2017年07月15日

公的年金の収支計算の一面

私たちが加入する公的年金は、「年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)」が運用しています。
国民の大多数が関係する年金ですから、四半期ごとの運用実績の公表には多くの方が関心を持っているようです。

■公的年金の運用実績


7月7日に発表された「平成28年度業務概況書」によると、平成29年3月末時点のGPIFの運用資産額は144兆9,034億円で、1年前から約9兆円の増加。運用収益率は「+5.86%」と2年ぶりのプラスとなっていました。大きな損失を出したと騒がれた平成27年度の損失額が5兆3,098億円で、今回の利益は7兆9,363億円でしたから、この2年間では2兆円を超える利益を出していることになります。ちなみに、GPIFが市場運用を開始した平成13年度から28年度までの累積収益額は53兆3,603億円と公表されています。

毎年何兆円ものプラスマイナスが出ることに危うさを感じるのかもしれませんが、約145兆円の運用資金からすると3〜5%の金額。リスクに対する考え方は人によって違うため、一概には言えないものの、100万円を投資している人が、1年間で3〜5万円のプラスマイナスが出たとしても、それをもって「リスクが大きすぎて怖い」とは考えにくいのではないでしょうか。
損失が出たときほどニュースとして大きく報じられることも、ネガティブな印象を持つ人が多い原因の一つかもしれません。

■積立金の取り崩しは行われているのか?


ところで、日本の公的年金は「賦課方式」が採用されています。これは、自分が積み立てたお金が将来自分の受け取る年金の原資となる積み立て方式と違い、現役世代納めた保険料が、その時の年金受給者への支払いにあてられるもの。

この方式の場合、「年金受給者」に対して「保険料を納める現役世代」が少なくなると、支えることが厳しくなるのですが、そのためにあるのが約145兆円に及ぶ積立金です。ちなみに市場運用分以外も含む時価ベースの積立金全体は、平成26年度末時点で約203.5兆円となっています(公的年金の財政状況より)。

ここまできたら、収支状況の公表数値も確認してみましょう。

厚生労働省が公表している「公的年金各制度の単年度収支状況(平成27年度)」によると、支出総額50兆9,602億円に対して収入総額は51兆5,612億円。この年は運用損失が出ていましたから、結果的に積立金残高は減少していますが、単年度収支では約6,010億円の黒字です。

年金受給世代の増加によって、給付額が増えているのは事実ですが、「年金支払いのために毎年積立金を取り崩している」わけではないようです。ちなみに、平成28年度予算ベースの社会保障給付費では、56.7兆円が年金関連の支出となっています。

■収入額の実態の計算


そこで、この財政状況に出ている「収入額」を別の角度から独自に計算してみました。
厚生労働省が毎年まとめている「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成27年度の被保険者数は、国民年金第1号被保険者が1,668万人、第2号被保険者が4,129万人、第3号被保険者は915万人となっています。

この時(平成27年度)の第1号被保険者が負担する保険料は月額15,590円なので、年額にすると187,989円。ただし、保険料の免除を受けている人がいるので、その分を差し引きます。全額免除者が576万人、4分の3免除者が25万人、半額免除者が15万人、4分の1免除者が7万人なので、それぞれの保険料を考慮すると、被保険者負担分の保険料合計は約1兆9,905億円となります。

一方の厚生年金は、標準報酬額によって掛け金は違いますが、全被保険者の平均値が月収で30.5万円、賞与1回あたりが44.1万円となっているので、ここに保険料率(ここはざっくり18%とします)をかけると、年間の保険料負担は82.62万円です。

実際の被保険者負担はこの半額ですが、「保険料収入」を見るわけですから、事業主負担分も含めます。第2号被保険者は4,129万人となっているので、単純にかけ算すると、34兆1,138億円。合計すると約36兆円ですが、実際にはここでは見えていない滞納などもあるでしょうから、これよりも少なめで考える方がいいでしょう。

ちなみに、先ほどの「財政収支」に記載されていた保険料収入は33兆8,065億円なので、概ねこの計算に近い数字です。ここに、国庫負担の金額が12.2兆円、解散厚生年金基金等徴収金が4.6兆円ほど計上されているので、これも加えると先ほどの収入金額51.5兆円に近くなります。

財政破綻が近いようなイメージが報道されることの多い公的年金。
実際の数字を計算してみた全体像は、また違ったイメージになるのではないでしょうか。

今回は、細かい数字が多かったので、できれば図を使って解説したかったですね。
暑い日が続きますが、素敵な連休をお過ごしください。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)社会保険

2017年07月07日

変化への対応

九州地方を中心に、豪雨による大きな被害が出ています。
報道によると、いくつかの条件が重なってできる積乱雲の帯(=線状降水帯)が原因とのことですが、今年の梅雨はこうした局地的な豪雨が特に目立つように感じます。

大雨の発生数の増加は、日本だけでなく東アジアの広い範囲で共通しているそうです。地球温暖化との関係はいろいろなところで指摘されていますが、こうした環境変化は今後も続くのでしょう。

変化とストレス


環境変化といえば、私たちの生活もあらゆる面で変化しています。
仕事との関わり方や家族の在り方を中心としたライフスタイルの変化もありますし、少子高齢化の進行といった人口構成の変化もあります。そもそも世の中の経済環境そのものが大きく変わってきています。

「変化(=change)」は「チャンス(=chance)」とはよく言ったものですが、心理学の本などを読みますと、「変化」というのは、それが良いものであれ悪いものであれストレスを引き起こすのだそうです。

家計の見直しができない理由


これは家計の見直しでもよくあることです。

例えば保険の見直しや住宅ローンの見直し、最近では、携帯やスマホ代といった通信費の見直しなどは、実行すると家計改善に役立つケースが多いのですが、わかってはいるけどなかなか踏み切れない人は少なくありません。

本当に時間が無い人なのかもしれませんし、様々な理由があって本音では見直す気がない人ものかもしれません。でも、「実行すればいいのはわかっているけど、なんとなく気が向かない」というケースは意外と多いように感じます。これはひと言でいうと「今の環境を変えるの嫌!」ということで、これこそが「変化を避けたい心理上の問題」なのでしょう。

先日、成年後見制度に関するアンケートでも、「認知症の家族の金銭管理を手伝った人のうち、判断能力が不十分な人のために後見人が財産管理などに当たる成年後見制度のことを知っているが、利用するつもりがない」という人が全体の55.4%に上るというもの。
手続きが複雑なことや、正確な内容が周知されていないことなどが背景にあるとの分析でしたが、「わかっちゃいるけど踏み切れない」という、変化を拒む心理も少なからずあるんだろうなって思うわけです。

安心と不安の選択


変化しない環境は、今のままの環境ですから、それが良いものであれ悪いものであれ、想像できる安心感があります。
変化する環境は、見たことのない世界ですから、それが良いものか悪いものか想像できないことで、不安が募ります。

つまり「変化しない=安心」、「変化する=不安」という公式が、無意識のうちに心の中にあるのかもしれないですね。
「確実な未来」なんていうものを約束できる人は世の中にいないので、やはり不安よりも安心を選ぶのでしょう。

「変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである」といったのはダーウィンですが、知らず知らずのうちに世の中の環境がどんどん変化している現代こそ、この言葉の意味を真剣に考えなければいけないのかもしれません。

みなさま、素敵な週末をお過ごしください。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2017年06月27日

ロボアドバイザーとFP

今年から加入対象者の広がった個人型確定拠出年金は、1月のスタートダッシュだけではなく、その後も確実に加入者数が増えているようです。

■個人型確定拠出年金加入者の現状


国民年金基金連合会が公表している累計加入者数は、平成29年4月末時点で489,008人。4月の1か月間で約6万人の増加となっていることから、このペースで推移すると、5月末時点では54万人、6月末時点では60万人程度になっていてもおかしくないでしょう。

制度そのものが開始した2001年からの個人型の累計加入者は、2016年12月時点で約30.6万人でしたから、15年間かけて達成した人数を、わずか6ヶ月間で達成したことになります。

加入者の2割が利用されるとするSBI証券では、加入者のうち30歳代が3割、40歳代が4割を占めるそうなので、本来の目的である、将来の資産形成のための利用が進んでいるともいえそうです。

■ロボアドバイザーの登場


資産形成といえば、先日AI(人工知能)による運用を行う「ロボアドバイザー」について、お話を伺う機会がありました。

ロボアドバイザーとは、コンピュータープログラムによって自分に最適な運用方針や資産配分を診断し、その後の運用アドバイスや助言を受けることができるシステム全般を指す言葉です。
「私にはどんな運用が向いているのですか?」という質問を専門家ではなく、コンピューターに対して聞く感じでしょうか。

先行している米国では、2016年末の運用資産残高が約830億ドル(≒9兆1,300億円)となっていますが、2015年末からの増加率が約40%とのことで、急速に伸びている様子がうかがえます。

ロボットが行うことで、大幅なコスト削減につながりますから、手数料や運用管理費を安く抑えられるというのが一番のメリットといえます。

■勘と理論


実際、運用のプロと言われる人は、「その人の勘」ではなく、過去の膨大なデータに基づいて、「こういう場合の相場はこう動く」という予測に沿って行動するものです。こうした「膨大なデータの処理」は、コンピューターが得意とするところですから、そういう意味でロボアドバイザーは合理的と言えるかもしれません。

