2017年11月28日

ライフプランを立てる本当の意義

一般的に、ライフプランを組む時には、将来起こりうるイベントを想定します。
住宅や車の取得時期、お子さんがいらっしゃる場合の進学タイミングなどが代表的なイベントですが、旅行を盛り込むケースも少なくありません。

ただ、旅行といっても、「行ければいいかな」程度に軽く考えているものもあれば、「この時に行かなければ意味が無い」というものもあり、その優先度は様々でしょう。

■35年ぶりの香港


さて、先日行ってきた旅行は、まさに「この時に行かなければ意味が無い」パターンでした。
私は小学3年生〜5年生を香港で過ごしたのですが、その時の同級生が香港に集まったのです。

香港に限らず、日本人学校に通うのは「親の海外赴任」に伴う転校がほとんどですから、多くの場合、3年〜5年程度の在学期間となります。
ですから、同じ学年であっても、「小学3年生〜5年生」までを過ごした人と、「小学6年生〜中学2年生」までを過ごした人では、顔を合わせていません。
ただ「香港」という共通要素があることによる絆には深いものがあるため、話はすごく盛り上がりますし、すぐに打ち解けるという特徴があるのです。

そんなわけで、11歳の時以来、実に35年ぶりに香港へ行ってきました。


■変わったところと変わらないところ


日本(東京)から2,887厠イ譴森畊舛蓮1997年以降、中華人民共和国香港特別行政区という位置づけ。私が住んでいた当時はイギリス領でしたから、そもそもの背景が大きく変わっております。
しかも、当時利用していた啓徳(カイタック)空港に変わり、1998年からは香港国際空港が玄関口となっているため、まず香港に着いた時の風景がガラッと違っていました。

それに加えて、一番大きく変わったと感じたのは、地下鉄網の発展です。
私が住んでいた頃に、最初の路線が開通したことを覚えているのですが、今では空港からの主要アクセスとなるエアポートエクスプレスを含めると11路線が営業しており、人口約740万人の国で、一日約470万人が利用する主要な交通機関となっています。

一方で、2階建てバスや市電(トラム)、ミニバスやタクシーなどは、デザインや料金こそ変わったものの、ほとんど当時のままでした。特に、大陸側になる九龍(カオルーン)と香港島を結ぶスターフェリーは、完全に当時のままの状態で運航されていて、懐かしさがこみ上げてきました。

お店も、きれいなショッピングセンターが多数できている一方で、街中の昔ながらのお店も多くの残っており、懐かしく感じる風景はたくさんありました。

■ライフプランを立てる本当の意義


今回、35年ぶりに香港を訪問したのは、同窓会に出席するためでした。
現地でお店を営んでいる友人が、「昭和46年生まれの自分たちが46歳になった時、自分の店で同窓会をやりたい」と言ってくれたことがきっかけだったようです。
その想いを受け取った友人が、日本だけではなく、世界中にいる同窓生に声をかけ、2年の準備期間を経て実現したのです。

どんなことでも「できるわけない」と最初からあきらめていると、実現しません。
実現するための行動をしないのだから、これは当然の話です。
つまり「口に出していない想い」が実現する可能性は極めて低く、「口に出した想い」は、時間がかかっても実現する可能性が高くなるわけです。

ライフプランを立てる本当の意味はここにあるのではないでしょうか?
ライフプランを立てていないということは、「想いを口にしていない」状態と同じですから、漠然と考えていることが実現する可能性は低いものです。一方、ライフプランを立て、その想いを口に出すことで、実現可能性が高まる。

ライフプランを立てる本当の意義は、案外こういうところにあるのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2017年11月14日

住宅ローンは「返せる金額」で考える

日本FP協会は、毎年11月の第2土曜日を「FPの日」として、全国でセミナーや相談会を実施されており、私も11日に行われた大阪でのセミナー講師を務めてきました。

今回のテーマは「ライフプランと貯蓄の基礎知識」。
幅広い年齢層の方にご参加いただきましたが、中心となるのはこれから住宅の購入や教育費の負担が見込まれる世代の方だったように思います。

■10年先の自分の生活


今から10年後といえば2027年。東京の品川と名古屋を結ぶリニアモーターカーが開業する予定の年です。ほかにも、渋谷駅周辺の再開発事業の完成予定や、東京駅日本橋口に前に、高さ390mの日本一の高層ビルが開業する予定の年でもあります。

その時に、自分たちの生活はどのようになっているのでしょうか?

お仕事や人間関係がどうなっているかは知る由もありませんが、間違いなく言えるのは「今より10歳年齢を重ねている」ことです。
そして、お子さんがいらっしゃる場合は、年齢に応じて進学されているため、その時期に応じた資金が必要になるでしょう。
また、残り期間が10年以上の住宅ローン返済や保険の支払いがあるのなら、その時にも支払いは継続している可能性があります。
さらにいうと、生活をするために必要な支出が、劇的に変化する可能性は低いのではないかと想像できます。

ようするに、将来何が起こるかはわからないものの、その時にどのような生活をしているのかを予測することは可能だという話です。

■ライフプランを立ててみる


このように、将来の家族の年齢を軸に、その時に考えられるイベントを想像し、想定される収入や支出を考えていくことをライフプランと呼んでいます。文字通りの生活設計です。
そして、収入や支出の予測と、それに基づく貯蓄残高の推移を表形式にまとめたものをキャッシュフロー表と呼びます。
このキャッシュフロー表を作る最大の意義は、「収入や支出に影響する様々な出来事を考慮して、全体としてのお金の流れを把握できる」という点にあります。

例えば、自分が家を購入したとします。よほどの事情がない限り、家を買うタイミングを決めるのは自分ですから、「頭金や引越し代などの住宅取得時の費用」が出ていく時期は、コントロールできるはずです。また、その時の金額も自分で決めることができます。

では、「今の自分の収入とその時の預貯金」だけで金額を決めてもいいものでしょうか?
もちろんそんなわけにはいきません。
特に、お子さんがいらっしゃる場合は、成長に応じた学校の費用が掛かってくる点を考慮しても、住宅ローンの返済に無理がないことが大切です。簡単に言うと、「住宅ローン完済まで貯蓄が底をつかない」ことが大切なわけです。

■住宅ローンは「返せる金額」で


つまり、住宅ローンは、「借りられる金額」ではなく、「今後も無理なく返せる金額」で組む必要があります。そして、無理なく返せる金額から逆算して、借りてもよい金額を計算します。

例えば、金利1.6%の30年返済で、毎月無理なく返せる金額が7万円だとすると、借入可能額は2,000万円。ここに、自分が用意できる(+親等の援助を受けられる)金額を足すと、「住宅購入時に出せる総額」が出てきます。


逆算による借入可能額は、住宅金融支援機構のこちらのページで計算できます。


ちなみに、これは「購入できる物件価格」ではありません。
住宅購入時には、様々な諸費用や引越し代、電化製品や家具などの購入代金なども発生しますので、こうした支払いも含めの「総額」である点に気を付ける必要があります。

新しい物を買う時は、ワクワクするものです。
ましてや、一生のうちに一度かもしれない住宅の購入ともなれば、夢や希望が膨らんで当然です。
ただ、そこで一呼吸おいて冷静になり、ここで示したような「逆算による確認」が大切である点を忘れないようにしましょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)家計・ライフプラン

2017年10月31日

FPフェア2017 訪問記

10月28日に、東京都内で開催されたFPフェアに参加してきました。

FPフェアとは、日本FP協会が主催する年に一度のイベントです。
全国から日本FP協会の会員であるFP資格者が集まり、多くの講義の聴講や交流をする場として、1994年(平成6年)から開催されているものです。
毎年、開催直後は「報告記」を残していますので、今年も忘れないうちにお伝えしておきます。

◆これからの世の中の流れ


初日の基調講演は、昨年同様竹中平蔵氏でした。

タイトルも昨年と同じく「世界経済の新しい潮流と日本経済」というもの。
時期的に、政治の話題にも触れられましたが、メインの経済の話のキーワードは「2つの風」でした。

1つは乱気流。
昨年のブレグジットやトランプ大統領の話題を題材に、風が吹き荒れる様を表現されたもので、その背景として「社会の分断」を挙げていらっしゃいました。この点は、昨年の話にあった「ハイパーポピュリズム」にも関係するのでしょう。

アメリカでの分断の例として、東海岸の金融ビジネスや西海岸のITビジネスに対して、内陸の製造業等が取り残されている話題を展開。日本では就労上の分断はアメリカほど大きくないとはいえ、親の状況を受けた子どもの貧困問題は存在するし、今後は高齢者の介護問題が大きな課題として吹き荒れるという話をされていました。

