2017年03月21日

遺族年金における夫と妻の差

公的年金には、老後の生活を支える老齢年金のほか、所定の障害状態となった際に受け取れる障害年金と、被保険者が死亡した際に遺された家族が受け取れる遺族年金があります。

このうち遺族年金については、「夫が死亡した際の妻」に比べ「妻が死亡した際の夫」は受給要件が厳しいため、法の下の平等を定めた憲法に違反するのではないかという話題が、以前から言われてきました。

その中で注目すべき判決が、3月21日に最高裁判所で下されました。
先に結論を書くと、「男女の賃金格差などを踏まえれば、(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘され、「規定は合憲」とする判断が示されたのです。

■遺族年金とは?


そもそも遺族年金とは、公的年金の被保険者が死亡した場合に、一定範囲の親族が受給できる年金で、残された家族の生活保障を目的とした、いわば生命保険や共済のようなものです。

ひと口に遺族年金といっても、国民年金からの給付には、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金があり、厚生年金からの給付には、遺族厚生年金、中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算があるため、自分の場合はどの年金が、いつから、いくらもらえるのかがわかりにくくなっています。

ここでは、ベースとなる遺族基礎年金と遺族厚生年金だけをとりあげます。

まず、国民年金から支給される「遺族基礎年金」からみましょう。
遺族基礎年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」となっています。年金法上「子」とは、18歳に達した後の最初の3月31日までの未婚の子を指すので、ここでは単純に「高校を卒業するまでの子」と考えてください。ちなみに、1級、2級の障害のある子の場合は20歳になるまでが対象です。

この遺族基礎年金は、昭和61年に年金の大改正があるまでは「母子年金」と呼ばれており、遺族基礎年金と名称が変わったあともしばらくは「母と子」だけしか受けることができなかったのですが、昨今の社会情勢を反映し、平成26年4月以降は「父と子」も受け取れるようになりました。
つまり、高校を卒業するまでの子がいる家庭では、夫が亡くなった時の妻と、妻が亡くなった時の夫に、差は無いということです。

一方の遺族厚生年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母ですから、遺族基礎年金に比べると受け取れる人の範囲は広くなります。

ただし、夫、父母、祖父母が受給できるのは、本人の死亡当時に55歳以上の場合に限られ、実際に受給できるのは60歳に達した時からとなります。夫婦間で見ると、夫が亡くなった時の妻には年齢制限がないのに、妻が亡くなった時の夫には年齢制限がある、つまり、差があるというわけです。


■妻が亡くなった場合の給付


例えば、「妻が亡くなって、夫と18歳年度末までの子が遺族となった」場合を考えてみましょう。

この場合、まず夫は遺族基礎年金を受給できます。また、夫が55歳以上であれば、本来は60歳からしか受け取れないはずの遺族厚生年金も、遺族基礎年金と併せて夫に支給されます。

一方で、夫が55歳未満であれば、夫は遺族基礎年金だけの受給資格を持ち、遺族厚生年金は受給できません。ただ、18歳までの子がいますので、その子が遺族厚生年金を受給することになります。結果的に、世帯としては遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することになっていますが、遺族基礎年金は夫に、遺族厚生年金は子に対して支払われる点にご注意ください。
なお、この場合、子がいない(または18歳年度末を超えている)と遺族厚生年金はもらえず、冒頭にご紹介した最高裁判所が判決を出した問題は、まさにこの点が争われていたのです。


■性別の差を認めた判断


実際の事件は、遺族厚生年金ではなく遺族補償年金の話です。1998年に、当時51歳だった妻が自殺し、労災の認定を受けたことで、当時51歳だった男性が遺族補償年金の支給を申請したところ、妻の死亡時点で55歳未満だったことを理由に支給されなかったことを不服として訴えを起こしました。

この問題では、一審の大阪地裁判決は「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で、配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」として不支給の決定を取り消しているのですが、その後、二審の大阪高裁では、男女間の賃金格差を理由に「夫を亡くした妻の方が、独力で生計を維持できなくなる可能性が高い」と指摘し、不合理な差別ではないという判断を下しています。

そして今回の最高裁判所は、判決理由の中で、男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差、雇用形態の違いを挙げ、「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば、妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と二審同様の判断を下したわけです。

一方(=遺族基礎年金)では、男女差を無くす方向に動きながら、他方(=遺族厚生年金)では差があってもよいとされた結果には、納得できない考えもあるかと思いますし、今後も議論は続くかもしれません。ただ、現状の制度の取り扱いを認識したうえで、世帯の状況に合わせた生命保険や共済の準備を考える必要があるという点は忘れないようにしましょう。

そしてもう一つ。たとえ制度上受給対象になっていても、受給権者が請求しなければ遺族年金は支給されません。私たちを守る制度の仕組みを知り、イザという時に請求漏れがないようにするとともに、自分の周りでご家族の亡くなった方がいらっしゃる場合、「年金事務所に行って確認した?」という言葉をお掛けいただきたいと思う次第です。
  
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2017年03月14日

個人型DC制度の税制優遇の不思議

2017(平成29)年1月から、個人型確定拠出年金の加入対象者が広がり、これまで利用できなかった、公務員の方や専業主婦などの国民年金第3号被保険者の方が加入できるようになりました。

厚生労働省のサイトを見ますと、個人型確定拠出年金の1月の新規加入者数は26,705人となっています。
制度開始の2001年からの個人型の累計加入者は2016年12月時点で約30.6万人。単純計算するとこれまでは1年平均2万人程度のペースで加入されてきたものが、今回の改正によって1ヶ月で2.6万人増ですから、スタートダッシュとしては良い感じで広がっているようです。

ちなみに、内訳を見ると
第1号加入者:2,146人
第2号加入者:22,647人(うち、共済組合員8,719人)
第3号加入者:1,912人
の合計26,705人。

第1号加入者とは、国民年金の第1号被保険者のことなので、これまでにも利用できた方。第2号加入者は会社員や公務員、団体職員さんなど、厚生年金の被保険者を指し、そのうちの公務員さんが「共済組合員」と表現されています。そして第3号加入者は専業主婦を代表とする国民年金第3号被保険者の方。つまり、今回の制度改正で新たに加入できるようになった人(公務員と第3号被保険者)だけで見ると、10,631人というわけです。

最初のうちは、「加入できるようになることを待っていた人」が手続きをしますから、このペースは今後一気に縮小するかもしれませんが、まずはいい感じでスタートしたのではないでしょうか。ちなみに、過去半年ぐらいの企業型の加入者数の増加は1ヶ月当たり1.6万人程度で、2016年12月末時点の累計加入者数は。約589万人です。

■確定拠出年金とは?


そもそも確定拠出年金は、支払った掛金を自分が選択した金融商品で運用し、その運用結果に応じて将来の受取額が変わるという、自己責任運用型の年金制度。「Defined Contribution Plan」の頭文字を取り「DC」と表記されることが一般的です。
この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入するものを「企業型」といい、
個人が自分の意思で手続きをして加入するものを「個人型」といいます。

個人型DCは、「iDeCo(イデコ)」という愛称もつけられています(「I」は個人を表す「Individual」からきています)。

さて、運用次第で将来の受取額が変わると聞くと、投資になれていない多くの方にとっては気軽に始めにくい制度かもしれません。
ただ、取扱い金融機関はもちろん、多くのサイトや書籍等でも触れられている通り、税制面でのメリットが大きいため、「やった方がよい」というイメージがあります。

■3つの税制優遇とは?


税制優遇の1つ目は掛金の全額が所得控除の対象になることです。
所得控除の対象になると「税金計算の元となる金額から差し引く」ため、同じ所得の場合、負担する税金が少なくなります。

例えば、毎月1万円の掛け金を支払うとしましょう。この場合、年間掛金の12万円が所得控除の対象なので、課税対象となる所得が12万円少なくなります。
所得税の税率は所得に応じて5%〜45%のいずれかとなります。日本人の平均的な所得の場合、適用されるのは多くても20%の税率ですから、所得が12万円少なくなることに対する税金の軽減効果は24,000円。住民税の10%を併せると36,000円の軽減効果です。
12万円の積立に対して、36,000円の軽減ですから大きいですよね。

ただ、所得税率5%の人だと、この効果は18,000円ですし、そもそも住宅ローン減税やふるさと納税などの制度を利用してほとんど税金を払っていない人の場合、このメリットはまったく関係ありません。
ご自身の納税状況を冷静に判断したいものです。

そして2つ目の税制優遇は、運用期間中に得た利益が非課税となることで、これは文字通りの意味です。
運用先として選択した投資信託の価格が大きく上昇し、仮に10万円の利益が出たとしましょう。投資信託等で得た利益には、原則として20%(所得税15%と住民税5%)の税金が課せられるので、「10万円×20%=2万円」が税金となりますが、これが非課税になるわけです。
こちらも、大きなメリットではありますが、当然ながら「利益の出ている状態で投資信託を売却したとき」だけに関係するものなので、やはり状況によって得られるメリットに差が出てきそうです。

■自分で積み立てたお金に対して課税されるのはなぜ?


