としてWEB配信しています。

現在、全40講演を受講できる年間パスポートに、初回2講演(受講料金8,100円×2回分)を無料で体験いただけるプログラムが用意されていますので、この機会に是非お試しください。

家計の見直しセミナー年間パスポート


◆受給資格期間が10年に短縮


さて、11月1日の衆議院本会議で、国民年金の受給資格期間を短縮する改正法案が可決されました。このあと参議院での審議を経て今国会中に成立する見通しとなっています。

現在の国民年金は、20歳〜60歳の40年間のうち25年以上の保険料の納付期間(免除や猶予を受けた期間も含む)がないと将来の年金(=老齢年金)を受給する資格が得られず、年金を受け取ることができません。
また、会社員や公務員等の方が加入する厚生年金は、国民年金の受給資格がないと受け取れませんから、やはり25年間の保険料納付期間が必要です。

この25年の期間(=受給資格期間)が、今回の法案成立によって10年に短縮されることになりました。

例えば、会社勤めをしていた15年間はちゃんと保険料を払っていたけど、それ以外の期間は支払っていなかったという人は、現行の法律では原則として老齢年金をもらえませんが、2017年9月分からの年金を受け取れるようになります。

◆公的年金の財源問題


今回の改正によって、約64万人といわれる対象者が、新たに年金を受給できるようになります。衆議院の可決が全会一致であったことからもわかるように、期間の短縮自体は好意的に受け取られていますが、そのためには必要となる新たな財源の話は上手く進んでいないようです。

そもそも、受給資格期間の短縮は、平成24(2012)年8月に成立した年金改正法案の中に盛り込まれていた内容です。そして、この実現に必要な財源を確保するため「消費税が10%に上がるタイミング」に合わせて施行される予定でした。

…が、ご承知の通り消費税の増税時期は平成31(2019)年10月に延期されています。

人口構成を見る限り、今後も年金保険料を負担する働く世代の人数は減少し、年金を受給する高齢者世代は増加することは明らかで、年金の財源問題は大きな課題です。

家計の見直しにおいても、将来の支出が賄えない可能性がある場合、財源を確保するためには「収入を増やす」「支出を減らす」「運用によって資産を増やす」のいずれかの対策を取る必要がでてくるわけですが、公的年金制度は財源問題の解決策をどのように考えているのでしょうか。

◆運用による資産の増加と支出の抑制


公的年金の資産運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2014年10月に、運用する資金の投資先配分を見直す「基本ポートフォリオの変更」を発表しました。

ざっくりといえば、国内債券中心だった運用を、株式や外貨建て資産の比率を高めるというものです。ようするに「運用によって資産を増やす」対策を取ったわけです。
運用による高いリターンを求めると、当然ながらそれ相応のリスクを取らなくてはなりません。実際、2015年度の運用は5.3兆円の損失が発生したことが大きなニュースにもなりました。

運用問題に言及すると長くなりすぎるので、ここでは触れませんが、2014年度に15兆円超の利益を上げた際に、それを褒め称えることをせず、損失が出た時にここぞとばかりに大きく取り上げて叩く報道が目立つという姿勢はいかがなものでしょうか。

では、運用以外も考えてみましょう。
働く世代が少なくなることからも、収入増はなかなかハードルが高いので、やはり現実的には支出の削減が進められなくてはなりません。
実はこれに関しても今国会で法案が審議されています。簡単にいうと「世の中の物価や、働く世代の賃金が下がったときには、年金の受給額も引き下げよう」という話です。ただし、このような「既にもらっているものを引き下げる話」は受け入れられにくいものです。実際こちらの法案には反対意見も多く出ており成立するかどうかは不透明です。

収入の増加が見込めないのであれば、支出を減らすか運用による資産増加を目指さなければ財源問題は解決しませんが、今のように「支出を減らすことには反対」で、「運用を見直すとマイナス部分が強調される」という風潮では前に進むことが難しくなります。
こうした点が、年金問題の報道を見ている中で一番強く感じる違和感なのだと思うわけです。

公的年金を巡る問題は自分たちの生活に直結する話ですから、多くの人がもっと関心を持ち、偏った報道や意見に流されない目を持つことが大切なのでしょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2016年10月25日

国勢調査の数値から感じる、相続時の心配事

月曜日から水曜日まで、栃木県宇都宮に行っておりました。

直前の爆発事件で、思いがけず地名をよく耳にするタイミングとなりましたが、訪れたのは初めてのこと。
宇都宮といえば餃子が思い浮かびますが、今回もあまり外に出ることなく、駅とホテルと講演会場の周辺だけを移動してきました。

◆75歳以上>15歳未満


さて、昨年実施された国勢調査の確報値が総務省から発表されました。

日本の人口が減少していることは、既に周知の事実ではありますが、5年に一度実施される国勢調査において人口が減少に転じたのは、1920年の調査開始以来初めてのこと。
2015年10月1日時点の日本の人口は1億2,709万4,745人となっております。

また、今回の調査において65歳以上の高齢者人口はもちろん、75歳以上の高齢者人口をみても、初めて15歳未満の子ども人口を上回っています。ちなみに、15歳未満人口は全体の12.6%で、世界で最も低い水準となっております。こちらも既にわかりきった事実ではあるものの、改めて将来に対して思いを馳せる機会となりました。


◆人気の滋賀県?


全体の人口が減少している中、増加している地域もあります。

都道府県では、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県といった首都圏で増加。それ以外では、愛知県と滋賀県、福岡県、沖縄県で人口が増加しています。

近畿圏以外の人からすると、「滋賀県?なんで?」と思われるかもしれません。

私は、小学生のころに香港に住んでいた以外、かれこれ40年ほど滋賀県に住んでいますので、客観的な意見など言えるわけがありませんが、それでも、滋賀県は色々な意味で住みやすい地域ではないかと感じます。

それは例えば、自然災害が少ないことであったり、京都や大阪への通学通勤に便利であったり、夏は琵琶湖があり、冬はスキー場があって、そこそこレジャー環境が整っていたり、歴史的に魅力のある場所が多くあったり、ざっと思いつくだけでもそんな感じです。

◆単身世帯の増加


話を国勢調査に戻しまして、もう1つ目に付いたのは「単身世帯の増加」です。

日本の世帯数は5,344万9千世帯となり、これは前回調査より約150万世帯の増加です。人口が減っているのに世帯数が増えてるわけですから、必然的に1世帯当たりの人員は少なくなります。
世帯の中で一番多い「単身世帯」は1,841万8千世帯で、全体の34.5%を占めました。次いで「2人世帯」が1,487万7千世帯で、この2類型で全体の62.3%となるのです。

先日の栃木県での講演テーマの1つは「相続」でしたが、単独世帯や2人世帯が増えることで、相続発生時にその方をよく知っている人が周りに誰もいない、なんていうことが珍しくなくなります。
これは、相続後の手続きの際に「よくわからない状態のまま手探りで様々な手続きをやらざるを得なくなる」という点で、遺された人の負担になる一方、「自分が死んだあと、いったい自分の持ち物等はどうなるのか?」といった、税金や遺産分割以前の根本的な心配事が発生する背景にもなります。

相続対策以前に、リタイア期を「どこで」「誰と」暮らすのか。そして自分のいなくなった時のことをどう考えるのかについて、今まで意識するべき必要性が出てきたように感じるわけです。

◆「講師養成コース」を支える里親制度


最後にお知らせです。

栗本FPスクールの「講師・養成コース」が、いよいよ11月13日(日)からスタートします。
こちらのコースでは、「FPのプロ講師として必要な講演スキルとともに、講師として稼ぐ力を身に付け、安定した収入を得ること」を第一の目的にしています。