とはいうものの、人が判断する運用は、その結果が運用者によって大きく違っています。
これは同じ過去のデータを見ていたとしても、そのデータをどう読み解くかが人によって違うということでもありますし、「最後は経験に基づいた勘」で判断していて、その差が運用結果に表れているということもあるはずです。

つまり「理屈で説明できない要素」をゼロにすることはできないのでしょう。

実際、アメリカでの消費者に対するアンケート調査では、「FPなどの人からのアドバイスとロボアドバイザーを併用する」という回答が41%を占めており、「すべてFPに任せたい(21%)」、「デジタルツールのみを使いたい(6%)」を大きく上回っていました。

■FPのアドバイス補完ツール


ここから感じるのは、ロボアドバイザーは、一般の投資家が資産運用を任せるツールというより、FPなど資産運用アドバイスを行う専門家が補完的に使うツールとしての広がりです。これも、実際に米国で広がっている状況のようで、これまで大手の金融機関でしか提供できなかったAIを活用した運用アドバイスが、小規模なFP事務所でも可能になっている点に大きなメリットがあるようです。

新しいサービスが生活の中で受け入れられ、浸透するには、まだ時間がかかるかもしれませんが、FPこそがまずは使ってみる必要があるのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年06月17日

試験前日の過ごし方と当日の注意点

6月18日は、CFP本試験の2日目です。

受験予定の方は、落ち着かない時間をお過ごしかもしれませんので、今回は試験前日と当日の過ごし方について触れてみます。

前日の過ごし方


まず大前提として、今から新しい知識をインプットするのは避けてください。
何かを覚えても、すぐに忘れてしまうでしょうし、曖昧な新しい知識のために、元々持っていた知識まで曖昧になってしまう危険性があります。

それよりもとにかく、明日受験予定の課目の過去問を1度解くことをお勧めします。

3課目すべてを受験される場合は、さすがに脳に疲労が残ってしまう可能性があるので、その場合は各課目1時間限定し、じっくり考えないといけない問題は飛ばしても構いません。

新しい知識を得るのではなく、「問題に慣れておく」ことが目的なので、明日のウォーミングアップと割り切ってもらえば大丈夫です。

あとは明日の本番に備えて体調を整え、できれば早く休むようにしましょう。


当日の注意点


当日は、時間にゆとりをもった行動が一番大事です。

あまり早く着きすぎると試験会場に入れませんが、開場一番乗りを目指すぐらいでいいと思います。時間のゆとりは心のゆとりを生みますし、心のゆとりはケアレスミスを防ぎます。
このタイミングで一番避けたいのが、「間に合わないかもしれない」という焦りとともに試験会場に向かう事態です。

自分は予定通りに動いていても、交通機関にどんなトラブルが発生するかはわかりません
とにかく最寄り駅まで移動していれば安心ですから、近くのカフェなどで最後の準備をするのもいいでしょう。

あとは、周りに咳をする人がいたりすると、それだけで気が散ってしまうケースあるので、マスクを持っていくといいかもしれません。

試験が始まったら、最初の1分ほどで、ざっと全体の問題を眺めましょう。
これまでに過去問を十分やってきた方であれば、「どのパターンの問題が出ている」という大枠をつかむことができます。
そうでない方も、「後の方に簡単そうな問題がある」ということがわかるだけでも、時間配分の参考になります。

そして、1問目(あるいは、自分の得意な問題)から解いていくわけですが、一番大事なのは「わからない問題は躊躇なく飛ばす」ことでしょう。

CFP試験は、1課目2時間の試験時間があるものの、「時間切れ」に泣かされるケースをよく耳にします。
「あと10分あれば解けていた」という後悔をしないためにも、わからない問題はどんどん飛ばして、確実に解ける問題を残さないようにするのが大事です。

そして、早く終わったとしても慌てて出ていかず、「他人の解答の粗探し」をするつもりで、できる限り見直しをしておくことをお勧めします。

そんなわけで、沖縄地方以外では全国的にお天気に恵まれ、外に出たい気分が募る週末ではありますが、受験生のみなさんが明日の本番で思う存分力を発揮されますことをお祈りしています。
  
Posted by kurisuke701 at 10:02Comments(0)TrackBack(0)FP学習法

2017年05月30日

介護保険について意外と知られていないこと

厚生労働省の発表によると、日本における2013年の健康寿命は、男性が71.19歳、女性が74.21歳となっています。

一方、人間が平均的に何歳まで生きるのかという平均寿命は、男性が80.79歳で、女性が87.05歳ですから、その間に男性で約9年、女性は約13年の差があります。
この期間は「日常生活をおくるために、誰かの手助けが必要」となる可能性が高い、つまり介護を受ける可能性が高い期間といえそうです。

ちなみに、生命保険文化センターの統計による介護期間の平均は、4年11ヶ月となっています。

■公的介護保険の概要


ご家族のどなたかが介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合、介護をする側への経済的、身体的、精神的な負担が問題となります。
そこで、ご家族の事情に合わせた介護事業者のサービス利用を検討するわけですが、その際に大きな助けとなるのが公的介護保険の存在です。

介護事業者を利用した際の料金は、内容に応じて様々ですが、原則として利用料金の1割だけを本人が負担し、残りの9割は介護保険で賄われます。
つまり、1ヶ月に10万円分のサービスを利用した場合でも、実際の負担は1万円で済むわけです。
ちなみに、一定以上の所得があると自負担割合が2割となり、さらに2018年8月からは、3割負担となるケースも出てきます。


■要介護度が上がると有利なのか?


では、原則通り1割負担の人が、1ヶ月に100万円分の介護サービスを利用したとしましょう。この時も本人負担は1割の10万円でいいのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。

公的介護保険には、要介護(要支援)の区分に応じた「支給限度基準額」が定められており、1割負担で利用できるのは、この支給限度基準額の範囲内に限られます。

この基準額は、一番軽度の「要支援1」の場合で5,003単位、一番重篤な「要介護5」の場合で36,065単位です。
地域によって差があるものの、1単位はおよそ10円なので、ようするに1ヶ月で50,030円〜360,650円の範囲であれば、1割負担でサービスが受けられるというわけです。

この基準額は、介護区分が上がると引き上げられます。
例えば、要介護3の方の限度額は26,931単位なので、およそ269,310円。
要介護5の場合は360,650円でしたから、より多くのサービスを受けたいのであれば、「高い介護区分の認定を受ける」ことが望ましく見えます。

一方で、同じサービスを利用した際、介護度が高いと単価が上がるケースがでてきます。

つまり、同じサービスを利用する場合に、要介護3の方は10,000円で利用できるのに、
要介護5の方は11,000円かかる、といったことが発生するのです。この点はあまり意識されていませんが、注意すべきでしょう。
ようするに、要介護度が高く認定されることが一概に有利とは言えないのです。

■介護は突然訪れる


子育てと違い、介護はある日突然発生することが少なくありません。

加齢とともに、介護状態となる可能性が高まっていることは理解しながらも、具体的な準備をしないままその日を迎えてしまいます。
身近な人に介護が必要でないうちは、「全く関係の無い遠い話」ですから、頭ではわかっていても、準備を先送りしがちです。

平成29年1月時点で3,429万人いる介護保険の第1号被保険者(65歳以上の人)のうち、要支援・要介護の認定を受けた人は合計で629.2万人。65歳以上の約18.3%にのぼるのです。
特に、要介護認定を受けている人の85.8%が75歳以上ですから、70歳では他人事でも、75歳になると当事者になる可能性が高いと言えそうです。

2025年には団塊の世代が75歳の年齢を迎えられます。介護については、正しい知識と情報を元に、早い段階から準備を始めておくようにしたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2017年05月16日

投資信託の残念な状況

5月も折り返し地点を超え、FP本試験が近づいてきました。
今回の試験対策用に、「2級FP技能士 直前総まとめ講座」を動画で提供していますので、まとまった勉強時間を確保できず、これから追い込み学習をされる方は、是非ご活用ください。

2ch 栗本FPスクール


FP試験に必要な6課目について、それぞれ30〜50分ずつ、合計4時間の講義をお聴きいただければ、2級FP技能士試験の合格に必要な知識が身に付きます。
特に、独学で学ばれてきた方や、お仕事の関係でなかなかまとまった学習時間の取れない方にとっては、最適な講座になっております。

■投資信託の現状


話は変わりまして、2016年度は投資信託が14年ぶりの資金流出となったそうです。

投資信託協会の資料によると、日本の公募投資信託は2017年3月末時点で6,148本あり、残高は107兆2,842億円。この数字だけをみると、投資信託が随分と広がっているように感じますが、アメリカの数字と比較すると少し見え方が違ってきます。

日本証券経済研究所アメリカでは、約8,000本の投資信託が販売されており、残高は17兆7,524億ドルになります。これは1ドル=112円で換算すると約1,988兆円。さすがに規模の違いを実感します。

さて、この数字、投資信託1本当たりの平均残高におきかえますと、アメリカの2,240億円に対して日本は174億円となっています。つまり日本には「規模の小さい投資信託が多くある」というわけです。実際、販売されているうち99%の投資信託は残高が2,000億円以下で、アメリカの1本当たりの平均残高にも及ばない状況なのです。