2つ目の風は「インダストリー4.0」の話。第4次産業革命です。
AI(人工知能)の話題を中心に、「単なる技術革新ではない。生活そのものが変化する点で、まさに革命と呼べるもの」というお話。
AI自体は決して新しい概念ではなく、これまでも何度かブームのようなものがあったそうです。ただ、2012年に「自ら学んで進歩するAI」が出てきたのが画期的なことで、いわゆるディープラーニングについて紹介されていました。

ディープラーニング(Deep Learning)とは、「多層のニューラルネットワーク(ディープニューラルネットワーク)による機械学習手法である」と説明されていますが、十分なデータ量があれば、人間のサポートなしに機械がどんどんデータを取り込んで学習し、賢くなっていく、というイメージでしょうか。

世の中のあらゆるデータ(いわゆるビッグデータ)がデジタル化されたことで活用の幅が無限に広がっているわけですが、10年ぐらい前に「未来の世界」として空想されていたものが、どんどん実現していく世の中になるのかもしれませんね。

◆フィンテックの活用


午後からは、フィンテックをテーマとしたパネルディスカッションと、社会保険をテーマとしたセッションを受講しました。

パネルディスカッションでは、日本FP協会専務理事の伊藤宏一氏をコディネーターに、株式会社マネーフォワードの辻庸介氏、株式会社お金のデザインの北澤直氏、FPの高橋忠寛氏の3名が登壇。
様々な興味深い視点がありましたが、「これからの資産運用は個人が主役となっていく(=C2B型)」という話が印象に残りました。

新たな金融サービスは、金融機関が一方的に提供するのではなく、日常生活から生まれたアイディアを企業が具現化していく形で進化するというのは、確かにそうなのかもしれません。

また、AIの活用や広がりも話題に上がりましたが、「動機付け」の部分と「共感」の部分は、AIで代替できない、つまり、人対人の対応が残るだろうというお話は、これからのFPとしての活動を考える際にも大切な視点なのだと感じます。

◆ご縁をつなぐ空間


初日の最後は、会員交流会に参加。文字通り、会員同士の交流の場として大きな役割を果たしている時間です。今回もかなり大きな会場に多くの参加者がいましたから、直接お話しできた方は限られますが、久しぶりにお会いする人も多く、あっという間の1時間半となりました。

FPフェアについては、厳しい意見(行っても意味がないとか、参加費が高すぎるとか・・)が多いのは事実です。それでも私自身はとても有意義なものであると思ってますし、この業界において人とのご縁をつなぐ絶好の機会であることは間違いありません。
結局のところ、こうした時間を意味のあるものにできるかどうかは、参加者次第なのかなって感じる次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2017年10月24日

奨学金と教育ローン

11月26日(日)に、家計の見直しセミナーの公開収録と、栗本FPスクールのガイダンスを開催します。
会場は、神奈川県川崎市にある、ユニオンビル(富士通労働会館)。武蔵小杉駅から徒歩圏内の立地です。

当日は、13時から「知って備える介護の基本」の講演、15:15から「栗本FPスクールガイダンス」、そして16:35からは「FPI-J.TV発表会」と題し、各チャンネルオーナー(ら・し・ささん、藤川太さん、菱田雅生さん、竹川美奈子さん、前野彩さん)が登壇する予定となっています。

参加には事前申し込みが必要ですので、以下のお申し込みフォームからお願いいたします。

お申し込みフォームはこちら
 
本イベントの詳細はこちら
 


◆教育費負担と奨学金の利用実態


さて、10月も終わりに近づき、来春からの新しい進路に向けた準備が始まりつつあります。
大学や専門学校等に進学予定のお子さんがいらっしゃる家庭では、教育費について意識する時期でもあります。
教育費負担、とりわけ高校や大学の費用は、家計にとって大きな負担となります。日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査(平成28年度)」によると、高校入学から大学卒業までに必要な費用の総額は975万円で、前年調査より76万円上昇。そのため、奨学金の利用者数も増加しており、大学進学者の奨学金受給者率は51.3%に上っています。

◆給付型奨学金について


奨学金には、返済義務のある「貸与型」と、返済義務のない「給付型」があり、日本の奨学金制度の多くは貸与型です。貸与型の場合、卒業後の収入を返済に充てるわけですが、非正規雇用の割合が増えるなど、20歳~29歳の若年層の雇用環境が悪化した流れを受けて、奨学金の返済に窮するケースが増えているようです。

そこで、注目されているのが、将来の返済が不要の「給付型奨学金」です。日本学生支援機構では、平成29年度から先行実施されており、平成30年度から本格的に制度が始まります。
ただし、利用できるのは、―嗣雲波鷁歙農ぢ咫併堋村民税所得割額が0円)または生活保護受給世帯に該当する人か、⊆匆馘養護を必要とする人。給付額は、国公立で月額2~3万円、私立で月額3~4万円となっているため、決して十分な額ではない上、受給できる対象者がかなり限定されるものですが、こうした制度が始まったことに注目したいと思います。

なお、奨学金は日本学生支援機構以外にも数多くあります。進学先の大学独自に設置している奨学金のほか、自治体や民間企業が実施している奨学金もあり、その中には「給付型」も多く存在します。まずは「地域名+奨学金」や「大学名+奨学金」で検索し、使える給付型奨学金が無いかどうかをチェックするようにしましょう。

◆もう一つの手段としての教育ローン


ちなみに、奨学金は「進学する学生本人が借りて、卒業後に返す」ものですが、準備の間に合わなかった教育費を親などの保護者が用意する手段としては「教育ローン」があります。
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」はその代表格で、学生1人につき350万円を上限にローンを組むことができます。10月25日時点の適用金利は1.81%で、所定の条件に該当するとさらなる優遇金利で利用可能です。

例年、進学時期の2月〜4月ごろは申し込みが込み合うようです。ネットでも申し込みは可能なので、ギリギリになって慌てないよう、早いうちから情報を集め、備えておきたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)教育・子育て

2017年10月10日

ベーシックインカムに感じる違和感

先日配信したメールマガジンで、ベーシックインカムについて触れたのですが、その時に頭をよぎった「全く違う視点からの違和感」について触れておきます。

■ベーシックインカムとは


そもそも「ベーシック・インカム(basic income)」(以下、BI)とは、政府が国民の生活を最低限保障するため、年齢・性別等に関係なく、一律で現金を給付する仕組みです。

決して目新しい話ではなく、BIの構想は18世紀末に出ていたと言われてますし、そのベースとなる「賃金補助制度」は、1597年にまで遡れるようです。(ウィキペディア参照)

■ベーシックインカムに対する違和感


それはさておき、国民全員に対して生活を最低保障できるだけのお金を支給するというのは、普通に考えると不思議な話です。

世の中にお金が出現する前、人々は物々交換を行っていました。
私が作った野菜をあげる代わりに、あなたの釣ってきた魚を頂戴、というお話です。
でも、野菜がいつも採れるわけではありませんし、魚もいつも同じように釣れるわけではありません。そこで、現物がなくても交換できる代替手段として「お金」が出てきました。野菜や魚は、放っておくと腐ってしまいますが、お金は長期間保管できますから、その点でも都合がよいわけです。

今でも「お金の機能」といえば、表現には少し差があるものの、次の3つと言われています。

  1. 価値の保存

  2. 交換(決済)手段

  3. 価値の尺度


ここで大切なのは、「誰かがモノ(野菜や魚)」を持っているからこそ、この仕組みが成り立つという話です。
誰も野菜を作らず、誰も魚を釣らない世界で、お金だけをみんなに配ったところで、何の役にも立ちません。
つまり、誰かがモノを生み出さないと成り立たないのが「お金」なのではないでしょうか?

ここに、私の感じた根本的な違和感の正体がありそうです。


■北欧で考えられているBIは助け合い?


一般的に、BIのメリットとデメリットはこんな感じで紹介されています。

【メリット】
  • 無理やり働く必要がなくなる

  • 社会保障制度の事務負担の軽減

  • 自由な時間が増える


【デメリット】
  • そもそも財源をどうするのか?