そのための目玉となるのが「里親」制度です。

今回の講座は、グループ会社である生活経済研究所長野の全面協力を得て開催するもので、講座を担当する主力講師陣が受講生一人一人を里親として受け持ち、卒業までの2ヶ月間をサポートいたします。

「講座を受ければ稼げる講師になる」のではなく、「稼げる講師になるように徹底的に指導する」のが、こちらの講師養成コース。
開講は11月13日ですが、受講前には事前課題をお渡ししますので、検討中の方は、できる限り10月末までにお申し込みください。

なお、サイト内では10月16日に東京都内で開催したガイダンス映像をご覧いただけます。当日お配りした資料もダウンロードしていただけますので、是非一度ご確認ください。

栗本FPスクール「講師・養成コース」
   
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)政治・経済

2016年10月18日

長寿社会で考えるべき3つの健康

10月30日(日)に名古屋で開催される、日本FP協会愛知支部さん主催のFPフォーラムで講演を行います。事前申し込みは必要ですが、どなたでも無料でご参加いただけるセミナーなので、ご都合がよろしければ是非足をお運びください。

お申し込みは、FP協会愛知支部さんのサイトからお願いいたします。

なお、この時期は「FPの日」と称して、全国の都道府県でFP協会主催のセミナーや相談会が行われますので、ご自身の地域のイベントも是非ご確認ください。


さて、先日資料の整理をしていた時に、ある媒体で実施された「自分の寿命を知りたい?」というアンケートが目に付きました。

この質問に対する結果は、「はい」が48%で「いいえ」が52%。ほぼ拮抗です。
ちなみに、どちらの回答においても理由の1位が「その方が人生を有意義にできる」だったことは興味深いものでした。

◆長寿社会で考えるべきこと


厚生労働省が発表した2015年の日本人の平均寿命は女性87.05歳、男性80.79歳。世界の国々との比較において、女性が2位で男性が4位の長寿国となっています。
個人差が大きいものの、およそ100年前の日本の平均寿命が男女ともに44歳ぐらいだった事実から考えると、生まれてから亡くなるまでの期間は2倍近くになっているわけです。

それは同時に、医療や介護問題の広がりともつながっています。

実際に日本の医療費は増え続けており、2015年度の医療費総額は41.5兆円。13年連続で増加しています。
この41.5兆円というのは、医療機関に支払われた総額なので、「健康保険制度からの給付」+「患者の個人負担」+「公費」による医療費などの合計です。ただし、不妊治療や先進医療にかかる医療費は含まれていません。

財政状況が健全とはいえない日本において、こうした高額の医療費を負担し続けることは困難ですから、高齢者医療に関しては、患者負担を増加する方向で検討が進められています。
FP的に言うと、老後資金は人生の三大資金(教育、住宅、老後)の1つですから、まずは生活に困らないだけのお金の準備を意識する場面ですが、それ以上に健康面の維持は重要な課題です。
いわば、お金の健康と身体の健康を同時に考えることが必要なのでしょう。

◆生きがいと長寿


そしてもう一つ大切なのは、心の健康と言われています。

3年ほど前に出版された「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」という書籍の中で、

<お金のあるなしは、その人が幸福であることと直接的に関係ない。幸福とは、期待と実体が一致した状態だ。 「心を満たすお金」だけでなく「心をコントロールする意思」との両方がそろって、初めて人は幸せになれる。>

という記述があります。

お金の問題や気持ちの問題は、人によって価値観が大きく違うでしょうから、こうした記述に共感できるかどうかは人それぞれです。
ただ、一般的に仕事を引退している可能性が高い時期を過ぎた時、どういう状態であることが自分にとっての幸せなのかを考えておくことは大事なのかもしれません。

以前、相続に関する相談を多く受けていた時期には、80〜90代の親御さんが亡くなったことで財産を引き継ぐこととなった60代の方と多く接してきました。その中には、経済的な面での不安は感じていないものの、健康面や人とのつながりの面で不安をお持ちの方が多くいらっしゃいました。
ライフプランの作成は、決して経済面の準備だけのために行うものではないことを実感したものです。

◆自分の寿命を計算するツール


もうずいぶん前に放映された「世界一受けたい授業」の中で、寿命計算方法なるものが紹介されたことがあります。
こちらのサイトで実際の計算ができるものですが、住んでいる地域の状況や生活習慣などによって自分の寿命が何歳であるかが出せるというもの。どういう要素が長寿につながり、どういう要素が長寿を妨げるのかもわかり、なかなか興味深いものです。

ちなみに私は92歳となりました。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2016年10月11日

FPフェア2016報告記

10月8日と9日は、大阪で開催されたFPフェアに参加してきました。

FPフェアとは、日本FP協会が主催する年に一度のイベントです。
全国からFP資格者(日本FP協会会員)が集まり、研修を受けたり交流をする場として、
1994年(平成6年)から開催されています。

毎年、開催直後は「報告記」を残していますので、今年も忘れないうちにお伝えしておきます。

◆これからの世の中の流れ


今年の会場は大阪駅に隣接する「グランフロント大阪」。
初日は、竹中平蔵氏の基調講演から始まりました。

「世界経済の新しい潮流と日本経済」というテーマで、現在の世界経済を取り巻く3つの状況として次の3つをあげられていました。

1.ハイパーポピュリズム
2.セキュラースタグネーション
3.インダストリー4.0(第4次産業革命)


ご本人も「こうした話はどうしてもカタカナが多くなるけど許してください」とおっしゃってましたが、確かに項目だけを見ても普通の人にはピンとこないものばかりでしょう。

まず「1」のハイパーポピュリズムは、「超、大衆迎合主義」と言われるものです。
政治的な決断をするに当たり、強力なリーダーシップを発揮するという進め方ではなく、大衆の意見を代弁する政治家が支持される傾向です。

「2」のセキュラースタグネーションは「長期的不況論」と呼ばれます。
この言葉は、第二次大戦後によく使われていたそうです。かいつまんで言いますと、経済は構造的に不況の状況が続くことがあり、普通の正常な政策だけでは、そこから脱することが難しいということ。
最近になって「世界は再びセキュラースタグネーションにあるのではないか」と言われ始めているようです。

そして「3」のインダストリー4.0は、「第4次産業革命」のこと。
これまでの延長線上にはない企業が現れ、まったく新しいサービスが生まれてきているというお話を、「Uber(ウーバー)」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの例を挙げて紹介されていました。

確かに私たちは普段、今日の延長線上に明日があり、1週間後があり、10年後があると考えているように思います。
今日一緒にいる人は明日も一緒にいるし、今日利用できるサービスは1年後も同じように利用できる、ということを、特に意識することもなく当たり前のように考えている。

でも実際には想像もできないような現実が目の前に出てくることがあります。
以前、オックスフォード大学のオズボーン准教授が、「今後10年〜20年で消える職業、無くなる仕事」というものを発表されて話題になりました。世の中の変化や技術革新によって、今の働き方が大きく変わる可能性は、意識しておく方がいいのかもしれません。


◆その他のセッション


今回のFPフェアでは、2日間にわたって延べ34の講演(エデュケーショナルセッション)や、ベテランFPに業務のコツを聞ける「FP実践塾」、実務のスキルアップを図るための「相談実務入門コース」が行われました。

同じ時間帯に12のセッションが並行して実施されてますから、希望するすべての講演に参加できるわけではありませんが、アメリカのFP実務家のお話が聴けたり、心理学やコミュニケーション、執筆スキルといった分野の研修も同じ場所で受けられるのはFPフェアならではです。