■当局からの苦言


そもそも日本の投資信託の特徴を見ると不思議な点が多いようで、昨年公表された金融庁の資料の中でも、

  • 投資対象を特定の種類の資産に限定した商品が上位で、販売手数料や信託報酬(保有期間中毎年引かれる手数料)も高水準である

  • 短期間で多くが入れ替わっている

  • 大半が毎月分配型

といった、ネガティブなコメントが目立ちます。

今回の資金流出は、毎月分配型の失速が原因の1つとされていますが、以前より、専門家の間では毎月分配型投資信託の評判はよろしくありません。

長期間の投資を考えた場合、分配金を受け取ってしまっては複利効果が得られないとか、分配金(普通分配金)が支払われる際に課税されるので不利だとか、収益が出ていないのに元本を取り崩してまで分配金を払っているとか、その理由はいろいろと言われてます。

もちろん、「理論的な話はわからないけど、毎月分配金がもらえるのは単純に嬉しい」と感じる方もいるこそ、ここまで売れ筋商品になってきた事実はあります。ただ、多くの人は、自分が積極的に選んだというより、金融機関からのお勧めで始めたかもしれず、正しい知識と情報があれば結果は違っていたかもしれません。

■正しい知識と情報の大切さ


何事にもメリットとデメリットの両面があります。

投資信託協会が実施している「投資信託に関するアンケート調査(2016年)」を見ると、投資信託の保有者は全体の16.0%ですから、多くの人に浸透している金融商品とは言い難い状況です。

個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)の加入対象者の拡大や、来年からスタートする積立NISAのように、少額から始められる投資制度も整い始めています。
メリットとデメリットを正しく理解するための基礎知識と、その時々に自分にあった資産形成手段を決定するための情報について真剣に意識することで、投資信託をじっくり活用する人がもっと増えるといいのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年05月05日

「バカの壁」を打ち破る「黒船来航」

GW後半5連休の中日となる今日(5月5日)は子どもの日です。

統計によりますと、日本の14歳以下の人口は1,571万人となっており、総人口に占める割合は12.4%です。この数字、人口としては36年連続、総人口に占める割合に至っては43年連続の減少となっているそうで、耳慣れてきた感のある「少子高齢化」が益々進行していることを感じずにはいられません。

■変化に対する反応


さて、こうした人口構成の変化とともに、私が関わるお金周りの世界も大きな変化の波がきています。
2月21日のブログで触れた「フィンテック(Fintech)」は、その代表的なものですが、このような変化に対する反応は人それぞれです。

積極的に知識を得て、自分の生活や仕事に取り入れる努力をする人と、よくわからないとか自分には関係ないからといって近づかない人がいらっしゃいます。

ちなみに「努力をする人」と言いましたが、実はここにも人によって大きな違いがあります。

フィンテックを例にすると、もともと金融やITに興味を持っている人にとっては、新しいことを考えたり実際に試したりするのは努力でもなんでもなくて、単に「好きなことをやっている」だけです。ゲームをなかなか止めない子ども(もちろん大人も…)と一緒で、休日だろうが、夜更かしをしようが、何の苦も無く没頭できるでしょう。

一方、「これからの時代はフィンテックが理解できないと生活水準に大きな差が出る」という言葉に不安を覚え、やりたくもないのにやっている(=やらされている)感のある人にとっては、苦痛以外の何ものでもないかもしれません。

つまり、客観的には「フィンテックを理解するために努力している人」というくくりで同じように見えても、本人からすると「好きなことに没頭している人」と「嫌なことに我慢して取り組んでいる人」という違いがあるわけです。

■黒船来航


とはいうものの、世の中の変化が現実のものとなりつつあるとき、その分野について無知であることは好ましくはありません。

人を煽る言葉はあまり好きではありませんが、こうしたお金周りの話やその先にあるフィンテックの話は、「生活の中のちょっとした差」が、積もり積もって大きな違いになっていくことはありえるため、最低限の知識や情報を取り入れていく必要はあると思うのです。

しかし、この「日常生活の中のちょっとした差」に自ら気付くことは難しいものです。

たとえ話をしましょう。

私自身、このGW中にパソコン環境が大きく変わったのですが、これは仕事仲間の方からの働きかけによって進んだ変化でした。わかりやすく言うと黒船来航です。

最初は脅威にすら感じる黒船ですが、変化を受け入れるかどうかによって、その先の道のりに大きな差が出るのは事実。実際、今回のパソコン環境の変化によって、これまで自転車で頑張って登っていた坂道をバイクで登るような違いを感じています。

■小さな変化の大きな差


自転車とバイク。

これって「劇的な変化」でしょうか?

例えば、自宅から自転車で10分かかる最寄駅まで、バイクで行くと5分程度で行けるかもしれませんが、これぐらいなら誤差の範囲と言えるかもしれません。少しだけ早く起きれば埋められる、いわば「ちょっとした差」です。
しかも、道中狭い道が多くてスピードが出せないとか、自転車にしか通れない近道があると、「健康のためにも環境のためにも自転車の方がいい」という結論を出す人も少なくないでしょう。

でも、これが500キロの移動だとしたらどうでしょうか?

自転車の平均速度は状況によって大きく違うようですが、調べてみる限りおよそ時速20劼里茲Δ任后つまり、500キロの道のりに25時間かかる計算です。

ではバイクだといかがでしょうか?
さすがにこの距離だと、高速道路も使えるでしょうから、とりあえずの平均速度を時速50劼世伐渉蠅靴討10時間で到達します。

しかもここでは休憩時間を考慮していません。
当然、人力に頼る自転車ではより多くの休憩が必要となりますし、25時間の移動であれば、途中で睡眠をとることも必要になるでしょう。

そうすると、最初の「ちょっとした差」が「埋めることが難しい大きな差」になっていることは明らかです。

今回の話は、最初の差が「徒歩と新幹線ほどの差」でないところがポイントです。

徒歩と新幹線ほど違いがあると、その先に発生する大きな差を誰もがすぐに想像できます。
でも、自転車とバイクで、しかも自宅から10分の距離の最寄駅の話なので、「いや、私は自転車の方がいいです」という選択肢も十分に考えられるわけです。

ベストセラーである「バカの壁」という本の中に、

<結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。>


<つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。>


という文章があります。

つまり「すべてを理解することはできない」ということと、「すべてを知りたいとは思っていない」ということが、人間にとってのひとつの壁だという話ですが、破るべき壁が出てきた時、その先の道を示してくれる人が身近にいることは、大切なことなのかもしれません。

多くの生活者にとってのFPが、黒船の役割を担える世の中を願う次第です。  
Posted by kurisuke701 at 10:18Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年04月25日

FP事務所の舞台裏を公開します

資格としてのファイナンシャルプランナー(FP)は、随分世の中に浸透してきたものの、仕事としてのFPは、弁護士さんや税理士さん、司法書士さん、行政書士さん、社会保険労務さんといった士業と比較して、一般的に馴染みのある職業とはいえません。

■FP実務家の定義


そもそも、FP実務家の定義ってどこにあるのでしょう。

例えば、代表的なFP相談の1つに「生命保障の見直し相談」があります。
相談者の家族構成や現在の経済状況、将来想定されるライフイベントなどをベースに、今加入している保障が適切かどうか、適切でないならば、どんな保険や共済がいいのかをアドバイスするわけですが、こうしたアドバイスを行うのにFP資格は必要ありません。

「資格は持っているけど保険相談を受けたことがないFP」と「資格は持っていないけど、長年保険会社に勤めて数多くの保険相談を受けてきたベテラン外交員」を比べると、どちらに実務能力があるかは説明するまでもないでしょう。
資格だけ持っていて実務経験の無い人を「実務家」とは呼ばないのは、どのような仕事でも共通する認識です。
かといって、「FPが学ぶ6分野に関する何らかの実務経験を持っている人」をFP実務家と呼ぶとしたら、対象者の幅が広くなりすぎます。

このように、FP実務家の定義を明確にできないことは、FPという仕事が世の中に浸透しにくい(=何をやってくれる人なのかわかり辛い)要素なのかもしれません。

■FPの役割


一方、現実にはFPとして活躍されている方はたくさんいらっしゃいます。
新聞や雑誌等のメディアにおける情報発信や、講師として様々な場所で講演活動をしている方だけでなく、家計の様々な分野における個別相談を受けているFPさんも確実に増えています。
FPさんによって仕事のスタンスは違って当然ですが、「家計(=パーソナルファイナンス)」に関係する不安や課題を解決する、という要素は共通するのではないでしょうか。

「生活の中でのお金周りが上手くいくようにお手伝いする」という言葉で説明できるのが、FPの役割なのかもしれません。

■実際のFP事務所の運営


では、こうしたFP事務所はどのように運営されているのでしょう。

この点についても、実際の現場を見る機会がほとんど無いため、イメージが湧きにくいものです。それゆえに、FP資格取得後、どのように事業を展開していけばいいのかを悩まれるケースも少なくないようです。

そこで、5月28日(日)にオープンオフィスを開催することになりました。
私が主任研究員を務める、生活経済研究所長野の事務所を公開し、日常の業務のご紹介、講演事業の舞台裏、全国主要労働組合との連携などをご紹介いたします。
事務所の内側やどのようにクライアントさんとの接点を築いているのかをつぶさに見ていただけます。

  • FP事務所がどんなところか見てみたい
  • FP事務所のスタッフと話してみたい
  • FP事務所で働いてみたい
  • プロ講師になりたい
  • 将来は独立してFP事務所を立ち上げたい
  • 事務所のビジネスモデルを生で見たい
  • 事業の舞台裏を見てみたい
  • 全国主要労働組合との連携方法を知りたい
  • 地方のFP事務所が全国に事業展開できる理由を知りたい
  • 自分のFP事務所運営の参考にしたい


