ボブ・ディランの音楽の中には、最初に登場した謎であり伏線が最後まで回収されずに終わるというものも少なくありません。

ニュー・ポニーも、そんな1曲として知られる1曲です。ボブ・ディランのスタジオ・アルバム「ストリート・リーガル」に収録されている1曲なのですが、ニュー・ポニーは歌詞、登場人物についても全体的に抽象的な表現が多いので、内容を理解するのは困難でしょう。

なので、今回は歌詞の中からまだわかりやすい一節に絞って、ニュー・ポニーという楽曲の内容を探っていこうと思います。

まず、ニュー・ポニーについてですが、歌詞の中に何度も登場する「ルシファーという子馬」のことで間違いないようです。彼女の名前というふうに紹介されていますが、何度も子馬の登場シーンで彼女という言い回しが使われているので、牧場主(もしくは馬主)と子馬ルシファーの物語が、ニュー・ポニーというタイトルにつながっているように感じます。

また、ニュー・ポニーの中ではルシファーが何度も馬主に迷惑をかけるというシーンが出てきますので、ニュー・ポニーというタイトルですが、ポニー(ルシファー)との新しい出会い、付き合いなどを描いているため、ルシファーのことを彼女という言い回しにしているようにも感じます。

普通に考えると、じゃじゃ馬という表現がピッタリ合いそうな子馬ですが、親心もあってか、最初から最後までニュー・ポニーの中では、可愛い子馬のような扱いで話が進展していきます。また、歌詞の中には「彼女は足を折った」というように、状況を説明するかのような言い回しについても数多く見られます。

他にも、「傷を負った」という表現も登場するのですが、この間にはかなりの時間が経過しているのでしょう。というのも、ニュー・ポニーは場面が一節ごとにかなりとんでいるからです。

また、話が進んでいくに連れて、馬主のような人物が彼女を褒め称えるようなシーンも登場します。つまり、ニュー・ポニーであった頃を思い返して、ニュー・ポニーであった子馬は可愛かった、しかし、今は可愛いでは表現できないような馬としての気品、もしくは美しさを感じ取れるように変わっていくわけです。

つまり、ニュー・ポニーの中で何度も登場する「新しいポニーを得た」という表現は、「自分だけが知っているルシファーの素顔」なのかも知れません。その部分を強調したいためか、二度にわたって新しいポニーを得たという表現が使われているのです。

また、新しいポニーという表現のため見た目が小さな子馬を想像してしまいますが、歌詞の後半では黒い髪、偉大な大きな足といったルシファーの外見についても紹介するシーンが登場します。

育てるのに苦労したニュー・ポニー、しかし、育ててみると育てがいのある馬へと変貌していき、その様は過去を思い返してしまうほど圧倒するものになった・・・という気持ちが、ニュー・ポニーというテーマに沿って歌詞に込められているのかも知れません。a