◆ご縁をつなぐ空間


私は4年ぶりに「FP実践塾」の講師を担当したのですが、こうした場でいただいたご縁が、今後の活動に大きな影響をもたらす可能性があります。
そのためにも、知識やスキルを得るだけではなく、「積極的な人との交流」がとても大切でしょう。

そして交流の場として大きな役割を果たしているのが、初日の夜に行われる会員交流会です。今回もかなり大きな会場に多くの参加者がいましたから、直接お話しできる方は限られます。
自分がご縁を得ておきたいと思っている人がいるのであれば、積極的に名刺交換を申し出なければ、何もないままあっという間に終わってしまうでしょう。
今は、フェイスブックやツイッターを始めとするSNSで繋がりのあるケースが少なくありませんから、初対面でもスムーズな会話が可能だったりします。
よほど身勝手な振る舞いをしない限り、多くの人は快く対応して下さるはず。

FPフェアについては、厳しい意見(行っても意味がないとか、参加費が高すぎるとか・・)が多いのは事実です。それでも私自身はとても有意義なものであると思ってますし、この業界において人とのご縁をつなぐ絶好の機会であることは間違いありません。
結局のところ、こうした時間を意味のあるものにできるかどうかは、参加者次第なのかなって感じる次第です。

来年のFPフェアは、2017年10月28日と29日に、東京国際フォーラムで開催予定です。ご興味のある方は、今から日程を押さえておきましょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)FP実務

2016年10月04日

社会保障給付に関する合成の誤謬

まずはご案内から。

10月30日(日)に名古屋で開催される、日本FP協会愛知支部さん主催のFPフォーラムで講演を行います。事前申し込みは必要ですが、どなたでも無料でご参加いただけるセミナーなので、ご都合がよろしければ是非足をお運びください。

お申し込みは、FP協会愛知支部さんのサイトからお願いいたします。

ちなみに、この時期は「FPの日」と称して、全国の都道府県でFP協会主催のセミナーや相談会が行われますので、ご自身の地域のイベントも是非ご確認ください。

そして、10月8日(土)と9日(日)にグランフロント大阪で開催されるFPフェアでは、「FP実践塾」の講師を務めます。すでに参加申し込みの受け付けは完了していますが、8日の夜に行われる会員交流会にも参加しますので、会場で見かけられた方は気軽にお声掛けください。


◆増大する社会保障給付


さて、今回は社会保障費について取り上げます。

社会保障とは、国民が最低限の生活を維持できるように国が用意している制度のこと。公的年金や公的医療保険などの社会保険制度のほか、子どもや高齢者に対する福祉制度、生活保護なども社会保障制度に含まれます。
1年間の支出額は、国立社会保障・人口問題研究所が社会保障費用統計として公表しており、2014年度の社会保障給付費の総額は112兆1,020億円でした。

これは、前年から1.3%増加で、GDPの約23%を占める規模。内訳をみると、「年金」が54兆3,429億円(48.5%)で一番多く、次いで「医療」の36兆3,357億円(32.4%)、「福祉その他」の21兆4,234億円(19.1%)と続きます。

ちなみに、年金といっても老後に受け取る「老齢年金」のほか、「遺族年金」や「障害年金」がありますし、医療にしてもすべてが高齢者向けではありません。
とはいえ、機能別社会保障給付費という数字を見てみると、「高齢」が54兆4,471億円で全体の48.6%を占めていますから、やはり高齢者の増加に伴って支出が増えているという事実は間違いないようです。

◆1人に対する社会保障給付費の負担額を計算する


では、仕事をリタイアした後の生活について少し考えてみましょう。

何歳まで働くのか、年金の受給額はいくらか、貯金はいくらあるのかなどは人によって大きく違いますから、ここでは統計上の平均の数字を使います。

まず、総務省の家計調査(2015年)において65歳以上世帯が受け取る社会保障給付の金額を見ると、夫婦世帯で194,874円、単身世帯では104,832円となっています。ということは、単純計算で1人あたりの平均は約10万円と考えられそうです。
仮に85歳まで生きるとして、65歳からの20年間の総額は2,400万円。当然この数字は、85歳までに亡くなれば少なくなり、85歳を超えて長生きすると増加します。

また、多くの方は加齢とともに医療機関を利用する機会が増えるものです。

厚生労働省が公表している「国民医療の概況」によると、65歳以上の1人あたりの年間医療費平均は約72万円。自己負担は所得水準によって1割〜3割までありますが、今後は自己負担が増える傾向にある点を考慮して、2割が自己負担と考えましょう。ということは、社会保障費として賄われているのは掛かった医療費の8割にあたる約58万円。20年間の合計で1,160万円が、1人に対する給付として使われることなります。

あとは、亡くなる前の最後の5年間に介護保険も利用するとします。こちらは、要介護者の平均利用額が約19万円。自己負担は原則1割ですから、9割が社会保障費だとすると月額約17万円。5年間で1,020万円が、やはり1人に対する給付として使われています。

◆国と個人を巡る合成の誤謬


さて、85歳までの20年間で1人に支払われる社会保障費は、年金等の収入に関するもので2,400万円、医療で1,160万円、介護で1,020万円となりました。合計は4,580万円です。繰り返しますが、これは「1人に対する国の負担額」です。

年金は生きている期間に対応して増減しますが、医療や介護に掛かるお金は「健康に注意すれば抑制できる」という事実があります。
つまり、健康に注意して医療費を押さえれば社会保障給付は抑制できるというわけですが、実はここに忘れられている視点があります。

仮に医療費が平均の10分の1しかかかってない人がいたとしましょう。
1人あたりの平均的な年間医療費は72万円でしたから、その10分の1だと7.2万円。社会保障からの給付はこのうちの8割にあたる5.76万円なので、これだけを見ると明らかに減少しています。

でも、健康に気をつけていると長生きする可能性が高まりますよね。

仮に、この人が95歳まで生きられると、先ほどの前提より10年間の長生きですから、10万円×12ヶ月×10年間=1,200万円の増加。
つまり、「健康に気を付けて長生きする人が増えると、社会保障給付は増加する」わけです。

逆をいえば、健康にまったく気を遣わず、医療費を人の2倍使う人がいても、その方が平均より10年早く亡くなると、社会保障給付は減少するのです。(細かい計算は割愛します)


そもそも、日本人の平均寿命の延びと、社会保障給付費の増加は連動しているわけですから、平均寿命より早く亡くなる方で試算すれば総額が減るのは当たり前です。

メタボ検診や生活習慣病予防など、健康を維持するための啓発活動は数多くある一方、健康で長生きの人が増えると社会保障費が膨れていくという現実があります。
そして、社会保障費の増大が問題になると、年金額の引き下げや医療保険の自己負担増などによって、個人の将来の生活に不安をもたらすということなのです。

一人ひとりが正しいと思って取った行動でも、それが集まると悪い結果を生むことを「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」いいますが、お金を掛けないように健康を維持して長生きすると、国全体としての経済的な負担が大きくなり、個人の自己負担が増えてしまうというのも、一種の合成の誤謬ではないでしょうか。

このあたりに、社会保障を巡る改革の難しさがあるんだなって、改めて感じた次第です。


そうそう、老後の生活に関して、本日(10月4日)発売の「週刊女性」に記事協力をしています。こちらは「おひとり様」を対象にした特集ですが、ご興味ある方は是非お読みくださいませ。  
Posted by kurisuke701 at 14:06Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2016年09月27日

あまり書かれないDC制度の不思議

個人型確定拠出年金に関する情報が増えてきたように感じます。

きっかけは、2016年5月24日に「改正確定拠出年金法」が成立したこと。これにより加入対象者が大幅に増えたことで注目度が高まりました。

ただ、関心はあるけど、イマイチよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

◆確定拠出年金(DC)とは?