そして3つ目のメリットは、将来受け取る時にも税金が優遇されることです。

これも基本的な考えは「受け取るお金に掛かる税金を計算する際に優遇される」というものですが、考えてみるとおかしな話です。
会社側が掛金を負担することがほとんどの「企業型DC」はいいとして、個人型DCの場合、掛金を負担するのは自分自身です。
「DC制度では運用してきた資産を受け取る際の税金が優遇される」と言われると、なんとなくお得な気がしますが、そもそも自分が貯めたお金に対してなぜ税金を掛けられないといけないのでしょう?
毎月1万円ずつ銀行で積立貯金をし、30年後に貯まった360万円を一括で引き出す際に、
「一括で受取る場合は退職金となるので退職所得として課税対象となります」と言われたら、「ん?」と思いませんか?
なんで、自分の預貯金を引き出すのに税金がかかるの?って話です。

この税制優遇、そもそもの制度の見本となった「アメリカの内国歳入法401条k項」では、
「所得税繰り延べ」と説明されています。繰り延べというのは、「今は取らないけど、将来取るよ」という話で、ようするに課税時期の先送りです。
1のメリットで、掛金支払時に税金を優遇したので、その分を将来受け取る時に清算する、と考えればわかりやすいでしょうか。
もちろん、優遇の結果「負担する税金がゼロ」になることもあるので、結果的には大きなメリットとなることは間違いありません。

なお、投資信託は購入時や保有時に手数料が掛かるのが一般的です。DC制度には、こうした手数料がとても低い水準になっているケースが多いので、その点でのメリットは大きいかもしれません。

結局のところ、「税制メリットがあるから確定拠出年金を始める」のではなく、ご自身の老後資金の積み立て手段として、確定拠出年金を選択肢に入れる」という意識が大切なのではないでしょうか。
  
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2017年03月07日

自分にとっての優先順位

先週末は家族で北陸旅行に行ってきました。

東尋坊に立ち寄ったあと、観音院加賀寺へ。ここはその昔、「ユートピア加賀の郷」という名のテーマパークでした。平成13年に、当時8歳、5歳、2歳だった子どもを連れて来たことがあるのですが、16年ぶりに訪れた場所はホテルや遊園地が閉鎖され、「廃墟」として紹介されるほどの寂しい施設になっておりました。

ライフプランを立てる時、将来の夢や希望を確認するのが一般的です。
その中には、住宅の取得や、子どもの進学などのイベントと合わせ、「いつかはここに行ってみたい」とか、「退職後はこういう場所に住みたい」といった、「今はできないけど、将来実行したいこと」がでてきます。
でも、今回の出来事を受けて、「いつか」が永遠に訪れない可能性もあることを改めて考えさせられました。そういえば、私の奥さんは「いつかSMAPのコンサートに行きたい」と言ってましたが、もはや実現することはないでしょう。

人生において何を重視するのかは、人によってそれぞれですし、同じ人でもその時々の考え方や環境によって変化するのは当然です。
何年か前にはとてもやりたかったことが、今ではまったくやりたくないということもあります。
ただ、「いつかやろう」「そのうちできるだろう」ということの多くは、結局できないまま終わってしまう気がします。

先日の旅行では、「加賀伝統工芸村ゆのくにの森」にも立ち寄りました。
ここでは、相田みつを展が開かれています。

相田みつを


相田みつをさんの詩は、心に響くモノが多く、その中の1つに

そのうち
そのうち
べんかいしながら日がくれる


という詩があります。

これは、仕事で詰まっている時には、気が進まない仕事を先送りしている自分を戒める言葉として受け取れますし、ライフプラン全体の中で考えると、「実現できないまま終わってしまうよ。人生は短いよ」というアドバイスとも受け取れます。

自分にとっての優先順位。
時にはゆっくり振り返ることが必要かもしれません。
  
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2017年02月28日

納税意識を高めましょう

2月16日から3月15日までは、所得税の確定申告期間です。

勤務先からお給料を受け取っている人は、原則として年末調整によって税金の精算が終わるため、確定申告を意識していない方も多いかもしれません。

■源泉徴収制度の功罪


いわゆる「給与所得者」は、毎月のお給料から税金が天引きされています。

そもそも所得税は「1月1日から12月31日までの1年間の所得」に対して課せられるもので、本来でしたら12月31日にならなければ金額が確定しません。
ただし、お勤めの方が勤務先から受け取るお給料の多くは毎月の水準が決まっている上、12月の支給日をもって年間の総額が確定します。
そこで「今年はこれぐらいの収入になりますよね」という見込みで、毎月のお給料から天引きしておき、12月の支給額が決まった時点でそれまでの過不足を調整して完了する仕組みになっているわけです。

予め徴収するこの仕組み「源泉徴収制度」と言いますが、これによって手続きが楽になる反面、税金に対する意識が希薄になるというデメリットもあります。

■選挙時の投票率が低い理由


税金に対する意識が希薄だと、その使われ方に対する意識も希薄になりがちです。

税金の使い道は、国や地方自治体の議会で決められますが、ここで議決権を持つ政治家(と総称します)は、国民の選挙によって選出されます。
お金の使い道を決める(だけではありませんが)という大切な役割を担う政治家を決めるわけですから、本来であれば選挙権を持つ人の多くは選挙に行くべきですが、昨年の参議院選挙で54.7%だったように、日本の投票率の低さは有名です。

罰則があるかなどの制度の違いもあるため、一概には比較できませんが、オーストラリアの投票率は常に90%を超えているそうです。国際統計データを専門に扱うGLOBAL NOTEによると、2016年2月時点の日本の投票率は191か国中153位でした。

この要因は、もちろん1つだけではありませんが、源泉徴収制度などによる納税意識の低下も影響しているように思います。

■ふるさと納税に見る人々の意識


この納税に関連する意識が高まった制度の1つに「ふるさと納税」があります。

平成27年度に利用された金額(=地方自治体の受入額の合計)は約1,653億円で、前年の約389億円から4倍以上に増えました。金額が大きく増えた背景には、平成27年度からふるさと納税枠が倍増したことと、ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設により、手続きが簡素化されたことがあげられています。

このふるさと納税は、地方活性化政策の1つとして平成21年度に誕生した寄付制度です。
人口が都市部に集中する中で、税収が縮小している自分の生まれ育ったふるさとの自治体に対して納税できる制度があっても良いのではないか、という問題提起から始まりました。
つまり、納税者に税金の使い道を意識してもらうための取り組みでもあるわけです。

一方で、税収を増やしたい(=多くの寄付を受けたい)自治体が、納税者に対して実施している「返戻品」が大きくクローズアップされたことで、「地域の特産品がもらえるお得な制度」という認識で利用を始めた人も少なくないでしょう。

そして、この返戻品競争が激化した結果、タブレットや電化製品といった、地域の特産品
とはいえない物も増え、寄付額の1,653億円に対して、返戻品調達のための費用が793億円にも上っているそうです。
このような現状を受け、国は自治体に対して是正を促す方針を発表しています。

税金の使い道について意識を向ける納税税者増えることは望ましいものの、本来の趣旨を理解しないまま「お得な通販」として利用している人が増えているのであれば、確かに見直す必要がありそうです。

私たちの生活に税金との関わりは欠かせません。確定申告をする方は、申告書の作成時に自分の納税額を意識するものですが、年末調整で終わっている方もよくわからないからと敬遠するのではなく、源泉徴収票をよく見て、1年間にどれだけの税金を負担しているかを意識してみてはいかがでしょうか。  
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2017年02月21日

高齢者の財産管理とフィンテック

先日、フィンテックに関するセミナーを受講する機会がありました。

フィンテック(Fintech)とは、FinanceとTechnologyを組み合わせた造語で、ITを活用した金融サービス全体を指します。

身近になりつつあるフィンテック


さて、このフィンテックは、スマホの普及とともに急速に広がっています。

身近なところでは、お財布ケータイや家計簿アプリを利用している人は多いかもしれません。コミュニケーション手段として多くの人が利用しているLINEがサービスを始めた「LINE Pay」は、以前メルマガ(324号)で取り上げたことがあります。

友人や仲間と食事に行った際、計算した金額をLINEを通じて送金し合えば、集金の手間も省けるし、細かいお金が無くても気にしなくて大丈夫。こちらはまだ普及には至ってませんが、身近なちょっと便利なことは、これからも増えることでしょう。

このように、生活がより便利になることが謳われているフィンテックですが、一方で、自分の感覚だけでは継続できない細かいお金の管理や、財産管理の安全性を高める手段としても活用できそうです。

「チリも積もれば山となる」投資


例えばカフェで420円のドリンクを飲んだとします。
レジで500円を支払えば、80円のおつりを受け取るわけですが、この80円を自動的に投資や積立に回すという設定ができたりするのです。

日本でのサービス開始はこれからのようですが、米国ではAcorns(エイコーンズ)という企業がすでに実現しているそうです。

小銭で受取る80円は、気が付けばすぐに無くなってしまうかもしれませんが、電子マネーを通じて積立をすれば、1ヶ月経つと結構な金額になりますよね。

仮に、カフェやランチ、ちょっとしたお買い物で、1日3回、お金を支払う機会があるとすると、1ヶ月では90回。1回80円ずつの積立が7,200円ですから、1年で86,400円の積立が出来てしまいます。そのお金で家族旅行に行ってもいいでしょう。また、この行動を40年間続ければ約345万円ですから、老後の備えとしては心もとないですが、準備資金の助けぐらいにはなるでしょう。

まさに「チリも積もれば山となる」です。

昔から500円貯金なんていうのがありましたが、それをより確実に実行するための仕組みでもある上、単に貯金箱に入れるのではなく、投資信託などの購入によって、少しとはいえ運用益が得られる可能性もあるわけです。
全国で100万人の人がこうしたサービスを利用すれば、864億円の新たな投資需要が生まれる計算になり、経済の活性化に貢献できるかもしれません。


振り込め詐欺や不正な使い込みを防ぐ手段


そしてもう1つ考えられるのは高齢者の財産管理です。

こういうサービスがあるかどうかは知りませんが、例えば、離れて住んでいる親が、10万円以上の振り込みをした場合、予め連携しておいた子どものスマホアプリにその情報が入り、そこで「承認」をしないと振込が実行されない、なんてことができれば、振り込め詐欺による被害をかなり減らせるのではないでしょうか?
最近問題になっている、後見人による財産の使い込みなども、他の親族の監視の目が付くことにより防げるかもしれません。

これからしばらくは、高齢者がどんどん増える時期です。

加齢に伴う判断能力の低下は、程度の差こそあれ、多くの人に降りかかる事実ですし、時代が変わってもお金にまつわるトラブルは残念ながらゼロにはなりません。
人の介在によって不正が発生するのであれば、それを防ぐ仕組みこそ感情を持たないITの出番なのではないでしょうか。

高齢者の財産を守ることは、いずれ引き継ぐ子世代の財産を守ることでもあります。
送金や家計簿管理を便利にしていくだけでなく、財産管理の弱点を補完する機能こそ、どんどん進化してほしいと願わずにはいられません。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年02月14日