といった希望をお持ちの方にとっては、貴重な機会となるでしょう。
2年に1度しかないイベントで、先着20名様限定募集となります。

当日は、家計の見直しセミナーの公開収録と、栗本FPスクールガイダンスを開催しますので、いずれかにご参加いただくことでオープンオフィスには無料でご参加いただけます。

当日のスケジュールは次のとおりです。

10:00〜12:30 公開収録1「確定拠出年金運用セミナー<基礎編>」
講師:市川貴博氏

12:45〜13:15 栗本FPスクール「講師・養成コース」の講座説明会(ガイダンス)

13:30〜16:00 公開収録2「セカンドライフを見据えたお金の活用法」
講師:栗本大介

16:00〜17:30 オープンオフィス

なお、公開収録の参加料金は1回5,400円ですが、ガイダンスに参加されると半額(1回2,700円)になります。また、家計の見直しセミナーの年間パスポート会員の方はご本人と、同伴者1名まで無料でご参加いただけます。

▼詳細はこちらのご案内をご覧ください。

▼お申し込みはこちらのページからお願いします。

  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)FP実務

2017年04月18日

自分が納得できる自己責任

前回のブログでお伝えした「2級FP試験直前総まとめ講座」はご覧いただいたでしょうか。
5月の本試験まであと1ヶ月足らず。効率の良い勉強を目指す方にとっての良きガイドとなるこちらの講座を是非ご活用ください。

家計の見直しセミナー2ch 「栗本FPスクール」


■不安を煽る情報の数々


さて、先日あるご高齢の方から、「健康不安を煽られるのは嫌だけど、実際に健康が大事なのは間違いないから厄介だ」という趣旨のお話を伺いました。

「テレビや雑誌でも、『○○をすると身体に悪い』とか、『何歳になったら○○をした方がいい』という情報があると、やっぱり気になってしまう。一方で『○○は身体に悪い』とから、『○○はやめた方がいい』と逆の話が出たりして、いったい何をしたらいいのかがわからない。だから結局は自分が良いと思うことをするしかない」とのこと。

話を伺いながら、投資や保険などの金融商品でも同じことがあるな、と思っていました。

■騙されていないのに、騙されたと感じる人がいる話


世の中には「不安商法」なる言葉があります。
文字通り「消費者への不安を煽ることにより、高額な商品を購入させる悪徳商法(ウィキペディアより)」のこと。

代表例として、耐震性の不安を煽る住宅リフォームが紹介されてます。

こうした住宅リフォームについては、明らかに必要のない工事をしていたり、必要なことをまったくやっていなかったりするので、しかるべき知識を持っている人が見れば「騙された」ことが一目瞭然でしょう。

一方で、金融商品による投資話はなかなか厄介です。

「将来のお金の面での不安を煽ることにより、より多くの投資商品を購入してもらう」というのは、ある人から見ると、先ほどの健康不安と同じで不愉快に感じるかもしれませんが、だからと言って、まったく投資商品を利用しないというのも、今の時代においては難しい話です。

さらに、未公開株をネタにした詐欺のように、明らかに犯罪行為であるケースを除けば、進められた話が自分にとって良かったのかどうか、最後までわからないケースが少なくありません。

例えば、ある株式への投資が推奨されたとします。
そして、その株を購入したAさんとBさんがいました。

2人が買った直後、その株式は大きく下落したので、Bさんは堪らずその株を売却。損失が確定したとします。
一方のAさんは、下落後もずっと持ち続けていたら、5年後にその株が大きく上昇し、結果的に投資した資金が2倍になりました。

単純な話として、Bさんは「推奨していた人に騙された!」ぐらいに思っているでしょうし、Aさんは「いい株を教えてくれてありがとう」と思っているでしょう。

ちなみに、一時は資金が2倍になったAさんも、もっと上がると思って保有していたら1年後の暴落で最後は損をしてしまう、というシナリオだってあり得ます。

■結局は自己責任?


こうした、値動きのある商品は、その商品自体には何も問題なく、販売している人が誠実に仕事をされていたとしても、結果によって「騙された」と怒る人と「ありがとう」と感謝する人がでてきます。

もちろん「買う」という行動を選んだのは自分ですから、この結果は間違いなく自己責任の話です。
どこにも「騙された」という事実は存在しません。

ただ、最初に「買う」と判断した決め手が「他人のひと言」である限り、「最後は自己責任で」という姿勢に対し、理屈でわかっていても納得しがたい人は多いのではないでしょうか。

この状況を打破する考えは、1月24日に書いたブログと同じ話で、大きく3つの考え方があります。

ここでは結論だけを書きますと、

1つ目は、「自分で納得できるものを選べるようになるまで、その分野についてとことん勉強する」こと。

2つ目は、「外せないポイントを明確にしたうえで、信頼できる専門家に任せてしまう」こと。

3つ目は「割り切ってシンプルに考える」こと。細かいことは一切気にせず自分が信じるものを好きなように買えばいいという考えです。

自分が納得できる「自己責任」が全うできるようになりたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年04月11日

2級FP試験 直前総まとめ講座の動画公開

ほぼ1年ぶりに、FP試験対策の動画を公開いたしました。

家計の見直しセミナー2ch 「栗本FPスクール」
 

私が主任研究員を務める生活経済研究所長野では、多くの人にお金周りの知識を身に付けていただくツールとして、家計の見直しセミナーの動画サイトを運営しております。そのチャンネルの1つにおいて、「2級FP技能士 直前総まとめ講座」をスタートしました。

■20年に渡る、講義ノウハウを凝縮


思い返せば、1997年にFP試験対策講座を担当したことが私の講師生活のスタートでした。
その後、20年近くに渡り本試験問題と向き合いつつ、「いかに効率よく学習していただくか」を考え続けてきました。今回の動画にはそのノウハウをぎゅっと詰め込んでいます。

FP試験に必要な6課目について、それぞれ30〜50分ずつ、合計4時間の講義をお聴きいただければ、2級FP技能士試験の合格に必要な知識が身に付きます。
出題頻度の低い分野や、出題は多くても得点源になりにくい分野は思い切ってカットし、合格に必要な点数を最短距離で取っていただけるようにしています。

特に、独学で学ばれてきた方や、お仕事の関係でなかなかまとまった学習時間の取れない方にとっては、最適な講座となるでしょう。


■効率よい学習をサポートする5つのポイント


1.お試し無料「タックスプランニング」(約40分)
  利用者登録だけでフルバージョンをご覧になれます。

2.各単元ごとに購入できます(6,480円、税込)。
  苦手科目だけを購入できるので無駄がありません。

3.6科目セット割引
  6科目計32,400円 → 25,920円(2割引、税込)。

4.テキストもダウンロード印刷できます。
  思い立ったらすぐに勉強が始められます。

5.FP資格取得者もお申し込みいただけます。
  ご自身が講師をなさる際の見本としてもご活用ください。



5月28日のFP本試験日まで、あと1ヶ月半。

時間を有効に使い、ぜひとも短期間での合格を勝ち取ってください!


家計の見直しセミナー2ch 「栗本FPスクール」
  
Posted by kurisuke701 at 00:31Comments(0)TrackBack(0)FP学習法

2017年04月04日

人生100年時代に考えるべきこと

新年度になり、新たな環境での生活がスタートしたという方もいらっしゃるでしょう。
SNSの中でも、新生活のスタートを報告される投稿が目につき、期待と不安の入り混じった様子が伺えます。
桜が咲き始めるこの時期は、何となく気分が華やぐ季節でもあります。

■平成29年度の年金額


さて、4月1日から公的年金の金額が変更になりました。

全体としては0.1%の減額となっており、ベースとなる、国民年金からの基礎年金の満額は780,100円から779,300円に。
また、遺族基礎年金や障害基礎年金の子の加算額は2人目までが224,500円から224,300円に減額となっていますが、3人目以降の74,800円には変更ありません。
昭和18年4月2日以降生まれの方の配偶者加給年金は390,100円から389,800円となり、中高齢寡婦加算は585,100円から584,500円になっています。

厚生年金は、働いていた期間とその時のお給料によって計算されるため、人によって受取額は様々です。

例えば、同じ40年間の厚生年金保険料納付期間がある人でも、その期間の平均年収が300万円の人だと、受給額は約66万円で、500万円の人だと約110万円。
厚生労働省のモデルケースでは、夫婦2人の受給額を「月額221,277円(前年は221,504円)」としているので、年額2,655,324円。そのうち夫婦の老齢基礎年金が2人分で1,558,600円ありますから、単純計算した厚生年金は年額1,096,724円。年収500万円程度で計算された数値となります。
(厚生労働省の前提条件は「賞与を含む平均標準報酬を42.8万円」としています。)

■想定と現実の違い


ここで、国税庁が発表している平成27年分の民間給与統計実態調査に目を移すと、4,794万人の給与所得者の平均給与は420万円となっていて、厚生労働省のモデルケースより少ないことがわかります。
しかも総務省の労働力調査によると、2016年10月〜12月平均の雇用者5,415万人のうち非正規の従業員が2,042万人で、全体の37.7%を占めています。
非正規雇用者の平均給与が約171万円ですから、実際の年金受給額は、モデルケースより少ない人が多数派なのは明らかです。