そもそも確定拠出年金とは、リタイア後の生活に備えた資金を貯める仕組みです。

毎月の積立額(=掛金)を決め、積み立てたお金を自分の判断で運用し、その結果貯まったお金を将来年金や一時金で受け取るというもの。
この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入するものを「企業型」といい、個人が自分の意思で手続きをして加入するものを「個人型」といいます。

よく「DC」という略称が使われますが、これは「Defined Contribution」の頭文字を取ったものです。日本では2001年10月の確定拠出年金法施行から制度が始まりました。
当初は、お手本となったアメリカの制度が「内国歳入法401条k項」に規定されていたこともあり、「日本版401k」と呼ばれることも多かったのですが、今では「DC制度」という呼び名が一般的になっています。

さて、このDC制度、2016年6月現在の加入者は、企業型が約579万人、個人型が約27万人となっており、65歳以下人口(約9,369万人)の6.47%程度となっています。
しかも、数字を見れば一目瞭然で、加入者のほとんどは「企業型」の加入者です。これは自分の意思で加入しているというより、勤め先の企業や団体が制度を導入したからいつの間にか加入していたという感覚でしょう。

ともあれ、制度に加入すると「自分の将来のための資金を自分で運用する」ことになるわけです。運用に利用されるのは投資信託がほとんどですから、投資信託に関する基礎知識が不可欠といえます。
では、自分で投資信託に直接投資することと、DC制度を利用して投資信託に投資することにはどういった差があるのでしょう?

◆よく言われる税制メリット


ここで一番よく伝えられるのは、「DC制度には税制メリットがある」という点。

具体的には、
”蘆瓦靴審櫃蔚發全額「所得控除」の対象となるため、毎年支払う所得税や住民税が少し安くなる
運用期間中に得た利益が非課税となる
将来受け取る時にも税金が優遇される
という3つです。

まず、,離瓮螢奪箸髻⊆分で投資信託に直接投資することと比べてみましょう。

例えば、毎月1万円の掛け金を支払うとします。ようするに、将来に備えて毎月1万円の積み立てを始める、ということです。
そしてこの人に年間200万円の所得があり、所得税5%、住民税10%の合計20%の税金を払っているとします。(実際には所得のうち195万円を超える部分の税率は10%ですが、細かい話はバッサリ省きます)

この場合、直接投資信託を買えば、税金の計算には何も変化がありません。
所得税と住民税を合わせて15%ですから、200万円×15%=30万円の税金を支払います。

一方、DC制度の掛金として毎月1万円を負担した場合、年間12万円の掛金総額が「所得控除」の対象になります。
所得控除の対象になる、というのは、「税金計算の元となる金額から差し引く」ということですから、結果として負担する税金が少なくなります。

このケースでは、200万円の所得が188万円になりますから、税金の負担は28.2万円(188万円×15%)となり、18,000円も税金が少なくなりました。
これが、所得控除によるメリット。仮に30年間同じ状況が続けば、54万円も違ってきますから、なかなかのものです。

◆自分が貯めたお金を受け取る時に課税される?


ちょっと長くなりそうなので、△枠瑤个靴騰の話をしましょう。

ここでも基本的には、「受け取るお金に掛かる税金を計算する際に優遇される」という点がメリットです。
運用した結果の資金を将来受け取る際、一括で受け取ると退職金として扱われるため「退職所得控除」の恩恵を受けることができます。また、分割で受け取ると年金として扱われるため、「公的年金等控除」の恩恵を受けることができるのです。

退職所得控除って何?とか、公的年金等控除って何?という話は今回はスルーします。
税金計算の際に優遇される仕組みだと思っていただければそれで十分です。


さて、ここでちょっと妙なことに気付きます。

会社側が掛け金を負担することがほとんどの「企業型DC」はいいとして、個人型DCの場合、掛け金を負担するのは自分自身ですよね。
「DC制度では、運用してきた資産を受け取る際の税金が優遇される」と言われると、なんとなくお得な気がしますが、そもそも自分が貯めたお金に対してなぜ税金を掛けられないといけないのでしょう?

毎月1万円ずつ銀行で積立貯金をし、30年後に貯まった360万円を一括で引き出す際に、「一括で受け取る場合は退職金となるので、退職所得として課税対象となります」という時点でなんだか腑に落ちません。これは、年金として分割で受け取る際に「雑所得として所得税、住民税の課税対象になります」というケースも同じです。

退職所得控除や公的年金等控除が使えることで、結果として税金はかからないケースがほとんどでしょう。でも、「税制優遇がある」という言葉だけにはぐらかされているような気がしないでもないわけです。

今回の記事を書いてて気付きましたが、そもそもの制度の見本となった「アメリカの内国歳入法401条k項」では、「税制優遇」ではなく「所得税繰り延べ」ってなってるんですよね。繰り延べというのは、「今は取らないけど、将来取るよ」という話。ようするに課税時期の先送りです。

まあ、結果が同じであれば、細かいことを気にする必要はないといえばそれまでですが、ちょっと不思議に感じた話をご紹介しました。  
Posted by kurisuke701 at 10:04Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2016年09月20日

ワーク・ライフ・バランスとライフプラン

10月16日(日)に東京都内でイベントを行ないます。

内容は、私が主任研究員を務める生活経済研究所長野の「家計の見直しセミナー」の公開収録と、栗本FPスクールのガイダンス。

7月に大阪で開催して好評いただいたもので、この度都内での開催が実現した次第です。
会場は、千駄ヶ谷にある「家計の見直し相談センター(代表:藤川 太 氏)」のセミナールームをお借りすることになりました。

イベントの詳細はこちらをご覧ください


参加には事前申し込みが必要となります。
お申し込みフォームはこちら


活躍中のFPさんも多数参加くださる予定ですので、ネットワークを広めたい方にもおススメです。


◆コケコッコー共和国


さて、先週の連休初日、家族で伊勢に行ってきました。

夫婦岩


滋賀県大津市からは、新名神高速と伊勢自動車道を経由し、2時間弱の道のりです。

朝9時に自宅を出発してから、伊勢神宮(内宮)→おかげ横丁→夫婦岩→二見シーパラダイス→コケコッコー共和国と巡り、18時過ぎには帰宅。一見すると弾丸ツアーのようなスケジュールですが、実際にはそれぞれの場所で結構ゆっくりと楽しみました。

この中で、あまり馴染みがないのは「コケコッコー共和国」ではないでしょうか。

ここでは、45,000羽の鶏が「平飼い(=鶏舎内で放し飼いすること)」されています。放し飼いされている鶏は運動量が多くなるので、鶏自体がコレステロールを溜めていない為、一般卵よりコレステロール値が低いそうですが、とにかく卵が絶品です。


卵といえば、私の古くからの知人が関わっているこちらの卵も要注目です。


長女が社会人になってからは家族そろって動く機会が減っていたこともあり、久しぶりに休日らしい休日となりました。


◆いい人生とたくさんの稼ぎ


充実した仕事のためには、充実した生活が欠かせないという意味で、ワーク・ライフ・バランスという言葉がよく使用されます。

今では、内閣府のサイトにも「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が掲げられているなど、国をあげての取り組みとなっている事実もあります。