  • 労働力が下がる

  • 競争力がなくなる


でも、今回触れた通り、こうしたメリット・デメリットを比べる以前に、根本的な違和感を感じざるを得ないのです。
ちなみにBIは、海外でも話題にはなるものの本格的に導入している国はないそうです。ただ、よく取り上げられる有名な例として、2017年1月からフィンランドが始めている、失業者2,000人を対象とした実験があります。

これは、失業者から2,000人を抽出し、月額560ユーロ(約7.3万円)を2年間支給するというもの。
その仕組みからすると、BIというよりは失業者に対する生活支援、つまり、失業保険のお話と考えられそうです。

保険というのは助け合いですから、BIも究極の助け合い制度として議論すれば、違和感がなくなるのかもしれないなあ、と思った次第です。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)政治・経済

2017年10月03日

世の中の値上げが家計に及ぼす影響

11月11日(土)、大阪の「FPの日」でお話をいたします。

日本FP協会は、毎年11月の第一土曜日を「FPの日」と位置づけ、その前後の期間に全国でセミナーや相談会を開催しています。今回、私は大阪支部のセミナーを担当することになりました。

京橋にあるツイン21MIDタワーで開催され、どなたでも無料でご参加いただけますので、お時間のある方はぜひお越しください。

詳細は、日本FP協会大阪支部のサイトをご確認ください。


さて、10月に入りました。
世の中では衆議院選挙が大きな話題となっていますが、それはさておき、10月からの制度改正をいくつかご紹介しておきます。

■育児休業給付金の延長


まず、雇用保険の「育児休業給付金」の給付対象期間が延長されます。
育児休業給付は、原則として1歳に達するまでの子を養育するための育児休業を取得した場合に支給されるものです。これまでも、保育所等に預けられないなどの理由があれば、子が1歳6か月に達するまで延長できましたが、10月1日からは、さらに子が2歳に達するまで延長できるようになりました。

ちなみに、こうした制度は、周知されなければ意味がないということで、「子どもが生まれる予定の従業員に育児休業等の制度等を周知すること」は、企業に対する努力規定とされています。


■フラット35は団信込みに


次に、長期固定金利の住宅ローンの代表格である「フラット35」の制度改正です。
以前の住宅金融公庫時代から、こちらのローンは「団体信用生命保険(団信)」の保険料が別建てになっていましたが、2017年10月1日申込受付分より、団信の保険料が月々の返済金に含まれた、団信付きのフラット35(新機構団信制度)の取扱いが始まります。新機構団信制度では、現在年払いとなっている費用負担がなくなるほか、団信の加入に必要な費用の軽減を実現するとしています。
ちなみに、団信保険料にかかる金利上乗せ分は0.28%と説明されています。
仮に2,000万円のローンを組む場合だと、年額で56,000円。同じ条件だと、これまでは71,600円でしたから、負担軽減となっています。
なお、健康上の理由等で団信に加入しない場合でも「フラット35」の利用は可能で、その場合は適用金利が異なるようです。

それ以外では、2018年1月から開始の「つみたてNISA」について、口座開設手続きが10月1日から始まりました。
また、9月分(一般的に10月支給分給与)より、厚生年金保険料が0.118%引き上げられています。毎年実施されてきた保険料の引き上げは今年で終了となりましたが、実際には今後また制度改正があるかもしれないですね。

■世の中の値上げが家計に及ぼす影響


ちなみに、値上げと言えば、クロネコヤマトの宅急便が値上げされたほか、10月からは食品関係の値上げが結構たくさんあるようです。280円均一で有名な「鳥貴族」さんも、298円均一に値上げされますよね。
金額にするとわずか18円なのですが、率にすると6.4%の物価上昇ですから、決して侮れません。
仮に、手取り年収500万円のご家庭で、毎年400万円の生活費がかかっている場合、支出だけが6.4%増加すると、収入が変わらずに、支出は425.6万円になりますから、年間収支が4分の1も悪化するのですから。

人手不足を背景に、賃金の上昇の話題も見聞きするようになりましたが、改めて自分の家計の場合にどうなるのかをしっかり見極めたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 14:55Comments(0)家計・ライフプラン

2017年09月26日

現金発見のニュースから考える、高齢者の財産管理

9月26日は山形県酒田市で講演でした。
初めて訪れた山形県は、事前の印象通りお食事とお酒の美味しい所。
お仕事抜きで訪れたい場所が、また1つ増えた感じです。

■現金拾得物の増加


さて、先日の日本経済新聞に、「ごみから大金 孤独死も影」という記事がありました。
文字通り、ゴミ捨て場から大金が見つかったという話ですが、ここ数年「拾得物」として届けられる現金は増えていて、2016年は約177億円にも上るそうです。

大金が見つかったというニュースは時々見かけますが、そもそも誰がどういう理由で落とした(あるいは捨てた)のかを見ると、少子高齢化や相続に関わる問題が浮かんできます。


■相続人が見つけられないお金


先に紹介したニュースでは、4,000万円の落とし主は既に亡くなった高齢者の方で、相続人の方が名乗り出て、無事に手元に戻ったという結果になっていました。

これを見て思い出したのが、10年近く前の相続相談事例です。

詳細は避けますが、簡単にいうと「あるはずの現金6,000万円がどこにも見当たらない」というケース。
高齢の父親が、家族の誰も知らないところで保有不動産を売却した後に亡くなられました。売却していた事実は、相続人であるお子さんたちが遺産の整理をしている中で判明したのですが、売却時に受け取ったはずのお金がどこにもないのです。

売却日から死亡日までは1か月余り。
使い切ろうと思えば、使えなくもないのでしょうが、その時のお父様は決して健康な状態ではなく、遠出をした事実もありません。もちろん、代金を支払ったという不動産会社にも確認しましたが、「お父様が現金で持って帰られた」とのこと。

じゃあ、どこかに隠しているはずだということで、家中を捜索されましたが、最終的にお金の行方は分からずじまいでした。

誰も気づかないまま、何かに紛れて捨ててしまっていたという可能性もゼロとは言えないな、と改めて思い出した次第です。

■高齢者の財産管理問題


今回の記事の中でも、1人暮らしの親が亡くなり、遺品の整理を専門会社に依頼したところ、何も入っていないと言ってたはずの金庫に2億円が入っていたという話や、衣装入れから500万円の現金が出てきた話などが紹介されていましたが、これが自分の家族の話だとすると、なかなか穏やかではいられません。

ではどうすれば、「あるはずのお金が見つからない事態」を避けることができるのでしょう?

これはもう、周りの家族のサポート体制を整えるしかありません。
自分の財産がどれだけあるのかを生前に知られたくない、という高齢者も多いかもしれませんが、その結果、相続発生時に大きな問題となってしまっては大変です。

お金の問題は理屈で言うほど簡単ではないものの、少なくとも「どこにどのような財産があるのか」については、家族間で情報を共有しておくことは必要ですし、「タンス預金は危ない」ということを共通した認識として持っておくことが大切です。

加齢とともに、自分の財産管理が煩わしくなったり、できなくなったりすることは当然です。専門家も含め、その時に誰がサポートするのかは、改めて考えておく方がいいのではないでしょうか。

ちなみに、路上などで拾った場合には拾った日の翌日から起算して1週間以内に警察に届け出る必要があります。その後、3ヶ月の保管期間内に落とし主がわからなかった場合、拾った人が所有権を取得できることになっており、これは「遺失物の拾得」として民法240条に定めがあります。
なお、落とし主が現れた場合は、落し物の価格の5%以上20%以下の金額を、お礼として請求することができるそうです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)相続・贈与

2017年09月19日

相続後の空き家問題

全国で増加している空き家問題は、たびたび話題に上ります。
国土交通省が公表した平成25年時点の空き家数は820万戸。住宅総数6,063万戸に対する割合は13.5%。
この調査は5年ごとに公表されていますが、平成20年と比べた空き家数は63万戸の増加となっていました。

ちなみに、空き家は大きく4種類に分類されています。

  1. 常時住んでいないが使っている

  2. 貸したいのに借り手がいない

  3. 売りたいのに買い手がいない

  4. その他


このうち、1〜3は減少傾向で、増えているのは4のケース。
相続が発生して実家が空き家になったが、誰も住まずにそのまま放置されている、というパターンが典型的でしょう。

相続人である子世代は、自分たちの住まいを持ち、その地域で生活の基盤が確立されていると、今さら実家に帰ることは考えにくくなります。
誰も住まない建物は劣化が激しくなりがちですから、思い切って売却しようと考えたとしても、買い手が現れるとは限りません。その間、建物の管理が必要となるのはもちろん、固定資産税の負担もかかってきます。

ちなみに、この空き家問題は戸建てだけでなく、マンションでも起こります。
同じく、国土交通省の統計を見ますと、2016年末時点のマンション戸数は約633.5万戸ですから、住宅全体の1割強となっています。しかも、そのうち172.7万戸は築30年超のマンションで、この数は10年後には333.6万戸になると推計されています。
築30年超ともなると大規模修繕などが必要となる可能性が高く、そのための修繕積立金などが徴収されているわけですが、空き家が増えることでこうした積立金の滞納なども起こりえます。何かを決議するための集会等においても、どこかにいるはずの区分所有者に議決権の行使を依頼しなくてはならないので、負担が大きくなることが考えられます。

ここまでの話は「建物」の話題ですが、実際の相続では「土地」の問題も発生します。
日本全国には、所有者不明の土地が約410万ヘクタールに上るそうですが、これは九州の面積を超す広さ。
建物のように劣化することはないにしても、誰も管理しない土地は荒れ放題となりますし、いざ土地活用を考えた場合に、現在の所有者が特定できないと、事業の妨げにもなります。

