2017年05月16日

投資信託の残念な状況

5月も折り返し地点を超え、FP本試験が近づいてきました。
今回の試験対策用に、「2級FP技能士 直前総まとめ講座」を動画で提供していますので、まとまった勉強時間を確保できず、これから追い込み学習をされる方は、是非ご活用ください。

2ch 栗本FPスクール


FP試験に必要な6課目について、それぞれ30〜50分ずつ、合計4時間の講義をお聴きいただければ、2級FP技能士試験の合格に必要な知識が身に付きます。
特に、独学で学ばれてきた方や、お仕事の関係でなかなかまとまった学習時間の取れない方にとっては、最適な講座になっております。

■投資信託の現状


話は変わりまして、2016年度は投資信託が14年ぶりの資金流出となったそうです。

投資信託協会の資料によると、日本の公募投資信託は2017年3月末時点で6,148本あり、残高は107兆2,842億円。この数字だけをみると、投資信託が随分と広がっているように感じますが、アメリカの数字と比較すると少し見え方が違ってきます。

日本証券経済研究所アメリカでは、約8,000本の投資信託が販売されており、残高は17兆7,524億ドルになります。これは1ドル=112円で換算すると約1,988兆円。さすがに規模の違いを実感します。

さて、この数字、投資信託1本当たりの平均残高におきかえますと、アメリカの2,240億円に対して日本は174億円となっています。つまり日本には「規模の小さい投資信託が多くある」というわけです。実際、販売されているうち99%の投資信託は残高が2,000億円以下で、アメリカの1本当たりの平均残高にも及ばない状況なのです。

■当局からの苦言


そもそも日本の投資信託の特徴を見ると不思議な点が多いようで、昨年公表された金融庁の資料の中でも、

  • 投資対象を特定の種類の資産に限定した商品が上位で、販売手数料や信託報酬(保有期間中毎年引かれる手数料)も高水準である

  • 短期間で多くが入れ替わっている

  • 大半が毎月分配型

といった、ネガティブなコメントが目立ちます。

今回の資金流出は、毎月分配型の失速が原因の1つとされていますが、以前より、専門家の間では毎月分配型投資信託の評判はよろしくありません。

長期間の投資を考えた場合、分配金を受け取ってしまっては複利効果が得られないとか、分配金(普通分配金)が支払われる際に課税されるので不利だとか、収益が出ていないのに元本を取り崩してまで分配金を払っているとか、その理由はいろいろと言われてます。

もちろん、「理論的な話はわからないけど、毎月分配金がもらえるのは単純に嬉しい」と感じる方もいるこそ、ここまで売れ筋商品になってきた事実はあります。ただ、多くの人は、自分が積極的に選んだというより、金融機関からのお勧めで始めたかもしれず、正しい知識と情報があれば結果は違っていたかもしれません。

■正しい知識と情報の大切さ


何事にもメリットとデメリットの両面があります。

投資信託協会が実施している「投資信託に関するアンケート調査(2016年)」を見ると、投資信託の保有者は全体の16.0%ですから、多くの人に浸透している金融商品とは言い難い状況です。

個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)の加入対象者の拡大や、来年からスタートする積立NISAのように、少額から始められる投資制度も整い始めています。
メリットとデメリットを正しく理解するための基礎知識と、その時々に自分にあった資産形成手段を決定するための情報について真剣に意識することで、投資信託をじっくり活用する人がもっと増えるといいのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年05月05日

「バカの壁」を打ち破る「黒船来航」

GW後半5連休の中日となる今日(5月5日)は子どもの日です。

統計によりますと、日本の14歳以下の人口は1,571万人となっており、総人口に占める割合は12.4%です。この数字、人口としては36年連続、総人口に占める割合に至っては43年連続の減少となっているそうで、耳慣れてきた感のある「少子高齢化」が益々進行していることを感じずにはいられません。

■変化に対する反応


さて、こうした人口構成の変化とともに、私が関わるお金周りの世界も大きな変化の波がきています。
2月21日のブログで触れた「フィンテック(Fintech)」は、その代表的なものですが、このような変化に対する反応は人それぞれです。

積極的に知識を得て、自分の生活や仕事に取り入れる努力をする人と、よくわからないとか自分には関係ないからといって近づかない人がいらっしゃいます。

ちなみに「努力をする人」と言いましたが、実はここにも人によって大きな違いがあります。

フィンテックを例にすると、もともと金融やITに興味を持っている人にとっては、新しいことを考えたり実際に試したりするのは努力でもなんでもなくて、単に「好きなことをやっている」だけです。ゲームをなかなか止めない子ども(もちろん大人も…)と一緒で、休日だろうが、夜更かしをしようが、何の苦も無く没頭できるでしょう。

一方、「これからの時代はフィンテックが理解できないと生活水準に大きな差が出る」という言葉に不安を覚え、やりたくもないのにやっている(=やらされている)感のある人にとっては、苦痛以外の何ものでもないかもしれません。

つまり、客観的には「フィンテックを理解するために努力している人」というくくりで同じように見えても、本人からすると「好きなことに没頭している人」と「嫌なことに我慢して取り組んでいる人」という違いがあるわけです。

■黒船来航


とはいうものの、世の中の変化が現実のものとなりつつあるとき、その分野について無知であることは好ましくはありません。

人を煽る言葉はあまり好きではありませんが、こうしたお金周りの話やその先にあるフィンテックの話は、「生活の中のちょっとした差」が、積もり積もって大きな違いになっていくことはありえるため、最低限の知識や情報を取り入れていく必要はあると思うのです。

しかし、この「日常生活の中のちょっとした差」に自ら気付くことは難しいものです。

たとえ話をしましょう。

私自身、このGW中にパソコン環境が大きく変わったのですが、これは仕事仲間の方からの働きかけによって進んだ変化でした。わかりやすく言うと黒船来航です。

最初は脅威にすら感じる黒船ですが、変化を受け入れるかどうかによって、その先の道のりに大きな差が出るのは事実。実際、今回のパソコン環境の変化によって、これまで自転車で頑張って登っていた坂道をバイクで登るような違いを感じています。

■小さな変化の大きな差


自転車とバイク。

これって「劇的な変化」でしょうか?

例えば、自宅から自転車で10分かかる最寄駅まで、バイクで行くと5分程度で行けるかもしれませんが、これぐらいなら誤差の範囲と言えるかもしれません。少しだけ早く起きれば埋められる、いわば「ちょっとした差」です。
しかも、道中狭い道が多くてスピードが出せないとか、自転車にしか通れない近道があると、「健康のためにも環境のためにも自転車の方がいい」という結論を出す人も少なくないでしょう。

でも、これが500キロの移動だとしたらどうでしょうか?

自転車の平均速度は状況によって大きく違うようですが、調べてみる限りおよそ時速20劼里茲Δ任后つまり、500キロの道のりに25時間かかる計算です。

ではバイクだといかがでしょうか?
さすがにこの距離だと、高速道路も使えるでしょうから、とりあえずの平均速度を時速50劼世伐渉蠅靴討10時間で到達します。

しかもここでは休憩時間を考慮していません。
当然、人力に頼る自転車ではより多くの休憩が必要となりますし、25時間の移動であれば、途中で睡眠をとることも必要になるでしょう。

そうすると、最初の「ちょっとした差」が「埋めることが難しい大きな差」になっていることは明らかです。

今回の話は、最初の差が「徒歩と新幹線ほどの差」でないところがポイントです。

徒歩と新幹線ほど違いがあると、その先に発生する大きな差を誰もがすぐに想像できます。
でも、自転車とバイクで、しかも自宅から10分の距離の最寄駅の話なので、「いや、私は自転車の方がいいです」という選択肢も十分に考えられるわけです。

ベストセラーである「バカの壁」という本の中に、

<結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。>


<つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。>


という文章があります。

つまり「すべてを理解することはできない」ということと、「すべてを知りたいとは思っていない」ということが、人間にとってのひとつの壁だという話ですが、破るべき壁が出てきた時、その先の道を示してくれる人が身近にいることは、大切なことなのかもしれません。

多くの生活者にとってのFPが、黒船の役割を担える世の中を願う次第です。  
Posted by kurisuke701 at 10:18Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年04月25日

FP事務所の舞台裏を公開します

資格としてのファイナンシャルプランナー(FP)は、随分世の中に浸透してきたものの、仕事としてのFPは、弁護士さんや税理士さん、司法書士さん、行政書士さん、社会保険労務さんといった士業と比較して、一般的に馴染みのある職業とはいえません。

■FP実務家の定義


そもそも、FP実務家の定義ってどこにあるのでしょう。

例えば、代表的なFP相談の1つに「生命保障の見直し相談」があります。
相談者の家族構成や現在の経済状況、将来想定されるライフイベントなどをベースに、今加入している保障が適切かどうか、適切でないならば、どんな保険や共済がいいのかをアドバイスするわけですが、こうしたアドバイスを行うのにFP資格は必要ありません。

「資格は持っているけど保険相談を受けたことがないFP」と「資格は持っていないけど、長年保険会社に勤めて数多くの保険相談を受けてきたベテラン外交員」を比べると、どちらに実務能力があるかは説明するまでもないでしょう。
資格だけ持っていて実務経験の無い人を「実務家」とは呼ばないのは、どのような仕事でも共通する認識です。
かといって、「FPが学ぶ6分野に関する何らかの実務経験を持っている人」をFP実務家と呼ぶとしたら、対象者の幅が広くなりすぎます。