ただ、こうしたバランスは人による差が大きいものです。

「ワーク」と「ライフ」の割合は5:5が理想というものではなく、2:8でバランスの取れる方もいれば、8:2でバランスの取れる方もいらっしゃるでしょう。

以前読んだある本に
<いい人生を送るためには、たくさん稼がなくてはならない。
たくさん稼ぐためには、いい人生をあきらめなければならない。>
という言葉が紹介されていました。

読んだ時の印象は人により様々だと思いますし、実際にはたくさん稼いでいい人生を送られてる方もいるでしょうが、色々と考えさせられる言葉です。
そもそも何をもって「いい人生」というのかは、人によって大きく違うはずですから、万人に共通する落としどころというのはないものでしょう。

ただ、自分や家族にとってのこうしたバランスは、しっかり意識しておく方がよさそうです。


◆ライフプランにワーク・ライフ・バランスの視点を入れる



個人のライフプランを立てる際も、ワーク・ライフ・バランスの視点を意識することが大切だと感じる場面が多くなってきました。
収入や支出、貯蓄残高といった数字上には表れない「夫婦の価値観」をお互いに認識できると、計画の実現性が高まるように感じます。

具体的には「自分にとって大切にしているもの」を書き込む作業を加えてみるのです。

ご家族のライフプランを作る場合は、夫婦お互いの想いを「見える化」できますし、
ご自身ひとりのライフプランを作る場合でも、自分の心の中を振り返ることができます。

今後の収入や支出の予測だけを基準にしたライフプランより、
「何を優先すべきか?」が明確になり、行動に対する迷いが少なくなるのではないでしょうか。

これまで、ライフプランを作成しながらも計画倒れになることが多いと感じている方は、一度こうした視点で自身のライフプランを見つめ直すのもいいかもしれません。

あなたのワークライフバランスは、何対何ですか?  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2016年09月13日

相続を「争族」にしないために大切なこと

「争族」という言葉が使われ始めたのはいつごろからでしょうか。

昨年10月に放映された向井理さん主演のテレビドラマに、「遺産争族」というタイトルが付けられたぐらいですから、関心の高い言葉になりつつあるのでしょう。

◆全体の1.2%


「争族」というのは、文字通り「家族が争う」こと。

身内が亡くなった時に、その財産を引き継ぐ相続人同士が揉めること全般を指します。
こうしたトラブルは資産家だからこそ起こり得ることであり、多くの人には関係ない話と思われるかもしれません。でも実際には、財産の多寡に関係なく争いは発生します。

相続の際に、遺された財産を分けることを遺産分割といいます。

基本的な割合は民法の中で定められていますが、みんなの話し合いがスムーズに済めばどのように分けても問題ありません。また、亡くなった人が遺言書を書いていた場合、その遺言書の内容が優先されます。

こうした話し合いや遺言書の時点でみんなが納得すれば何も問題ないのですが、納得のいかない相続人がいる場合など、話し合いがまとまらなければ大変です。最悪のケースでは裁判にまで発展してしまい、何年にも渡って争いが続くこともあり得ます。

ちなみに、こうした相続を巡る裁判を管轄するのは家庭裁判所です。

裁判所司法統計によると、遺産分割を巡る争いとして裁判所に持ち込まれた新受件数は、2014年で15,261件。この年に亡くなった人が127万人ですから、単純計算すると裁判にまで持ち込まれるのは全体の1.2%となります。


◆相続争いに財産額は関係なし


この数字だけを見ると、100人に1人程度なので、「やっぱり金持ちだけの話ね」と思いがちですが、そうではありません。
新受件数では遺産額による分類がわかりませんが、調停成立件数に占める財産額5,000万円以下の事件の割合を見ると全体の約75%であり、そのうちの約32%は1,000万円以下のケースなのです。

まあ、揉めようが揉めまいが、そもそも遺産額5,000万円以下という人が圧倒的に多いはずですから、「財産が少ないほど揉める」ということではありません。ただ「うちには争うほどの財産なんてないよ」というのはちょっと違いますというお話し。

日本が高齢化社会であることは周知の事実であり、必然的に今後亡くなる人の数が増えていきます。その結果、争いの数も増えることが想定されます。

相続が発生した際には、ただでさえ多くの手続きを余儀なくされる負担が発生します。
その上に親族間で揉め、裁判にまで発展するとなると、時間的にも精神的にも、そして金銭的にも大きな負担となり、その後の親族関係にも影響してしまいます。つまり、いつまでもスッキリしない状態が続き、ご自身の人生すら心から楽しめなくなる可能性があるわけです。

◆結局はコミュニケーション次第


揉めることを積極的に望まれる方は少ないはずなのに、こうした事態になってしまうのは、お互いにとって不幸なことです。

だからこそ、相続発生前にやっておきたい対策があります。

相続にかかる事前対策といえば、遺産分割対策や節税対策、納税資金対策などがあげられることが多く、やはり「うちは財産が少ないから関係ない」となってしまいがちですが、何よりも大切なのは「親族間のコミュニケーションを円滑にしておくこと」です。

小さいころは同じ屋根の下で家族として生活してきた兄弟姉妹も、大人になるにつれて生活の根拠が別々になっていくことが一般的。結婚して新しい家族を築く場合など、一番に考えるべき「家族」が変化することもあるでしょう。

それと同時に顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションが希薄化することは珍しくありません。

「繰り返し接すると好意度や印象が高まる」というのは、ザイアンスの法則として知られるもので、かいつまんでいうと、「人は、相手のことを知れば知るほど好きになる」というお話。

これは逆から考えれば、「相手のことがわからなくなればなるほど好きではなくなる」(⇒「嫌いになる」とまでは言いにくいですから…)とも考えられます。

将来の相続だけを考えてコミュニケーションを取るというのはおかしな話ですが、親族間のコミュニケーションが円滑であるほど、争族になる可能性が低くなるのは当然なのではないでしょうか。

とはいえ、どうすればコミュニケーションが取れるかがよくわからない人もいらっしゃるかもしれません。
そういう場合、とにかく会う頻度を少しでも上げるように心がけてみてください。

数年間会っていないのであれば、円滑なコミュニケーションなどといったことは考えず、とにかく1年以内に会うことだけを目標にするとか。

買ってきたお土産を渡すだけでもいいでしょう。
相手の役に立つ可能性のある不用品があるのであれば、「いらないか?」と聞くだけでもいいでしょう。

そんな感じでも十分です。


ちなみに、私が主任研究員として講師を務める生活経済研究所長野の家計の見直しセミナーでは、「相続を争族にしないための5つのポイント」という演題があります。
ちょうど先日の公開収録でこちらの演題をお話し、9月20日(火)から10月4日(火)がWEB配信期間となります。この機会にじっくり学んでおきたい方は是非一度ご覧くださいませ。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)相続・贈与

2016年09月06日

年金にかかる大切なお知らせは、本人に伝わるか?