不動産問題は、何よりも立地条件に大きく左右されるため、まとめて論じることはできません。ただ、少なくとも自分や家族が今後遭遇しうる状況を知り、その時にどうすればいいのかを事前に考えておくことは、これからますます重要になるでしょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2017年09月12日

仮想通貨に関する最近の動き

9月10日のFP本試験を受検されたみなさま、お疲れさまでした。

栗本FPスクールでは、今回の本試験を分析し、
次回の受験に備えるための本試験検証会を公開しています。

特に次回(2018年1月)の受検を検討されている方にとっては、
今後の学習方針を立てるヒントになると思いますので、ぜひご覧ください。

本試験検証会


■仮想通貨をめぐる動き


さて、9月に入ってから仮想通貨をめぐるニュースが続いています。

まずは、9月4日に中国当局が、仮想通貨発行による資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)を全面禁止にすると発表。
その後も、仮想通貨の取引所を当面閉鎖することを決定するなどが報じられ、代表的な仮想通貨のビットコインをみると、1ビットコイン=5,000ドルを超えていた価格が、4,000ドルを割り込む水準まで急落する事態となりました。
一方では、各国の中央銀行が、仮想通貨の活用に向けた検討を熱心に行っていることも報じられていますし、大手金融機関等も海外送金に活用するための仕組みなどの開発に取り組んでおり、今後の広がりが期待されている様子がうかがえます。

ちなみに、日本銀行は昨年11月に「中央銀行発行デジタル通貨について」というレポートを出し、フィンテックをめぐる国際的な議論で積極的に参画していく考えを示しています。


■仮想通貨って何?


そもそも、仮想通貨とはインターネット上で使うことができる通貨で「暗号通貨」や「デジタル通貨」などと呼ばれています。600種類以上あると言われている仮想通貨の中でも、もっとも残高が大きく有名なのがビットコインというわけです。

ウィキペディアでは、ヨーロッパ中央銀行の定義として「未制御だが、バーチャルコミュニティで受け入れられた電子マネー」と説明されていますが、法律による裏付けはないものの、各国の中央銀行が発行している法定通貨との換金性があること、暗号化と分散化技術によって通貨の改ざんなどの不正や消失を防いでいることが、特徴としてあげられます。

インターネットさえあれば、国境も関係なく世界のどこにいても使うことができるため、次世代の通貨としても注目されているものです。
日本では2016年3月の閣議で「仮想通貨」が貨幣の機能を持つと認め、2016年5月25日には「フィンテック法案」と言わている改正銀行法案と改正資金決済法案が可決され、

■仮想通貨による利益は雑所得


世の中の変化に合わせたこの分野の法整備も進み始めました。

この時に仮想通貨は、「物品やサービスの対価に使用できるなど財産的な価値があり、円などの法定通貨と交換できるもの」と定義されており、つい先日には国税庁が、仮想通貨の利益は雑所得にあたるという公式な見解も出しています。
利益が雑所得にあたる金融商品には、「金先物」や「FX」などもありますが、これらに適用される税率は、所得税と住民税を合わせて一律20%(+復興特別所得税)。一方のビットコインは、現時点では「総合課税の対象となる雑所得」なので、所得金額に応じて、所得税は5%〜45%の税率が適用されます。
10万円で買ったビットコインを50万円で売却した場合も、50万円分の買い物に使った場合も、利益となる40万円が課税対象となるわけです。

規制か放任かで苦慮していると伝えられる金融庁も、10月からは仮想通貨取引所の監視に乗り出すようです。

日本では、ビットコインに絡む最初の大きな話題が、2014年に発生した交換所の破綻騒動だったこともあり、なんだか胡散臭いものと感じている方も少なくないようですが、着実に広がっている事実も受け止める必要があるでしょう。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)資産運用

2017年09月05日

フィデューシャリー・デューティーと消費者の態度

金融機関と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはどこでしょうか?

■2,900超の金融機関


ウィキペディアによると、
「金融機関とは、金融取引に関する業務を営む組織のこと。狭義には預貯金取扱金融機関のみを指すが、広義には保険会社や証券会社、ノンバンクも含む」
となっています。

預貯金取扱金融機関とは、ようするに銀行のことですが、銀行にも都市銀行や地方銀行、信託銀行などの種類がありますし、信用金庫や信用組合、農協や労働金庫など、銀行以外でも預貯金を取り扱っている組織は数多くあります。

ちなみに、現在日本には、都市銀行4行と信託銀行16行、ネット銀行等14行、外国銀行の支店55行、地方銀行64行、第二地方銀行41行のほか、264の信用金庫と151の信用組合があります。これだけで600を超える金融機関数です。

また、証券会社は日本証券業協会の会員数で264社、生命保険会社41社、損害保険会社52社、少額短期保険事業者は92社が業務を行っています。
このほかにも、いわゆるノンバンクと言われる貸金業者数は、登録ベースで1,845社あり、合計すると2,900を超える金融機関があるわけです。

■銀行の未来とフィデューシャリー・デューティー


さて、これら金融機関の中で、銀行の注目度が上がっています。
注目されるきっかけは、金融庁の森長官が現在の金融機関の営業姿勢を批判したことで、週刊誌などで「金融庁VS銀行」という特集が組まれたことなどがあげられるでしょう。
そもそもこうした流れは、金融庁が2015年9月に公表した「平成27事務年度金融行政方針」の中で、「フィデューシャリー・デューティー」をキーワードにしたことから始まっており、「真の顧客本位の業務運営」が問われるようになっているわけです。

さらに先日、国際通貨基金(IMF)が公表したブログの中で、「日本の地方銀行の一部は、20年間で預貸率が40%低下する可能性がある」という警鐘を鳴らしたことも注目されているようです。

銀行は、私たちから集めた預金を、個人や法人に対する融資に回すわけですが、この比率が預貸率です。
例えば、1,000万円の預金を集めた銀行が、そのうち700万円を貸し出しに回していれば、預貸率は70%ですし、300万円しか貸し出しに回していなければ預貸率は30%となります。
地方銀行の平均預貸率は2017年3月期で73%だそうですが、これが40%下落するということは33%になるという話。

貸し出しに回らないお金を運用しようにも、世の中は超低金利を通り越してマイナス金利時代なわけですから、なかなか思うようにいきません。

■受動的なお付き合いと、能動的なお付き合い


こうした状況を受けて、銀行は生き残りをかけた様々な営業努力をされています。
その一環で伸びているのが、保険や投資信託といった金融商品の販売であり、個人向けの無担保ローン(カードローン)です。

これを消費者(利用者)目線で見ると、万一の際に備えて保険に加入する時や、将来のための資産形成を行う時に、身近な銀行が窓口になってくれるという便利さがある反面、その気がない(あるいは必要がない)にもかかわらず、進められるがままに契約をして、結果として不利益を被ってしまう危険性があるといえます。

無担保のカードローンについても、消費者金融等では年収制限によって新たな借り入れができなくなった人が、銀行のカードローンだと利用できることもあるため、困った時の助けになるメリットがある反面、過剰な借り入れで益々状況が悪化する危険性があります。

能動的に活用すれば利便性が高まることでも、
受動的なお付き合いになると生活を不安定にしてしまう可能性がある。

つまり、金融機関が掲げているフィデューシャリー・デューティーの実現には、私たち消費者の態度も問われているのだという点を、意識しておきたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2017年08月29日

9月のFP本試験に向けて

早いもので、8月も残すところあとわずかとなりました。

夏らしい日の少なかった今年は、東京都心で21日連続の降雨記録となったほか、仙台ではこれまでの最長記録(35日連続)を更新し、36日間の連続降雨だったそうです。

とはいえ、子どもの成長とともに、海(滋賀県民にとっては琵琶湖を含みます)やプールに行く機会が無くなったこともあり、「夏らしくなかった」と言われても実感はありません。

ただ、「あっという間に8月が終わった」と思うばかりです。


■FP本試験まで約10日


さて、8月が終わるとFP本試験です。
9月10日の試験日まで、残すところあと10日あまり。

ここまでくると、とにかく「過去問を繰り返す」ことが大切です。
仮に1回の過去問を解くのに、学科1時間、実技1時間をかけたとしても、1日2時間の学習時間を取れば、10日間で10回分を消化できます。
試験実施期間のサイトでは、PDF形式で本試験問題が公開されていますから、スマホなどに取り込めば、移動時間を有効に使って解くことも可能です。


■1日2時間の確保


1日2時間の確保はなかなか難しいと感じるかもしれません。ただ、多くの「時間活用術」でも指摘される通り、自分の時間の使い方を振り返ると、よくわからないけど使ってしまっている時間(=無駄遣いしている時間)は、結構あったりするものです。