■人生100年時代の将来設計


昨年話題になった「LIFE SHIFT」という本があります。この本の副題は「100年時代の人生戦略」でした。2007年生まれの半数の平均寿命が107歳に達する「長寿化時代」になっているとして、それに備えた人生設計を推奨した内容です。

本の内容をかなりざっくりまとめると、

  • 「10〜20代前半は教育を受け、60歳過ぎまで働き、引退して余生を過ごす」という3ステージの人生モデルは崩壊している。


  • 仕事の期間の長期化により、ステージの移行を多く経験するマルチステージになり、働き方のほか、健康・スキル等の「無形資産」に積極的に目を向けなければいけない。そして、それに応える教育・企業・政府による取り組みと改革が必要となる。


  • 大規模で多様性に富んだ人的ネットワークは重要な無形資産。知識より大事。何を知っているかではなく、誰を知っているかが重要な要素となる。


という感じでしょうか。

時を同じくして、自由民主党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」が「人生100年時代の社会保障へ」と題した提言を公表しており、この中でも「雇用を守るのではなく、人を守るへの発想の転換が必要」ということが書かれています。
民進党も「社会保障政策調査会」を設置しており、これまで抜本的な改革が先送りされてきた社会保障制度について、さすがに待ったなしの状況が近づきつつあるように感じます。

■充実した人生に不可欠の要素


ただ、「LIFE SHIFT」の中では、「人生に満足している人に共通する際立った要素の一つは、生涯を通して深くて強力な人間関係を築いていること」であることが紹介されています。
経済面で生活に不安が無いことはとても重要ですが、周囲との人間関係(私はこれを総称して「愛」と呼んでます)を築くことは、本当に大切です。

お金の面の心配だけでなく、より充実した人生を過ごすための準備をしたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2017年03月28日

相続手続きは、本当に簡素化されるのか?

2016年7月5日のブログでも触れた相続手続きの簡素化に関する制度について、5月からのスタートが法務省から発表されました。

■相続関係の証明書


相続が発生すると、金額の多い少ないにかかわらず、亡くなった人(=被相続人)名義の預貯金や不動産などを、相続人名義に変える手続きをしなければいけません。その際、正当な相続人であることを証明するには、相続関係を証明する現在の戸籍以外に、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍」が必要となります。
手続き先が複数ある場合、各金融機関や法務局等の窓口でこの戸籍の確認が必要となるわけですが、今回の制度がスタートすると、一度揃えて法務局に提出すれば「相続関係の証明書」が発行されるため、これを利用して手続きが進められるようになります。

では、本当に相続手続は簡素化されるのでしょうか?

■今後も残る戸籍収集作業の壁


まず、戸籍というのは1人1通というものではありません。結婚や離婚、法改正や転籍などにより、1人の戸籍が何通にもおよぶことは珍しくありませんし、本籍地を移していると、戸籍の請求先も複数の自治体に及びます。出生から死亡までの連続した戸籍が必要ということは、大正時代や昭和初期の戸籍にまでさかのぼるケースもあります。コンピュータ化された現在の戸籍とは違い、昔の戸籍は手書きで読みづらく、しかも「家」単位で作成されているため、記載されている人数も多いものです。

相続人の方が手続きを進めるうえで、この戸籍収集の苦労が大きな壁となって立ちはだかります。

さらに、こうして集めた戸籍を、法務局や金融機関などの手続きをする窓口に提出するわけですが、その際に窓口の担当者は「戸籍が本当に揃っているかどうか」を確認しなければいけません。
実際の手続きを行うとわかりますが、この確認作業に30分や1時間程度を要することは珍しくなく、休みを取って一気に複数の窓口を回ろうと思っていたのに、1か所や2か所しか行けなかったということになりかねないのです。

メディアの報道では、「戸籍を集める作業が1回で済む」ことをメリットとされているケースがあるようですが、実はこの部分は今までとほぼ変わりません。
ほとんどの窓口では、原本を確認したあとコピーを取りますから、原本は返却されるのが一般的です。つまり、戸籍を集める作業はこれまでも1回だけでよかったわけです。

■手続きの簡素化ではなく、事務作業時間の短縮化


今回の新たな制度がスタートしても、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍の取得」という最初の壁は残ります。ただ、その戸籍を法務局に持って行き「証明書」を発行してもらえば、それ以降の手続はすべてこの1通の証明書で進めることができるので、各窓口での確認作業や、コピーを取る作業は随分と軽減されそうです。

そういう意味で、金融機関等の職員さんにとって、今回の制度スタートはかなりありがたいのではないでしょうか。もちろん、相続人側から見ても、手続きに訪れた際に短時間で処理してもらえることは大きなメリットとなりそうです。

いずれ発生する相続は、事前の備えの有無が、その後の手続きに大きな差となって表れるものです。
手続きの長期化が、親族内のトラブルに発展するケースもありますので、今回の制度改正を機に、今できる準備を進めていくことも大切ではないでしょうか。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)相続・贈与

2017年03月21日

遺族年金における夫と妻の差

公的年金には、老後の生活を支える老齢年金のほか、所定の障害状態となった際に受け取れる障害年金と、被保険者が死亡した際に遺された家族が受け取れる遺族年金があります。

このうち遺族年金については、「夫が死亡した際の妻」に比べ「妻が死亡した際の夫」は受給要件が厳しいため、法の下の平等を定めた憲法に違反するのではないかという話題が、以前から言われてきました。

その中で注目すべき判決が、3月21日に最高裁判所で下されました。
先に結論を書くと、「男女の賃金格差などを踏まえれば、(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘され、「規定は合憲」とする判断が示されたのです。

■遺族年金とは?


そもそも遺族年金とは、公的年金の被保険者が死亡した場合に、一定範囲の親族が受給できる年金で、残された家族の生活保障を目的とした、いわば生命保険や共済のようなものです。

ひと口に遺族年金といっても、国民年金からの給付には、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金があり、厚生年金からの給付には、遺族厚生年金、中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算があるため、自分の場合はどの年金が、いつから、いくらもらえるのかがわかりにくくなっています。

ここでは、ベースとなる遺族基礎年金と遺族厚生年金だけをとりあげます。

まず、国民年金から支給される「遺族基礎年金」からみましょう。
遺族基礎年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」となっています。年金法上「子」とは、18歳に達した後の最初の3月31日までの未婚の子を指すので、ここでは単純に「高校を卒業するまでの子」と考えてください。ちなみに、1級、2級の障害のある子の場合は20歳になるまでが対象です。

この遺族基礎年金は、昭和61年に年金の大改正があるまでは「母子年金」と呼ばれており、遺族基礎年金と名称が変わったあともしばらくは「母と子」だけしか受けることができなかったのですが、昨今の社会情勢を反映し、平成26年4月以降は「父と子」も受け取れるようになりました。
つまり、高校を卒業するまでの子がいる家庭では、夫が亡くなった時の妻と、妻が亡くなった時の夫に、差は無いということです。

一方の遺族厚生年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母ですから、遺族基礎年金に比べると受け取れる人の範囲は広くなります。

ただし、夫、父母、祖父母が受給できるのは、本人の死亡当時に55歳以上の場合に限られ、実際に受給できるのは60歳に達した時からとなります。夫婦間で見ると、夫が亡くなった時の妻には年齢制限がないのに、妻が亡くなった時の夫には年齢制限がある、つまり、差があるというわけです。


■妻が亡くなった場合の給付


例えば、「妻が亡くなって、夫と18歳年度末までの子が遺族となった」場合を考えてみましょう。

この場合、まず夫は遺族基礎年金を受給できます。また、夫が55歳以上であれば、本来は60歳からしか受け取れないはずの遺族厚生年金も、遺族基礎年金と併せて夫に支給されます。

一方で、夫が55歳未満であれば、夫は遺族基礎年金だけの受給資格を持ち、遺族厚生年金は受給できません。ただ、18歳までの子がいますので、その子が遺族厚生年金を受給することになります。結果的に、世帯としては遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することになっていますが、遺族基礎年金は夫に、遺族厚生年金は子に対して支払われる点にご注意ください。
なお、この場合、子がいない(または18歳年度末を超えている)と遺族厚生年金はもらえず、冒頭にご紹介した最高裁判所が判決を出した問題は、まさにこの点が争われていたのです。


■性別の差を認めた判断


実際の事件は、遺族厚生年金ではなく遺族補償年金の話です。1998年に、当時51歳だった妻が自殺し、労災の認定を受けたことで、当時51歳だった男性が遺族補償年金の支給を申請したところ、妻の死亡時点で55歳未満だったことを理由に支給されなかったことを不服として訴えを起こしました。

この問題では、一審の大阪地裁判決は「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で、配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」として不支給の決定を取り消しているのですが、その後、二審の大阪高裁では、男女間の賃金格差を理由に「夫を亡くした妻の方が、独力で生計を維持できなくなる可能性が高い」と指摘し、不合理な差別ではないという判断を下しています。

そして今回の最高裁判所は、判決理由の中で、男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差、雇用形態の違いを挙げ、「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば、妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と二審同様の判断を下したわけです。

一方(=遺族基礎年金)では、男女差を無くす方向に動きながら、他方(=遺族厚生年金)では差があってもよいとされた結果には、納得できない考えもあるかと思いますし、今後も議論は続くかもしれません。ただ、現状の制度の取り扱いを認識したうえで、世帯の状況に合わせた生命保険や共済の準備を考える必要があるという点は忘れないようにしましょう。