公開収録と栗本FPスクールガイダンスのご報告

去る2月12日に、東京の田町で生活経済研究所長野の「家計の見直しセミナー公開収録」と栗本FPスクールの「講師・養成コースガイダンス」を開催いたしました。
当日は多くの方にご参加いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。

■がん保険の考え方と商品知識


公開収録1つ目の演題は「がん保険の考え方と商品知識」。
こちらは新作講演ということもあり、様々な立場の方への徹底したリサーチを事前に行いました。その中で寄せられたご意見には「そもそもがんとは何なのか?」という「がん保険」以前の疑問が少なくなかったので、その声に合わせた幅広い内容を構築した結果、一般的ながん保険のセミナーとはひと味もふた味も違う内容になっております。

20170212関口さん


参加者アンケートにおいても「知らないことが満載だった」「切り口が生活者視点に立った裏付けのある内容になっている」などの声をいただきました。

当日参加できなかったみなさまからのお問い合わせも頂戴していますが、こちらの講演は2月21日にWEB配信がスタート予定です。

第39回「がん保険の考え方と商品知識」
 

■火災・地震補償の考え方と商品知識


公開収録2つ目の演題は「火災・地震補償の考え方と商品知識」。
こちらは、これまでに多くの講演実績がありますが、講演の都度少しずつ地道に内容をブラッシュアップしています。現時点の最新状況を踏まえ、そもそもの考え方から商品知識までが網羅されている内容となっています。

20170212塚原さん


参加者アンケートでは「損保・共済を比較しながら全体の見積もりポイントが分かった」「最初は難しい話だと思ったが、よく整理されていてわかりやすい内容だった」などの声をいただきました。


こちらの講演映像も2月21日にWEB配信がスタート予定となります。

第40回「火災・地震保障の考え方と商品知識」
 

■栗本FPスクールガイダンス


セミナーとセミナーの間には栗本FPスクール「講師・養成コース」のガイダンスを行いました。
こちらのコースでは、FPのプロ講師として必要な講演スキルとともに、講師として稼ぐ力を身に付け、安定した収入を得ることを第一の目的にしています。

そのための目玉となる「里親制度」は、実績十分な講師陣が受講生一人一人を里親として受け持ち、卒業までの2ヶ月間をサポートするもので、第1期生のコースでも非常に好評でした。
「講座を受ければ稼げる講師になる」のではなく、「稼げる講師になるように徹底的に指導する」のが、こちらの講師養成コース。

ガイダンス映像は、栗本FPスクールのサイトでご確認いただけます。

栗本FPスクール「講師・養成コース」

5月21日開講となる「講師・養成コース」第2期生にも、既にお申込みやお問い合わせをいただいております。

また、セミナーとガイダンスの間には名刺交換会を実施いたしました。
参加者の中には、各分野で活躍されている実務家FPさんや、大手団体の方も多数いらっしゃいましたので、参加者お互いのネットワークを広げる場としてもご活用いただけたようです。

次回は5月28日(日)に長野県松本市で開催予定となっていますので、ご興味のある方は是非ご予定くださいませ。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)お知らせ

2017年02月07日

投資教育の前に必要な「生活設計教育」

金融庁に「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」が設置され、その第1回の事務局説明資料が公表されました。
その中で「資産形成を促すために大切な要素」として、\度の整備、⊆汰的な投資教育、6睛撒ヾ悗慮楜卷椣未龍般咳娠弔3つがあげられています。

■資産形成は何のために必要なのか?


日本では個人の金融資産が現金や預貯金、保険等の元本確保型商品に偏っていることが指摘され続けています。
2016年12月22日に公表された日本銀行の資金循環勘定によると、日本の家計金融資産は1,752兆円あり、その52.3%が現金・預金。国全体として「貯蓄から投資へ」という流れを進めている中においても10年前と比べてほとんど変化がありません。一緒に比較されている米国とユーロエリアの現金・預金の比率を見ると、米国が13.9%で、ユーロエリアは34.6%。日本人の貯蓄重視傾向の根拠としてもよく利用される数字です。

こうした現状を背景に、「貯蓄に偏っている家計の金融資産をもっと投資商品に振り分け、資産形成を進めよう」という流れが進められているわけですが、そもそも資産形成は何のために必要なのでしょうか?

家を買うため?
子どもの教育資金を用意するため?
退職後の老後資金を貯めるため?

もちろん、目的は人によって違いますし、何か1つだけということもないでしょう。
いずれにしても、こうした人生の中で遭遇する様々なイベントには、多かれ少なかれお金がかかることと、そのためのお金はあらかじめ用意しておくことが望ましい、という考えが(正しいかどうかは別として)一般的だといえそうです。

■資産形成の手段=投資商品の利用なのか?


「自分にとって将来必要となる資金を準備する」=「資産形成」であるとして、次に考えるのはそのためにどういう手段を選ぶのかという話。

これにも様々な考え方がありますが、基本的には「収入を増やす」か「支出を減らす」か「手持ちの資産からの運用収益を増やす」という3つがあげられます。

今回の話は、この中で「資産からの運用収益を増やす=投資商品を利用する」という流れから出ているものです。そして、そのための制度は着々と広がっているわけですが、一方で制度の普及が、必ずしも投資商品の利用に繋がっていないという事実があります。

代表的な制度として、確定拠出年金やNISAの実態を見てみましょう。

確定拠出年金制度が日本に導入されたのは2001年ですから、今から15年前。
2016年3月末の加入者数は企業型で約550万人に増加しているものの、約3,600万人の厚生年金被保険者数からすると、15%強にとどまっています。しかも、企業年金連合会の公表資料によると、選択されている運用商品は、預貯金(35.6%)と保険(18.8%)といった元本確保型が全体の54.4%を占めており、制度の普及=投資商品の普及とはなっておりません。

ちなみに、2016年3月末時点の個人型の加入者は25.8万人で、選択商品は預貯金(38.9%)と保険(26.8%)で65.7%。企業型よりも元本確保型商品の比率が高くなっています。

もう一つのNISA口座に関しても、似たような傾向があります。こちらは「元本確保型商品」を選ぶことはできませんが、口座を開設しても何も商品を利用していない「非稼働口座」が全体の53.5%に及んでいるのです。(金融庁の利用状況調査より)

2017年1月から個人型の加入対象者が拡大されますが、いずれにしても、制度の普及だけでは投資商品の利用が伸びるわけではないと言えそうです。

これには、制度そのものが知られていないことや、必要な知識が不足しているため利用を躊躇しているというように、「投資教育の不足」が背景の1つとして上げられますが、一方で「そもそも資産形成の手段として本当に投資商品の利用が必要なの?」という疑問があるのかもしれません。

もっともらしい理由を重ねて、いつの間にか投資に誘導されている心地悪さ、でも言うのでしょうか。

■必要なのは「生活設計教育」


先日、ふと見かけたネット上の記事をツイッターでご紹介したところ、複数の方から共感を得るという出来事がありました。

かいつまんで言うと、イギリス人は日本人ほど老後のための資産形成をしていない、というお話で、

「イギリス人は今日を生き、日本人はリタイア後を思いあぐねる」

という言葉が紹介されていました。45歳以上で預金額が9,000ポンド(=約130万円)未満の割合が全体の40%強なのだそうです。

考えてみると、日本で普及を進めている「NISA制度」のお手本は、イギリスの「ISA制度」です。日本のお手本となる資産形成手段が浸透しているイギリス人は、さぞかし多くの資産を持っているのだろうという思いこみに対して、そうではない一面が見えたところに驚きがありました。

長くなりましたが、ここで言いたいのは「投資は必要ない」ということではありません。
私自身、投資の必要性は強く感じていますし、そのための制度も多くの人が正しく知って、有効に活用するべきだと思っています。

一方で、「将来のために資産形成が必要」「そのためには投資商品の利用が不可欠」という一連の流れに、なんだか居心地の悪さを感じている人も少なくないのではないかな、とも感じています。
ですから、制度だけを準備しても、なかなかその流れに身を任せようとしないのではないでしょうか。

自分にとって何が大切で、そのために必要な要素が何なのかは、やはり自分主体に考えるべきことではないでしょうか。

そのために必要なのは、「投資教育」ではなく、「人生教育」というか、「生活設計教育」とでも言われるべきものかもしれませんね。  
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2017年01月31日

平成29年度の年金額改定

1月27日に厚生労働省から、来年度の年金額改定が公表されました。

■平成29(2017)年度は779,300円


2016年の消費者物価指数の下落を受けて、国民年金(基礎年金)の満額は0.1%減額の、月額64,941円となります。年額としては公表されていませんが、計算式に当てはめると779,300円となるので、現状の780,100円からは800円の減額となります。

公的年金の金額は、物価変動と名目手取り賃金変動率をベースに毎年改定されます。
2016年は、消費者物価指数(総合指数)が0.1%の下落で、名目手取り賃金変動率は1.1%の下落。両方とも下落した場合で、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回った時は物価変動率が適用されることになるので、結果として今回は0.1%の引き下げとなったわけです。

年間800円の減額が、たちまち生活に影響を及ぼすことはないとはいえ、「公的年金の受取額が将来減るという不安」を大きくする要因にはなりそうです。

ちなみに、私が社会人になった1994年の年金額は747,300円だったので、その後の23年間で約4%上昇しています。
「年金受給額は年々減っている」という印象を持つ方は多いのですが、数字上は増えています。
しかも、この間の消費者物価指数の上昇率は約2%ですから、実質的な価値としても増えているのです。
イメージって怖いですね。

なお、第1号被保険者が負担する国民年金の保険料は、月額16,260円から16,490円に引き上げられるので、年間では2,760円のアップとなっています。

■「自分の場合」の受取額を知っておく


退職後の生活資金設計(リタイアメントプラン)を考える際、「公的年金だけでは足りないのではないか?」という話は常に出てきます。

もちろん、生活に必要なお金は人によって違いますし、受け取る年金額も人によって大きく違いため、一概には言えません。
先ほどの数字(年額779,300円)は国民年金からの給付だけですが、お勤めの方が加入している老齢厚生年金も含めると、夫婦2人の標準的な年金額は月額約22万円と公表されてるので、毎月の生活費を賄うだけであれば、何とかなるかもしれません。

