◎草楽房

木版画家の大久保草子と、あのkirakuの 面白いモノやコトを制作するアトリエの日々の記録と只のメモ

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🌳<大久保草子木版画展>🌳
ー ローリング ドラゴン ダンス ー 
 

2019年 11月28日(木)〜12月7日(土)

ギャラリー愚怜

東京都、文京区本郷五丁目28−1

日曜日はお休み! 正午〜午後8時
(土曜は6時まで、最終日5時まで)
 

作家・大久保草子の在廊日は
11月28・29・30日です

 

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「◉草楽房・大久保草子木版画展のお知らせ」

 
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「◉草楽房・ババ抜き(その8)」

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「◉草楽房・アモンティリヤアドの酒樽」

 黒猫 
 THE BLACK CAT 


 エドガー・アラン・ポー 
Edgar Allan Poe

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《kazuchanのブログ》
黒猫 The Black Cat / Edgar Allan Poe 1843初版   
(訳 kazuchan)


私がこれから書こうとしているこんな気狂いじみた
そして、どこにでもありそうな話は
みなさんに信じてもらえるとは思っていないし
またそう願いもしない。 

自分でさえ自分の感覚が信用できないというのに
どうしてそんなことを望めよう。 

だがそれだからといって私は決して狂人ではないし
また夢をみていたわけでもない。
それは確かだ。

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けれど私は明日は死ぬ身だ。

そうであれば今日心の重荷を下ろしておきたい
というものだろう。

私が今しようとしているのは、単なる身近で起こった
一連の出来事をただ簡潔に、わかりやすく
注釈抜きで世間の前に出したい
ということだけである。

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この一連の出来事は 私を恐怖に陥れ
苦しめ、さらには私を破滅に追いやった。
だが、それを事細かく説明するつもりはない。
私にとってはただもう恐怖であったが
他の人たちにとっては
まあ怪奇譚くらいのものであろう。

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だからおそらくは、今後聡明な人
そう、私よりも落ち着いていて論理的で
はるかに冷静な誰か、が現れて
私の見た幻影がそう特別な話ではないということを
示してくれるであろう。 

私はある畏怖と共にこまかな事実まで書き上げる。
それを読んで、きっとこの話がしごく当たり前の原因と
帰結の連なりでしかないのだということを見抜いて
くれることだろうと期待する。 

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子供の頃から、私はおとなしくて気が優しく
友達からそのことでからかわれたりもする
くらいだった。

私は特に動物が好きで
両親は私にいろんなペットを
欲しがるままに与えてくれた。
私は、ほとんどの時間をペットたちと過ごし
またペットたちにえさをやったり撫でてやったり
している時間が一番好きだった。 

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私のこの性格は成長するにつれ
ますます際立っていき、大人になってからは
それが私の主な楽しみとなっていった。 

こういった私の性質や 強い満足感について
忠実で利口な犬をかわいがって育てたことの
ある人々には 説明などしなくても容易に
分かってもらえるだろう。

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動物の非利己的で自己犠牲的な愛情の中には
何かがあって、その何かが人間のつまらぬ
友情であるとか頼りない忠誠だとかを
たびたび試さねばならなかった者の心に
まっすぐに届くのである。 

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私は早くに結婚したのだが
幸せなことに妻は私と同じ性質を持っていた。
彼女は私のペットへの偏愛ぶりを見ていて
機会があれば必ず良い感じの動物たちを
手に入れてきてくれた。

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私たちは鳥や金魚、一匹の素晴らしい犬
何羽かのうさぎ、一匹の小さな猿
そして一匹の猫を飼った。 

今最後に言った猫だが
こいつは素晴らしく大きくて美しい動物で
真っ黒で驚くほど賢かった。

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彼の賢さについて言うと、私の妻は
(少なからず迷信にかぶれてはいたのだが)
黒猫というものは魔女が化けているのだという
昔からのよくある言い伝えをよく口にしたものだった。

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もっとも彼女が常にそのことを
本気で気にしていたわけではないのだ

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ーただ今ちょっとそのことを
たまたま思い出したので言うのだがけれど。   
プルート、というのはその猫の名前だが
私のお気に入りのペットで遊び仲間だった。 
彼に餌をやるのは私だけだったし
彼は私が家のどこへ行くにもついてきた。 
私が外に出るときについてこさせないように
するのも大変だった。 

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私たちの友情はこんなふうにして数年続いた。

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その間に、実はお恥ずかしいことに
アルコール中毒という悪鬼のせいで
私の気質・性格は悪い方向へ急激に変化していった。 

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私は日に日に不機嫌で怒りっぽくなり
他者の気持ちに対してもどんどん無頓着になっていった。 
私は妻にも暴言を吐くようになり
しまいには暴力までふるうことに苦しむようになった。

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私のペットたちも
もちろん私の変化に気づくことになった。 
私は彼らをほったらかしにするように
なっただけでなくひどい扱いをするように
なっていった。

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私はうさぎや猿や、そして犬でさえ
たまたま私の前を通ったり私を慕って
近づいて来たりした時に
なんの罪悪感もなく殴ったりしたのだ。

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しかしながら、プルートに対してだけは
なんとか虐待をしないだけの自制心を保っていた。 

しかし私の病気はだんだんひどくなっていった。
いったい他のどんな病気がアルコール中毒ほど
ひどいことになるというのだろう?

