ボブ・ディランのスタジオ・アルバムには、「ストリート・リーガル」のような新しい出発地点と言われるようなスタジオ・アルバムも存在します。

ストリート・リーガルは、「18枚目のスタジオ・アルバム」なので、出発地点?というふうに思ってしまう人も多いでしょう。ですが、30枚以上のスタジオ・アルバムをリリースすることになるボブ・ディランにとっては、これだけのスタジオ・アルバムをリリースしても未だ出発地点であり、ようやく折り返し点にたどり着いた・・・という状況なのです。

他にも、ボブ・ディランの歌に対するスタンスが変わっていく節目でもあるので、ストリート・リーガルは出発地点として相応しいという見方もあるでしょう。ボブ・ディランというと、シンガーソングライターとして活躍している人物なので、音楽についてもパンク系、ロック系には該当しない・・・と思っている人が多いです。

しかし、ストリート・リーガルがリリースされてからは、ゴスペルソングでもそうですが、ボブ・ディランが触れたことがない、もしくは過去に少しだけ触れた音楽にも触れるキッカケが増えていき、パンク系、ロック系についても、ボブ・ディランは良く学ぶようになっていくのです。

そもそも、「フォークの貴公子」と言われるほどボブ・ディランは、美麗かつ目立つような人物でした。そのため、今までとは風変わりなストリート・リーガルをリリースした・・・としても、周りの人はボブ・ディランらしいという関心しか持たなかったのです。

このような評価に至ったケースについては色々と語られていますが、今回はストリート・リーガルの素晴らしいところのみ抽出し、案内させていただこうと思います。

まず、ストリート・リーガルは前述のとおり、「1978年にリリースされた18枚目のスタジオ・アルバム」です。なぜ、他のスタジオ・アルバムと比較してストリート・リーガルが有名になったのか?というと、ストリート・リーガルからは「初めて女性コーラス・グループが含まれる」ようになったからです。

元々のボブ・ディランの音楽であり音楽活動というのは、「小規模なバンド」でフォーク・ロックといった音楽を手掛けていくもの・・・でした。つまり、硬派なバンドが新しいバンドグループとして活動するキッカケが、ストリート・リーガルに散りばめられている・・・というわけです。

大掛かりなバンドを編成後、音楽的に新たなる試みについてもボブ・ディランは挑戦しています。例えば、今まで歌ったことのないテーマの音楽であり、複数のコーラス、ギターといった大規模なバンドでも歌を表現できる・・・という試みについても、ストリート・リーガル以降はチャレンジしているのです。

簡単にまとめてしまうと、派手好きではないボブ・ディランが、派手好きに変わっていくさまを、ストリート・リーガルでは学べるのです。ですが、そのような行動についても今までとは風変わりなだけでなく、評価にも直結している・・・というのが、ボブ・ディランの凄いところでしょう。

というのも、ストリート・リーガルはリリース後に「ビルボード200チャートで11位」を記録したからです。RIAAの認定では、ストリート・リーガルがゴールド・ディスクに認定されたため、新しい出発地点で新しい活動を始めたにも関わらず、むしろ今までより評価が上がった・・・ということで、気持ちの良い出発をボブ・ディランは達成したのです。

また、他にもボブ・ディランは、「血の轍(1975年)、欲望(1976年)」というアルバムでも、多大な成功をおさめることに成功しています。