単身の方は1人分の年金額なので、これより少なくなりますが、一方で生活費も抑えられる可能性が高いので、いずれにしても、不足するかどうかを知るには自分自身で計算するしかないのです。

毎年誕生月に手元に届く「ねんきん定期便」には、これまでに払い込んだ保険料と、将来受け取る年金の見込額が記載されていますから、最低限ここに書かれている数字は把握しておきましょう。

■多様な選択肢を忘れない


これらの計算を経た上で不足額が出そうな場合はもちろん、生活以外に掛かる様々な支出をカバーするための蓄えを残すには、自助努力が必要となります。

会社員や公務員、団体職員の方で、お勤め先の退職金制度がある方は退職金の見込額を調べることが第一歩ですが、そうでなければ、自分の意思で何かを始める必要性は高いかもしれません。
自動引き落としで貯められる定期預金や投資信託もあれば、自営業やフリーランスの方であれば「小規模企業共済」や「国民年金基金」といった制度もあります。また、今年から加入対象者が広がった「確定拠出年金制度」を活用するケースもあるでしょう。

こうした制度や商品にはそれぞれ一長一短があるため、自分にとって一番いいものを選ぶのはなかなか大変です。とはいうものの、悩んでいて何も選べないうちに時間が過ぎてしまうのは避けたいですから、まずは無理のない範囲で始めてみる、という姿勢が大切かもしれません。

なお、老後資金積立を目的にした代表的な商品である「個人年金保険」について、2017年4月以降の保険料が引き上げられるようです。
これは、保険料を決める要素の1つである「予定利率」が引き下げられるためですが、くれぐれも「保険料が上がる」ことだけを理由に慌てて加入することが無いよう、自分の必要性をしっかり考えるようにしてください。


そして最後に。
老後の生活に備える方法は、何もお金だけではありません。

例えば、移住を誘致している自治体などで格安の住宅を手に入れ、自分たちが食べるものは自分たちで作るという、「日常生活に極力お金を掛けない生活」を送っている方は実際にいらっしゃいます。
もちろん、デメリットがゼロの方法はありませんから、事前に問題点や課題をしっかり押さえておく必要はありますが、ご自身の価値観の中でこうした選択肢もありなのであれば、積極的に情報収集したり、地域の人とのネットワークを広げておくことこそ、老後に備えて必要な準備になるはずです。

多様な選択肢を忘れないことこそ、最も大切なことなのかもしれません。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2017年01月24日

情報過多と頭の中のモヤモヤ

最初に宣言しておきますが、今回の記事には結論がありません。
情報過多の時代に、頭の中がモヤモヤとしている原因と、対処の仕方を考えていた中で気付いたことを共有しようという意図なので、その点はご承知おきください。

■多すぎる商品情報と口コミ情報


洗濯機や炊飯器のような毎日使っている家電製品が突然壊れたとします。
1〜2日は我慢できても、やはり不便なのですぐに買うことにした場合、まずはインターネットで検索するケースが多いでしょう。

すると驚くほど多くの商品情報がヒットします。好きなメーカーや、求めている機能が明確であれば、絞り込むのもさほど難しくないかもしれませんが、「この機会に、色々見てみよう」と思って探し出すと、たちまち情報の海におぼれてしまいます。
ネット通販では、詳細なレビューを見ることもでき、これを決め手に商品を絞ることもできますが、同じ商品に対して「5」の評価もあれば「1」の評価もあったりするので、迷いが深まることも多々あるでしょう。
野村総合研究所のある調査において、商品情報が多すぎて困るという人が7割にも上るのも納得です。

ちなみに、これは「無ければ困る家電製品」の話ですから、迷いながらも何とか1つの商品に絞り込んで購入することになるでしょう。そして購入した時点で「頭の中のモヤモヤした状態」は解消されます。

一方で、探している物が「たちまち必要ではない商品」だとしたらどうなるでしょう?
「よくわからないから、今度またゆっくり見よう」といって先送りしてしまう可能性が高く、この繰り返しが、頭の中のモヤモヤの原因の1つのように思うわけです。

■情報過多で動けない人々


このように、「情報が多すぎて選びきれず、結果として先送りしているケース」は、お金周りの話にもよく出てきます。

例えば、投資や保険の見直し、携帯の見直しなどは典型的です。
投資を始めようかな?保険を見直そうかな?携帯プランを変更した方がいいかな?と思い、ネットや雑誌などで情報を集める最初の一歩を踏み出したとします。
しかし、前述のように情報が多すぎてどれがいいのかよくわかりません。そこで、その分野に詳しい友人や知人、場合によっては専門家の話を聞くという段階に入ります。

この時点で、相談した相手の言うことを100%信じる、と決めてしまっていれば迷いは無くなりますが、なかなかそうはいかないのも現実。第2段階で増えた新たな情報により、益々よくわからなくなってきますし、仮に何か商品を決めたとしても、購入する手続きが面倒くさくて止まってしまうこともあります。

で、結局は「まあ今のところ困っているわけでもないからこのままでいいか」とばかりに現状維持を選択するという感じです。

■動くための3つのスタンス


現状維持といえば聞こえはいいですが、先送りした問題は、「解決していない課題」としていつまでも頭の片隅に残っています。

この状況を打破するには、大きく3つのスタンスがあるのではないでしょうか。

1つ目は、自分で納得できるものを選べるようになるまで、その分野についてとことん勉強するという考え方。これは時間がかかるかもしれませんし、すべての人にオススメというわけではありませんが、納得度は一番高くなりますし、行動にもつながりやすいでしょう。

2つ目は、外せないポイントを明確にしたうえで、信頼できる専門家に任せてしまうこと。
信頼できる人(あるいは、信頼すると決めた人)であれば、それが販売側の専門家でも全然構いません。こちらの希望を叶えてくれる姿勢がある方なのかはしっかり見極める必要がありますが、自分が信頼すると決めたのであれば、任せてしまえばいいわけです。

契約手続きをやってくれるなど、行動するに当たっての段取りをつけてくれる人であれば、実行される可能性は極めて高くなります。

そして3つ目は、深く考えずに即行動してしまうことです。
「目的を満たせて、予算の範囲であれば何でもいい」という割り切りがポイントです。

今の日本において、消費者にとって劣悪な商品が横行している可能性は極めて低いので、ネット検索などで最初のページに表示されたものの中で決めるとか、ランキング1位〜3位からの三択で決めてしまってもいいですし、お店で最初に目についた商品に決めるとかでも構いません。細かいことは一切気にせず好きなものを買えばいいのです。

ただし、こう言われてもなかなか実行するのは難しいようです。
「割り切るという決断」がすっきりできていればいいのですが、多くのケースでは「いや、待てよ・・・」という堂々巡りが始まり、モヤモヤ状態が続くことになります。


結局のところ、自分の行動は自分で決めなければいけないという、当たり前の話に行きつくわけですが、自分はどのタイプに近いのかを意識しておくと、決断できない原因が判明しやすく、次の行動に繋がるヒントが見えてくるかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(2)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年01月17日

「頼りになる人」と「頼りを必要とする人」の視点で見た高齢者問題

以前「6ポケット」という言葉をよく耳にする時期がありました。

1人の子どもに対し、両親とそれぞれの祖父母、合計6人分の財布があることを指し、少子化を象徴すると同時に、高齢者の経済力を示す言葉として使われていたように思います。

預貯金などの金融資産が高齢者に偏っているという統計上の数字もあり、今の消費を担う中心的な存在として高齢者を取り上げることは少なくありません。シニアニーズをいかに取り込むのか、というのは、これからも多くの企業の重要な課題の1つでしょう。

■「高齢者」の定義は何歳なのか?


現在は、65歳以上の方を「高齢者」と呼ぶのが一般的です。
この区分は先進国で概ね共通のようで、遡ると国連が1956年の報告書で使用したのが始まり。日本においても、1965年の国勢調査で老年人口の区分を60歳から65歳に変更しています。

ちなみに先日、日本老年学会と日本老年医学会から「高齢者の定義を75歳以上にしてはどうか」という提言が出されニュースとなりましたが、人数の増加が確実な高齢者の方々を、いかに「現役世代」として考えていくかという視点も少なくないようです。
現在65歳から受給できる老齢年金についても、原則の支給開始が70歳ぐらいに引き上げられても不思議ではないですよね。

■高齢者を取り巻く環境は千差万別


それはさておき、ひと言で高齢者といっても、その方を取り巻く状況は人それぞれです。企業経営者や自営業者はもちろん、従業員としてフルタイムでバリバリ仕事をされている方もいれば、仕事を引退し、自分の好きなことのために自由な時間を楽しんでいる方もいます。
また、健康上の問題や気力の問題等で、外に出ることがままならない方もいれば、病院や施設に入っていらっしゃる方もいます。

お金の面から見ても、十分な資産をお持ちの方もいれば、「下流老人」という言葉に代表されるように、日々の生活さえ厳しいという方もいらっしゃるでしょう。

最近になって、介護や認知症に関わる問題や、高齢ドライバーによる事故が多発している問題など、いわゆる「高齢者問題」が目につく頻度が高まってきたように感じますが、その問題の中身も人によって大きく異なることを意識するべきです。

ある人にとっての高齢者問題は、「お金が不足している」という経済的な問題でしょうし、別の方にとっては「常時介護が必要なのに、希望する施設に入れない」という施設への入居待ちや、それに付随する家族内のサポートに関わる問題だったりします。またある人にとっては、近い将来発生するであろう、相続対策の問題かもしれません。

子どもの数が減っていることと合わせた少子高齢化問題は、通常、社会全体で取り組むべき課題として認識されています。社会全体の問題ということは、日本人全員が当事者意識を持つことが望ましいように思いますが、何らかの課題をもった(=誰かの助けを必要としている)高齢者が身近にいなければ、自分ごととして考えにくいのではないでしょうか。

実際、60代後半で健康な方は、30代や40代の子世代にとって、経済的な支えとなっているケースもよくありますから、若い世代から見ると「頼りになる人」です。
その「頼りになる人」がどこかのタイミングで、「頼りを必要とする人」に変わった時、周りの家族がどのように関わっていくのかを早い段階で意識しておくことは重要でしょう。

■自分ごととして考えた場合に大切となる「共助」


いずれにしても大切なのは「頼り、頼られる状態」は一方通行だと長続きしにくいということ。ある面では助けられる側の人も、別の面では助ける側に回ることはよくあることです。

公的年金の財政問題に象徴されるように、いわゆる「公助」の将来には不安がつきまといますが、制度が完全に無くなることは考えにくいものです。
一方で、弱まっていく公助に対する備えとして、確定拠出年金のように、自分の将来の資金は自分が作っていくという「自助」を後押しする制度も整えられつつあります。

でも、これからの時代に最も大切なのは、家族や企業、地域コミュニティのメンバーが共に助けあうという「共助」なのかもしれません。特に、自分ごととして考えた場合、その時までに周りの人とどのような関係を築いてきたのかが、いざという時の生活を守る大きな要素になるように感じるのです。

「公的社会保障の財政が持たないから押し付けられる」という、経済面を中心にした後ろ向きな関わり方でなく、これからの時代に必要な家族や地域の形として、もう少し前向きに考え、周りの人と一緒に取り組む必要が出てきているのではないかと考える次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)家計・ライフプラン

2017年01月10日

「栗本FPスクール」講師・養成コース:第2期生募集!