今月20歳の誕生日を迎える二女宛てに、日本年金機構からの大切なお知らせとして「国民年金加入のご案内」が届きました。

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◆国民年金の掛金総額と受取年金総額


日本では、20歳になると国民年金への加入義務が生じます。
60歳までの40年間掛金(保険料)を支払うことで、老後の生活を支える収入源となる老齢基礎年金を65歳から受け取れます。
保険料は毎年少しずつ変化しますが、今年度(平成28年度)は月額16,260円。
前納すると割引されることは知られていますが、口座振替の利用にも割引があり、毎月の保険料が16,210円となることはあまり知られていないかもしれません。

今後の掛金の変化を無視して、現在の16,260円を40年間(=480ヵ月)支払うと、掛金の総額は7,804,800円。

それに対して、65歳から受け取る年金額は、年間約78万円です。(この金額も毎年変わります)

単純計算では、75歳までの10年間で受取総額が約780万円となり、支払った掛金の元が取れます。男性も女性も、平均寿命ぐらいまで生きることを前提にすると、「掛けると損」にはならないわけです。

将来の年金受取開始年齢が67歳〜70歳ぐらいに引き上げられるんじゃないかとか、受け取れる年金額がどんどん減るんじゃないかといった不安が拭えないのは事実です。ただ、こうした単純計算すら自分でやらずに、世間のイメージで「掛け金を払っても意味が無い」的な感覚をお持ちの方も多いように感じるのです。

付け加えると、国民年金のような公的年金制度は、将来受け取る老後の年金(老齢年金)だけではありません。
一定の障害状態になった場合に受け取れる「障害年金」や、自分が亡くなった際に遺された家族の生活を支える「遺族年金」という形で受け取ることもあるため、イザという時の保障の役割もあることは、ちゃんと理解しておきたいものです。

◆お知らせは正しく理解されるのか?


さて、このお知らせは二女宛てにきたものですから、当然二女に渡します。
どうやら、友人の間でも話題になっていたらしく、「友達も届いたって言ってたけど、これ何なん?」というごもっともな質問が。
友人の1人が親御さんに聞いたところ、「私もよくわからないから、自分で読んでちゃんと手続きしておきなさい」と突き返されたそうです(苦笑)。

残念ながら、日本の多くの学校では年金の仕組みを詳しく学ぶ機会がありません。そのため、届いた書類をそのまま渡されても「どうしたらいいの?」となってしまうケースが一般的でしょう。
さらに、「年金の仕組みを詳しく学ぶ機会がない」というのは、社会人になってからも同じです。自分の親や身近な大人に尋ねてみたとしても、正確な答えが返ってくることは少ないかもしれません。

「わからないから私に聞かないで」という反応は、ごくごく自然なものだと心得ましょう。

◆保険料は猶予(=支払いを先延ばし)する制度がある


もちろん「よくわからないから放っておこう」はいけません。

まず、お知らせに同封されている「国民年金被保険者資格取得届出書」は、誕生日の前日から14日以内に提出しなければいけません。
そして、学生である場合は「学生納付特例制度」がありますし、学生でない場合も「若年者納付猶予制度」がありますから、保険料の支払いが厳しいのであれば、こうした制度を利用する申請書を同時に提出することができます。

つまり、お知らせが届いた時点では、

  1. 「国民年金被保険者資格取得届書」を提出し、国民年金保険料を払う

  2. 「国民年金被保険者資格取得届書」と同時に、「学生納付特例」や「若年者納付猶予制度」の申請書を提出し、当面の保険料を払わない状態にする


のいずれかの行動が必要になるわけです。

ただ、この場合「学生納付特例制度」や「若年者納付猶予制度」が何なのかがわからないと、申請をするべきかどうかの判断ができないですよね。なので、この2つの制度の仕組みを知る必要があります。

同封の書類の中にも、こうした制度の説明は書かれているのですが、初めて読んだ20歳の学生に理解できる文章だとは思えない点が残念ではあります。

「学生の方が、申請により保険料の納付が猶予される制度です」

まあ、事実としては間違いないのですが、「保険料の納付が猶予されるってどういうこと?」とか、「猶予されたらその後はどうなるの?」といった、肝心な部分が伝わっていないのではないでしょうか。

限られたスペースで制度を正確に伝えることの難しさはよく理解しているので、しかたない面もあるでしょう。
ただ、「何らかの決断が必要な時に、決断するために必要な情報が正しく伝わっていない」という点は、何とか改善していきたいものです。

なお、会社や団体に勤めたり公務員となり、お給料をもらうようになると、厚生年金に加入します。
こちらの手続は、勤め先を通じてやってもらえるので、今回はまったく触れませんでしたが、やはり仕組みはしっておくべきでしょう。

ちなみに、国民年金と厚生年金の仕組みは、FP3級で学ぶので、保険料の猶予制度や、猶予制度を利用した場合の将来の年金受取への影響なども理解できます。

このように「知っておかないといけない基本的なお金周りの知識」を身に付けることこそ、私が「国民総FP化」をしつこく言い続けている理由でもあるわけです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2016年08月30日

自分の中にある「バカの壁」

「バカの壁」と聞いて、ピンとこられるでしょうか?

一時期大きな話題となった養老孟司氏によるベストセラー本なので、タイトルが記憶にある方は多いと思います。
2003年に出版され、累計販売部数は439.5万部とのこと。歴代の書籍販売部数ランキングでは5位にあたるそうです。(ちなみに、1位は黒柳徹子氏の「窓際のトットちゃん」です)

■バカの壁とはどんな壁?


本の中では、

<結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。>

<つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。>


こうしたものが「バカの壁」だと説明されています。

つまり「すべてを理解することはできない」ということと、「すべてを知りたいとは思っていない」ということが、人間にとってのひとつの壁なのだということでしょう。

■相談しても実行しない人たち


これは、FPとして個別相談を受ける際に「わかっているけど実行しない」ケースが発生することの説明にもなりそうです。

例えば、「住宅ローンの借り換えを実行すれば、将来の総返済額が確実に少なくなるのに実行しない」とか、「生命保険を見直した方がいいのはわかっているのに、そのままの状態が続いている」といったケースは、相談に来られた時点で「何らかの行動をとるべき」という気持ちはあったはずです。

「すべてを理解できなかった」ことが行動を妨げる原因であれば、それは相談を受けたFP側に責任があると考えられます。理解できるまで説明すれば解決する可能性は高いでしょう。

一方、そもそも「すべてを知りたいとは思っていない=行動したいとは思っていない」ことが行動を妨げる原因であれば、FPとしての「知識や知恵のアドバイス」だけでこの「壁」を超えるのは難しそうです。

■心理的な壁への対応


このような状態となる要因を突き詰めていくと、その人の心理的な抵抗に行き当たるようです。
「物事を理解する」のと「行動する」のは、使用している神経回路が違うらしいので、こうした「傾向」を理解できれば、知識を駆使したアドバイスだけでなく、相手の心理に焦点を合わせたアドバイスができるのかもしれません。
わかっているけど実行できないことを抱えている人って、思いのほか多いですから。

最近読み返した本の中に、

<余暇をいかに過ごすかが、仕事や人生を決定づける。>

<自分のいちばんの楽しみを、人生の最後の15年だか20年だかのためにとっておくことはなどないではないか!>


という文章がありました。

この文には私が線を引いていたので、読んだ当時(5年ほど前)に大事なところだと思ったのでしょう。
余暇を取ることは大事だし、そのために何十年も待たなくて良い、と頭では考えたのでしょう。

でも現実には、この本を読んだ後の数年間に余暇を楽しんだ時間は極めて少なく、「仕事がひと段落したら」とか「引退したら」といった条件をつけ、余暇の時間を先延ばししています。

つまり、頭で考えていることを行動にしていないわけです。
両者の間には、自分の意識では気づいていない何らかの壁があるのでしょう。

自分の中で自分の行動を妨げている「バカの壁」を認識する大切さを、改めて考えた夏の終わりでした。
(写真は単なるイメージです)

guam(大)
  
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2016年08月23日

為替の動きを意識しましょう

お盆休みも終わり、リオオリンピックが終わり、夏の甲子園が終わり、一歩ずつ夏の終わりが近づく時期となりました。

さて、外国為替市場で再び円高が進みだしました。1ドル=99円台を付ける場面が出てきており、警戒感が強まっています。
例えば、ニュースにおいて「日経平均反落、円高警戒で○○関連が安い」とか、株式相場見通しにおいて「円高警戒感強まり軟調推移」といった表現を見かけることが増えます。なぜ円高が進むと「警戒感」が強まるのでしょうか?


