第二次大戦中のワルシャワでユダヤ人の逃亡を助けたジャビンスキ家族の物語です。ネタバレがありますが傑作だと思いますので、まず映画館に足を運んでから残りの駄文を読んで欲しいです。

この世相にホロコースト映画が連発されるのは何か意図のようなモノを感じざるを得ないのですが、ナチス断罪的な内容はほとんど感じられず、なんだかんだでヘックは良い人だったと思いました。

映画はワルシャワが舞台なので絶滅収容所は出てきませんし、ワルシャワゲットーの環境は劣悪でしたが、内部にはそれなりの自治体制があることが描かれていました。Wikiによれば批評家筋からの評価は芳しくないのですが、ナチス断罪をして欲しかった勢力からすれば面白くない映画なのかもしれません。

映画はドイツ侵攻前から始まるのですが、窒息状態におちいったゾウの子供をアントニーナ・ジャビンスキが治療するのが最初の山場といいますか、

感動映画には不必要なエロチシズム(笑)。

胸元がザックリ空いたドレスを着た人妻が、たわわな胸をたゆんたゆんと揺らしながら子ゾウを助けようと奮闘するだけでも興奮するのですが、親ゾウが長い鼻をアントニーナに巻きつける触手プレイまで始まって、

この監督は大丈夫なのか(笑)。

予算の関係か、ドイツ軍の電撃戦はほとんど描かれなくて残念でしたが、ジャビンスキ一家はナチスの高官(ヘック)と知己がある事を利用して、ユダヤ人の逃亡の手助け始めます。映画では、ユダヤ人の苦境や、ポーランド人とユダヤ人の関わり、スリリングな救出劇、などが丁寧に描かれます。途中でアントニーナとナチス高官の仲を嫉妬した夫が原因で夫婦喧嘩を始まるのですが、

激しい喧嘩後セックスシーンに突入して、この監督は大丈夫なのか(笑)

その後のワルシャワ蜂起では夫が行方不明になり、アントニーナは決断を迫られるのですが、なんだかんだでヘックは良い人だと思う結末と、ベタだけど泣けるエピローグでした。

映画では、苦境の中でもユダヤ人は固有の組織力を発揮してしたたかに生き延びていました。欧州の反ユダヤ思想はかなり昔からあるのですが、いつまでも地域社会には同化せずにユダヤ人コミュニティを重視する民族的特徴が憎悪されたという側面もあるでしょう。そういう面も映画に描かれていた事が批評家筋のウケが悪かった原因かもしれませんね。