このように、FP実務家の定義を明確にできないことは、FPという仕事が世の中に浸透しにくい(=何をやってくれる人なのかわかり辛い)要素なのかもしれません。

■FPの役割


一方、現実にはFPとして活躍されている方はたくさんいらっしゃいます。
新聞や雑誌等のメディアにおける情報発信や、講師として様々な場所で講演活動をしている方だけでなく、家計の様々な分野における個別相談を受けているFPさんも確実に増えています。
FPさんによって仕事のスタンスは違って当然ですが、「家計(=パーソナルファイナンス)」に関係する不安や課題を解決する、という要素は共通するのではないでしょうか。

「生活の中でのお金周りが上手くいくようにお手伝いする」という言葉で説明できるのが、FPの役割なのかもしれません。

■実際のFP事務所の運営


では、こうしたFP事務所はどのように運営されているのでしょう。

この点についても、実際の現場を見る機会がほとんど無いため、イメージが湧きにくいものです。それゆえに、FP資格取得後、どのように事業を展開していけばいいのかを悩まれるケースも少なくないようです。

そこで、5月28日(日)にオープンオフィスを開催することになりました。
私が主任研究員を務める、生活経済研究所長野の事務所を公開し、日常の業務のご紹介、講演事業の舞台裏、全国主要労働組合との連携などをご紹介いたします。
事務所の内側やどのようにクライアントさんとの接点を築いているのかをつぶさに見ていただけます。

  • FP事務所がどんなところか見てみたい
  • FP事務所のスタッフと話してみたい
  • FP事務所で働いてみたい
  • プロ講師になりたい
  • 将来は独立してFP事務所を立ち上げたい
  • 事務所のビジネスモデルを生で見たい
  • 事業の舞台裏を見てみたい
  • 全国主要労働組合との連携方法を知りたい
  • 地方のFP事務所が全国に事業展開できる理由を知りたい
  • 自分のFP事務所運営の参考にしたい


といった希望をお持ちの方にとっては、貴重な機会となるでしょう。
2年に1度しかないイベントで、先着20名様限定募集となります。

当日は、家計の見直しセミナーの公開収録と、栗本FPスクールガイダンスを開催しますので、いずれかにご参加いただくことでオープンオフィスには無料でご参加いただけます。

当日のスケジュールは次のとおりです。

10:00〜12:30 公開収録1「確定拠出年金運用セミナー<基礎編>」
講師:市川貴博氏

12:45〜13:15 栗本FPスクール「講師・養成コース」の講座説明会(ガイダンス)

13:30〜16:00 公開収録2「セカンドライフを見据えたお金の活用法」
講師:栗本大介

16:00〜17:30 オープンオフィス

なお、公開収録の参加料金は1回5,400円ですが、ガイダンスに参加されると半額(1回2,700円)になります。また、家計の見直しセミナーの年間パスポート会員の方はご本人と、同伴者1名まで無料でご参加いただけます。

▼詳細はこちらのご案内をご覧ください。

▼お申し込みはこちらのページからお願いします。

  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)FP実務

2017年04月18日

自分が納得できる自己責任

前回のブログでお伝えした「2級FP試験直前総まとめ講座」はご覧いただいたでしょうか。
5月の本試験まであと1ヶ月足らず。効率の良い勉強を目指す方にとっての良きガイドとなるこちらの講座を是非ご活用ください。

家計の見直しセミナー2ch 「栗本FPスクール」


■不安を煽る情報の数々


さて、先日あるご高齢の方から、「健康不安を煽られるのは嫌だけど、実際に健康が大事なのは間違いないから厄介だ」という趣旨のお話を伺いました。

「テレビや雑誌でも、『○○をすると身体に悪い』とか、『何歳になったら○○をした方がいい』という情報があると、やっぱり気になってしまう。一方で『○○は身体に悪い』とから、『○○はやめた方がいい』と逆の話が出たりして、いったい何をしたらいいのかがわからない。だから結局は自分が良いと思うことをするしかない」とのこと。

話を伺いながら、投資や保険などの金融商品でも同じことがあるな、と思っていました。

■騙されていないのに、騙されたと感じる人がいる話


世の中には「不安商法」なる言葉があります。
文字通り「消費者への不安を煽ることにより、高額な商品を購入させる悪徳商法(ウィキペディアより)」のこと。

代表例として、耐震性の不安を煽る住宅リフォームが紹介されてます。

こうした住宅リフォームについては、明らかに必要のない工事をしていたり、必要なことをまったくやっていなかったりするので、しかるべき知識を持っている人が見れば「騙された」ことが一目瞭然でしょう。

一方で、金融商品による投資話はなかなか厄介です。

「将来のお金の面での不安を煽ることにより、より多くの投資商品を購入してもらう」というのは、ある人から見ると、先ほどの健康不安と同じで不愉快に感じるかもしれませんが、だからと言って、まったく投資商品を利用しないというのも、今の時代においては難しい話です。

さらに、未公開株をネタにした詐欺のように、明らかに犯罪行為であるケースを除けば、進められた話が自分にとって良かったのかどうか、最後までわからないケースが少なくありません。

例えば、ある株式への投資が推奨されたとします。
そして、その株を購入したAさんとBさんがいました。

2人が買った直後、その株式は大きく下落したので、Bさんは堪らずその株を売却。損失が確定したとします。
一方のAさんは、下落後もずっと持ち続けていたら、5年後にその株が大きく上昇し、結果的に投資した資金が2倍になりました。

単純な話として、Bさんは「推奨していた人に騙された!」ぐらいに思っているでしょうし、Aさんは「いい株を教えてくれてありがとう」と思っているでしょう。

ちなみに、一時は資金が2倍になったAさんも、もっと上がると思って保有していたら1年後の暴落で最後は損をしてしまう、というシナリオだってあり得ます。

■結局は自己責任?


こうした、値動きのある商品は、その商品自体には何も問題なく、販売している人が誠実に仕事をされていたとしても、結果によって「騙された」と怒る人と「ありがとう」と感謝する人がでてきます。

もちろん「買う」という行動を選んだのは自分ですから、この結果は間違いなく自己責任の話です。
どこにも「騙された」という事実は存在しません。

ただ、最初に「買う」と判断した決め手が「他人のひと言」である限り、「最後は自己責任で」という姿勢に対し、理屈でわかっていても納得しがたい人は多いのではないでしょうか。

この状況を打破する考えは、1月24日に書いたブログと同じ話で、大きく3つの考え方があります。

ここでは結論だけを書きますと、

1つ目は、「自分で納得できるものを選べるようになるまで、その分野についてとことん勉強する」こと。

2つ目は、「外せないポイントを明確にしたうえで、信頼できる専門家に任せてしまう」こと。

3つ目は「割り切ってシンプルに考える」こと。細かいことは一切気にせず自分が信じるものを好きなように買えばいいという考えです。

自分が納得できる「自己責任」が全うできるようになりたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年04月11日

2級FP試験 直前総まとめ講座の動画公開

ほぼ1年ぶりに、FP試験対策の動画を公開いたしました。

家計の見直しセミナー2ch 「栗本FPスクール」
 

私が主任研究員を務める生活経済研究所長野では、多くの人にお金周りの知識を身に付けていただくツールとして、家計の見直しセミナーの動画サイトを運営しております。そのチャンネルの1つにおいて、「2級FP技能士 直前総まとめ講座」をスタートしました。

■20年に渡る、講義ノウハウを凝縮


思い返せば、1997年にFP試験対策講座を担当したことが私の講師生活のスタートでした。
その後、20年近くに渡り本試験問題と向き合いつつ、「いかに効率よく学習していただくか」を考え続けてきました。今回の動画にはそのノウハウをぎゅっと詰め込んでいます。

FP試験に必要な6課目について、それぞれ30〜50分ずつ、合計4時間の講義をお聴きいただければ、2級FP技能士試験の合格に必要な知識が身に付きます。
出題頻度の低い分野や、出題は多くても得点源になりにくい分野は思い切ってカットし、合格に必要な点数を最短距離で取っていただけるようにしています。

特に、独学で学ばれてきた方や、お仕事の関係でなかなかまとまった学習時間の取れない方にとっては、最適な講座となるでしょう。


■効率よい学習をサポートする5つのポイント


1.お試し無料「タックスプランニング」(約40分)
  利用者登録だけでフルバージョンをご覧になれます。

2.各単元ごとに購入できます(6,480円、税込)。
  苦手科目だけを購入できるので無駄がありません。

3.6科目セット割引
  6科目計32,400円 → 25,920円(2割引、税込)。

4.テキストもダウンロード印刷できます。
  思い立ったらすぐに勉強が始められます。

5.FP資格取得者もお申し込みいただけます。
  ご自身が講師をなさる際の見本としてもご活用ください。



5月28日のFP本試験日まで、あと1ヶ月半。

時間を有効に使い、ぜひとも短期間での合格を勝ち取ってください!