■為替の変動による影響(良い面)


まず円高が進んでいるのは、円が買われているからです。
円が買われているのは、円に人気が出ているからです。
日常的に「円」という通貨を利用している私たち日本人にとっては、円が人気になるのはいいことで、最近でも輸入品の高級ブランドが値下げとなったほか、円高が進むと海外旅行なども安くなります。

ここは単純に考えましょう。
「1ドル=110円」の時は、1ドルの外国製商品は110円で買えます。
円高が進み「1ドル=100円」になると、1ドルの外国製商品は100円で買えるようになるので、値下げされたことと一緒ですよね。

そうであれば、円高の進行は歓迎できそうですが、これを逆の立場から考えると見え方が違ってきます。


■為替の変動による影響(悪い面)


海外の人が日本製品を買う際、「1ドル=110円」の時は、110円の日本製品は1ドルで買えていたのに、「1ドル=100円」になると、110円の日本製品を買うのに1ドルでは不足します。つまり、円高が進むことは、日本製品の値上げを意味します。
もちろん、日本に旅行に行こうと思っていても、旅行代金が割高になれば止める人が出てきても不思議ではありません。

日本製品が買われにくくなったり、日本への旅行者が少なくなるのは、日本にとって喜ばしいことではなく、警戒すべき流れになるわけです。

実際には、こうした個人レベルの話だけでなく、企業や国レベルのお金のやり取りにも同じようなことが起こりますから、「円高の進行=警戒感が強まる」という話なのです。
実際に、円高の進行は「株安」に繋がることが多く、こうした経済への悪い影響が警戒されます。

最近では、イギリスのEU離脱が決まった6月24日に1ドル=99円台を付けましたが、この時の終値は102円で、まさに一瞬の出来事でした。
その後、じりじりと円安方向に動き、7月の下旬ごろは1ドル=106円ぐらいの水準になっていました。それがここにきての99円台ですから、警戒感が強まるのも当然だということです。


■直近の動きを確認する


ちなみに、6月24日からの他の通貨の動きを見てみると、ユーロは、1ユーロ=109円台から118円台あたりを動き、現在の水準は113円ほど。ポンドは激しくて、6月24日に1ポンド=160円の水準から一気に133円台まで円高が進んだのち、143円の水準まで円安に動いてから、現在は132円台となっています。

外貨建ての資産運用をしている方以外には馴染みの薄い外国為替相場ですが、動きの背景を知ることは、世界的な世の中の動きを知ることに繋がります。

日本で生活する限り、海外の動きなど関係ないという気になりそうなものの、世界のつながりが強まっているグローバル経済の下では、世界の動きが日常生活にまで影響を及ぼすことがあります。
10日ごとに配信しているメールマガジンで、株価の動きや為替の動きをお伝えしているのは、こういう意図があるわけです。
  
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2016年08月09日

見た目の裏に隠された本音

昨日から長野県松本市に来ています。

早く目が覚めたので、ホテルの近くにある松本城までお散歩。
松本城は、私の地元滋賀県彦根市にある彦根城を含む国宝5城の1つで、現存する五重六階の天守としては日本最古だそうです。

松本城


ゆっくりと眺めるのは4月に続いて2回目ですが、お城が辿ってきた歴史に想いを馳せると、もっと頑張らねばと感じるから不思議なものです。

ちなみに、お城って「お殿様の住居」的なイメージが強いですが、実際には「軍事目的に作られた防御施設」のことを指します。諸説あるようですが、お城の象徴でもある「天守」は、いわゆる「物見の台」が起源だそうで、大きく豪華な天守は織田信長が建てた滋賀県の安土城だそうです。

ここでふと思ったのは、どんなものにも「外から見ただけではわからない本当の役割」があるということ。現在の生活に置き換えると「表面的な見た目や、耳障りの良い甘い言葉に騙されないようにしましょう」という話に繋がるのかもしれません。

先日も、講演後に参加者のお一人からご質問を受けました。

かいつまんで言うと、提案を受けている保険についてどう思いますか?というお話。
見直しのきっかけがなんだったのかを伺うと、「これまでより保障範囲の広がった商品が出たので、今の保険を見直して新しく加入した方がいい」というご案内を頂いたとのこと。

もちろん、その場のちょっとした会話だけで、すべての良し悪しを判断することはできませんが、「顧客にとって見直して新しく加入した方がいい」と伝えられた言葉は、「営業担当者にとって見直して新しく加入して欲しい」という本音に繋がっていることが少なくないでしょう。
本当に必要な保障であれば見直すべきですが、保険のような目に見えない金融商品の場合、「自分にとって必要な本当の役割」をしっかり見極めておかないと、新しい情報が出る度に振り回されてしまいかねません。

見た目の裏に隠された本音。
どんなときにも意識しておきたいものです。
  
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2016年08月02日

月額980円はお得なのか?

8月に入り、昼間の暑さがかなり堪える毎日が続いています。
今週末にはオリンピックの開幕と甲子園での高校野球開幕を控え、まさに夏のピークという感じですね。

それはさておき、アマゾンが月額980円の定額制サービス「Kindle Unlimited」を日本でスタートしました。
新刊やベストセラー本は含まれないものが多いようですが、12万冊以上の国内の書籍やコミック、240誌以上の雑誌のほか、120万冊以上の洋書が読み放題になるというのは、かなりインパクトのあるサービスです。
読み放題とはいっても、1度に利用できる上限は10冊までなので、11冊目をダウンロードするためには、既に持っている10冊のうち1冊を解除しなくてはいけません。

とはいえ、1ヵ月に10冊以上の本を読む方は、かなり限定されるのではないでしょうか?

総務省が公表している2015年平均の家計消費支出では、1ヵ月の書籍代は3,662円で、消費支出全体の約1.3%となっています(二人以上世帯平均)。
1冊500円〜600円の文庫本か、1,500円以上のハードカバー本かによっても随分違ってきますが、1冊の平均価格を1,000円として月に3〜4冊。

ただ、こうした平均の数値にありがちなように、みんなが万遍なく3,662円分の本を読んでいるわけではなく、実際には「ほとんど本を読まない人」と「月に5冊以上読む人」などに二分化されているはず。
少なくとも月に5冊以上本を読む人であれば、月額980円というのはかなり魅力的だと思います。

デメリットとしては、読みたい本が全て読み放題プランに含まれているわけはないので、総てを代替できるわけではない点でしょう。また、ブックオフなどに行けば中古の新書本が100円(+税)で販売されてますから、そこで探せる範囲の書籍であれば、紙の本でも1ヵ月1,000円で10冊手に入れることは不可能ではありません。

一方、アマゾンを筆頭とする電子書籍では、移動時間中などに気軽に本の検索ができる点が大きなメリットとなります。自分が気になっている分野のキーワードで検索をすれば、思いがけない掘り出し物の本が見つかるかもしれません。
さらに、レビューが付いていれば、実際に読んだ人の感想がその場で確認できるというメリットもあります。

何事も、メリットとデメリットを天秤にかけることは大切です。
今回の定額サービスも、金額に対するお得度は、本との付き合い方によって違ってきそうです。
まずは、ご自身が読みたいジャンルの本が、どの程度読み放題プランの対象になっているかを見て「お得度」を判断したいものです。