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やがてついにはプルートでさえ
(彼も年老いていくらか怒りっぽくなっていた)
私の短気の被害に合うようになった。 

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ある夜のことだ。
私は町の行きつけからひどく酔っ払って
帰ってきたところだった。

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私は彼が私のところを避けたような気がしたのだ。 
私は彼を無理やりとっ捕まえた。
すると彼は驚いて私の手に軽く噛み付いたのだ。

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突然悪魔の怒りが私に取り付いた。
私は自分を失った。 
私の本来の性質は、あっという間に
私の肉体を放棄してどこかへ行ってしまったらしい。
そして私は、お酒で培われた鬼畜の悪意によって
体中をぞくぞくと興奮させた。 

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私はチョッキのポケットから
懐中ナイフを取り出してそれを開いた。

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そしてその哀れな生き物の喉元をぎゅっと掴み
眼窩から片方の目をじわじわとえぐりとったのだ。

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この恐ろしい残虐な行為のことを書こうとすると
私は顔が紅潮し、体中がほてり
身震いが止まらない。 

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朝になり正気が戻った時

(私は一晩寝て昨夜の乱行の興奮から覚めた)

私は自分でも、なんとひどいことを
してしまったのだろうという思いで半分恐ろしく
半分は自責の念を感じたのだった。

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しかしそれは結局はせいぜい微弱で
あいまいな感情にすぎず、魂そのものは
何も感じることはないままだった。
私は堕落した生活に再び突き戻り
そしてそのできごとの記憶をワイン浸りで
紛らせたのだった。  

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その間に、その猫はゆっくりと回復した。
目を失った眼窩はたしかに恐ろしい外観を
見せていたが、痛みはもうないようであった。 
彼は普段のとおりに家の中を歩き回った。

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しかし当然だろうが、私が近づくと
非常に怖がって逃げていった。

私には昔の心がまだたくさん残っていたので
最初は、かつて私をとても愛してくれた生き物の
このあからさまな拒絶を深く悲しんだ。

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しかしこの感覚はじきにいらだちにとって代わった。
そしてそれから、まるで私にとって
最後の取り返しがつかない破滅へと向かうように
ひねくれた心持ちがやってきた。

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いわゆる哲理というものは
こうした感情のことは度外視しているものだ。
しかし、私は、私の魂が生きている
ということによりも、底意地の悪さというものが
根源的などうしようもない衝動

─ 人間の性格を作り出す
 割り切ることのできない
 原始的な感情であり才能 ─


なのだということに確信があった。

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そうすべきでないとわかっているのに
下劣で馬鹿げた行為を何度も行なっている
自分に気づくというのは
誰にでもあることではないか? 

我々は 自分の良識的な判断にあえて逆らって

「ただ単にそうしなければならないという規範意識」

を冒涜したいという性向を
常に持っているのではないか? 

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「◉草楽房・みんな異端(その14)」

 
Fight Club • Where Is My Mind? • The Pixies

「◉草楽房・往生際・・・」

この「底意地の悪さ」が、そう
ついに私に最後の破滅をもたらした。
私に、罪のない動物にたいする暴行を続けさせ
ついにはそれを極まらせたのは
それ自身を悩ませそれ自身の本質に暴力をふるい
ただ悪のためだけに悪を行おうとする
説明のしようのない魂の渇求だった。

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ある朝、私は冷然とした気持ちで
ねこの首に輪をかけ太い木の枝にそれを吊り下げた。
目には涙を流しながら
心はひどく良心の呵責の念を抱きながら
それを吊るした。

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なぜそんなことをしたのか。
ねこが私を愛していたから。
ねこが私になにも悪いことをしなかったから。
それをすることによって、私は自分が罪深い行い

―自分の不滅の魂を
危険にさらすかもしれない恐ろしい罪―


を実行しているということを知ることができたから。 

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自分の魂を神の

―(ああ、最も慈悲深く最も恐ろしい神!)―

手の届かないところにやるために
もしそんなことが可能であればであるが…

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私がこの残酷な行為をした日の夜であった。
私は火事だ!・・・という叫び声で目が覚めた
気づくと私のベッドのカーテンが燃えていた。
すでに私の家全体が炎に包まれていた。 
私と妻と召使いはやっとのことで逃げ出した。 
壊滅的だった。 