2017年が明けて、10日ほどが経ちました。
改めまして、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2016年の年末は、家族の恒例行事であるスキー旅行に行ってきました。
雪のコンディションは決して十分とはいえず、ゲレンデ上部を除くと、過去一番滑りにくい状態でしたが、日常空間から離れて過ごす時間に、気持ちをリフレッシュすることができました。


さて、2017年最初のブログは、2月に東京都内で開催するイベントのお知らせです。
合わせまして、昨年11月〜12月に開催した「栗本FPスクール」講師・養成コースの第2期生も募集いたします。


昨年5月に栗本FPスクールを全面リニューアルしました。

そして7月10日に大阪、そして10月16日に東京都内で、私が主任研究員を務める生活経済研究所長野が提供する「家計の見直しセミナー」の公開収録と合わせてガイダンスを実施したところ、参加いただいた方に大変好評だったため、2月12日(日)に東京・田町で開催する運びとなりました。

ガイダンスの中では、「講師・養成コース」の詳細をお伝えします。


会場は、都営地下鉄三田線芝公園駅より徒歩1分、JR田町駅西口より徒歩8分にある労働組合活動発祥の地、友愛会館です。

活躍中のFPさんにも多数ご参加いただける予定で、公開収録とガイダンスの間には名刺交換会の時間も設けております。
セミナーを堪能していただくことはもちろん、是非、お名刺をお持ちくださり、ご自身のネットワークを広める場としてもご活用ください。

【日時】2017年2月12日(日)13:00〜(12:30会場受付開始)

【会場】:友愛会館ホール9階 中ホール(〒105-0014  東京都港区芝二丁目20-12 友愛会館9階)

【受講料】公開収録は、各回5,400円(税込)
ただし、家計の見直しセミナーの年間パスポート会員の方は、ご本人と同伴者1名まで無料です。
また、「栗本FPスクール」ガイダンスにご参加の方は、公開収録がそれぞれ50% OFF(各回2,700円、税込)となります。



お申し込みフォームはこちら

本イベントの詳細はこちらをご覧ください


2017年最初のライブ講座となるこの機会をお見逃しなく。

それでは、2017年がみなさまにとって素晴らしい1年となりますことをお祈りしています!
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)お知らせ

2016年12月20日

相続に関する2つの話題

国税庁から2015年の相続税の申告状況が公表されました。

注目されていた、相続税の課税対象となった被相続人の割合は被相続人全体の8.0%。
前年の4.4%から約1.8倍の水準となりましたが、事前予想の上限ぐらいというイメージでしょうか。

一部の専門家から「亡くなった人(被相続人)の半数近くが課税対象となるかもしれない」と言われていた東京国税局管内を見ても、被相続人(約25万3千人)のうち、相続税の課税対象となったのは12.7%(約3万2千人)で、全国平均に比べるとかなり高いものの、あまり極端なことにはならなかったようです。

■相続財産がいくらあると相続税はかかるのか?


相続税は、被相続人が遺した財産額に対して課されるものです。
土地や建物などの不動産、預貯金や投資信託、株式等の金融資産、その他諸々の財産をすべて合算し、そこから借金やお葬式費用などを差し引いた金額がベースになります。これを「課税価格の合計」といいます。

保険や共済からの死亡保険金(死亡共済金)など、相続人の数に応じて一定額まで非課税になりますが、基本的には「課税価格の合計」から「遺産に係る基礎控除額」を差し引いた金額が「課税遺産総額」となり、これが0円以下だと相続税は課されないという仕組みです。

遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人数」。

例えば、両親と子2人の4人家族のケースで父親が亡くなった場合、相続人は母親と2人の子の3人ですから、課税価格の合計が「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」までであれば、相続税はかからないというわけです。

この基礎控除額、2014年の12月31日までに発生した相続では、「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」でした。つまり、先ほどの家族構成では、課税価格の合計が8,000万円までは相続税がかからなかったわけです。
その基準が4,800万円に縮小されたわけなので、「2014年までなら相続税が掛からなかったのに、2015年以降は相続税が掛かるようになった」という人が出てきます。
その結果、冒頭で触れたとおり「課税対象者が4.4%から8.0%に増えた」のです。

■預貯金の扱いが変わる?


そしてもう1つ、基礎控除の話とは全く別の話として、「預貯金も遺産分割の対象になる」という新たな基準が示されました。
これは、2016年12月19日に最高裁判所大法廷が下した判断で、俗にいう「判例が変わった」という話です。

これは突き詰めるとなかなか奥の深い話なので、概略だけに留めておきます。
そもそも被相続人の財産はすべてが遺産分割の対象となるもので、遺言や話し合いなどによって相続人の間で配分を決めるのが原則ですが、預貯金については「法定相続分に応じて当然に分割される」という過去の判例の考えが基本となっていました。

ようするに、財産をどう分けるかという遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、「預貯金のうち、自分の法定相続分の金額だけは受け取ることができる」という解釈です。
通常、被相続人の預金口座からお金を引き出そうとした場合、「相続人全員の署名をもらってきてください」と言われますが、この判例があったため「自分の法定相続分だけは引き出せる」という扱いが実務上は行われていました。
(注:金融機関によって対応に違いはあります)

今回の判例変更によって、「話し合いがまとまっていなければ、預貯金は引き出せない」という基準が示されたというわけです。

■当面の資金手当ては事前に準備しておくべき


通常は、預貯金を含めたすべての財産を元に、誰にどう分けるかの遺産分割を行うことが多いので、今回の判例は「実態に合わせた適切な変更」と見る向きが多いようです。
ただ、これによって困る可能性があるのは、お葬式代の支払や当面の生活費のように、たちまち必要なお金が、被相続人の口座から引き出さないと賄えない、というケースでしょう。

逆を言えば、お葬式に掛かるお金や当面の生活費は、予測可能な範囲で事前に別途用意しておけば困ることはありません。
相続に限った話ではありませんが、「将来を見越した事前準備」の大切さを改めて意識するきっかけにしてはいかがでしょうか。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)相続・贈与

2016年12月13日

積立投資から見る、物事の両面

アメリカの株式市場が過去最高値を更新し続けています。
年明けの16,000ドルを割り込む水準からは3,000ドル以上の上昇。このまま年末まで上昇を続けるかどうかはわかりませんが、トランプ次期大統領の政策への期待と同時に、公表されるアメリカの景気指標が好調ということもあり、強気な見通しが主流のようです。

一方の日経平均株価も上昇を継続しています。イギリスがEU離脱を決めた国民投票の直後には15,000円を割り込むときもありましたから、わずか半年で25%以上の上昇です。

◆様々な資産形成手段


さて、このように株式市場の上昇が目立つにつれて、「有利な資産形成手段」が紹介される機会も増えてきます。
来年から加入対象者が広がる「確定拠出年金個人型」や、2018年から導入が予定されている「積立型NISA」などもその一例でしょう。

確定拠出年金とは、リタイア後の生活に備えた資金を貯める仕組みです。
毎月の積立額(=掛金)を決め、積み立てたお金を自分の判断で運用し、その結果貯まったお金を将来年金や一時金で受け取るというもの。この仕組みを会社が導入し、その会社に勤めている人が加入する「企業型」と、個人が自分の意思で手続きをして加入する「個人型」があります。

一方のNISAは、1年間に定められた上限額までの購入株式等について、そこから得られる配当や譲渡益への税金が課せられない制度。2014年に最初に制度が導入され、2016年からは「ジュニアNISA」が始まり、2018年からは「積み立てNISA」が始まる予定となっています。

家計の金融資産が預貯金に偏ってるから、株式や債券といった投資型商品に資金を振り向けてもらうため、様々な資産形成手段が導入されているわけです。

◆積み立て投資のメリットとデメリット


積み立てNISAは、先日発表された2017年度の税制改正大綱に盛り込まれている「案」の状態です。
現行のNISAと比べると、年間の投資上限額は120万円から40万円に減るものの、非課税で売却できる期間が「投資した年から最長5年」である現行NISAに対して、「投資した年から最長20年」となっているため、より「長期の運用」に向いた制度として期待されています。
そして、相場の変動に関係なく一定額を積み立てることで「平均買付単価」を引き下げる効果があると説明されることが多いようです。

これは一般的に「ドルコスト平均法」と言われています。

例えば、毎月1万円の積立を行うとしましょう。
購入対象の株式の単価(=株価)が10,000円の時には1株買うことになりますし、5,000円の時には2株買うことになります。また、株価が20,000円の時には0.5株しか買えません。結果として、「株価の安い時にたくさん買って、株価の高い時にはあまり買わない」状態となります。