そしてもう一つ。たとえ制度上受給対象になっていても、受給権者が請求しなければ遺族年金は支給されません。私たちを守る制度の仕組みを知り、イザという時に請求漏れがないようにするとともに、自分の周りでご家族の亡くなった方がいらっしゃる場合、「年金事務所に行って確認した?」という言葉をお掛けいただきたいと思う次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2017年03月14日

個人型DC制度の税制優遇の不思議

2017(平成29)年1月から、個人型確定拠出年金の加入対象者が広がり、これまで利用できなかった、公務員の方や専業主婦などの国民年金第3号被保険者の方が加入できるようになりました。

厚生労働省のサイトを見ますと、個人型確定拠出年金の1月の新規加入者数は26,705人となっています。
制度開始の2001年からの個人型の累計加入者は2016年12月時点で約30.6万人。単純計算するとこれまでは1年平均2万人程度のペースで加入されてきたものが、今回の改正によって1ヶ月で2.6万人増ですから、スタートダッシュとしては良い感じで広がっているようです。

ちなみに、内訳を見ると
第1号加入者:2,146人
第2号加入者:22,647人(うち、共済組合員8,719人)
第3号加入者:1,912人
の合計26,705人。

第1号加入者とは、国民年金の第1号被保険者のことなので、これまでにも利用できた方。第2号加入者は会社員や公務員、団体職員さんなど、厚生年金の被保険者を指し、そのうちの公務員さんが「共済組合員」と表現されています。そして第3号加入者は専業主婦を代表とする国民年金第3号被保険者の方。つまり、今回の制度改正で新たに加入できるようになった人(公務員と第3号被保険者)だけで見ると、10,631人というわけです。

最初のうちは、「加入できるようになることを待っていた人」が手続きをしますから、このペースは今後一気に縮小するかもしれませんが、まずはいい感じでスタートしたのではないでしょうか。ちなみに、過去半年ぐらいの企業型の加入者数の増加は1ヶ月当たり1.6万人程度で、2016年12月末時点の累計加入者数は。約589万人です。

■確定拠出年金とは?


そもそも確定拠出年金は、支払った掛金を自分が選択した金融商品で運用し、その運用結果に応じて将来の受取額が変わるという、自己責任運用型の年金制度。「Defined Contribution Plan」の頭文字を取り「DC」と表記されることが一般的です。
この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入するものを「企業型」といい、
個人が自分の意思で手続きをして加入するものを「個人型」といいます。

個人型DCは、「iDeCo(イデコ)」という愛称もつけられています(「I」は個人を表す「Individual」からきています)。

さて、運用次第で将来の受取額が変わると聞くと、投資になれていない多くの方にとっては気軽に始めにくい制度かもしれません。
ただ、取扱い金融機関はもちろん、多くのサイトや書籍等でも触れられている通り、税制面でのメリットが大きいため、「やった方がよい」というイメージがあります。

■3つの税制優遇とは?


税制優遇の1つ目は掛金の全額が所得控除の対象になることです。
所得控除の対象になると「税金計算の元となる金額から差し引く」ため、同じ所得の場合、負担する税金が少なくなります。

例えば、毎月1万円の掛け金を支払うとしましょう。この場合、年間掛金の12万円が所得控除の対象なので、課税対象となる所得が12万円少なくなります。
所得税の税率は所得に応じて5%〜45%のいずれかとなります。日本人の平均的な所得の場合、適用されるのは多くても20%の税率ですから、所得が12万円少なくなることに対する税金の軽減効果は24,000円。住民税の10%を併せると36,000円の軽減効果です。
12万円の積立に対して、36,000円の軽減ですから大きいですよね。

ただ、所得税率5%の人だと、この効果は18,000円ですし、そもそも住宅ローン減税やふるさと納税などの制度を利用してほとんど税金を払っていない人の場合、このメリットはまったく関係ありません。
ご自身の納税状況を冷静に判断したいものです。

そして2つ目の税制優遇は、運用期間中に得た利益が非課税となることで、これは文字通りの意味です。
運用先として選択した投資信託の価格が大きく上昇し、仮に10万円の利益が出たとしましょう。投資信託等で得た利益には、原則として20%(所得税15%と住民税5%)の税金が課せられるので、「10万円×20%=2万円」が税金となりますが、これが非課税になるわけです。
こちらも、大きなメリットではありますが、当然ながら「利益の出ている状態で投資信託を売却したとき」だけに関係するものなので、やはり状況によって得られるメリットに差が出てきそうです。

■自分で積み立てたお金に対して課税されるのはなぜ?


そして3つ目のメリットは、将来受け取る時にも税金が優遇されることです。

これも基本的な考えは「受け取るお金に掛かる税金を計算する際に優遇される」というものですが、考えてみるとおかしな話です。
会社側が掛金を負担することがほとんどの「企業型DC」はいいとして、個人型DCの場合、掛金を負担するのは自分自身です。
「DC制度では運用してきた資産を受け取る際の税金が優遇される」と言われると、なんとなくお得な気がしますが、そもそも自分が貯めたお金に対してなぜ税金を掛けられないといけないのでしょう?
毎月1万円ずつ銀行で積立貯金をし、30年後に貯まった360万円を一括で引き出す際に、
「一括で受取る場合は退職金となるので退職所得として課税対象となります」と言われたら、「ん?」と思いませんか?
なんで、自分の預貯金を引き出すのに税金がかかるの?って話です。

この税制優遇、そもそもの制度の見本となった「アメリカの内国歳入法401条k項」では、
「所得税繰り延べ」と説明されています。繰り延べというのは、「今は取らないけど、将来取るよ」という話で、ようするに課税時期の先送りです。
1のメリットで、掛金支払時に税金を優遇したので、その分を将来受け取る時に清算する、と考えればわかりやすいでしょうか。
もちろん、優遇の結果「負担する税金がゼロ」になることもあるので、結果的には大きなメリットとなることは間違いありません。

なお、投資信託は購入時や保有時に手数料が掛かるのが一般的です。DC制度には、こうした手数料がとても低い水準になっているケースが多いので、その点でのメリットは大きいかもしれません。

結局のところ、「税制メリットがあるから確定拠出年金を始める」のではなく、ご自身の老後資金の積み立て手段として、確定拠出年金を選択肢に入れる」という意識が大切なのではないでしょうか。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年03月07日

自分にとっての優先順位

先週末は家族で北陸旅行に行ってきました。

東尋坊に立ち寄ったあと、観音院加賀寺へ。ここはその昔、「ユートピア加賀の郷」という名のテーマパークでした。平成13年に、当時8歳、5歳、2歳だった子どもを連れて来たことがあるのですが、16年ぶりに訪れた場所はホテルや遊園地が閉鎖され、「廃墟」として紹介されるほどの寂しい施設になっておりました。

ライフプランを立てる時、将来の夢や希望を確認するのが一般的です。
その中には、住宅の取得や、子どもの進学などのイベントと合わせ、「いつかはここに行ってみたい」とか、「退職後はこういう場所に住みたい」といった、「今はできないけど、将来実行したいこと」がでてきます。
でも、今回の出来事を受けて、「いつか」が永遠に訪れない可能性もあることを改めて考えさせられました。そういえば、私の奥さんは「いつかSMAPのコンサートに行きたい」と言ってましたが、もはや実現することはないでしょう。

人生において何を重視するのかは、人によってそれぞれですし、同じ人でもその時々の考え方や環境によって変化するのは当然です。
何年か前にはとてもやりたかったことが、今ではまったくやりたくないということもあります。
ただ、「いつかやろう」「そのうちできるだろう」ということの多くは、結局できないまま終わってしまう気がします。

先日の旅行では、「加賀伝統工芸村ゆのくにの森」にも立ち寄りました。
ここでは、相田みつを展が開かれています。

相田みつを


相田みつをさんの詩は、心に響くモノが多く、その中の1つに

そのうち
そのうち
べんかいしながら日がくれる


という詩があります。

これは、仕事で詰まっている時には、気が進まない仕事を先送りしている自分を戒める言葉として受け取れますし、ライフプラン全体の中で考えると、「実現できないまま終わってしまうよ。人生は短いよ」というアドバイスとも受け取れます。

自分にとっての優先順位。
時にはゆっくり振り返ることが必要かもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年02月28日

納税意識を高めましょう

2月16日から3月15日までは、所得税の確定申告期間です。

勤務先からお給料を受け取っている人は、原則として年末調整によって税金の精算が終わるため、確定申告を意識していない方も多いかもしれません。

■源泉徴収制度の功罪


いわゆる「給与所得者」は、毎月のお給料から税金が天引きされています。

そもそも所得税は「1月1日から12月31日までの1年間の所得」に対して課せられるもので、本来でしたら12月31日にならなければ金額が確定しません。
ただし、お勤めの方が勤務先から受け取るお給料の多くは毎月の水準が決まっている上、12月の支給日をもって年間の総額が確定します。
そこで「今年はこれぐらいの収入になりますよね」という見込みで、毎月のお給料から天引きしておき、12月の支給額が決まった時点でそれまでの過不足を調整して完了する仕組みになっているわけです。

予め徴収するこの仕組み「源泉徴収制度」と言いますが、これによって手続きが楽になる反面、税金に対する意識が希薄になるというデメリットもあります。

■選挙時の投票率が低い理由


税金に対する意識が希薄だと、その使われ方に対する意識も希薄になりがちです。

税金の使い道は、国や地方自治体の議会で決められますが、ここで議決権を持つ政治家(と総称します)は、国民の選挙によって選出されます。
お金の使い道を決める(だけではありませんが)という大切な役割を担う政治家を決めるわけですから、本来であれば選挙権を持つ人の多くは選挙に行くべきですが、昨年の参議院選挙で54.7%だったように、日本の投票率の低さは有名です。