お金と同様、時間を生み出すのにも「天引き」が有効。
まずは、1日1時間でも2時間でも、勉強のための時間を天引きしてみてください。

さらに、直前期に効率よくインプットの学習を進めたい方には、恒例の「2級FP直前総まとめ講座」を提供しています。

家計の見直しセミナー2ch「栗本FPスクール」


FP試験の6課目について、それぞれ40〜55分ずつ、合計4時間44分。
出題頻度の低い分野や、出題は多くても得点源になりにくい分野は思い切ってカットし、
合格に必要な点数を最短距離で取っていただける内容となっています。


■6課目で82ページ


この講座の一番の特徴は、教材のページ数が圧倒的に少ないことです。
業界一「要領がよい」FP資格取得講座、と言ってもいいでしょう。

2級FP技能士は6課目から成りますが、一般的な講座の教材は、1課目あたり120〜150ページ程度の分量なので、6課目合計で700〜900ページ。
それに対し「直前総まとめ講座」は、6課目合計でわずか82ページでまとまっています。
それでいて、前回(5月)の本試験問題(学科)に当てはめると、出題カバー率は60%を超えておりますので、こちらの講座をしっかり勉強していただければ、合格水準の60%正解は果たせるのです。

時間を有効に使い、短期間での合格を勝ち取ってください!

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Posted by kurisuke701 at 17:33Comments(0)FP学習法

2017年08月01日

2017年8月からの社会保険制度で変わること

8月になりました。
なんだか、今年の7月は一瞬のうちに目の前を通り過ぎた感があります。

さて、この8月1日から、社会保険制度においていくつかの変更がありました。
ざっと項目を上げると次のとおりです。

  1. 国民年金の受給資格期間の短縮

  2. 介護保険料の計算の仕組みの変更

  3. 70歳〜75歳の高額療養費の自己負担限度額引き上げ

  4. 高額介護サービス費の自己負担限度額引き上げ

  5. 雇用保険の各種数値の変更


1.国民年金の受給資格期間短縮


最もよく目につく話題ですが、老齢基礎年金を受給するために必要な「受給資格期間」が、
25年から10年に短縮されました。
これにより、国民年金の保険料納付期間が10年以上25年未満だった人は、2017年9月分からの年金を受け取れるようになります。
ちなみに、年金の支給日は「偶数月の15日」ですから、9月分の年金が口座に振り込まれるのは2017年10月です(曜日の関係で10月13日となります)。

今回の改正によって、約64万人といわれる対象者が、新たに年金を受給できるようになるものの、実際の受給額は保険料の支払期間と比例しますから、少額の人も多いでしょう。

「年金が受け取れるようになること」と「年金による収入で生活が安定すること」は、別問題である点の認識が大切です。

ちなみに、今回の改正では、遺族厚生年金や障害厚生年金にかかる「300月(=25年)」の最低保証は変更されていません。


2.介護保険料の計算の仕組みの変更


介護保険料は、40歳以上になると加入している健康保険制度の保険料と一緒に徴収されます。この際の保険料計算の仕組みが変更されることに伴い、中小企業を中心とした「協会けんぽ」加入者の保険料は引き下げられ、大手企業を中心とした「組合健保」や公務員等を中心とした「共済組合」加入者の保険料は引き上げられる形となります。
実際には、報酬額等によっても異なるため、影響は人によってことなりますが、ようするに「年収の多い人の保険料負担が増える」ということになるわけです。


3.70歳〜75歳の高額療養費の自己負担限度額引き上げ


医療機関で健康保険の対象となる診療を受けた際、1か月に支払う自己負担額には上限が設けられているため、上限額を超えた部分は高額療養費として還付されます。
この高額療養費制度のうち、70歳〜75歳の「自己負担限度額」が引き上げられました。
具体的には、外来の際の限度額について、現役並み所得の人(=年収で約370万円以上の人)は月額44,400円から57,600円に、一般の所得区分の人(=年収約156万円〜約370万円の人)は12,000円から14,000円となります。

ちなみに、平成30年8月からは、さらに引き上げられますので、高齢者の医療費負担は今後ますます厳しくなるわけです。


4.高額介護サービス費の自己負担限度額引き上げ


公的介護保険においても、介護サービスを利用した際の1か月の自己負担額には上限が設けられているため、上限額を超えた部分は高額介護サービス費として還付されます。
こちらも、「世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方」について、自己負担限度額が37,200円から44,400円に引き上げられます。なお、介護保険利用時の自己負担割合が1割の世帯については、年間を通じての自己負担上限額は従来と変わらず「37,200円×12=446,400円」となっています。


5.雇用保険関係は毎年8月1日から数値が変わります。


雇用保険関係の数値変更は、毎年8月に実施されている恒例行事です。
雇用保険の中で一番馴染みが深いのは、俗に「失業保険」と呼ばれている「雇用保険の基本手当」です。基本手当の支給額は退職前6ヶ月間の賃金総額をもとに金額が決まりますが、こちらで定められている上限額について、8月1日からは概ね数十円程度の引き下げとなりました。
そのほか、就業促進手当の算定における上限額も変更されています。


平成27年度に支払われた「社会保障給付費」は、前年度より2.7兆円増の、114.8兆円となっています。
高齢化の進行によって、これから先も社会保障給付費の増加が見込まれてますから、こうした「負担増」の傾向は今後も続きそうです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)社会保険

2017年07月15日

公的年金の収支計算の一面

私たちが加入する公的年金は、「年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)」が運用しています。
国民の大多数が関係する年金ですから、四半期ごとの運用実績の公表には多くの方が関心を持っているようです。

■公的年金の運用実績


7月7日に発表された「平成28年度業務概況書」によると、平成29年3月末時点のGPIFの運用資産額は144兆9,034億円で、1年前から約9兆円の増加。運用収益率は「+5.86%」と2年ぶりのプラスとなっていました。大きな損失を出したと騒がれた平成27年度の損失額が5兆3,098億円で、今回の利益は7兆9,363億円でしたから、この2年間では2兆円を超える利益を出していることになります。ちなみに、GPIFが市場運用を開始した平成13年度から28年度までの累積収益額は53兆3,603億円と公表されています。

毎年何兆円ものプラスマイナスが出ることに危うさを感じるのかもしれませんが、約145兆円の運用資金からすると3〜5%の金額。リスクに対する考え方は人によって違うため、一概には言えないものの、100万円を投資している人が、1年間で3〜5万円のプラスマイナスが出たとしても、それをもって「リスクが大きすぎて怖い」とは考えにくいのではないでしょうか。
損失が出たときほどニュースとして大きく報じられることも、ネガティブな印象を持つ人が多い原因の一つかもしれません。

■積立金の取り崩しは行われているのか?


ところで、日本の公的年金は「賦課方式」が採用されています。これは、自分が積み立てたお金が将来自分の受け取る年金の原資となる積み立て方式と違い、現役世代納めた保険料が、その時の年金受給者への支払いにあてられるもの。

この方式の場合、「年金受給者」に対して「保険料を納める現役世代」が少なくなると、支えることが厳しくなるのですが、そのためにあるのが約145兆円に及ぶ積立金です。ちなみに市場運用分以外も含む時価ベースの積立金全体は、平成26年度末時点で約203.5兆円となっています(公的年金の財政状況より)。

ここまできたら、収支状況の公表数値も確認してみましょう。

厚生労働省が公表している「公的年金各制度の単年度収支状況(平成27年度)」によると、支出総額50兆9,602億円に対して収入総額は51兆5,612億円。この年は運用損失が出ていましたから、結果的に積立金残高は減少していますが、単年度収支では約6,010億円の黒字です。

年金受給世代の増加によって、給付額が増えているのは事実ですが、「年金支払いのために毎年積立金を取り崩している」わけではないようです。ちなみに、平成28年度予算ベースの社会保障給付費では、56.7兆円が年金関連の支出となっています。

■収入額の実態の計算


そこで、この財政状況に出ている「収入額」を別の角度から独自に計算してみました。
厚生労働省が毎年まとめている「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成27年度の被保険者数は、国民年金第1号被保険者が1,668万人、第2号被保険者が4,129万人、第3号被保険者は915万人となっています。

この時(平成27年度)の第1号被保険者が負担する保険料は月額15,590円なので、年額にすると187,989円。ただし、保険料の免除を受けている人がいるので、その分を差し引きます。全額免除者が576万人、4分の3免除者が25万人、半額免除者が15万人、4分の1免除者が7万人なので、それぞれの保険料を考慮すると、被保険者負担分の保険料合計は約1兆9,905億円となります。

一方の厚生年金は、標準報酬額によって掛け金は違いますが、全被保険者の平均値が月収で30.5万円、賞与1回あたりが44.1万円となっているので、ここに保険料率(ここはざっくり18%とします)をかけると、年間の保険料負担は82.62万円です。