仮に、株価の動きが「10,000円→5,000円→20,000円」と動いた3ヶ月間の場合でみると、投資した金額は10,000円×3回で30,000円。購入した株数は、3.5株になりますから、平均買付単価は8,571円です。

株価が10,000円だった一番最初に30,000円すべて購入した場合の平均買付単価は10,000円ですから、売却する時の株価が9,000円だった場合、積立購入だと利益が出て、一括購入だと損失が出ます。
これがドルコスト平均法のメリットと言われるものです。

でも、物事には必ず両面がありますから、ドルコスト平均法にもデメリットはあります。

先ほどの例で、株価の動きが、10,000円→20,000円→10,000円となり、売却時の株価が12,000円だったとしましょう。
一括購入だと、買付単価10,000円ですから1株当たり2,000円、合計6,000円の利益が出ます。一方、積立購入だと、10,000円で1株、20,000円で0.5株、10,000円で1株ですから、積立合計額30,000円で株数は2.5株。平均買付単価は12,000円となっているため、損益は0円です。株価が11,000円であれば、投資開始時より株価が高くなっているけれども、損失を出すことになります。
これはドルコスト平均法のデメリットと言えるでしょう。

◆万能な方法はないことを理解する


このように、シミュレーションというのは、条件変更によってどちらか一方を有利に見せることが容易にできてしまいます。
様々な制度ができ、資産形成の選択肢が増えることは望ましいものの、なんだか万能に見えるような説明が出てきた場合には、「この制度のデメリットは何か?」という視点でチェックしてみることが大切だというわけです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2016年12月02日

制度変更を他人事にしない大切さ

2016年度の税収は、7年ぶりに当初の見積もりから下方修正されるようです。
逆をいえば、2010年度から6年連続で上方修正されていたわけです。日本は経済成長が見込めないとか、長期的に停滞しているという論調を目にすることが多い反面、数字を見る限り「停滞」という言葉が当てはまらないように感じます。

さて、税金といえば、2017年度の税制改正案の大枠が固まりつつあります。

このところ、報道を目にする機会の多い配偶者控除の見直しでは、扶養されている側(多くの場合は妻を想定)の対象となる年収を現在の103万円から150万円に拡大する一方、扶養している側(多くの場合は夫を想定)の年収が1,220万円以上になると控除額がゼロとなる内容が濃厚です。
税制改正大綱は12月8日に決定され、12月下旬に閣議決定を経て、年明けに国会に提出され、3月までには法案が確定する流れとなります。

◆勤務先の配偶者手当


配偶者控除の問題と一緒に取り上げられることが多いのは、勤務先から支給される配偶者手当や家族手当といったものです。
この手当の支給要件は勤務先によって異なるものの、「配偶者控除の対象となる配偶者がいること」のように、税制連動の例が少なくありません。

例えば、配偶者手当として、夫が勤務先から毎月15,000円を受け取っていたとしましょう。
手当の対象となる配偶者(この場合は妻)が、「税制上の配偶者控除の対象」から外れると、勤務先からの配偶者手当もなくなってしまうため、年間180,000円の収入減となります。
もちろん、妻がその分収入を得られるのであれば問題ないのですが、こうした手当が無くなることを気にされる方もいらっしゃいます。

こうした点を考慮し、11月16日の参議院本会議において、国家公務員の配偶者手当を段階的に減らす改正給与法が可決、成立しています。
配偶者手当の比重が低くなれば、これを気にして働き方を調整するケースも少なくなるわけですから、民間企業も含め、世の中の流れ的に「配偶者手当」は縮小する方向に向かっているようです。

◆働くことの意味


ライフプランを作成するまでもなく、世帯収入が多いと家計にゆとりがでるのは間違いありません。ただ実際には、1,000万円を超える世帯収入がありながらも、ゆとりとはほど遠い家計状況の方もいらっしゃれば、300万〜500万円の世帯収入でも、十分にゆとりをもって生活されている方もいらっしゃいます。
つまり、収入というのは「絶対的な金額」が大事なのではなく、その方の生活環境や生活スタイルに応じた「支出とのバランス」が大事だと言えるでしょう。

税金や社会保険料の支払いによって、手元に残るお金(=可処分所得)が変動するのは事実ですから、まったく気にしないというのは難しいかもしれません。ただ、そもそもなぜ自分が働くのかを考えた時に、家計を支えることが目的であれば、現在の環境で達成できる最大限の収入獲得を目指すべきでしょうし、社会貢献や生きがいという要素に重きを置くのであれば、税制を気にして調整するということ自体が馴染まないように感じます。

◆制度変更は他人事ではない!


少子高齢化の進行が続く日本では、高齢者に対する社会保障の負担増の傾向は避けられないでしょう。実際、公的介護保険では、2015年8月に2割に引き上げられた一部の高所得者に対する自己負担割合を、3割に引き上げる案が検討され始めていますし、後期高齢者医療制度において、専業主婦向けの保険料を軽減する優遇措置の見直しや、高額療養費制度の自己負担引き上げも話題になっています。

こうして見ると、なんだか気持ちが暗くなってしまいますが、国全体でみんなを支え合う制度(=公助)だと考えると、私たち1人1人が制度をちゃんと知ることが大切です。
その上で、何かおかしなことが起こっていたら、その意見をちゃんと伝えるようにしなければいけません。そのためには、国に対して意見を伝えてくれる人をちゃんと選ぶ必要があり、選挙のことをもう少し真剣に考えないといけないよね・・・という話に繋がります。

選挙のたびに報じられる「投票率の低さ」こそが、問題の根源なのかもしれませんね。
  
Posted by kurisuke701 at 10:59Comments(0)TrackBack(0)政治・経済

2016年11月22日

必要保障額の先にあるもの

人生初の北海道に来ています。

新千歳空港に降り立った時には、それほど寒さを感じなかったのですが、夜になると強烈な寒さに一変。
地元の方が教えてくださった、大通り公園のイルミネーションを見に行ったのはいいものの、あまりの寒さに3分ともたずに退散いたしました。

それにしても、綺麗なイルミネーションでした。

IMG_2542



さて、先日、ソニー生命時代から20年近くお世話になっていた方が56歳で亡くなりました。
今もそのままの状態で残されているFB上の優しい笑顔を見ると、二度と会えないことが信じられません。

心よりご冥福をお祈りいたします。

訃報をお知らせくださった故人の会社の方に、「何かお困りごとはありませんか?」とお聞きしましたら、「生前にすべて段取りをしてくれていたので大丈夫です」とのお返事がありました。さすがです。

永遠に生きる人はいません。

だからこそ、今のうちにできることはやっておきましょうという話の大切さを意識している人は多いものの、実際に準備を進めている人は、私が知る限りそう多くありません。

忙しい日常に紛れてついつい後回しになってしまう気持ちはよくわかるのですが、いつか必ず訪れるその日のために準備しておくことの大切さを改めて感じた次第です。


私も今回のことで、「くりちゃん、ちゃんとやってる?」と言われたような気がしてなりません。


では、できることって何でしょうか?

例えば生命保険や共済などの死亡保障であったり、エンディングノートや遺言書であったり、不要なモノを整理しておくことなどが考えられます。

でも、実は一番大切なのは「周りに人に、自分がいなくなった後の生活をイメージしておいてもらう」ことなのかもしれません。

万一の際に備えるための保険や共済というのは、「自分がいなくなった後の生活を支える経済的な支え」ですが、それはあくまでも手段の1つです。遺された家族が、生きていくのに十分な経済力があるならば不要ですよね。
実際、収入の担い手の人が死亡した際、どれだけのお金があればいいかを計算する「必要保障額」においても、「遺族が得る収入」を計算し、今後必要な支出を十分に補える収入があれば、必要保障額はマイナスとなります。これが意味するのは「計算上は死亡保障が不要」ということです。

もちろんこの通りで間違いないのですが、もう少し深く「自分がいなくなった後の生活」をイメージしてみましょう。

もしかすると、あなたの配偶者は、あなたを亡くしたショックで仕事どころではないかもしれません。
逆に、あなたを亡くしたショックを忘れようとして、これまで以上に仕事に励むかもしれません。
父親や母親を亡くしたお子さんは、学校に行くよりも、少しでも早く働いて家族を支えたいと考えるかもしれません。

ここには、数字の計算だけでは知ることのできない要素があるはずです。

人が誰しも迎えるその時に備えて、経済的な支えは絶対に必要です。
日常のお金を無駄にしないためにも、合理的に保障を掛けるためのロジックと、具体的な計算により必要保障額を算出することはとても大切です。

でも、もう一歩、その先にある「人の心」の部分にも思いを致すことも大事なのではないかと感じています。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)共済・保険

2016年11月15日

国民年金法等の改正による、遺族・障害年金への影響

国民年金の受給資格期間を短縮する改正法案が参議院本会議で可決し、来年度からの施行が正式に決まりました。
これによって、将来の年金(=老齢年金)を受給する資格を得るために必要な保険料納付期間(=受給資格期間)の要件が現在の25年から10年に短縮されるのは、11月1日のブログでもお伝えした通りです。

ちなみに、その時にも触れていますが、今回成立した法律は「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」が正式名称で、かいつまんで言うと、「以前に法律改正案で上げた受給期間の短縮は、消費税が10%に上がることとセットとなっていたけど、待ってられないので先行して実施します」というお話。
受給資格期間が10年以上25年未満の人は、2017年9月分からの年金を受け取れるようになるので、実際に年金が振り込まれるのは2017年10月からとなります。

◆老齢厚生年金はどうなる?


ちなみに、会社員や公務員、団体職員の方は、国民年金に加えて厚生年金にも加入しているため、これらの年金も国民年金と厚生年金の双方から受け取れます。

例えば65歳になった際には国民年金から「老齢基礎年金」を受け取ると同時に、厚生年金からは「老齢厚生年金」を受け取るわけです。
老齢厚生年金を受け取るための条件の1つは「老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たしている」ことなので、これまでは25年間の保険料納付期間(免除期間等も含みます)がなければ、厚生年金も受け取れませんでした。今回の改正で10年間の受給資格期間を満たしていれば、老齢厚生年金を受け取れるようになります。

◆遺族厚生年金と障害厚生年金の最低保証期間は変更無し?