罰則があるかなどの制度の違いもあるため、一概には比較できませんが、オーストラリアの投票率は常に90%を超えているそうです。国際統計データを専門に扱うGLOBAL NOTEによると、2016年2月時点の日本の投票率は191か国中153位でした。

この要因は、もちろん1つだけではありませんが、源泉徴収制度などによる納税意識の低下も影響しているように思います。

■ふるさと納税に見る人々の意識


この納税に関連する意識が高まった制度の1つに「ふるさと納税」があります。

平成27年度に利用された金額(=地方自治体の受入額の合計)は約1,653億円で、前年の約389億円から4倍以上に増えました。金額が大きく増えた背景には、平成27年度からふるさと納税枠が倍増したことと、ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設により、手続きが簡素化されたことがあげられています。

このふるさと納税は、地方活性化政策の1つとして平成21年度に誕生した寄付制度です。
人口が都市部に集中する中で、税収が縮小している自分の生まれ育ったふるさとの自治体に対して納税できる制度があっても良いのではないか、という問題提起から始まりました。
つまり、納税者に税金の使い道を意識してもらうための取り組みでもあるわけです。

一方で、税収を増やしたい(=多くの寄付を受けたい)自治体が、納税者に対して実施している「返戻品」が大きくクローズアップされたことで、「地域の特産品がもらえるお得な制度」という認識で利用を始めた人も少なくないでしょう。

そして、この返戻品競争が激化した結果、タブレットや電化製品といった、地域の特産品
とはいえない物も増え、寄付額の1,653億円に対して、返戻品調達のための費用が793億円にも上っているそうです。
このような現状を受け、国は自治体に対して是正を促す方針を発表しています。

税金の使い道について意識を向ける納税税者増えることは望ましいものの、本来の趣旨を理解しないまま「お得な通販」として利用している人が増えているのであれば、確かに見直す必要がありそうです。

私たちの生活に税金との関わりは欠かせません。確定申告をする方は、申告書の作成時に自分の納税額を意識するものですが、年末調整で終わっている方もよくわからないからと敬遠するのではなく、源泉徴収票をよく見て、1年間にどれだけの税金を負担しているかを意識してみてはいかがでしょうか。  
Posted by kurisuke701 at 10:39Comments(0)TrackBack(0)税金

2017年02月21日

高齢者の財産管理とフィンテック

先日、フィンテックに関するセミナーを受講する機会がありました。

フィンテック(Fintech)とは、FinanceとTechnologyを組み合わせた造語で、ITを活用した金融サービス全体を指します。

身近になりつつあるフィンテック


さて、このフィンテックは、スマホの普及とともに急速に広がっています。

身近なところでは、お財布ケータイや家計簿アプリを利用している人は多いかもしれません。コミュニケーション手段として多くの人が利用しているLINEがサービスを始めた「LINE Pay」は、以前メルマガ(324号)で取り上げたことがあります。

友人や仲間と食事に行った際、計算した金額をLINEを通じて送金し合えば、集金の手間も省けるし、細かいお金が無くても気にしなくて大丈夫。こちらはまだ普及には至ってませんが、身近なちょっと便利なことは、これからも増えることでしょう。

このように、生活がより便利になることが謳われているフィンテックですが、一方で、自分の感覚だけでは継続できない細かいお金の管理や、財産管理の安全性を高める手段としても活用できそうです。

「チリも積もれば山となる」投資


例えばカフェで420円のドリンクを飲んだとします。
レジで500円を支払えば、80円のおつりを受け取るわけですが、この80円を自動的に投資や積立に回すという設定ができたりするのです。

日本でのサービス開始はこれからのようですが、米国ではAcorns(エイコーンズ)という企業がすでに実現しているそうです。

小銭で受取る80円は、気が付けばすぐに無くなってしまうかもしれませんが、電子マネーを通じて積立をすれば、1ヶ月経つと結構な金額になりますよね。

仮に、カフェやランチ、ちょっとしたお買い物で、1日3回、お金を支払う機会があるとすると、1ヶ月では90回。1回80円ずつの積立が7,200円ですから、1年で86,400円の積立が出来てしまいます。そのお金で家族旅行に行ってもいいでしょう。また、この行動を40年間続ければ約345万円ですから、老後の備えとしては心もとないですが、準備資金の助けぐらいにはなるでしょう。

まさに「チリも積もれば山となる」です。

昔から500円貯金なんていうのがありましたが、それをより確実に実行するための仕組みでもある上、単に貯金箱に入れるのではなく、投資信託などの購入によって、少しとはいえ運用益が得られる可能性もあるわけです。
全国で100万人の人がこうしたサービスを利用すれば、864億円の新たな投資需要が生まれる計算になり、経済の活性化に貢献できるかもしれません。


振り込め詐欺や不正な使い込みを防ぐ手段


そしてもう1つ考えられるのは高齢者の財産管理です。

こういうサービスがあるかどうかは知りませんが、例えば、離れて住んでいる親が、10万円以上の振り込みをした場合、予め連携しておいた子どものスマホアプリにその情報が入り、そこで「承認」をしないと振込が実行されない、なんてことができれば、振り込め詐欺による被害をかなり減らせるのではないでしょうか?
最近問題になっている、後見人による財産の使い込みなども、他の親族の監視の目が付くことにより防げるかもしれません。

これからしばらくは、高齢者がどんどん増える時期です。

加齢に伴う判断能力の低下は、程度の差こそあれ、多くの人に降りかかる事実ですし、時代が変わってもお金にまつわるトラブルは残念ながらゼロにはなりません。
人の介在によって不正が発生するのであれば、それを防ぐ仕組みこそ感情を持たないITの出番なのではないでしょうか。

高齢者の財産を守ることは、いずれ引き継ぐ子世代の財産を守ることでもあります。
送金や家計簿管理を便利にしていくだけでなく、財産管理の弱点を補完する機能こそ、どんどん進化してほしいと願わずにはいられません。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年02月14日

公開収録と栗本FPスクールガイダンスのご報告

去る2月12日に、東京の田町で生活経済研究所長野の「家計の見直しセミナー公開収録」と栗本FPスクールの「講師・養成コースガイダンス」を開催いたしました。
当日は多くの方にご参加いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。

■がん保険の考え方と商品知識


公開収録1つ目の演題は「がん保険の考え方と商品知識」。
こちらは新作講演ということもあり、様々な立場の方への徹底したリサーチを事前に行いました。その中で寄せられたご意見には「そもそもがんとは何なのか?」という「がん保険」以前の疑問が少なくなかったので、その声に合わせた幅広い内容を構築した結果、一般的ながん保険のセミナーとはひと味もふた味も違う内容になっております。

20170212関口さん


参加者アンケートにおいても「知らないことが満載だった」「切り口が生活者視点に立った裏付けのある内容になっている」などの声をいただきました。

当日参加できなかったみなさまからのお問い合わせも頂戴していますが、こちらの講演は2月21日にWEB配信がスタート予定です。

第39回「がん保険の考え方と商品知識」
 

■火災・地震補償の考え方と商品知識


公開収録2つ目の演題は「火災・地震補償の考え方と商品知識」。
こちらは、これまでに多くの講演実績がありますが、講演の都度少しずつ地道に内容をブラッシュアップしています。現時点の最新状況を踏まえ、そもそもの考え方から商品知識までが網羅されている内容となっています。

20170212塚原さん


参加者アンケートでは「損保・共済を比較しながら全体の見積もりポイントが分かった」「最初は難しい話だと思ったが、よく整理されていてわかりやすい内容だった」などの声をいただきました。


こちらの講演映像も2月21日にWEB配信がスタート予定となります。

第40回「火災・地震保障の考え方と商品知識」
 

■栗本FPスクールガイダンス


セミナーとセミナーの間には栗本FPスクール「講師・養成コース」のガイダンスを行いました。
こちらのコースでは、FPのプロ講師として必要な講演スキルとともに、講師として稼ぐ力を身に付け、安定した収入を得ることを第一の目的にしています。

そのための目玉となる「里親制度」は、実績十分な講師陣が受講生一人一人を里親として受け持ち、卒業までの2ヶ月間をサポートするもので、第1期生のコースでも非常に好評でした。
「講座を受ければ稼げる講師になる」のではなく、「稼げる講師になるように徹底的に指導する」のが、こちらの講師養成コース。

ガイダンス映像は、栗本FPスクールのサイトでご確認いただけます。

栗本FPスクール「講師・養成コース」

5月21日開講となる「講師・養成コース」第2期生にも、既にお申込みやお問い合わせをいただいております。

また、セミナーとガイダンスの間には名刺交換会を実施いたしました。
参加者の中には、各分野で活躍されている実務家FPさんや、大手団体の方も多数いらっしゃいましたので、参加者お互いのネットワークを広げる場としてもご活用いただけたようです。

次回は5月28日(日)に長野県松本市で開催予定となっていますので、ご興味のある方は是非ご予定くださいませ。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)お知らせ

2017年02月07日

投資教育の前に必要な「生活設計教育」

金融庁に「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」が設置され、その第1回の事務局説明資料が公表されました。
その中で「資産形成を促すために大切な要素」として、\度の整備、⊆汰的な投資教育、6睛撒ヾ悗慮楜卷椣未龍般咳娠弔3つがあげられています。

■資産形成は何のために必要なのか?