実際の被保険者負担はこの半額ですが、「保険料収入」を見るわけですから、事業主負担分も含めます。第2号被保険者は4,129万人となっているので、単純にかけ算すると、34兆1,138億円。合計すると約36兆円ですが、実際にはここでは見えていない滞納などもあるでしょうから、これよりも少なめで考える方がいいでしょう。

ちなみに、先ほどの「財政収支」に記載されていた保険料収入は33兆8,065億円なので、概ねこの計算に近い数字です。ここに、国庫負担の金額が12.2兆円、解散厚生年金基金等徴収金が4.6兆円ほど計上されているので、これも加えると先ほどの収入金額51.5兆円に近くなります。

財政破綻が近いようなイメージが報道されることの多い公的年金。
実際の数字を計算してみた全体像は、また違ったイメージになるのではないでしょうか。

今回は、細かい数字が多かったので、できれば図を使って解説したかったですね。
暑い日が続きますが、素敵な連休をお過ごしください。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)社会保険

2017年07月07日

変化への対応

九州地方を中心に、豪雨による大きな被害が出ています。
報道によると、いくつかの条件が重なってできる積乱雲の帯(=線状降水帯)が原因とのことですが、今年の梅雨はこうした局地的な豪雨が特に目立つように感じます。

大雨の発生数の増加は、日本だけでなく東アジアの広い範囲で共通しているそうです。地球温暖化との関係はいろいろなところで指摘されていますが、こうした環境変化は今後も続くのでしょう。

変化とストレス


環境変化といえば、私たちの生活もあらゆる面で変化しています。
仕事との関わり方や家族の在り方を中心としたライフスタイルの変化もありますし、少子高齢化の進行といった人口構成の変化もあります。そもそも世の中の経済環境そのものが大きく変わってきています。

「変化(=change)」は「チャンス(=chance)」とはよく言ったものですが、心理学の本などを読みますと、「変化」というのは、それが良いものであれ悪いものであれストレスを引き起こすのだそうです。

家計の見直しができない理由


これは家計の見直しでもよくあることです。

例えば保険の見直しや住宅ローンの見直し、最近では、携帯やスマホ代といった通信費の見直しなどは、実行すると家計改善に役立つケースが多いのですが、わかってはいるけどなかなか踏み切れない人は少なくありません。

本当に時間が無い人なのかもしれませんし、様々な理由があって本音では見直す気がない人ものかもしれません。でも、「実行すればいいのはわかっているけど、なんとなく気が向かない」というケースは意外と多いように感じます。これはひと言でいうと「今の環境を変えるの嫌!」ということで、これこそが「変化を避けたい心理上の問題」なのでしょう。

先日、成年後見制度に関するアンケートでも、「認知症の家族の金銭管理を手伝った人のうち、判断能力が不十分な人のために後見人が財産管理などに当たる成年後見制度のことを知っているが、利用するつもりがない」という人が全体の55.4%に上るというもの。
手続きが複雑なことや、正確な内容が周知されていないことなどが背景にあるとの分析でしたが、「わかっちゃいるけど踏み切れない」という、変化を拒む心理も少なからずあるんだろうなって思うわけです。

安心と不安の選択


変化しない環境は、今のままの環境ですから、それが良いものであれ悪いものであれ、想像できる安心感があります。
変化する環境は、見たことのない世界ですから、それが良いものか悪いものか想像できないことで、不安が募ります。

つまり「変化しない=安心」、「変化する=不安」という公式が、無意識のうちに心の中にあるのかもしれないですね。
「確実な未来」なんていうものを約束できる人は世の中にいないので、やはり不安よりも安心を選ぶのでしょう。

「変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである」といったのはダーウィンですが、知らず知らずのうちに世の中の環境がどんどん変化している現代こそ、この言葉の意味を真剣に考えなければいけないのかもしれません。

みなさま、素敵な週末をお過ごしください。  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)日常のつぶやき

2017年06月27日

ロボアドバイザーとFP

今年から加入対象者の広がった個人型確定拠出年金は、1月のスタートダッシュだけではなく、その後も確実に加入者数が増えているようです。

■個人型確定拠出年金加入者の現状


国民年金基金連合会が公表している累計加入者数は、平成29年4月末時点で489,008人。4月の1か月間で約6万人の増加となっていることから、このペースで推移すると、5月末時点では54万人、6月末時点では60万人程度になっていてもおかしくないでしょう。

制度そのものが開始した2001年からの個人型の累計加入者は、2016年12月時点で約30.6万人でしたから、15年間かけて達成した人数を、わずか6ヶ月間で達成したことになります。

加入者の2割が利用されるとするSBI証券では、加入者のうち30歳代が3割、40歳代が4割を占めるそうなので、本来の目的である、将来の資産形成のための利用が進んでいるともいえそうです。

■ロボアドバイザーの登場


資産形成といえば、先日AI(人工知能)による運用を行う「ロボアドバイザー」について、お話を伺う機会がありました。

ロボアドバイザーとは、コンピュータープログラムによって自分に最適な運用方針や資産配分を診断し、その後の運用アドバイスや助言を受けることができるシステム全般を指す言葉です。
「私にはどんな運用が向いているのですか?」という質問を専門家ではなく、コンピューターに対して聞く感じでしょうか。

先行している米国では、2016年末の運用資産残高が約830億ドル(≒9兆1,300億円)となっていますが、2015年末からの増加率が約40%とのことで、急速に伸びている様子がうかがえます。

ロボットが行うことで、大幅なコスト削減につながりますから、手数料や運用管理費を安く抑えられるというのが一番のメリットといえます。

■勘と理論


実際、運用のプロと言われる人は、「その人の勘」ではなく、過去の膨大なデータに基づいて、「こういう場合の相場はこう動く」という予測に沿って行動するものです。こうした「膨大なデータの処理」は、コンピューターが得意とするところですから、そういう意味でロボアドバイザーは合理的と言えるかもしれません。

とはいうものの、人が判断する運用は、その結果が運用者によって大きく違っています。
これは同じ過去のデータを見ていたとしても、そのデータをどう読み解くかが人によって違うということでもありますし、「最後は経験に基づいた勘」で判断していて、その差が運用結果に表れているということもあるはずです。

つまり「理屈で説明できない要素」をゼロにすることはできないのでしょう。

実際、アメリカでの消費者に対するアンケート調査では、「FPなどの人からのアドバイスとロボアドバイザーを併用する」という回答が41%を占めており、「すべてFPに任せたい(21%)」、「デジタルツールのみを使いたい(6%)」を大きく上回っていました。

■FPのアドバイス補完ツール


ここから感じるのは、ロボアドバイザーは、一般の投資家が資産運用を任せるツールというより、FPなど資産運用アドバイスを行う専門家が補完的に使うツールとしての広がりです。これも、実際に米国で広がっている状況のようで、これまで大手の金融機関でしか提供できなかったAIを活用した運用アドバイスが、小規模なFP事務所でも可能になっている点に大きなメリットがあるようです。

新しいサービスが生活の中で受け入れられ、浸透するには、まだ時間がかかるかもしれませんが、FPこそがまずは使ってみる必要があるのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年06月17日

試験前日の過ごし方と当日の注意点

6月18日は、CFP本試験の2日目です。

受験予定の方は、落ち着かない時間をお過ごしかもしれませんので、今回は試験前日と当日の過ごし方について触れてみます。

前日の過ごし方


まず大前提として、今から新しい知識をインプットするのは避けてください。
何かを覚えても、すぐに忘れてしまうでしょうし、曖昧な新しい知識のために、元々持っていた知識まで曖昧になってしまう危険性があります。

それよりもとにかく、明日受験予定の課目の過去問を1度解くことをお勧めします。

3課目すべてを受験される場合は、さすがに脳に疲労が残ってしまう可能性があるので、その場合は各課目1時間限定し、じっくり考えないといけない問題は飛ばしても構いません。

新しい知識を得るのではなく、「問題に慣れておく」ことが目的なので、明日のウォーミングアップと割り切ってもらえば大丈夫です。

あとは明日の本番に備えて体調を整え、できれば早く休むようにしましょう。


当日の注意点


当日は、時間にゆとりをもった行動が一番大事です。

あまり早く着きすぎると試験会場に入れませんが、開場一番乗りを目指すぐらいでいいと思います。時間のゆとりは心のゆとりを生みますし、心のゆとりはケアレスミスを防ぎます。
このタイミングで一番避けたいのが、「間に合わないかもしれない」という焦りとともに試験会場に向かう事態です。

自分は予定通りに動いていても、交通機関にどんなトラブルが発生するかはわかりません
とにかく最寄り駅まで移動していれば安心ですから、近くのカフェなどで最後の準備をするのもいいでしょう。