そうそう、家計調査といえば、先日発表された2016年6月の速報値では、二人以上世帯の消費支出は261,452円で、物価変動の影響を除いた実質では前年同月比2.2%の減少となり、4か月連続のマイナスとなっています。2015年の平均値は287,373円なので、金額にして25,921円、率にして9%の減少です。

それに輪をかけるように、も株価と為替も冴えない動きが続いています。
日経平均株価は8月2日に244円安、8月3日は308円安となり、二日間で550円以上の下落。為替も一時100円台の水準にまで円高が進むなど、なんとなく停滞した空気を感じます。

3日に発足した第三次安倍内閣では、デフレ脱却と財政再建の両立をにらみ「アベノミクスの再加速」を実現できるかが課題となっていますが、こうした家計や経済の厳しい状況にプラスの動きが出るかどうかに注目したいです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2016年07月26日

集中力を持続してもらうための工夫

毎年恒例のFPフェアが、2016年10月8日〜9日に大阪で開催されます。
今回は、「FP実践塾」の講師として両日ともセッションを担当し、会員交流会にも参加いたしますので、多くの方との交流が楽しみです。

なお、参加申込期間は8月22日までとなっていますが、私のセッションは既に満席となっているようです。お申し込み下さったみなさま、ありがとうございます!

さて、こちらの実践塾は「インタラクティブ(双方向)型の講義」となっています。講師の話を一方的に聴くだけのスタイルではない分、受講される方にとっても緊張感のある(=集中できる)時間になるはず。

私が普段行っている講演の多くは、一方的に話を聴くスタイルですから、90分や120分の講演時間の中では、どうしても集中力が切れる時間帯というのが発生してしまいます。
もちろん、お伝えしている内容を活かしていただくためには、途中で聴いていない時間が発生することは避けなければいけません。だからこそ、受講者の方に「集中力を持続していただく」ことは、講師側の重要な責務と考えています。

「集中力」というキーワードで検索すると様々な情報が出てきますが、どうやら人の集中力は90分が限界という説が一般的である様子。ちなみに、医学的見地からの考察では40分程度とも言われているようなので、いずれにしても1時間〜1時間半というのが1つの目安になりそうです。
もちろん、これは年齢によっても随分違うようです。例えば小学生から高校生までは、それほど長く集中力が続かないため、授業時間が45分〜50分区切りになっているのに対し、大学では90分1コマが一般的ですよね。これもこうした根拠があるそうです。

では、60分や90分を超える講演時間の間中、集中力を持続していただくためにはどうするべきでしょうか?

まず、何よりも話の内容が面白い(=興味深い)ことは大前提です。
同じ項目を伝えるにしても、事実を淡々と伝えるだけでは眠たくなってしまうかもしれませんが、話にストーリー性を持たせ、「次はどうなるのかな?」という期待感を醸し出すことで、伝え方が随分と変わってくるように思います。

また、集中力が切れてしまう前に休憩を取ることや、考える時間や作業時間を取って、能動的に参加できる仕組みを作ること、グループワークやディスカッションなどで話をする機会を作ることなども、集中力を持続していただく工夫といえるでしょう。

黙っていても時間は流れていきますが、その時間をいかに意味あるものにしていただくかについて、これからも真剣に考えていきたいものです。
  
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2016年07月19日

文章を書く力の本当の意義

栗本FPスクールの「執筆者・養成コース」の開講が1週間後となりました。

こちらのコースでは、「1か月間でFPとして必要な執筆スキルを身に付けること」を目標にしていますが、最もこだわっているのは「執筆によって収入を得ること」です。

カリキュラムをご覧いただくと、いわゆる「文章の書き方」より、「ターゲッティングとポジショニング」や「対象読者のヒアリングと事前調査」といった項目に時間を掛けていることがお分かり頂けると思います。
整った文章を書く力が身に付いたとしても、執筆依頼を受けることが無ければ意味がありません。そこで、執筆依頼を受けるために考えるべき戦略についてお伝えし、実践していただくことを目的としたプログラム構成となっているわけです。

そもそも「執筆」と言いますと、雑誌や本で原稿を書くことだけをイメージする方が少なくありません。もちろんこれらは、執筆によって収入を得るために重要な要素です。ただ、文章を書く機会というのはもっと日常的なものです。

ブログなどを書いている方はもちろん、SNSに定期的に投稿されている方も、言ってみれば「世界中の人の目に触れる文章を日常的に書いている」わけで、実際に、こうした個人的なブログ記事が編集者の目に留まり、原稿執筆依頼が寄せられるケースもあるから侮れません。
また、仕事の文書やメール文なども、読み手のことを意識して書かれている文章と、単に伝えたいことだけを書いている文章では、伝わり方に差が付くものです。

そして、このように意識する癖がつきますと、他人の文章の読み方にも変化が生じ、情報収集の精度も上がることが期待できます。

執筆者・養成コースは、週1度、全4日間のカリキュラムながら、自学課題を充実させることで、こうした技術や考え方を身に付けていただけるもの。
現在、栗本FPスクールの開校記念キャンペーンとして、通常108,000円(税込)の受講料が75,600円(税込)となっていますので、この機会をお見逃しなく。
  
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2016年07月12日

リタイアメントプランに関わる書籍のご案内

先週末(7月10日)、大阪において「栗本FPスクール」のガイダンスを開催致しました。
1日を通して多くの方にご参加いただきましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。

栗本FPスクールのガイダンスでは、「稼ぐ」をキーワードとして、私栗本と弊社役員の宮下から各コースの概要についてご案内しました。
参加者の中には、既にFPとして仕事に携わっている方もいらっしゃいましたが、「単にスキルを学ぶだけでなく、収益を上げるためのビジネスモデルが学べる点」に興味をお持ちくださった方が多かったようです。
また、同時開催で実施した家計の見直しセミナーの公開収録については、「講演のレベルの高さに驚いた」という声を多数いただきました。

今後も、こうしたガイダンスの機会を作っていきますので、次回の開催にもご期待ください。

それはさておき、先月から複数回にわたり、退職後の生活設計プランニング(=リタイアメントプランニング)に関する研修講師を務める機会がありました。その中で「参考になる書籍を教えてもらいたい」というご質問を頂きましたので、その回答も兼ねまして、この分野の書籍を何冊かご紹介いたします。

そもそも、仕事を退職された後の生活設計を考える場合、世の中の経済環境や制度の変化を知ることが欠かせないのですが、この分野の問題点を知るには、少し古くなりますが「日本を破滅から救うための経済学」(ダイヤモンド社)が参考になるかと思います。

また、介護や相続に関する分野では、「親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」(翔泳社)、「絶対に失敗しない相続の手続き」(ビジネス教育出版社)、
「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」(自由国民社)、などが参考になるのではないでしょうか。あとは、実務書として「Q&A相続実務全書―税務と周辺手続きのすべて」(ぎょうせい)も役に立つ1冊であると思います。

その他、「あなたの老後資金、大丈夫? 定年に備えるお金の教科書」(学研プラス)や「退職金は何もしないと消えていく」(講談社+α新書)なども、老後生活を迎える前に考えておきたいことの概要を掴むには良い本でしょう。

各分野に関する書籍は上げだすとキリがありませんが、全体を俯瞰する本としては、ちょうど先日発売された「50歳から始める安心老後準備大全」という、日経おとなのOFFのムック本が参考になるかと思います。

そして最後になりましたが、将来を見据えた生活設計全般を俯瞰していただく本としては、拙著「40代からのお金の教科書(ちくま新書)」も是非ご一読ください。

  
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