家計の見直しセミナー2ch 「栗本FPスクール」
  
Posted by kurisuke701 at 00:31Comments(0)TrackBack(0)FP学習法

2017年04月04日

人生100年時代に考えるべきこと

新年度になり、新たな環境での生活がスタートしたという方もいらっしゃるでしょう。
SNSの中でも、新生活のスタートを報告される投稿が目につき、期待と不安の入り混じった様子が伺えます。
桜が咲き始めるこの時期は、何となく気分が華やぐ季節でもあります。

■平成29年度の年金額


さて、4月1日から公的年金の金額が変更になりました。

全体としては0.1%の減額となっており、ベースとなる、国民年金からの基礎年金の満額は780,100円から779,300円に。
また、遺族基礎年金や障害基礎年金の子の加算額は2人目までが224,500円から224,300円に減額となっていますが、3人目以降の74,800円には変更ありません。
昭和18年4月2日以降生まれの方の配偶者加給年金は390,100円から389,800円となり、中高齢寡婦加算は585,100円から584,500円になっています。

厚生年金は、働いていた期間とその時のお給料によって計算されるため、人によって受取額は様々です。

例えば、同じ40年間の厚生年金保険料納付期間がある人でも、その期間の平均年収が300万円の人だと、受給額は約66万円で、500万円の人だと約110万円。
厚生労働省のモデルケースでは、夫婦2人の受給額を「月額221,277円(前年は221,504円)」としているので、年額2,655,324円。そのうち夫婦の老齢基礎年金が2人分で1,558,600円ありますから、単純計算した厚生年金は年額1,096,724円。年収500万円程度で計算された数値となります。
(厚生労働省の前提条件は「賞与を含む平均標準報酬を42.8万円」としています。)

■想定と現実の違い


ここで、国税庁が発表している平成27年分の民間給与統計実態調査に目を移すと、4,794万人の給与所得者の平均給与は420万円となっていて、厚生労働省のモデルケースより少ないことがわかります。
しかも総務省の労働力調査によると、2016年10月〜12月平均の雇用者5,415万人のうち非正規の従業員が2,042万人で、全体の37.7%を占めています。
非正規雇用者の平均給与が約171万円ですから、実際の年金受給額は、モデルケースより少ない人が多数派なのは明らかです。

■人生100年時代の将来設計


昨年話題になった「LIFE SHIFT」という本があります。この本の副題は「100年時代の人生戦略」でした。2007年生まれの半数の平均寿命が107歳に達する「長寿化時代」になっているとして、それに備えた人生設計を推奨した内容です。

本の内容をかなりざっくりまとめると、

  • 「10〜20代前半は教育を受け、60歳過ぎまで働き、引退して余生を過ごす」という3ステージの人生モデルは崩壊している。


  • 仕事の期間の長期化により、ステージの移行を多く経験するマルチステージになり、働き方のほか、健康・スキル等の「無形資産」に積極的に目を向けなければいけない。そして、それに応える教育・企業・政府による取り組みと改革が必要となる。


  • 大規模で多様性に富んだ人的ネットワークは重要な無形資産。知識より大事。何を知っているかではなく、誰を知っているかが重要な要素となる。


という感じでしょうか。

時を同じくして、自由民主党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」が「人生100年時代の社会保障へ」と題した提言を公表しており、この中でも「雇用を守るのではなく、人を守るへの発想の転換が必要」ということが書かれています。
民進党も「社会保障政策調査会」を設置しており、これまで抜本的な改革が先送りされてきた社会保障制度について、さすがに待ったなしの状況が近づきつつあるように感じます。

■充実した人生に不可欠の要素


ただ、「LIFE SHIFT」の中では、「人生に満足している人に共通する際立った要素の一つは、生涯を通して深くて強力な人間関係を築いていること」であることが紹介されています。
経済面で生活に不安が無いことはとても重要ですが、周囲との人間関係(私はこれを総称して「愛」と呼んでます)を築くことは、本当に大切です。

お金の面の心配だけでなく、より充実した人生を過ごすための準備をしたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2017年03月28日

相続手続きは、本当に簡素化されるのか?

2016年7月5日のブログでも触れた相続手続きの簡素化に関する制度について、5月からのスタートが法務省から発表されました。

■相続関係の証明書


相続が発生すると、金額の多い少ないにかかわらず、亡くなった人(=被相続人)名義の預貯金や不動産などを、相続人名義に変える手続きをしなければいけません。その際、正当な相続人であることを証明するには、相続関係を証明する現在の戸籍以外に、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍」が必要となります。
手続き先が複数ある場合、各金融機関や法務局等の窓口でこの戸籍の確認が必要となるわけですが、今回の制度がスタートすると、一度揃えて法務局に提出すれば「相続関係の証明書」が発行されるため、これを利用して手続きが進められるようになります。

では、本当に相続手続は簡素化されるのでしょうか?

■今後も残る戸籍収集作業の壁


まず、戸籍というのは1人1通というものではありません。結婚や離婚、法改正や転籍などにより、1人の戸籍が何通にもおよぶことは珍しくありませんし、本籍地を移していると、戸籍の請求先も複数の自治体に及びます。出生から死亡までの連続した戸籍が必要ということは、大正時代や昭和初期の戸籍にまでさかのぼるケースもあります。コンピュータ化された現在の戸籍とは違い、昔の戸籍は手書きで読みづらく、しかも「家」単位で作成されているため、記載されている人数も多いものです。

相続人の方が手続きを進めるうえで、この戸籍収集の苦労が大きな壁となって立ちはだかります。

さらに、こうして集めた戸籍を、法務局や金融機関などの手続きをする窓口に提出するわけですが、その際に窓口の担当者は「戸籍が本当に揃っているかどうか」を確認しなければいけません。
実際の手続きを行うとわかりますが、この確認作業に30分や1時間程度を要することは珍しくなく、休みを取って一気に複数の窓口を回ろうと思っていたのに、1か所や2か所しか行けなかったということになりかねないのです。

メディアの報道では、「戸籍を集める作業が1回で済む」ことをメリットとされているケースがあるようですが、実はこの部分は今までとほぼ変わりません。
ほとんどの窓口では、原本を確認したあとコピーを取りますから、原本は返却されるのが一般的です。つまり、戸籍を集める作業はこれまでも1回だけでよかったわけです。

■手続きの簡素化ではなく、事務作業時間の短縮化


今回の新たな制度がスタートしても、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍の取得」という最初の壁は残ります。ただ、その戸籍を法務局に持って行き「証明書」を発行してもらえば、それ以降の手続はすべてこの1通の証明書で進めることができるので、各窓口での確認作業や、コピーを取る作業は随分と軽減されそうです。

そういう意味で、金融機関等の職員さんにとって、今回の制度スタートはかなりありがたいのではないでしょうか。もちろん、相続人側から見ても、手続きに訪れた際に短時間で処理してもらえることは大きなメリットとなりそうです。

いずれ発生する相続は、事前の備えの有無が、その後の手続きに大きな差となって表れるものです。
手続きの長期化が、親族内のトラブルに発展するケースもありますので、今回の制度改正を機に、今できる準備を進めていくことも大切ではないでしょうか。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)相続・贈与

2017年03月21日

遺族年金における夫と妻の差

公的年金には、老後の生活を支える老齢年金のほか、所定の障害状態となった際に受け取れる障害年金と、被保険者が死亡した際に遺された家族が受け取れる遺族年金があります。

このうち遺族年金については、「夫が死亡した際の妻」に比べ「妻が死亡した際の夫」は受給要件が厳しいため、法の下の平等を定めた憲法に違反するのではないかという話題が、以前から言われてきました。

その中で注目すべき判決が、3月21日に最高裁判所で下されました。
先に結論を書くと、「男女の賃金格差などを踏まえれば、(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘され、「規定は合憲」とする判断が示されたのです。

■遺族年金とは?


そもそも遺族年金とは、公的年金の被保険者が死亡した場合に、一定範囲の親族が受給できる年金で、残された家族の生活保障を目的とした、いわば生命保険や共済のようなものです。

ひと口に遺族年金といっても、国民年金からの給付には、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金があり、厚生年金からの給付には、遺族厚生年金、中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算があるため、自分の場合はどの年金が、いつから、いくらもらえるのかがわかりにくくなっています。

ここでは、ベースとなる遺族基礎年金と遺族厚生年金だけをとりあげます。

まず、国民年金から支給される「遺族基礎年金」からみましょう。
遺族基礎年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」となっています。年金法上「子」とは、18歳に達した後の最初の3月31日までの未婚の子を指すので、ここでは単純に「高校を卒業するまでの子」と考えてください。ちなみに、1級、2級の障害のある子の場合は20歳になるまでが対象です。

この遺族基礎年金は、昭和61年に年金の大改正があるまでは「母子年金」と呼ばれており、遺族基礎年金と名称が変わったあともしばらくは「母と子」だけしか受けることができなかったのですが、昨今の社会情勢を反映し、平成26年4月以降は「父と子」も受け取れるようになりました。
つまり、高校を卒業するまでの子がいる家庭では、夫が亡くなった時の妻と、妻が亡くなった時の夫に、差は無いということです。

一方の遺族厚生年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母ですから、遺族基礎年金に比べると受け取れる人の範囲は広くなります。

ただし、夫、父母、祖父母が受給できるのは、本人の死亡当時に55歳以上の場合に限られ、実際に受給できるのは60歳に達した時からとなります。夫婦間で見ると、夫が亡くなった時の妻には年齢制限がないのに、妻が亡くなった時の夫には年齢制限がある、つまり、差があるというわけです。


■妻が亡くなった場合の給付


例えば、「妻が亡くなって、夫と18歳年度末までの子が遺族となった」場合を考えてみましょう。

この場合、まず夫は遺族基礎年金を受給できます。また、夫が55歳以上であれば、本来は60歳からしか受け取れないはずの遺族厚生年金も、遺族基礎年金と併せて夫に支給されます。

一方で、夫が55歳未満であれば、夫は遺族基礎年金だけの受給資格を持ち、遺族厚生年金は受給できません。ただ、18歳までの子がいますので、その子が遺族厚生年金を受給することになります。結果的に、世帯としては遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することになっていますが、遺族基礎年金は夫に、遺族厚生年金は子に対して支払われる点にご注意ください。
なお、この場合、子がいない(または18歳年度末を超えている)と遺族厚生年金はもらえず、冒頭にご紹介した最高裁判所が判決を出した問題は、まさにこの点が争われていたのです。


■性別の差を認めた判断


実際の事件は、遺族厚生年金ではなく遺族補償年金の話です。1998年に、当時51歳だった妻が自殺し、労災の認定を受けたことで、当時51歳だった男性が遺族補償年金の支給を申請したところ、妻の死亡時点で55歳未満だったことを理由に支給されなかったことを不服として訴えを起こしました。