あとは、周りに咳をする人がいたりすると、それだけで気が散ってしまうケースあるので、マスクを持っていくといいかもしれません。

試験が始まったら、最初の1分ほどで、ざっと全体の問題を眺めましょう。
これまでに過去問を十分やってきた方であれば、「どのパターンの問題が出ている」という大枠をつかむことができます。
そうでない方も、「後の方に簡単そうな問題がある」ということがわかるだけでも、時間配分の参考になります。

そして、1問目(あるいは、自分の得意な問題)から解いていくわけですが、一番大事なのは「わからない問題は躊躇なく飛ばす」ことでしょう。

CFP試験は、1課目2時間の試験時間があるものの、「時間切れ」に泣かされるケースをよく耳にします。
「あと10分あれば解けていた」という後悔をしないためにも、わからない問題はどんどん飛ばして、確実に解ける問題を残さないようにするのが大事です。

そして、早く終わったとしても慌てて出ていかず、「他人の解答の粗探し」をするつもりで、できる限り見直しをしておくことをお勧めします。

そんなわけで、沖縄地方以外では全国的にお天気に恵まれ、外に出たい気分が募る週末ではありますが、受験生のみなさんが明日の本番で思う存分力を発揮されますことをお祈りしています。
  
Posted by kurisuke701 at 10:02Comments(0)TrackBack(0)FP学習法

2017年05月30日

介護保険について意外と知られていないこと

厚生労働省の発表によると、日本における2013年の健康寿命は、男性が71.19歳、女性が74.21歳となっています。

一方、人間が平均的に何歳まで生きるのかという平均寿命は、男性が80.79歳で、女性が87.05歳ですから、その間に男性で約9年、女性は約13年の差があります。
この期間は「日常生活をおくるために、誰かの手助けが必要」となる可能性が高い、つまり介護を受ける可能性が高い期間といえそうです。

ちなみに、生命保険文化センターの統計による介護期間の平均は、4年11ヶ月となっています。

■公的介護保険の概要


ご家族のどなたかが介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合、介護をする側への経済的、身体的、精神的な負担が問題となります。
そこで、ご家族の事情に合わせた介護事業者のサービス利用を検討するわけですが、その際に大きな助けとなるのが公的介護保険の存在です。

介護事業者を利用した際の料金は、内容に応じて様々ですが、原則として利用料金の1割だけを本人が負担し、残りの9割は介護保険で賄われます。
つまり、1ヶ月に10万円分のサービスを利用した場合でも、実際の負担は1万円で済むわけです。
ちなみに、一定以上の所得があると自負担割合が2割となり、さらに2018年8月からは、3割負担となるケースも出てきます。


■要介護度が上がると有利なのか?


では、原則通り1割負担の人が、1ヶ月に100万円分の介護サービスを利用したとしましょう。この時も本人負担は1割の10万円でいいのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。

公的介護保険には、要介護(要支援)の区分に応じた「支給限度基準額」が定められており、1割負担で利用できるのは、この支給限度基準額の範囲内に限られます。

この基準額は、一番軽度の「要支援1」の場合で5,003単位、一番重篤な「要介護5」の場合で36,065単位です。
地域によって差があるものの、1単位はおよそ10円なので、ようするに1ヶ月で50,030円〜360,650円の範囲であれば、1割負担でサービスが受けられるというわけです。

この基準額は、介護区分が上がると引き上げられます。
例えば、要介護3の方の限度額は26,931単位なので、およそ269,310円。
要介護5の場合は360,650円でしたから、より多くのサービスを受けたいのであれば、「高い介護区分の認定を受ける」ことが望ましく見えます。

一方で、同じサービスを利用した際、介護度が高いと単価が上がるケースがでてきます。

つまり、同じサービスを利用する場合に、要介護3の方は10,000円で利用できるのに、
要介護5の方は11,000円かかる、といったことが発生するのです。この点はあまり意識されていませんが、注意すべきでしょう。
ようするに、要介護度が高く認定されることが一概に有利とは言えないのです。

■介護は突然訪れる


子育てと違い、介護はある日突然発生することが少なくありません。

加齢とともに、介護状態となる可能性が高まっていることは理解しながらも、具体的な準備をしないままその日を迎えてしまいます。
身近な人に介護が必要でないうちは、「全く関係の無い遠い話」ですから、頭ではわかっていても、準備を先送りしがちです。

平成29年1月時点で3,429万人いる介護保険の第1号被保険者(65歳以上の人)のうち、要支援・要介護の認定を受けた人は合計で629.2万人。65歳以上の約18.3%にのぼるのです。
特に、要介護認定を受けている人の85.8%が75歳以上ですから、70歳では他人事でも、75歳になると当事者になる可能性が高いと言えそうです。

2025年には団塊の世代が75歳の年齢を迎えられます。介護については、正しい知識と情報を元に、早い段階から準備を始めておくようにしたいものです。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)社会保険

2017年05月16日

投資信託の残念な状況

5月も折り返し地点を超え、FP本試験が近づいてきました。
今回の試験対策用に、「2級FP技能士 直前総まとめ講座」を動画で提供していますので、まとまった勉強時間を確保できず、これから追い込み学習をされる方は、是非ご活用ください。

2ch 栗本FPスクール


FP試験に必要な6課目について、それぞれ30〜50分ずつ、合計4時間の講義をお聴きいただければ、2級FP技能士試験の合格に必要な知識が身に付きます。
特に、独学で学ばれてきた方や、お仕事の関係でなかなかまとまった学習時間の取れない方にとっては、最適な講座になっております。

■投資信託の現状


話は変わりまして、2016年度は投資信託が14年ぶりの資金流出となったそうです。

投資信託協会の資料によると、日本の公募投資信託は2017年3月末時点で6,148本あり、残高は107兆2,842億円。この数字だけをみると、投資信託が随分と広がっているように感じますが、アメリカの数字と比較すると少し見え方が違ってきます。

日本証券経済研究所アメリカでは、約8,000本の投資信託が販売されており、残高は17兆7,524億ドルになります。これは1ドル=112円で換算すると約1,988兆円。さすがに規模の違いを実感します。

さて、この数字、投資信託1本当たりの平均残高におきかえますと、アメリカの2,240億円に対して日本は174億円となっています。つまり日本には「規模の小さい投資信託が多くある」というわけです。実際、販売されているうち99%の投資信託は残高が2,000億円以下で、アメリカの1本当たりの平均残高にも及ばない状況なのです。

■当局からの苦言


そもそも日本の投資信託の特徴を見ると不思議な点が多いようで、昨年公表された金融庁の資料の中でも、

  • 投資対象を特定の種類の資産に限定した商品が上位で、販売手数料や信託報酬(保有期間中毎年引かれる手数料)も高水準である

  • 短期間で多くが入れ替わっている

  • 大半が毎月分配型

といった、ネガティブなコメントが目立ちます。

今回の資金流出は、毎月分配型の失速が原因の1つとされていますが、以前より、専門家の間では毎月分配型投資信託の評判はよろしくありません。

長期間の投資を考えた場合、分配金を受け取ってしまっては複利効果が得られないとか、分配金(普通分配金)が支払われる際に課税されるので不利だとか、収益が出ていないのに元本を取り崩してまで分配金を払っているとか、その理由はいろいろと言われてます。

もちろん、「理論的な話はわからないけど、毎月分配金がもらえるのは単純に嬉しい」と感じる方もいるこそ、ここまで売れ筋商品になってきた事実はあります。ただ、多くの人は、自分が積極的に選んだというより、金融機関からのお勧めで始めたかもしれず、正しい知識と情報があれば結果は違っていたかもしれません。

■正しい知識と情報の大切さ


何事にもメリットとデメリットの両面があります。

投資信託協会が実施している「投資信託に関するアンケート調査(2016年)」を見ると、投資信託の保有者は全体の16.0%ですから、多くの人に浸透している金融商品とは言い難い状況です。

個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)の加入対象者の拡大や、来年からスタートする積立NISAのように、少額から始められる投資制度も整い始めています。
メリットとデメリットを正しく理解するための基礎知識と、その時々に自分にあった資産形成手段を決定するための情報について真剣に意識することで、投資信託をじっくり活用する人がもっと増えるといいのかもしれません。
  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)資産運用

2017年05月05日

「バカの壁」を打ち破る「黒船来航」

GW後半5連休の中日となる今日(5月5日)は子どもの日です。

統計によりますと、日本の14歳以下の人口は1,571万人となっており、総人口に占める割合は12.4%です。この数字、人口としては36年連続、総人口に占める割合に至っては43年連続の減少となっているそうで、耳慣れてきた感のある「少子高齢化」が益々進行していることを感じずにはいられません。