さて、ここで疑問に思う1つが、遺族厚生年金や障害厚生年金にかかる「300月(=25年)」の最低保証です。

今回の改正で、受給資格期間が10年(120月)に短縮されたのなら、遺族年金と障害年金の最低保証期間である25年(300月)も、10年(120月)に変更されるのかと思いきや、ここの変更には触れられていません。厳密にいうと、今回の改正案の元となった社会保険審議会では「遺族年金と障害年金の受給資格要件について特段の変更は行わない」と書かれている一方、「バランスが崩れるのは適当ではない」という記述もあります。

そもそも、所定の障害状態に該当した際に受け取れる「障害年金」と、被保険者が亡くなった際に遺族が受け取れる「遺族年金」のうち、厚生年金からの受給には「短期要件」と「長期要件」というものが定められています。

詳細は省きますが、簡単にいうと短期要件に該当するのは保険料納付期間が短い人です。
例えば、Aさんが25歳で亡くなったとします。20歳から社会人となり、国民年金と厚生年金に加入していたとしても、加入期間は5年しかないため、「受給資格期間」は満たしていません。
でも、そこは関係なく、別途定められている遺族年金の受給要件を満たせばAさんの遺族は遺族年金を受け取れます。
この場合、遺族基礎年金の年金額は保険料納付期間に関係なく「定額」です。一方、遺族厚生年金の年金額は「これまでの平均報酬と保険料の納付期間」によって違ってきます。
つまりAさんが5年(60月)しか保険料を払っていなければ、60月分しかもらえないはずですが、ここには最低保証期間が定められており、この期間が「25年(300月)」なのです。これが短期要件に該当した場合の扱いとなります。

◆短期要件と長期要件の整合性


さて、このように短期要件に該当するAさんは、「300月保険料を払っていたもの」として年金額が計算されるわけです。
一方、「国民年金の受給資格期間を満たしている人」は短期要件ではなく、長期要件に該当し、実際の保険料納付期間に基づいて年金額が計算されます。今回の改正によって受給資格期間は10年に短縮されたので、先ほどのAさんの保険料納付期間が15年(180月)あれば長期要件に該当し、年金額は180月で計算されてしまいます。
ということは、保険料納付期間が5年の人は25年分で計算してくれるのに、15年の人はそのまま15年で計算するため、5年の人の方がたくさんもらえてしまいます。

この部分は、2012年の年金部会での審議の中でも課題になっていて、「仮に今回、老齢年金の要件に併せて、長期要件を10年に短縮する場合には、この両者のバランスが崩れることとなり、基本的に適当でない。」と明記されています。

改正法案が成立による、具体的な受給要件の変更についても要注目です。
  
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2016年11月08日

シェアリングエコノミーは古き良き時代?

インターネットを通じたソーシャルメディアの発達により、モノやお金、サービス等の交換・共有により成り立つ「シェアリングエコノミー」という概念が広がっています。

日本では、法的な問題などもあってまだまだ馴染みの薄い面がある一方、世界に目を向けると自家用車のライドシェアサービスを展開する「Uber(ウーバー)」や、自宅の空き部屋や空家等を宿泊施設として貸し出す際の情報を提供する「Airbnb(エアビーアンドビー)」といった企業が、これまでの産業の枠組みにはないサービスを展開して業績を拡大しています。

◆誰もに馴染みのある「シェア」の概念


必要なモノを買うという行動は当たり前のように思いますが、本来であれば「今だけ必要」なのか、「常時必要なのか」によって対応が違ってきますし、欲しいモノの種類によっても違ってくるはずです。

例えばスキーやスノーボードを考えてみてください。

毎シーズン、スキーやスノーボードを複数回楽しむような人は、自分専用のモノを購入するのが一般的でしょう。一方、年に1度とか数年に1度行く程度であれば、「レンタル」を利用する人が多いと思います。そして、このニーズに応えるため、スキー場には十分な数のレンタル商品が用意されており、必要な時だけの使用をサポートしています。

では、スキーウェアはいかがでしょう?

もちろんレンタルでも用意されていますが、微妙なサイズの違いやデザインの好みなどもあり、自分が望むウェアを借りられる可能性は、スキー用具一式に比べて低くなることが考えられます。「身に付けるもの」であるが故、不特定多数の人が利用するレンタル用品に抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで友人の出番です。

同じぐらいの体型の友人に「持っているなら貸して欲しい」と頼んだ場合、その友人が持ってさえいれば貸してもらえるはずです。だって友達ですから。こうした「シェア」の場面は、多かれ少なかれ経験を持つ人が多いのではないでしょうか。

◆友達1人と顔見知りの知人1,000人


でも、その友人が望んでいるウェアを持っているとは限りません。頼るべき友人が1人しかいなければその時点で「友人に借りる」という選択肢が消えてしまいます。

でも、顔見知りの知人が1,000人いればどうでしょう。1対1で頼めるほどの人間関係がなくとも、「誰か持ってませんか?」と投げかけたら、誰か貸してくれる人が現れる可能性が高いでしょう。しかも、実際には1,000人の知人がいなくても問題ありません。こうした多数の人との繋がりがインターネットによって実現されているのが今の世の中です。FacebookやTwitterなどのSNSの発達により、会ったことがない相手でも、その人の人となりはわかりますし、ある程度の信用の担保も可能です。
言ってみれば、「イザと言う時に頼れる顔見知りの近所の人たち」が1,000人いるようなものといえるでしょう。

◆進歩が極まると昔に戻る


映画「3丁目の夕日」の舞台となった昭和30年台には、「近所の人にモノを借りる」という風景は日常だったように思います。夕食を作っているときに「あ、お醤油が無い」となれば、お隣さんに借りていたといった風景です。
世の中が豊かになることで、必要なモノをすべて自分で手に入れられるようになると、近所の人を頼る機会も減るのでしょうが、こういった「必要なモノはお互いに分けあう」的な要素は、多くの人の心の中に元来あるものなのかもしれません。

そう考えると、「Uber(ウーバー)」の提供するライドシェアサービスも、昔からあった「ヒッチハイク」と同じようなものです。

車を持っていない人が、ちょっと遠くまで行くのに車を利用したいとき、通常利用するのはタクシーです。でも、これだけ自動車がたくさんあるのですから、わざわざタクシーを呼ばなくても、自分が行きたい場所と同じ方向に向かう車はいるはずです。ついでに乗せてもらうだけなので、お金も安くしてくれるはずです。
ヒッチハイクの場合は、行先を書いたボードを掲げてドライバーに見せて、乗せてくれる人を募るわけです。ただ、「周りの人は仲間」的な要素のあった時代と違い、「知らない人は怖い」という感覚が広がる現代では、車に乗せてもらうまでにはいくつもハードルがあるでしょう。
「ボードを持ってる人がカージャックのような悪い人」かもしれないし、周りに仲間が潜んでいるかもしれません。行く方向は同じだけど、なんだか怖い、と考えればその人は止まってくれません。当然、乗せてもらう人だって、止まってくれたら嬉しいけど、その人が変な人だったらどうしよう、というリスクを抱えています。

でも「Uber」を利用すると、スマホのアプリに自分がいる場所と行きたい場所を登録すれば、「お、近くにいる人だな。同じ方面に行くから乗せてあげよう」と考えるドライバーが出てきてくれます。このドライバーは、事前に登録されていて、その情報をアプリで確認することができるので、呼ぶ人は安心です。ドライバーから見ても、アプリを利用している人はクレジットカード等を登録してサービスを利用しているため、ある程度の信用の担保はできているので安心です。

人とのつながりが少なくなったと言われる現代ですが、テクノロジーの発達により、こうした人とのつながりという原点を呼び起こしているようにも感じる次第です。
進歩の先にあるのは、意外と「古き良き時代」なのかもしれません。
  
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2016年11月01日

年金にまつわる違和感の正体

私が主任研究員を務める生活経済研究所長野では、全国の主要な労働組合から高い評価を得るセミナーの中から、さらに厳選したラインナップを「家計の見直しセミナー」としてWEB配信しています。

現在、全40講演を受講できる年間パスポートに、初回2講演(受講料金8,100円×2回分)を無料で体験いただけるプログラムが用意されていますので、この機会に是非お試しください。

家計の見直しセミナー年間パスポート


◆受給資格期間が10年に短縮


さて、11月1日の衆議院本会議で、国民年金の受給資格期間を短縮する改正法案が可決されました。このあと参議院での審議を経て今国会中に成立する見通しとなっています。

現在の国民年金は、20歳〜60歳の40年間のうち25年以上の保険料の納付期間(免除や猶予を受けた期間も含む)がないと将来の年金(=老齢年金)を受給する資格が得られず、年金を受け取ることができません。
また、会社員や公務員等の方が加入する厚生年金は、国民年金の受給資格がないと受け取れませんから、やはり25年間の保険料納付期間が必要です。

この25年の期間(=受給資格期間)が、今回の法案成立によって10年に短縮されることになりました。

例えば、会社勤めをしていた15年間はちゃんと保険料を払っていたけど、それ以外の期間は支払っていなかったという人は、現行の法律では原則として老齢年金をもらえませんが、2017年9月分からの年金を受け取れるようになります。

◆公的年金の財源問題


今回の改正によって、約64万人といわれる対象者が、新たに年金を受給できるようになります。衆議院の可決が全会一致であったことからもわかるように、期間の短縮自体は好意的に受け取られていますが、そのためには必要となる新たな財源の話は上手く進んでいないようです。

そもそも、受給資格期間の短縮は、平成24(2012)年8月に成立した年金改正法案の中に盛り込まれていた内容です。そして、この実現に必要な財源を確保するため「消費税が10%に上がるタイミング」に合わせて施行される予定でした。

…が、ご承知の通り消費税の増税時期は平成31(2019)年10月に延期されています。

人口構成を見る限り、今後も年金保険料を負担する働く世代の人数は減少し、年金を受給する高齢者世代は増加することは明らかで、年金の財源問題は大きな課題です。

家計の見直しにおいても、将来の支出が賄えない可能性がある場合、財源を確保するためには「収入を増やす」「支出を減らす」「運用によって資産を増やす」のいずれかの対策を取る必要がでてくるわけですが、公的年金制度は財源問題の解決策をどのように考えているのでしょうか。