日本では個人の金融資産が現金や預貯金、保険等の元本確保型商品に偏っていることが指摘され続けています。
2016年12月22日に公表された日本銀行の資金循環勘定によると、日本の家計金融資産は1,752兆円あり、その52.3%が現金・預金。国全体として「貯蓄から投資へ」という流れを進めている中においても10年前と比べてほとんど変化がありません。一緒に比較されている米国とユーロエリアの現金・預金の比率を見ると、米国が13.9%で、ユーロエリアは34.6%。日本人の貯蓄重視傾向の根拠としてもよく利用される数字です。

こうした現状を背景に、「貯蓄に偏っている家計の金融資産をもっと投資商品に振り分け、資産形成を進めよう」という流れが進められているわけですが、そもそも資産形成は何のために必要なのでしょうか?

家を買うため?
子どもの教育資金を用意するため?
退職後の老後資金を貯めるため?

もちろん、目的は人によって違いますし、何か1つだけということもないでしょう。
いずれにしても、こうした人生の中で遭遇する様々なイベントには、多かれ少なかれお金がかかることと、そのためのお金はあらかじめ用意しておくことが望ましい、という考えが(正しいかどうかは別として)一般的だといえそうです。

■資産形成の手段=投資商品の利用なのか?


「自分にとって将来必要となる資金を準備する」=「資産形成」であるとして、次に考えるのはそのためにどういう手段を選ぶのかという話。

これにも様々な考え方がありますが、基本的には「収入を増やす」か「支出を減らす」か「手持ちの資産からの運用収益を増やす」という3つがあげられます。

今回の話は、この中で「資産からの運用収益を増やす=投資商品を利用する」という流れから出ているものです。そして、そのための制度は着々と広がっているわけですが、一方で制度の普及が、必ずしも投資商品の利用に繋がっていないという事実があります。

代表的な制度として、確定拠出年金やNISAの実態を見てみましょう。

確定拠出年金制度が日本に導入されたのは2001年ですから、今から15年前。
2016年3月末の加入者数は企業型で約550万人に増加しているものの、約3,600万人の厚生年金被保険者数からすると、15%強にとどまっています。しかも、企業年金連合会の公表資料によると、選択されている運用商品は、預貯金(35.6%)と保険(18.8%)といった元本確保型が全体の54.4%を占めており、制度の普及=投資商品の普及とはなっておりません。

ちなみに、2016年3月末時点の個人型の加入者は25.8万人で、選択商品は預貯金(38.9%)と保険(26.8%)で65.7%。企業型よりも元本確保型商品の比率が高くなっています。

もう一つのNISA口座に関しても、似たような傾向があります。こちらは「元本確保型商品」を選ぶことはできませんが、口座を開設しても何も商品を利用していない「非稼働口座」が全体の53.5%に及んでいるのです。(金融庁の利用状況調査より)

2017年1月から個人型の加入対象者が拡大されますが、いずれにしても、制度の普及だけでは投資商品の利用が伸びるわけではないと言えそうです。

これには、制度そのものが知られていないことや、必要な知識が不足しているため利用を躊躇しているというように、「投資教育の不足」が背景の1つとして上げられますが、一方で「そもそも資産形成の手段として本当に投資商品の利用が必要なの?」という疑問があるのかもしれません。

もっともらしい理由を重ねて、いつの間にか投資に誘導されている心地悪さ、でも言うのでしょうか。

■必要なのは「生活設計教育」


先日、ふと見かけたネット上の記事をツイッターでご紹介したところ、複数の方から共感を得るという出来事がありました。

かいつまんで言うと、イギリス人は日本人ほど老後のための資産形成をしていない、というお話で、

「イギリス人は今日を生き、日本人はリタイア後を思いあぐねる」

という言葉が紹介されていました。45歳以上で預金額が9,000ポンド(=約130万円)未満の割合が全体の40%強なのだそうです。

考えてみると、日本で普及を進めている「NISA制度」のお手本は、イギリスの「ISA制度」です。日本のお手本となる資産形成手段が浸透しているイギリス人は、さぞかし多くの資産を持っているのだろうという思いこみに対して、そうではない一面が見えたところに驚きがありました。

長くなりましたが、ここで言いたいのは「投資は必要ない」ということではありません。
私自身、投資の必要性は強く感じていますし、そのための制度も多くの人が正しく知って、有効に活用するべきだと思っています。

一方で、「将来のために資産形成が必要」「そのためには投資商品の利用が不可欠」という一連の流れに、なんだか居心地の悪さを感じている人も少なくないのではないかな、とも感じています。
ですから、制度だけを準備しても、なかなかその流れに身を任せようとしないのではないでしょうか。

自分にとって何が大切で、そのために必要な要素が何なのかは、やはり自分主体に考えるべきことではないでしょうか。

そのために必要なのは、「投資教育」ではなく、「人生教育」というか、「生活設計教育」とでも言われるべきものかもしれませんね。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年01月31日

平成29年度の年金額改定

1月27日に厚生労働省から、来年度の年金額改定が公表されました。

■平成29(2017)年度は779,300円


2016年の消費者物価指数の下落を受けて、国民年金(基礎年金)の満額は0.1%減額の、月額64,941円となります。年額としては公表されていませんが、計算式に当てはめると779,300円となるので、現状の780,100円からは800円の減額となります。

公的年金の金額は、物価変動と名目手取り賃金変動率をベースに毎年改定されます。
2016年は、消費者物価指数(総合指数)が0.1%の下落で、名目手取り賃金変動率は1.1%の下落。両方とも下落した場合で、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回った時は物価変動率が適用されることになるので、結果として今回は0.1%の引き下げとなったわけです。

年間800円の減額が、たちまち生活に影響を及ぼすことはないとはいえ、「公的年金の受取額が将来減るという不安」を大きくする要因にはなりそうです。

ちなみに、私が社会人になった1994年の年金額は747,300円だったので、その後の23年間で約4%上昇しています。
「年金受給額は年々減っている」という印象を持つ方は多いのですが、数字上は増えています。
しかも、この間の消費者物価指数の上昇率は約2%ですから、実質的な価値としても増えているのです。
イメージって怖いですね。

なお、第1号被保険者が負担する国民年金の保険料は、月額16,260円から16,490円に引き上げられるので、年間では2,760円のアップとなっています。

■「自分の場合」の受取額を知っておく


退職後の生活資金設計(リタイアメントプラン)を考える際、「公的年金だけでは足りないのではないか?」という話は常に出てきます。

もちろん、生活に必要なお金は人によって違いますし、受け取る年金額も人によって大きく違いため、一概には言えません。
先ほどの数字(年額779,300円)は国民年金からの給付だけですが、お勤めの方が加入している老齢厚生年金も含めると、夫婦2人の標準的な年金額は月額約22万円と公表されてるので、毎月の生活費を賄うだけであれば、何とかなるかもしれません。

単身の方は1人分の年金額なので、これより少なくなりますが、一方で生活費も抑えられる可能性が高いので、いずれにしても、不足するかどうかを知るには自分自身で計算するしかないのです。

毎年誕生月に手元に届く「ねんきん定期便」には、これまでに払い込んだ保険料と、将来受け取る年金の見込額が記載されていますから、最低限ここに書かれている数字は把握しておきましょう。

■多様な選択肢を忘れない


これらの計算を経た上で不足額が出そうな場合はもちろん、生活以外に掛かる様々な支出をカバーするための蓄えを残すには、自助努力が必要となります。

会社員や公務員、団体職員の方で、お勤め先の退職金制度がある方は退職金の見込額を調べることが第一歩ですが、そうでなければ、自分の意思で何かを始める必要性は高いかもしれません。
自動引き落としで貯められる定期預金や投資信託もあれば、自営業やフリーランスの方であれば「小規模企業共済」や「国民年金基金」といった制度もあります。また、今年から加入対象者が広がった「確定拠出年金制度」を活用するケースもあるでしょう。

こうした制度や商品にはそれぞれ一長一短があるため、自分にとって一番いいものを選ぶのはなかなか大変です。とはいうものの、悩んでいて何も選べないうちに時間が過ぎてしまうのは避けたいですから、まずは無理のない範囲で始めてみる、という姿勢が大切かもしれません。

なお、老後資金積立を目的にした代表的な商品である「個人年金保険」について、2017年4月以降の保険料が引き上げられるようです。
これは、保険料を決める要素の1つである「予定利率」が引き下げられるためですが、くれぐれも「保険料が上がる」ことだけを理由に慌てて加入することが無いよう、自分の必要性をしっかり考えるようにしてください。


そして最後に。
老後の生活に備える方法は、何もお金だけではありません。

例えば、移住を誘致している自治体などで格安の住宅を手に入れ、自分たちが食べるものは自分たちで作るという、「日常生活に極力お金を掛けない生活」を送っている方は実際にいらっしゃいます。
もちろん、デメリットがゼロの方法はありませんから、事前に問題点や課題をしっかり押さえておく必要はありますが、ご自身の価値観の中でこうした選択肢もありなのであれば、積極的に情報収集したり、地域の人とのネットワークを広げておくことこそ、老後に備えて必要な準備になるはずです。

多様な選択肢を忘れないことこそ、最も大切なことなのかもしれません。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険