この問題では、一審の大阪地裁判決は「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で、配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」として不支給の決定を取り消しているのですが、その後、二審の大阪高裁では、男女間の賃金格差を理由に「夫を亡くした妻の方が、独力で生計を維持できなくなる可能性が高い」と指摘し、不合理な差別ではないという判断を下しています。

そして今回の最高裁判所は、判決理由の中で、男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差、雇用形態の違いを挙げ、「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば、妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と二審同様の判断を下したわけです。

一方(=遺族基礎年金)では、男女差を無くす方向に動きながら、他方(=遺族厚生年金)では差があってもよいとされた結果には、納得できない考えもあるかと思いますし、今後も議論は続くかもしれません。ただ、現状の制度の取り扱いを認識したうえで、世帯の状況に合わせた生命保険や共済の準備を考える必要があるという点は忘れないようにしましょう。

そしてもう一つ。たとえ制度上受給対象になっていても、受給権者が請求しなければ遺族年金は支給されません。私たちを守る制度の仕組みを知り、イザという時に請求漏れがないようにするとともに、自分の周りでご家族の亡くなった方がいらっしゃる場合、「年金事務所に行って確認した?」という言葉をお掛けいただきたいと思う次第です。
  
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2017年03月14日

個人型DC制度の税制優遇の不思議

2017(平成29)年1月から、個人型確定拠出年金の加入対象者が広がり、これまで利用できなかった、公務員の方や専業主婦などの国民年金第3号被保険者の方が加入できるようになりました。

厚生労働省のサイトを見ますと、個人型確定拠出年金の1月の新規加入者数は26,705人となっています。
制度開始の2001年からの個人型の累計加入者は2016年12月時点で約30.6万人。単純計算するとこれまでは1年平均2万人程度のペースで加入されてきたものが、今回の改正によって1ヶ月で2.6万人増ですから、スタートダッシュとしては良い感じで広がっているようです。

ちなみに、内訳を見ると
第1号加入者:2,146人
第2号加入者:22,647人(うち、共済組合員8,719人)
第3号加入者:1,912人
の合計26,705人。

第1号加入者とは、国民年金の第1号被保険者のことなので、これまでにも利用できた方。第2号加入者は会社員や公務員、団体職員さんなど、厚生年金の被保険者を指し、そのうちの公務員さんが「共済組合員」と表現されています。そして第3号加入者は専業主婦を代表とする国民年金第3号被保険者の方。つまり、今回の制度改正で新たに加入できるようになった人(公務員と第3号被保険者)だけで見ると、10,631人というわけです。

最初のうちは、「加入できるようになることを待っていた人」が手続きをしますから、このペースは今後一気に縮小するかもしれませんが、まずはいい感じでスタートしたのではないでしょうか。ちなみに、過去半年ぐらいの企業型の加入者数の増加は1ヶ月当たり1.6万人程度で、2016年12月末時点の累計加入者数は。約589万人です。

■確定拠出年金とは?


そもそも確定拠出年金は、支払った掛金を自分が選択した金融商品で運用し、その運用結果に応じて将来の受取額が変わるという、自己責任運用型の年金制度。「Defined Contribution Plan」の頭文字を取り「DC」と表記されることが一般的です。
この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入するものを「企業型」といい、
個人が自分の意思で手続きをして加入するものを「個人型」といいます。

個人型DCは、「iDeCo(イデコ)」という愛称もつけられています(「I」は個人を表す「Individual」からきています)。

さて、運用次第で将来の受取額が変わると聞くと、投資になれていない多くの方にとっては気軽に始めにくい制度かもしれません。
ただ、取扱い金融機関はもちろん、多くのサイトや書籍等でも触れられている通り、税制面でのメリットが大きいため、「やった方がよい」というイメージがあります。

■3つの税制優遇とは?


税制優遇の1つ目は掛金の全額が所得控除の対象になることです。
所得控除の対象になると「税金計算の元となる金額から差し引く」ため、同じ所得の場合、負担する税金が少なくなります。

例えば、毎月1万円の掛け金を支払うとしましょう。この場合、年間掛金の12万円が所得控除の対象なので、課税対象となる所得が12万円少なくなります。
所得税の税率は所得に応じて5%〜45%のいずれかとなります。日本人の平均的な所得の場合、適用されるのは多くても20%の税率ですから、所得が12万円少なくなることに対する税金の軽減効果は24,000円。住民税の10%を併せると36,000円の軽減効果です。
12万円の積立に対して、36,000円の軽減ですから大きいですよね。

ただ、所得税率5%の人だと、この効果は18,000円ですし、そもそも住宅ローン減税やふるさと納税などの制度を利用してほとんど税金を払っていない人の場合、このメリットはまったく関係ありません。
ご自身の納税状況を冷静に判断したいものです。

そして2つ目の税制優遇は、運用期間中に得た利益が非課税となることで、これは文字通りの意味です。
運用先として選択した投資信託の価格が大きく上昇し、仮に10万円の利益が出たとしましょう。投資信託等で得た利益には、原則として20%(所得税15%と住民税5%)の税金が課せられるので、「10万円×20%=2万円」が税金となりますが、これが非課税になるわけです。
こちらも、大きなメリットではありますが、当然ながら「利益の出ている状態で投資信託を売却したとき」だけに関係するものなので、やはり状況によって得られるメリットに差が出てきそうです。

■自分で積み立てたお金に対して課税されるのはなぜ?


そして3つ目のメリットは、将来受け取る時にも税金が優遇されることです。

これも基本的な考えは「受け取るお金に掛かる税金を計算する際に優遇される」というものですが、考えてみるとおかしな話です。
会社側が掛金を負担することがほとんどの「企業型DC」はいいとして、個人型DCの場合、掛金を負担するのは自分自身です。
「DC制度では運用してきた資産を受け取る際の税金が優遇される」と言われると、なんとなくお得な気がしますが、そもそも自分が貯めたお金に対してなぜ税金を掛けられないといけないのでしょう?
毎月1万円ずつ銀行で積立貯金をし、30年後に貯まった360万円を一括で引き出す際に、
「一括で受取る場合は退職金となるので退職所得として課税対象となります」と言われたら、「ん?」と思いませんか?
なんで、自分の預貯金を引き出すのに税金がかかるの?って話です。

この税制優遇、そもそもの制度の見本となった「アメリカの内国歳入法401条k項」では、
「所得税繰り延べ」と説明されています。繰り延べというのは、「今は取らないけど、将来取るよ」という話で、ようするに課税時期の先送りです。
1のメリットで、掛金支払時に税金を優遇したので、その分を将来受け取る時に清算する、と考えればわかりやすいでしょうか。
もちろん、優遇の結果「負担する税金がゼロ」になることもあるので、結果的には大きなメリットとなることは間違いありません。

なお、投資信託は購入時や保有時に手数料が掛かるのが一般的です。DC制度には、こうした手数料がとても低い水準になっているケースが多いので、その点でのメリットは大きいかもしれません。

結局のところ、「税制メリットがあるから確定拠出年金を始める」のではなく、ご自身の老後資金の積み立て手段として、確定拠出年金を選択肢に入れる」という意識が大切なのではないでしょうか。
  
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2017年03月07日

自分にとっての優先順位

先週末は家族で北陸旅行に行ってきました。

東尋坊に立ち寄ったあと、観音院加賀寺へ。ここはその昔、「ユートピア加賀の郷」という名のテーマパークでした。平成13年に、当時8歳、5歳、2歳だった子どもを連れて来たことがあるのですが、16年ぶりに訪れた場所はホテルや遊園地が閉鎖され、「廃墟」として紹介されるほどの寂しい施設になっておりました。

ライフプランを立てる時、将来の夢や希望を確認するのが一般的です。
その中には、住宅の取得や、子どもの進学などのイベントと合わせ、「いつかはここに行ってみたい」とか、「退職後はこういう場所に住みたい」といった、「今はできないけど、将来実行したいこと」がでてきます。
でも、今回の出来事を受けて、「いつか」が永遠に訪れない可能性もあることを改めて考えさせられました。そういえば、私の奥さんは「いつかSMAPのコンサートに行きたい」と言ってましたが、もはや実現することはないでしょう。

人生において何を重視するのかは、人によってそれぞれですし、同じ人でもその時々の考え方や環境によって変化するのは当然です。
何年か前にはとてもやりたかったことが、今ではまったくやりたくないということもあります。
ただ、「いつかやろう」「そのうちできるだろう」ということの多くは、結局できないまま終わってしまう気がします。

先日の旅行では、「加賀伝統工芸村ゆのくにの森」にも立ち寄りました。
ここでは、相田みつを展が開かれています。

相田みつを


相田みつをさんの詩は、心に響くモノが多く、その中の1つに

そのうち
そのうち
べんかいしながら日がくれる


という詩があります。

これは、仕事で詰まっている時には、気が進まない仕事を先送りしている自分を戒める言葉として受け取れますし、ライフプラン全体の中で考えると、「実現できないまま終わってしまうよ。人生は短いよ」というアドバイスとも受け取れます。

自分にとっての優先順位。
時にはゆっくり振り返ることが必要かもしれません。
  
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2017年02月28日

納税意識を高めましょう

2月16日から3月15日までは、所得税の確定申告期間です。

勤務先からお給料を受け取っている人は、原則として年末調整によって税金の精算が終わるため、確定申告を意識していない方も多いかもしれません。

■源泉徴収制度の功罪


いわゆる「給与所得者」は、毎月のお給料から税金が天引きされています。

そもそも所得税は「1月1日から12月31日までの1年間の所得」に対して課せられるもので、本来でしたら12月31日にならなければ金額が確定しません。
ただし、お勤めの方が勤務先から受け取るお給料の多くは毎月の水準が決まっている上、12月の支給日をもって年間の総額が確定します。
そこで「今年はこれぐらいの収入になりますよね」という見込みで、毎月のお給料から天引きしておき、12月の支給額が決まった時点でそれまでの過不足を調整して完了する仕組みになっているわけです。