◆運用による資産の増加と支出の抑制


公的年金の資産運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2014年10月に、運用する資金の投資先配分を見直す「基本ポートフォリオの変更」を発表しました。

ざっくりといえば、国内債券中心だった運用を、株式や外貨建て資産の比率を高めるというものです。ようするに「運用によって資産を増やす」対策を取ったわけです。
運用による高いリターンを求めると、当然ながらそれ相応のリスクを取らなくてはなりません。実際、2015年度の運用は5.3兆円の損失が発生したことが大きなニュースにもなりました。

運用問題に言及すると長くなりすぎるので、ここでは触れませんが、2014年度に15兆円超の利益を上げた際に、それを褒め称えることをせず、損失が出た時にここぞとばかりに大きく取り上げて叩く報道が目立つという姿勢はいかがなものでしょうか。

では、運用以外も考えてみましょう。
働く世代が少なくなることからも、収入増はなかなかハードルが高いので、やはり現実的には支出の削減が進められなくてはなりません。
実はこれに関しても今国会で法案が審議されています。簡単にいうと「世の中の物価や、働く世代の賃金が下がったときには、年金の受給額も引き下げよう」という話です。ただし、このような「既にもらっているものを引き下げる話」は受け入れられにくいものです。実際こちらの法案には反対意見も多く出ており成立するかどうかは不透明です。

収入の増加が見込めないのであれば、支出を減らすか運用による資産増加を目指さなければ財源問題は解決しませんが、今のように「支出を減らすことには反対」で、「運用を見直すとマイナス部分が強調される」という風潮では前に進むことが難しくなります。
こうした点が、年金問題の報道を見ている中で一番強く感じる違和感なのだと思うわけです。

公的年金を巡る問題は自分たちの生活に直結する話ですから、多くの人がもっと関心を持ち、偏った報道や意見に流されない目を持つことが大切なのでしょう。
  
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2016年10月25日

国勢調査の数値から感じる、相続時の心配事

月曜日から水曜日まで、栃木県宇都宮に行っておりました。

直前の爆発事件で、思いがけず地名をよく耳にするタイミングとなりましたが、訪れたのは初めてのこと。
宇都宮といえば餃子が思い浮かびますが、今回もあまり外に出ることなく、駅とホテルと講演会場の周辺だけを移動してきました。

◆75歳以上>15歳未満


さて、昨年実施された国勢調査の確報値が総務省から発表されました。

日本の人口が減少していることは、既に周知の事実ではありますが、5年に一度実施される国勢調査において人口が減少に転じたのは、1920年の調査開始以来初めてのこと。
2015年10月1日時点の日本の人口は1億2,709万4,745人となっております。

また、今回の調査において65歳以上の高齢者人口はもちろん、75歳以上の高齢者人口をみても、初めて15歳未満の子ども人口を上回っています。ちなみに、15歳未満人口は全体の12.6%で、世界で最も低い水準となっております。こちらも既にわかりきった事実ではあるものの、改めて将来に対して思いを馳せる機会となりました。


◆人気の滋賀県?


全体の人口が減少している中、増加している地域もあります。

都道府県では、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県といった首都圏で増加。それ以外では、愛知県と滋賀県、福岡県、沖縄県で人口が増加しています。

近畿圏以外の人からすると、「滋賀県?なんで?」と思われるかもしれません。

私は、小学生のころに香港に住んでいた以外、かれこれ40年ほど滋賀県に住んでいますので、客観的な意見など言えるわけがありませんが、それでも、滋賀県は色々な意味で住みやすい地域ではないかと感じます。

それは例えば、自然災害が少ないことであったり、京都や大阪への通学通勤に便利であったり、夏は琵琶湖があり、冬はスキー場があって、そこそこレジャー環境が整っていたり、歴史的に魅力のある場所が多くあったり、ざっと思いつくだけでもそんな感じです。

◆単身世帯の増加


話を国勢調査に戻しまして、もう1つ目に付いたのは「単身世帯の増加」です。

日本の世帯数は5,344万9千世帯となり、これは前回調査より約150万世帯の増加です。人口が減っているのに世帯数が増えてるわけですから、必然的に1世帯当たりの人員は少なくなります。
世帯の中で一番多い「単身世帯」は1,841万8千世帯で、全体の34.5%を占めました。次いで「2人世帯」が1,487万7千世帯で、この2類型で全体の62.3%となるのです。

先日の栃木県での講演テーマの1つは「相続」でしたが、単独世帯や2人世帯が増えることで、相続発生時にその方をよく知っている人が周りに誰もいない、なんていうことが珍しくなくなります。
これは、相続後の手続きの際に「よくわからない状態のまま手探りで様々な手続きをやらざるを得なくなる」という点で、遺された人の負担になる一方、「自分が死んだあと、いったい自分の持ち物等はどうなるのか?」といった、税金や遺産分割以前の根本的な心配事が発生する背景にもなります。

相続対策以前に、リタイア期を「どこで」「誰と」暮らすのか。そして自分のいなくなった時のことをどう考えるのかについて、今まで意識するべき必要性が出てきたように感じるわけです。

◆「講師養成コース」を支える里親制度


最後にお知らせです。

栗本FPスクールの「講師・養成コース」が、いよいよ11月13日(日)からスタートします。
こちらのコースでは、「FPのプロ講師として必要な講演スキルとともに、講師として稼ぐ力を身に付け、安定した収入を得ること」を第一の目的にしています。

そのための目玉となるのが「里親」制度です。

今回の講座は、グループ会社である生活経済研究所長野の全面協力を得て開催するもので、講座を担当する主力講師陣が受講生一人一人を里親として受け持ち、卒業までの2ヶ月間をサポートいたします。

「講座を受ければ稼げる講師になる」のではなく、「稼げる講師になるように徹底的に指導する」のが、こちらの講師養成コース。
開講は11月13日ですが、受講前には事前課題をお渡ししますので、検討中の方は、できる限り10月末までにお申し込みください。

なお、サイト内では10月16日に東京都内で開催したガイダンス映像をご覧いただけます。当日お配りした資料もダウンロードしていただけますので、是非一度ご確認ください。

栗本FPスクール「講師・養成コース」
   
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2016年10月18日

長寿社会で考えるべき3つの健康

10月30日(日)に名古屋で開催される、日本FP協会愛知支部さん主催のFPフォーラムで講演を行います。事前申し込みは必要ですが、どなたでも無料でご参加いただけるセミナーなので、ご都合がよろしければ是非足をお運びください。

お申し込みは、FP協会愛知支部さんのサイトからお願いいたします。

なお、この時期は「FPの日」と称して、全国の都道府県でFP協会主催のセミナーや相談会が行われますので、ご自身の地域のイベントも是非ご確認ください。


さて、先日資料の整理をしていた時に、ある媒体で実施された「自分の寿命を知りたい?」というアンケートが目に付きました。

この質問に対する結果は、「はい」が48%で「いいえ」が52%。ほぼ拮抗です。
ちなみに、どちらの回答においても理由の1位が「その方が人生を有意義にできる」だったことは興味深いものでした。

◆長寿社会で考えるべきこと


厚生労働省が発表した2015年の日本人の平均寿命は女性87.05歳、男性80.79歳。世界の国々との比較において、女性が2位で男性が4位の長寿国となっています。
個人差が大きいものの、およそ100年前の日本の平均寿命が男女ともに44歳ぐらいだった事実から考えると、生まれてから亡くなるまでの期間は2倍近くになっているわけです。

それは同時に、医療や介護問題の広がりともつながっています。

実際に日本の医療費は増え続けており、2015年度の医療費総額は41.5兆円。13年連続で増加しています。
この41.5兆円というのは、医療機関に支払われた総額なので、「健康保険制度からの給付」+「患者の個人負担」+「公費」による医療費などの合計です。ただし、不妊治療や先進医療にかかる医療費は含まれていません。

財政状況が健全とはいえない日本において、こうした高額の医療費を負担し続けることは困難ですから、高齢者医療に関しては、患者負担を増加する方向で検討が進められています。
FP的に言うと、老後資金は人生の三大資金(教育、住宅、老後)の1つですから、まずは生活に困らないだけのお金の準備を意識する場面ですが、それ以上に健康面の維持は重要な課題です。
いわば、お金の健康と身体の健康を同時に考えることが必要なのでしょう。

◆生きがいと長寿


そしてもう一つ大切なのは、心の健康と言われています。

3年ほど前に出版された「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」という書籍の中で、

<お金のあるなしは、その人が幸福であることと直接的に関係ない。幸福とは、期待と実体が一致した状態だ。 「心を満たすお金」だけでなく「心をコントロールする意思」との両方がそろって、初めて人は幸せになれる。>

という記述があります。

お金の問題や気持ちの問題は、人によって価値観が大きく違うでしょうから、こうした記述に共感できるかどうかは人それぞれです。
ただ、一般的に仕事を引退している可能性が高い時期を過ぎた時、どういう状態であることが自分にとっての幸せなのかを考えておくことは大事なのかもしれません。

以前、相続に関する相談を多く受けていた時期には、80〜90代の親御さんが亡くなったことで財産を引き継ぐこととなった60代の方と多く接してきました。その中には、経済的な面での不安は感じていないものの、健康面や人とのつながりの面で不安をお持ちの方が多くいらっしゃいました。
ライフプランの作成は、決して経済面の準備だけのために行うものではないことを実感したものです。

◆自分の寿命を計算するツール


もうずいぶん前に放映された「世界一受けたい授業」の中で、寿命計算方法なるものが紹介されたことがあります。
こちらのサイトで実際の計算ができるものですが、住んでいる地域の状況や生活習慣などによって自分の寿命が何歳であるかが出せるというもの。どういう要素が長寿につながり、どういう要素が長寿を妨げるのかもわかり、なかなか興味深いものです。

ちなみに私は92歳となりました。
  
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