■変化に対する反応


さて、こうした人口構成の変化とともに、私が関わるお金周りの世界も大きな変化の波がきています。
2月21日のブログで触れた「フィンテック(Fintech)」は、その代表的なものですが、このような変化に対する反応は人それぞれです。

積極的に知識を得て、自分の生活や仕事に取り入れる努力をする人と、よくわからないとか自分には関係ないからといって近づかない人がいらっしゃいます。

ちなみに「努力をする人」と言いましたが、実はここにも人によって大きな違いがあります。

フィンテックを例にすると、もともと金融やITに興味を持っている人にとっては、新しいことを考えたり実際に試したりするのは努力でもなんでもなくて、単に「好きなことをやっている」だけです。ゲームをなかなか止めない子ども(もちろん大人も…)と一緒で、休日だろうが、夜更かしをしようが、何の苦も無く没頭できるでしょう。

一方、「これからの時代はフィンテックが理解できないと生活水準に大きな差が出る」という言葉に不安を覚え、やりたくもないのにやっている(=やらされている)感のある人にとっては、苦痛以外の何ものでもないかもしれません。

つまり、客観的には「フィンテックを理解するために努力している人」というくくりで同じように見えても、本人からすると「好きなことに没頭している人」と「嫌なことに我慢して取り組んでいる人」という違いがあるわけです。

■黒船来航


とはいうものの、世の中の変化が現実のものとなりつつあるとき、その分野について無知であることは好ましくはありません。

人を煽る言葉はあまり好きではありませんが、こうしたお金周りの話やその先にあるフィンテックの話は、「生活の中のちょっとした差」が、積もり積もって大きな違いになっていくことはありえるため、最低限の知識や情報を取り入れていく必要はあると思うのです。

しかし、この「日常生活の中のちょっとした差」に自ら気付くことは難しいものです。

たとえ話をしましょう。

私自身、このGW中にパソコン環境が大きく変わったのですが、これは仕事仲間の方からの働きかけによって進んだ変化でした。わかりやすく言うと黒船来航です。

最初は脅威にすら感じる黒船ですが、変化を受け入れるかどうかによって、その先の道のりに大きな差が出るのは事実。実際、今回のパソコン環境の変化によって、これまで自転車で頑張って登っていた坂道をバイクで登るような違いを感じています。

■小さな変化の大きな差


自転車とバイク。

これって「劇的な変化」でしょうか?

例えば、自宅から自転車で10分かかる最寄駅まで、バイクで行くと5分程度で行けるかもしれませんが、これぐらいなら誤差の範囲と言えるかもしれません。少しだけ早く起きれば埋められる、いわば「ちょっとした差」です。
しかも、道中狭い道が多くてスピードが出せないとか、自転車にしか通れない近道があると、「健康のためにも環境のためにも自転車の方がいい」という結論を出す人も少なくないでしょう。

でも、これが500キロの移動だとしたらどうでしょうか?

自転車の平均速度は状況によって大きく違うようですが、調べてみる限りおよそ時速20劼里茲Δ任后つまり、500キロの道のりに25時間かかる計算です。

ではバイクだといかがでしょうか?
さすがにこの距離だと、高速道路も使えるでしょうから、とりあえずの平均速度を時速50劼世伐渉蠅靴討10時間で到達します。

しかもここでは休憩時間を考慮していません。
当然、人力に頼る自転車ではより多くの休憩が必要となりますし、25時間の移動であれば、途中で睡眠をとることも必要になるでしょう。

そうすると、最初の「ちょっとした差」が「埋めることが難しい大きな差」になっていることは明らかです。

今回の話は、最初の差が「徒歩と新幹線ほどの差」でないところがポイントです。

徒歩と新幹線ほど違いがあると、その先に発生する大きな差を誰もがすぐに想像できます。
でも、自転車とバイクで、しかも自宅から10分の距離の最寄駅の話なので、「いや、私は自転車の方がいいです」という選択肢も十分に考えられるわけです。

ベストセラーである「バカの壁」という本の中に、

<結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。>


<つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。>


という文章があります。

つまり「すべてを理解することはできない」ということと、「すべてを知りたいとは思っていない」ということが、人間にとってのひとつの壁だという話ですが、破るべき壁が出てきた時、その先の道を示してくれる人が身近にいることは、大切なことなのかもしれません。

多くの生活者にとってのFPが、黒船の役割を担える世の中を願う次第です。  
Posted by kurisuke701 at 10:18Comments(0)TrackBack(0)日常のつぶやき

2017年04月25日

FP事務所の舞台裏を公開します

資格としてのファイナンシャルプランナー(FP)は、随分世の中に浸透してきたものの、仕事としてのFPは、弁護士さんや税理士さん、司法書士さん、行政書士さん、社会保険労務さんといった士業と比較して、一般的に馴染みのある職業とはいえません。

■FP実務家の定義


そもそも、FP実務家の定義ってどこにあるのでしょう。

例えば、代表的なFP相談の1つに「生命保障の見直し相談」があります。
相談者の家族構成や現在の経済状況、将来想定されるライフイベントなどをベースに、今加入している保障が適切かどうか、適切でないならば、どんな保険や共済がいいのかをアドバイスするわけですが、こうしたアドバイスを行うのにFP資格は必要ありません。

「資格は持っているけど保険相談を受けたことがないFP」と「資格は持っていないけど、長年保険会社に勤めて数多くの保険相談を受けてきたベテラン外交員」を比べると、どちらに実務能力があるかは説明するまでもないでしょう。
資格だけ持っていて実務経験の無い人を「実務家」とは呼ばないのは、どのような仕事でも共通する認識です。
かといって、「FPが学ぶ6分野に関する何らかの実務経験を持っている人」をFP実務家と呼ぶとしたら、対象者の幅が広くなりすぎます。

このように、FP実務家の定義を明確にできないことは、FPという仕事が世の中に浸透しにくい(=何をやってくれる人なのかわかり辛い)要素なのかもしれません。

■FPの役割


一方、現実にはFPとして活躍されている方はたくさんいらっしゃいます。
新聞や雑誌等のメディアにおける情報発信や、講師として様々な場所で講演活動をしている方だけでなく、家計の様々な分野における個別相談を受けているFPさんも確実に増えています。
FPさんによって仕事のスタンスは違って当然ですが、「家計(=パーソナルファイナンス)」に関係する不安や課題を解決する、という要素は共通するのではないでしょうか。

「生活の中でのお金周りが上手くいくようにお手伝いする」という言葉で説明できるのが、FPの役割なのかもしれません。

■実際のFP事務所の運営


では、こうしたFP事務所はどのように運営されているのでしょう。

この点についても、実際の現場を見る機会がほとんど無いため、イメージが湧きにくいものです。それゆえに、FP資格取得後、どのように事業を展開していけばいいのかを悩まれるケースも少なくないようです。

そこで、5月28日(日)にオープンオフィスを開催することになりました。
私が主任研究員を務める、生活経済研究所長野の事務所を公開し、日常の業務のご紹介、講演事業の舞台裏、全国主要労働組合との連携などをご紹介いたします。
事務所の内側やどのようにクライアントさんとの接点を築いているのかをつぶさに見ていただけます。

  • FP事務所がどんなところか見てみたい
  • FP事務所のスタッフと話してみたい
  • FP事務所で働いてみたい
  • プロ講師になりたい
  • 将来は独立してFP事務所を立ち上げたい
  • 事務所のビジネスモデルを生で見たい
  • 事業の舞台裏を見てみたい
  • 全国主要労働組合との連携方法を知りたい
  • 地方のFP事務所が全国に事業展開できる理由を知りたい
  • 自分のFP事務所運営の参考にしたい


といった希望をお持ちの方にとっては、貴重な機会となるでしょう。
2年に1度しかないイベントで、先着20名様限定募集となります。

当日は、家計の見直しセミナーの公開収録と、栗本FPスクールガイダンスを開催しますので、いずれかにご参加いただくことでオープンオフィスには無料でご参加いただけます。

当日のスケジュールは次のとおりです。

10:00〜12:30 公開収録1「確定拠出年金運用セミナー<基礎編>」
講師:市川貴博氏

12:45〜13:15 栗本FPスクール「講師・養成コース」の講座説明会(ガイダンス)

13:30〜16:00 公開収録2「セカンドライフを見据えたお金の活用法」
講師:栗本大介

16:00〜17:30 オープンオフィス

なお、公開収録の参加料金は1回5,400円ですが、ガイダンスに参加されると半額(1回2,700円)になります。また、家計の見直しセミナーの年間パスポート会員の方はご本人と、同伴者1名まで無料でご参加いただけます。

▼詳細はこちらのご案内をご覧ください。

▼お申し込みはこちらのページからお願いします。

  
Posted by kurisuke701 at 23:59Comments(0)TrackBack(0)FP実務