予め徴収するこの仕組み「源泉徴収制度」と言いますが、これによって手続きが楽になる反面、税金に対する意識が希薄になるというデメリットもあります。

■選挙時の投票率が低い理由


税金に対する意識が希薄だと、その使われ方に対する意識も希薄になりがちです。

税金の使い道は、国や地方自治体の議会で決められますが、ここで議決権を持つ政治家(と総称します)は、国民の選挙によって選出されます。
お金の使い道を決める(だけではありませんが)という大切な役割を担う政治家を決めるわけですから、本来であれば選挙権を持つ人の多くは選挙に行くべきですが、昨年の参議院選挙で54.7%だったように、日本の投票率の低さは有名です。

罰則があるかなどの制度の違いもあるため、一概には比較できませんが、オーストラリアの投票率は常に90%を超えているそうです。国際統計データを専門に扱うGLOBAL NOTEによると、2016年2月時点の日本の投票率は191か国中153位でした。

この要因は、もちろん1つだけではありませんが、源泉徴収制度などによる納税意識の低下も影響しているように思います。

■ふるさと納税に見る人々の意識


この納税に関連する意識が高まった制度の1つに「ふるさと納税」があります。

平成27年度に利用された金額(=地方自治体の受入額の合計)は約1,653億円で、前年の約389億円から4倍以上に増えました。金額が大きく増えた背景には、平成27年度からふるさと納税枠が倍増したことと、ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設により、手続きが簡素化されたことがあげられています。

このふるさと納税は、地方活性化政策の1つとして平成21年度に誕生した寄付制度です。
人口が都市部に集中する中で、税収が縮小している自分の生まれ育ったふるさとの自治体に対して納税できる制度があっても良いのではないか、という問題提起から始まりました。
つまり、納税者に税金の使い道を意識してもらうための取り組みでもあるわけです。

一方で、税収を増やしたい(=多くの寄付を受けたい)自治体が、納税者に対して実施している「返戻品」が大きくクローズアップされたことで、「地域の特産品がもらえるお得な制度」という認識で利用を始めた人も少なくないでしょう。

そして、この返戻品競争が激化した結果、タブレットや電化製品といった、地域の特産品
とはいえない物も増え、寄付額の1,653億円に対して、返戻品調達のための費用が793億円にも上っているそうです。
このような現状を受け、国は自治体に対して是正を促す方針を発表しています。

税金の使い道について意識を向ける納税税者増えることは望ましいものの、本来の趣旨を理解しないまま「お得な通販」として利用している人が増えているのであれば、確かに見直す必要がありそうです。

私たちの生活に税金との関わりは欠かせません。確定申告をする方は、申告書の作成時に自分の納税額を意識するものですが、年末調整で終わっている方もよくわからないからと敬遠するのではなく、源泉徴収票をよく見て、1年間にどれだけの税金を負担しているかを意識してみてはいかがでしょうか。  
Posted by kurisuke701 at 10:39Comments(0)TrackBack(0)税金

2017年02月21日

高齢者の財産管理とフィンテック

先日、フィンテックに関するセミナーを受講する機会がありました。

フィンテック(Fintech)とは、FinanceとTechnologyを組み合わせた造語で、ITを活用した金融サービス全体を指します。

身近になりつつあるフィンテック


さて、このフィンテックは、スマホの普及とともに急速に広がっています。

身近なところでは、お財布ケータイや家計簿アプリを利用している人は多いかもしれません。コミュニケーション手段として多くの人が利用しているLINEがサービスを始めた「LINE Pay」は、以前メルマガ(324号)で取り上げたことがあります。

友人や仲間と食事に行った際、計算した金額をLINEを通じて送金し合えば、集金の手間も省けるし、細かいお金が無くても気にしなくて大丈夫。こちらはまだ普及には至ってませんが、身近なちょっと便利なことは、これからも増えることでしょう。

このように、生活がより便利になることが謳われているフィンテックですが、一方で、自分の感覚だけでは継続できない細かいお金の管理や、財産管理の安全性を高める手段としても活用できそうです。

「チリも積もれば山となる」投資


例えばカフェで420円のドリンクを飲んだとします。
レジで500円を支払えば、80円のおつりを受け取るわけですが、この80円を自動的に投資や積立に回すという設定ができたりするのです。

日本でのサービス開始はこれからのようですが、米国ではAcorns(エイコーンズ)という企業がすでに実現しているそうです。

小銭で受取る80円は、気が付けばすぐに無くなってしまうかもしれませんが、電子マネーを通じて積立をすれば、1ヶ月経つと結構な金額になりますよね。

仮に、カフェやランチ、ちょっとしたお買い物で、1日3回、お金を支払う機会があるとすると、1ヶ月では90回。1回80円ずつの積立が7,200円ですから、1年で86,400円の積立が出来てしまいます。そのお金で家族旅行に行ってもいいでしょう。また、この行動を40年間続ければ約345万円ですから、老後の備えとしては心もとないですが、準備資金の助けぐらいにはなるでしょう。

まさに「チリも積もれば山となる」です。

昔から500円貯金なんていうのがありましたが、それをより確実に実行するための仕組みでもある上、単に貯金箱に入れるのではなく、投資信託などの購入によって、少しとはいえ運用益が得られる可能性もあるわけです。
全国で100万人の人がこうしたサービスを利用すれば、864億円の新たな投資需要が生まれる計算になり、経済の活性化に貢献できるかもしれません。


振り込め詐欺や不正な使い込みを防ぐ手段


そしてもう1つ考えられるのは高齢者の財産管理です。

こういうサービスがあるかどうかは知りませんが、例えば、離れて住んでいる親が、10万円以上の振り込みをした場合、予め連携しておいた子どものスマホアプリにその情報が入り、そこで「承認」をしないと振込が実行されない、なんてことができれば、振り込め詐欺による被害をかなり減らせるのではないでしょうか?
最近問題になっている、後見人による財産の使い込みなども、他の親族の監視の目が付くことにより防げるかもしれません。

これからしばらくは、高齢者がどんどん増える時期です。

加齢に伴う判断能力の低下は、程度の差こそあれ、多くの人に降りかかる事実ですし、時代が変わってもお金にまつわるトラブルは残念ながらゼロにはなりません。
人の介在によって不正が発生するのであれば、それを防ぐ仕組みこそ感情を持たないITの出番なのではないでしょうか。

高齢者の財産を守ることは、いずれ引き継ぐ子世代の財産を守ることでもあります。
送金や家計簿管理を便利にしていくだけでなく、財産管理の弱点を補完する機能こそ、どんどん進化してほしいと願わずにはいられません。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年02月14日

公開収録と栗本FPスクールガイダンスのご報告

去る2月12日に、東京の田町で生活経済研究所長野の「家計の見直しセミナー公開収録」と栗本FPスクールの「講師・養成コースガイダンス」を開催いたしました。
当日は多くの方にご参加いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。

■がん保険の考え方と商品知識


公開収録1つ目の演題は「がん保険の考え方と商品知識」。
こちらは新作講演ということもあり、様々な立場の方への徹底したリサーチを事前に行いました。その中で寄せられたご意見には「そもそもがんとは何なのか?」という「がん保険」以前の疑問が少なくなかったので、その声に合わせた幅広い内容を構築した結果、一般的ながん保険のセミナーとはひと味もふた味も違う内容になっております。

20170212関口さん


参加者アンケートにおいても「知らないことが満載だった」「切り口が生活者視点に立った裏付けのある内容になっている」などの声をいただきました。

当日参加できなかったみなさまからのお問い合わせも頂戴していますが、こちらの講演は2月21日にWEB配信がスタート予定です。

第39回「がん保険の考え方と商品知識」
 

■火災・地震補償の考え方と商品知識


公開収録2つ目の演題は「火災・地震補償の考え方と商品知識」。
こちらは、これまでに多くの講演実績がありますが、講演の都度少しずつ地道に内容をブラッシュアップしています。現時点の最新状況を踏まえ、そもそもの考え方から商品知識までが網羅されている内容となっています。

20170212塚原さん


参加者アンケートでは「損保・共済を比較しながら全体の見積もりポイントが分かった」「最初は難しい話だと思ったが、よく整理されていてわかりやすい内容だった」などの声をいただきました。


こちらの講演映像も2月21日にWEB配信がスタート予定となります。

第40回「火災・地震保障の考え方と商品知識」
 

■栗本FPスクールガイダンス


セミナーとセミナーの間には栗本FPスクール「講師・養成コース」のガイダンスを行いました。
こちらのコースでは、FPのプロ講師として必要な講演スキルとともに、講師として稼ぐ力を身に付け、安定した収入を得ることを第一の目的にしています。

そのための目玉となる「里親制度」は、実績十分な講師陣が受講生一人一人を里親として受け持ち、卒業までの2ヶ月間をサポートするもので、第1期生のコースでも非常に好評でした。
「講座を受ければ稼げる講師になる」のではなく、「稼げる講師になるように徹底的に指導する」のが、こちらの講師養成コース。

ガイダンス映像は、栗本FPスクールのサイトでご確認いただけます。

栗本FPスクール「講師・養成コース」

5月21日開講となる「講師・養成コース」第2期生にも、既にお申込みやお問い合わせをいただいております。

また、セミナーとガイダンスの間には名刺交換会を実施いたしました。
参加者の中には、各分野で活躍されている実務家FPさんや、大手団体の方も多数いらっしゃいましたので、参加者お互いのネットワークを広げる場としてもご活用いただけたようです。

次回は5月28日(日)に長野県松本市で開催予定となっていますので、ご興味のある方は是非ご予定くださいませ。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)お知らせ

2017年02月07日

投資教育の前に必要な「生活設計教育」

金融庁に「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」が設置され、その第1回の事務局説明資料が公表されました。
その中で「資産形成を促すために大切な要素」として、\度の整備、⊆汰的な投資教育、6睛撒ヾ悗慮楜卷椣未龍般咳娠弔3つがあげられています。

■資産形成は何のために必要なのか?


