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ユニオン・サンダウンは、貧しい人々の心をボブ・ディランが歌っているという内容になっています。

貧しい人々といっても、いつものボブ・ディランであれば元々、その土地に住んでいた人々に訪れた不幸を歌に変えることが多いのですが、ユニオン・サンダウンは、そのような定例とは違った内容になっている・・・という特徴があります。

ユニオン・サンダウンの歌詞を見ればわかりますが、「多様な国々から来た人々」というのがテーマになっていますので、新しい土地に来たものの生活が代わり映えしないという人の心を、ユニオン・サンダウンでは追っているのでしょう。ボブ・ディランは、このように人の心というものを明るい心だけでなく、暗い心も追って表現することが多いです。

また、どのように苦しい思いをしているのか表す際に、具体的な収入をユニオン・サンダウンの中では描かれている・・・という特徴もあるので、多様な国々から来た人物たちが、お互いに支えあっても貧困から中々開放されないという気持ちが、ユニオン・サンダウンを聴いていると伝わってきます。

ボブ・ディランの素晴らしいところは、このような感情を表現する際に日常をテーマにして歌ってくれるところでしょう。というのも、このような収入を得ている人の心まで、ユニオン・サンダウンでは歌詞として何度も登場するからです。

今回は、複数の人々が支えあっている・・・というテーマなのですが、登場人物たちが「まあまあ、いただいている」というふうに、薄給に対して少しだけ満足しているという歌詞も登場するのです。まるで、ボブ・ディランがその場面にいるかのような錯覚を引き起こしてしまいますが、このような人の心をありありと伝えられるのがボブ・ディランなのです。

他にも、労働者(女性)の場合は「1日30セントを12人家族に与える」という歌詞が登場します。また、この報酬を「多額の報酬」という表現にも置き換えているのですが、先ほどの収入と比較するまでもなく家族構成的に厳しい報酬でしょう。

ですが、置かれている立場から労働者(女性)は喜んでしまうわけです。思わず多額の報酬・・・と思ってしまうのですから、どれほどの窮地の中で収入を得ているのか・・・と考えさせられてしまいます。ボブ・ディランは、詩人として歌詞を作成できる力を持っていると、専門家に評価されることもあるのですが、ユニオン・サンダウンを聴いていると、その理由を良く理解できるようになります。

大まかなテーマが定まっているだけで、これだけ数多くの登場人物を長いとは言えない歌詞の中に散りばめられるのです。決して、他のアーティストが真似しようとしても真似られるものではないでしょう。

また、ボブ・ディランにとってユニオン・サンダウンは特別なものではありません。ボブ・ディランは、男女の恋愛を歌うこともありますし、社会事情、戦争、貧困といった多数のテーマを元にして、作曲を行っていることもある優れた人物なのです。