日本では個人の金融資産が現金や預貯金、保険等の元本確保型商品に偏っていることが指摘され続けています。
2016年12月22日に公表された日本銀行の資金循環勘定によると、日本の家計金融資産は1,752兆円あり、その52.3%が現金・預金。国全体として「貯蓄から投資へ」という流れを進めている中においても10年前と比べてほとんど変化がありません。一緒に比較されている米国とユーロエリアの現金・預金の比率を見ると、米国が13.9%で、ユーロエリアは34.6%。日本人の貯蓄重視傾向の根拠としてもよく利用される数字です。

こうした現状を背景に、「貯蓄に偏っている家計の金融資産をもっと投資商品に振り分け、資産形成を進めよう」という流れが進められているわけですが、そもそも資産形成は何のために必要なのでしょうか?

家を買うため?
子どもの教育資金を用意するため?
退職後の老後資金を貯めるため?

もちろん、目的は人によって違いますし、何か1つだけということもないでしょう。
いずれにしても、こうした人生の中で遭遇する様々なイベントには、多かれ少なかれお金がかかることと、そのためのお金はあらかじめ用意しておくことが望ましい、という考えが(正しいかどうかは別として)一般的だといえそうです。

■資産形成の手段=投資商品の利用なのか?


「自分にとって将来必要となる資金を準備する」=「資産形成」であるとして、次に考えるのはそのためにどういう手段を選ぶのかという話。

これにも様々な考え方がありますが、基本的には「収入を増やす」か「支出を減らす」か「手持ちの資産からの運用収益を増やす」という3つがあげられます。

今回の話は、この中で「資産からの運用収益を増やす=投資商品を利用する」という流れから出ているものです。そして、そのための制度は着々と広がっているわけですが、一方で制度の普及が、必ずしも投資商品の利用に繋がっていないという事実があります。

代表的な制度として、確定拠出年金やNISAの実態を見てみましょう。

確定拠出年金制度が日本に導入されたのは2001年ですから、今から15年前。
2016年3月末の加入者数は企業型で約550万人に増加しているものの、約3,600万人の厚生年金被保険者数からすると、15%強にとどまっています。しかも、企業年金連合会の公表資料によると、選択されている運用商品は、預貯金(35.6%)と保険(18.8%)といった元本確保型が全体の54.4%を占めており、制度の普及=投資商品の普及とはなっておりません。

ちなみに、2016年3月末時点の個人型の加入者は25.8万人で、選択商品は預貯金(38.9%)と保険(26.8%)で65.7%。企業型よりも元本確保型商品の比率が高くなっています。

もう一つのNISA口座に関しても、似たような傾向があります。こちらは「元本確保型商品」を選ぶことはできませんが、口座を開設しても何も商品を利用していない「非稼働口座」が全体の53.5%に及んでいるのです。(金融庁の利用状況調査より)

2017年1月から個人型の加入対象者が拡大されますが、いずれにしても、制度の普及だけでは投資商品の利用が伸びるわけではないと言えそうです。

これには、制度そのものが知られていないことや、必要な知識が不足しているため利用を躊躇しているというように、「投資教育の不足」が背景の1つとして上げられますが、一方で「そもそも資産形成の手段として本当に投資商品の利用が必要なの?」という疑問があるのかもしれません。

もっともらしい理由を重ねて、いつの間にか投資に誘導されている心地悪さ、でも言うのでしょうか。

■必要なのは「生活設計教育」


先日、ふと見かけたネット上の記事をツイッターでご紹介したところ、複数の方から共感を得るという出来事がありました。

かいつまんで言うと、イギリス人は日本人ほど老後のための資産形成をしていない、というお話で、

「イギリス人は今日を生き、日本人はリタイア後を思いあぐねる」

という言葉が紹介されていました。45歳以上で預金額が9,000ポンド(=約130万円)未満の割合が全体の40%強なのだそうです。

考えてみると、日本で普及を進めている「NISA制度」のお手本は、イギリスの「ISA制度」です。日本のお手本となる資産形成手段が浸透しているイギリス人は、さぞかし多くの資産を持っているのだろうという思いこみに対して、そうではない一面が見えたところに驚きがありました。

長くなりましたが、ここで言いたいのは「投資は必要ない」ということではありません。
私自身、投資の必要性は強く感じていますし、そのための制度も多くの人が正しく知って、有効に活用するべきだと思っています。

一方で、「将来のために資産形成が必要」「そのためには投資商品の利用が不可欠」という一連の流れに、なんだか居心地の悪さを感じている人も少なくないのではないかな、とも感じています。
ですから、制度だけを準備しても、なかなかその流れに身を任せようとしないのではないでしょうか。

自分にとって何が大切で、そのために必要な要素が何なのかは、やはり自分主体に考えるべきことではないでしょうか。

そのために必要なのは、「投資教育」ではなく、「人生教育」というか、「生活設計教育」とでも言われるべきものかもしれませんね。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年01月31日

平成29年度の年金額改定

1月27日に厚生労働省から、来年度の年金額改定が公表されました。

■平成29(2017)年度は779,300円


2016年の消費者物価指数の下落を受けて、国民年金(基礎年金)の満額は0.1%減額の、月額64,941円となります。年額としては公表されていませんが、計算式に当てはめると779,300円となるので、現状の780,100円からは800円の減額となります。

公的年金の金額は、物価変動と名目手取り賃金変動率をベースに毎年改定されます。
2016年は、消費者物価指数(総合指数)が0.1%の下落で、名目手取り賃金変動率は1.1%の下落。両方とも下落した場合で、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回った時は物価変動率が適用されることになるので、結果として今回は0.1%の引き下げとなったわけです。

年間800円の減額が、たちまち生活に影響を及ぼすことはないとはいえ、「公的年金の受取額が将来減るという不安」を大きくする要因にはなりそうです。

ちなみに、私が社会人になった1994年の年金額は747,300円だったので、その後の23年間で約4%上昇しています。
「年金受給額は年々減っている」という印象を持つ方は多いのですが、数字上は増えています。
しかも、この間の消費者物価指数の上昇率は約2%ですから、実質的な価値としても増えているのです。
イメージって怖いですね。

なお、第1号被保険者が負担する国民年金の保険料は、月額16,260円から16,490円に引き上げられるので、年間では2,760円のアップとなっています。

■「自分の場合」の受取額を知っておく


退職後の生活資金設計(リタイアメントプラン)を考える際、「公的年金だけでは足りないのではないか?」という話は常に出てきます。

もちろん、生活に必要なお金は人によって違いますし、受け取る年金額も人によって大きく違いため、一概には言えません。
先ほどの数字(年額779,300円)は国民年金からの給付だけですが、お勤めの方が加入している老齢厚生年金も含めると、夫婦2人の標準的な年金額は月額約22万円と公表されてるので、毎月の生活費を賄うだけであれば、何とかなるかもしれません。

単身の方は1人分の年金額なので、これより少なくなりますが、一方で生活費も抑えられる可能性が高いので、いずれにしても、不足するかどうかを知るには自分自身で計算するしかないのです。

毎年誕生月に手元に届く「ねんきん定期便」には、これまでに払い込んだ保険料と、将来受け取る年金の見込額が記載されていますから、最低限ここに書かれている数字は把握しておきましょう。

■多様な選択肢を忘れない


これらの計算を経た上で不足額が出そうな場合はもちろん、生活以外に掛かる様々な支出をカバーするための蓄えを残すには、自助努力が必要となります。

会社員や公務員、団体職員の方で、お勤め先の退職金制度がある方は退職金の見込額を調べることが第一歩ですが、そうでなければ、自分の意思で何かを始める必要性は高いかもしれません。
自動引き落としで貯められる定期預金や投資信託もあれば、自営業やフリーランスの方であれば「小規模企業共済」や「国民年金基金」といった制度もあります。また、今年から加入対象者が広がった「確定拠出年金制度」を活用するケースもあるでしょう。

こうした制度や商品にはそれぞれ一長一短があるため、自分にとって一番いいものを選ぶのはなかなか大変です。とはいうものの、悩んでいて何も選べないうちに時間が過ぎてしまうのは避けたいですから、まずは無理のない範囲で始めてみる、という姿勢が大切かもしれません。

なお、老後資金積立を目的にした代表的な商品である「個人年金保険」について、2017年4月以降の保険料が引き上げられるようです。
これは、保険料を決める要素の1つである「予定利率」が引き下げられるためですが、くれぐれも「保険料が上がる」ことだけを理由に慌てて加入することが無いよう、自分の必要性をしっかり考えるようにしてください。


そして最後に。
老後の生活に備える方法は、何もお金だけではありません。

例えば、移住を誘致している自治体などで格安の住宅を手に入れ、自分たちが食べるものは自分たちで作るという、「日常生活に極力お金を掛けない生活」を送っている方は実際にいらっしゃいます。
もちろん、デメリットがゼロの方法はありませんから、事前に問題点や課題をしっかり押さえておく必要はありますが、ご自身の価値観の中でこうした選択肢もありなのであれば、積極的に情報収集したり、地域の人とのネットワークを広げておくことこそ、老後に備えて必要な準備になるはずです。

多様な選択肢を忘れないことこそ、最も大切なことなのかもしれません。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2017年01月24日

情報過多と頭の中のモヤモヤ

最初に宣言しておきますが、今回の記事には結論がありません。
情報過多の時代に、頭の中がモヤモヤとしている原因と、対処の仕方を考えていた中で気付いたことを共有しようという意図なので、その点はご承知おきください。

■多すぎる商品情報と口コミ情報


洗濯機や炊飯器のような毎日使っている家電製品が突然壊れたとします。
1〜2日は我慢できても、やはり不便なのですぐに買うことにした場合、まずはインターネットで検索するケースが多いでしょう。

すると驚くほど多くの商品情報がヒットします。好きなメーカーや、求めている機能が明確であれば、絞り込むのもさほど難しくないかもしれませんが、「この機会に、色々見てみよう」と思って探し出すと、たちまち情報の海におぼれてしまいます。
ネット通販では、詳細なレビューを見ることもでき、これを決め手に商品を絞ることもできますが、同じ商品に対して「5」の評価もあれば「1」の評価もあったりするので、迷いが深まることも多々あるでしょう。
野村総合研究所のある調査において、商品情報が多すぎて困るという人が7割にも上るのも納得です。

ちなみに、これは「無ければ困る家電製品」の話ですから、迷いながらも何とか1つの商品に絞り込んで購入することになるでしょう。そして購入した時点で「頭の中のモヤモヤした状態」は解消されます。

一方で、探している物が「たちまち必要ではない商品」だとしたらどうなるでしょう?
「よくわからないから、今度またゆっくり見よう」といって先送りしてしまう可能性が高く、この繰り返しが、頭の中のモヤモヤの原因の1つのように思うわけです。

■情報過多で動けない人々


このように、「情報が多すぎて選びきれず、結果として先送りしているケース」は、お金周りの話にもよく出てきます。

例えば、投資や保険の見直し、携帯の見直しなどは典型的です。
投資を始めようかな?保険を見直そうかな?携帯プランを変更した方がいいかな?と思い、ネットや雑誌などで情報を集める最初の一歩を踏み出したとします。
しかし、前述のように情報が多すぎてどれがいいのかよくわかりません。そこで、その分野に詳しい友人や知人、場合によっては専門家の話を聞くという段階に入ります。

この時点で、相談した相手の言うことを100%信じる、と決めてしまっていれば迷いは無くなりますが、なかなかそうはいかないのも現実。第2段階で増えた新たな情報により、益々よくわからなくなってきますし、仮に何か商品を決めたとしても、購入する手続きが面倒くさくて止まってしまうこともあります。

で、結局は「まあ今のところ困っているわけでもないからこのままでいいか」とばかりに現状維持を選択するという感じです。

■動くための3つのスタンス


現状維持といえば聞こえはいいですが、先送りした問題は、「解決していない課題」としていつまでも頭の片隅に残っています。

この状況を打破するには、大きく3つのスタンスがあるのではないでしょうか。

1つ目は、自分で納得できるものを選べるようになるまで、その分野についてとことん勉強するという考え方。これは時間がかかるかもしれませんし、すべての人にオススメというわけではありませんが、納得度は一番高くなりますし、行動にもつながりやすいでしょう。

2つ目は、外せないポイントを明確にしたうえで、信頼できる専門家に任せてしまうこと。
信頼できる人(あるいは、信頼すると決めた人)であれば、それが販売側の専門家でも全然構いません。こちらの希望を叶えてくれる姿勢がある方なのかはしっかり見極める必要がありますが、自分が信頼すると決めたのであれば、任せてしまえばいいわけです。

契約手続きをやってくれるなど、行動するに当たっての段取りをつけてくれる人であれば、実行される可能性は極めて高くなります。

そして3つ目は、深く考えずに即行動してしまうことです。
「目的を満たせて、予算の範囲であれば何でもいい」という割り切りがポイントです。

今の日本において、消費者にとって劣悪な商品が横行している可能性は極めて低いので、ネット検索などで最初のページに表示されたものの中で決めるとか、ランキング1位〜3位からの三択で決めてしまってもいいですし、お店で最初に目についた商品に決めるとかでも構いません。細かいことは一切気にせず好きなものを買えばいいのです。

ただし、こう言われてもなかなか実行するのは難しいようです。
「割り切るという決断」がすっきりできていればいいのですが、多くのケースでは「いや、待てよ・・・」という堂々巡りが始まり、モヤモヤ状態が続くことになります。


結局のところ、自分の行動は自分で決めなければいけないという、当たり前の話に行きつくわけですが、自分はどのタイプに近いのかを意識しておくと、決断できない原因が判明しやすく、次の行動に繋がるヒントが見えてくるかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(2)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年01月17日

「頼りになる人」と「頼りを必要とする人」の視点で見た高齢者問題

以前「6ポケット」という言葉をよく耳にする時期がありました。

1人の子どもに対し、両親とそれぞれの祖父母、合計6人分の財布があることを指し、少子化を象徴すると同時に、高齢者の経済力を示す言葉として使われていたように思います。

預貯金などの金融資産が高齢者に偏っているという統計上の数字もあり、今の消費を担う中心的な存在として高齢者を取り上げることは少なくありません。シニアニーズをいかに取り込むのか、というのは、これからも多くの企業の重要な課題の1つでしょう。

■「高齢者」の定義は何歳なのか?


現在は、65歳以上の方を「高齢者」と呼ぶのが一般的です。
この区分は先進国で概ね共通のようで、遡ると国連が1956年の報告書で使用したのが始まり。日本においても、1965年の国勢調査で老年人口の区分を60歳から65歳に変更しています。

ちなみに先日、日本老年学会と日本老年医学会から「高齢者の定義を75歳以上にしてはどうか」という提言が出されニュースとなりましたが、人数の増加が確実な高齢者の方々を、いかに「現役世代」として考えていくかという視点も少なくないようです。
現在65歳から受給できる老齢年金についても、原則の支給開始が70歳ぐらいに引き上げられても不思議ではないですよね。

■高齢者を取り巻く環境は千差万別


それはさておき、ひと言で高齢者といっても、その方を取り巻く状況は人それぞれです。企業経営者や自営業者はもちろん、従業員としてフルタイムでバリバリ仕事をされている方もいれば、仕事を引退し、自分の好きなことのために自由な時間を楽しんでいる方もいます。
また、健康上の問題や気力の問題等で、外に出ることがままならない方もいれば、病院や施設に入っていらっしゃる方もいます。

お金の面から見ても、十分な資産をお持ちの方もいれば、「下流老人」という言葉に代表されるように、日々の生活さえ厳しいという方もいらっしゃるでしょう。

最近になって、介護や認知症に関わる問題や、高齢ドライバーによる事故が多発している問題など、いわゆる「高齢者問題」が目につく頻度が高まってきたように感じますが、その問題の中身も人によって大きく異なることを意識するべきです。

ある人にとっての高齢者問題は、「お金が不足している」という経済的な問題でしょうし、別の方にとっては「常時介護が必要なのに、希望する施設に入れない」という施設への入居待ちや、それに付随する家族内のサポートに関わる問題だったりします。またある人にとっては、近い将来発生するであろう、相続対策の問題かもしれません。

子どもの数が減っていることと合わせた少子高齢化問題は、通常、社会全体で取り組むべき課題として認識されています。社会全体の問題ということは、日本人全員が当事者意識を持つことが望ましいように思いますが、何らかの課題をもった(=誰かの助けを必要としている)高齢者が身近にいなければ、自分ごととして考えにくいのではないでしょうか。

実際、60代後半で健康な方は、30代や40代の子世代にとって、経済的な支えとなっているケースもよくありますから、若い世代から見ると「頼りになる人」です。
その「頼りになる人」がどこかのタイミングで、「頼りを必要とする人」に変わった時、周りの家族がどのように関わっていくのかを早い段階で意識しておくことは重要でしょう。

■自分ごととして考えた場合に大切となる「共助」


いずれにしても大切なのは「頼り、頼られる状態」は一方通行だと長続きしにくいということ。ある面では助けられる側の人も、別の面では助ける側に回ることはよくあることです。

公的年金の財政問題に象徴されるように、いわゆる「公助」の将来には不安がつきまといますが、制度が完全に無くなることは考えにくいものです。
一方で、弱まっていく公助に対する備えとして、確定拠出年金のように、自分の将来の資金は自分が作っていくという「自助」を後押しする制度も整えられつつあります。

でも、これからの時代に最も大切なのは、家族や企業、地域コミュニティのメンバーが共に助けあうという「共助」なのかもしれません。特に、自分ごととして考えた場合、その時までに周りの人とどのような関係を築いてきたのかが、いざという時の生活を守る大きな要素になるように感じるのです。

「公的社会保障の財政が持たないから押し付けられる」という、経済面を中心にした後ろ向きな関わり方でなく、これからの時代に必要な家族や地域の形として、もう少し前向きに考え、周りの人と一緒に取り組む必要が出てきているのではないかと考える次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2017年01月10日

「栗本FPスクール」講師・養成コース:第2期生募集!

2017年が明けて、10日ほどが経ちました。
改めまして、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2016年の年末は、家族の恒例行事であるスキー旅行に行ってきました。
雪のコンディションは決して十分とはいえず、ゲレンデ上部を除くと、過去一番滑りにくい状態でしたが、日常空間から離れて過ごす時間に、気持ちをリフレッシュすることができました。


さて、2017年最初のブログは、2月に東京都内で開催するイベントのお知らせです。
合わせまして、昨年11月〜12月に開催した「栗本FPスクール」講師・養成コースの第2期生も募集いたします。


昨年5月に栗本FPスクールを全面リニューアルしました。

そして7月10日に大阪、そして10月16日に東京都内で、私が主任研究員を務める生活経済研究所長野が提供する「家計の見直しセミナー」の公開収録と合わせてガイダンスを実施したところ、参加いただいた方に大変好評だったため、2月12日(日)に東京・田町で開催する運びとなりました。

ガイダンスの中では、「講師・養成コース」の詳細をお伝えします。


会場は、都営地下鉄三田線芝公園駅より徒歩1分、JR田町駅西口より徒歩8分にある労働組合活動発祥の地、友愛会館です。

活躍中のFPさんにも多数ご参加いただける予定で、公開収録とガイダンスの間には名刺交換会の時間も設けております。
セミナーを堪能していただくことはもちろん、是非、お名刺をお持ちくださり、ご自身のネットワークを広める場としてもご活用ください。

【日時】2017年2月12日(日)13:00〜(12:30会場受付開始)

【会場】:友愛会館ホール9階 中ホール(〒105-0014  東京都港区芝二丁目20-12 友愛会館9階)

【受講料】公開収録は、各回5,400円(税込)
ただし、家計の見直しセミナーの年間パスポート会員の方は、ご本人と同伴者1名まで無料です。
また、「栗本FPスクール」ガイダンスにご参加の方は、公開収録がそれぞれ50% OFF(各回2,700円、税込)となります。



お申し込みフォームはこちら

本イベントの詳細はこちらをご覧ください


2017年最初のライブ講座となるこの機会をお見逃しなく。

それでは、2017年がみなさまにとって素晴らしい1年となりますことをお祈りしています!
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)お知らせ

2016年12月20日

相続に関する2つの話題

国税庁から2015年の相続税の申告状況が公表されました。

注目されていた、相続税の課税対象となった被相続人の割合は被相続人全体の8.0%。
前年の4.4%から約1.8倍の水準となりましたが、事前予想の上限ぐらいというイメージでしょうか。

一部の専門家から「亡くなった人(被相続人)の半数近くが課税対象となるかもしれない」と言われていた東京国税局管内を見ても、被相続人(約25万3千人)のうち、相続税の課税対象となったのは12.7%(約3万2千人)で、全国平均に比べるとかなり高いものの、あまり極端なことにはならなかったようです。

■相続財産がいくらあると相続税はかかるのか?


相続税は、被相続人が遺した財産額に対して課されるものです。
土地や建物などの不動産、預貯金や投資信託、株式等の金融資産、その他諸々の財産をすべて合算し、そこから借金やお葬式費用などを差し引いた金額がベースになります。これを「課税価格の合計」といいます。

保険や共済からの死亡保険金(死亡共済金)など、相続人の数に応じて一定額まで非課税になりますが、基本的には「課税価格の合計」から「遺産に係る基礎控除額」を差し引いた金額が「課税遺産総額」となり、これが0円以下だと相続税は課されないという仕組みです。

遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人数」。

例えば、両親と子2人の4人家族のケースで父親が亡くなった場合、相続人は母親と2人の子の3人ですから、課税価格の合計が「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」までであれば、相続税はかからないというわけです。

この基礎控除額、2014年の12月31日までに発生した相続では、「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」でした。つまり、先ほどの家族構成では、課税価格の合計が8,000万円までは相続税がかからなかったわけです。
その基準が4,800万円に縮小されたわけなので、「2014年までなら相続税が掛からなかったのに、2015年以降は相続税が掛かるようになった」という人が出てきます。
その結果、冒頭で触れたとおり「課税対象者が4.4%から8.0%に増えた」のです。

■預貯金の扱いが変わる?


そしてもう1つ、基礎控除の話とは全く別の話として、「預貯金も遺産分割の対象になる」という新たな基準が示されました。
これは、2016年12月19日に最高裁判所大法廷が下した判断で、俗にいう「判例が変わった」という話です。

これは突き詰めるとなかなか奥の深い話なので、概略だけに留めておきます。
そもそも被相続人の財産はすべてが遺産分割の対象となるもので、遺言や話し合いなどによって相続人の間で配分を決めるのが原則ですが、預貯金については「法定相続分に応じて当然に分割される」という過去の判例の考えが基本となっていました。

ようするに、財産をどう分けるかという遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、「預貯金のうち、自分の法定相続分の金額だけは受け取ることができる」という解釈です。
通常、被相続人の預金口座からお金を引き出そうとした場合、「相続人全員の署名をもらってきてください」と言われますが、この判例があったため「自分の法定相続分だけは引き出せる」という扱いが実務上は行われていました。
(注:金融機関によって対応に違いはあります)

今回の判例変更によって、「話し合いがまとまっていなければ、預貯金は引き出せない」という基準が示されたというわけです。

■当面の資金手当ては事前に準備しておくべき


通常は、預貯金を含めたすべての財産を元に、誰にどう分けるかの遺産分割を行うことが多いので、今回の判例は「実態に合わせた適切な変更」と見る向きが多いようです。
ただ、これによって困る可能性があるのは、お葬式代の支払や当面の生活費のように、たちまち必要なお金が、被相続人の口座から引き出さないと賄えない、というケースでしょう。

逆を言えば、お葬式に掛かるお金や当面の生活費は、予測可能な範囲で事前に別途用意しておけば困ることはありません。
相続に限った話ではありませんが、「将来を見越した事前準備」の大切さを改めて意識するきっかけにしてはいかがでしょうか。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)相続・贈与

2016年12月13日

積立投資から見る、物事の両面

アメリカの株式市場が過去最高値を更新し続けています。
年明けの16,000ドルを割り込む水準からは3,000ドル以上の上昇。このまま年末まで上昇を続けるかどうかはわかりませんが、トランプ次期大統領の政策への期待と同時に、公表されるアメリカの景気指標が好調ということもあり、強気な見通しが主流のようです。

一方の日経平均株価も上昇を継続しています。イギリスがEU離脱を決めた国民投票の直後には15,000円を割り込むときもありましたから、わずか半年で25%以上の上昇です。

◆様々な資産形成手段


さて、このように株式市場の上昇が目立つにつれて、「有利な資産形成手段」が紹介される機会も増えてきます。
来年から加入対象者が広がる「確定拠出年金個人型」や、2018年から導入が予定されている「積立型NISA」などもその一例でしょう。

確定拠出年金とは、リタイア後の生活に備えた資金を貯める仕組みです。
毎月の積立額(=掛金)を決め、積み立てたお金を自分の判断で運用し、その結果貯まったお金を将来年金や一時金で受け取るというもの。この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入する「企業型」と、個人が自分の意思で手続きをして加入する「個人型」があります。

一方のNISAは、1年間に定められた上限額までの購入株式等について、そこから得られる配当や譲渡益への税金が課せられない制度。2014年に最初に制度が導入され、2016年からは「ジュニアNISA」が始まり、2018年からは「積み立てNISA」が始まる予定となっています。

家計の金融資産が預貯金に偏ってるから、株式や債券といった投資型商品に資金を振り向けてもらうため、様々な資産形成手段が導入されているわけです。

◆積み立て投資のメリットとデメリット


積み立てNISAは、先日発表された2017年度の税制改正大綱に盛り込まれている「案」の状態です。
現行のNISAと比べると、年間の投資上限額は120万円から40万円に減るものの、非課税で売却できる期間が「投資した年から最長5年」である現行NISAに対して、「投資した年から最長20年」となっているため、より「長期の運用」に向いた制度として期待されています。
そして、相場の変動に関係なく一定額を積み立てることで「平均買付単価」を引き下げる効果があると説明されることが多いようです。

これは一般的に「ドルコスト平均法」と言われています。

例えば、毎月1万円の積立を行うとしましょう。
購入対象の株式の単価(=株価)が10,000円の時には1株買うことになりますし、5,000円の時には2株買うことになります。また、株価が20,000円の時には0.5株しか買えません。結果として、「株価の安い時にたくさん買って、株価の高い時にはあまり買わない」状態となります。

仮に、株価の動きが「10,000円→5,000円→20,000円」と動いた3ヶ月間の場合でみると、投資した金額は10,000円×3回で30,000円。購入した株数は、3.5株になりますから、平均買付単価は8,571円です。

株価が10,000円だった一番最初に30,000円すべて購入した場合の平均買付単価は10,000円ですから、売却する時の株価が9,000円だった場合、積立購入だと利益が出て、一括購入だと損失が出ます。
これがドルコスト平均法のメリットと言われるものです。

でも、物事には必ず両面がありますから、ドルコスト平均法にもデメリットはあります。

先ほどの例で、株価の動きが、10,000円→20,000円→10,000円となり、売却時の株価が12,000円だったとしましょう。
一括購入だと、買付単価10,000円ですから1株当たり2,000円、合計6,000円の利益が出ます。一方、積立購入だと、10,000円で1株、20,000円で0.5株、10,000円で1株ですから、積立合計額30,000円で株数は2.5株。平均買付単価は12,000円となっているため、損益は0円です。株価が11,000円であれば、投資開始時より株価が高くなっているけれども、損失を出すことになります。
これはドルコスト平均法のデメリットと言えるでしょう。

◆万能な方法はないことを理解する


このように、シミュレーションというのは、条件変更によってどちらか一方を有利に見せることが容易にできてしまいます。
様々な制度ができ、資産形成の選択肢が増えることは望ましいものの、なんだか万能に見えるような説明が出てきた場合には、「この制度のデメリットは何か?」という視点でチェックしてみることが大切だというわけです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用