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私がこれまでに為した財産はすべて焼き尽くされた。 
そしてそれ以来私は絶望に身を任せることになった。 
私は その惨事とあの残虐な行為との間の
因果関係を立証しようとしないほど軟弱ではない。

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私は一連の事実を詳しく述べているし
わずかでも関連があるのなら
それを放置したくはないと思っている。 

火事のあった次の日、私は焼け跡に行ってみた。 
ひとつの壁を残して、あとの全部の壁は崩れ落ちていた。

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その残った壁というのは
ある一つの部屋のところの壁だった。 
それは家のほぼ真ん中に立っていた。 
それほど分厚くはなく、私のベッドの頭側が
その壁に寄りかかっていた。 

ここの漆喰だけはほとんど焼けていないように見えた。
私はそれが、最近塗られたばかりだからだと思った。 
この壁のまわりに黒山の人だかりがしていて
多くの人がその漆喰壁の一部を注意深く熱心に見て
なにかを調べているようだった。

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「なんと奇妙な・・・」

「異様だな・・・」

などと口々に言っているのを聞いて
私の好奇心はかきたてられた。 

近づいて見てみると、まるで白い漆喰の表面に
薄いレリーフに押しつけられたような
大きな猫の形があった。

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それは実に驚くほど本物の猫そっくりの印象だった。 
そしてその動物の首にはロープが巻かれていた。 
最初この亡霊を見たとき
これはどうしたって
そういうものにしか見えなかったので
疑念と恐怖でいっぱいになった。 

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しかし、そのうち よく考えてみると
なんとなくわかってきて安心した。
その猫は、覚えているが
家に隣接した庭に吊るされていたのだ。

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火事の知らせで大勢の人がすぐにそこに集まってきた。
きっとその中の誰かが 猫を木から切り離し
窓から私の寝室に投げ入れたのに違いない。
これはおそらく私を眠りから引きずり出すために
為されたのだろう。

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他の壁が崩落したことによって
私の残虐の被害者は新しく塗られた
漆喰の中に圧縮して押し込められたのだ。 
漆喰の中の石灰と動物の死骸から発せられた
アンモニアが、炎の力と合わさって
私が見たとおりに肖像画を完成させたのだ。

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・・・このように 私は
このぎょっとするような事実について
ためらいなく自分の中の理性にたいして
説明をつけたのだが・・・

(自分の良心に対しては
全然そううまくはいかないにせよ)


そのことは私の心にに強い影響を与えたのだった。

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私は何ヶ月もの間
その猫の幻影から逃れることができなかった。
そしてその間、少し感傷的な気分が
自分の心の中に戻ってきた。 

(それは後悔の念に似ていたが実際はそうではなかった)

私はその動物を失ったことを後悔しさえし
私がいつも通っている下品な酒場やなんかで
その猫の代わりとなる同じ種類の
似たような外観をしたペットを探しさえした。 

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ある夜、私が汚らしい隠れ家のような酒場で
半分ぼうっとして座っていると
その部屋の主だった家具である
ジンかラムかなんかの大きな樽の上に乗っている
何か黒い物にふと目が止まった。

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私は数分間ずっとこの樽の上を
じっくりと見ていたのだが
私が驚かされたのは
自分がそれまで全然その物体に
気づかなかったということだ。

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私はそれに近寄った。
そして手で触れてみた。
それは黒い猫だった。
とても大きくて、そう
プルートとほぼ同じくらいの大きさで
一箇所を除いてはほとんどそっくりだった。 

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プルートは体のどこにも白い毛は生えていなかったが
この猫は胸のあたりをほとんど覆うくらい大きな
境目のはっきりしない白いぶちがあった。

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私が彼に触ると、彼はすぐに起き上がって
大きな音でゴロゴロと喉を鳴らし
私の手に体をこすり付けてきた。
そして、私が彼に気づいたのがうれしいようだった。

これこそが私がずっと探していたものだった。 
私はすぐに そこの家主にそれを買いたいのだが
と申し出た。

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しかしこの人物はその猫のことは何も知らない
今までに見たこともないよ
うちの猫じゃないと言った。 
私はその猫を優しくなで続けた。
私が家に帰ろうとすると、猫は私についてこよう
としたので私は好きにさせた。

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そして、時々猫にかがんで
やさしく撫でたりしながら家まで歩いた。
家に着くやいなやそれはすぐにまるで
うちの飼い猫のようにふるまった。
そして、すぐに妻のお気に入りとなった。

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私はというと。
なぜか私は自分の中にそれを嫌う気持ちが
沸き起こってきたことに気づいた。

これは私の予想とは全く逆のことだった。

しかし

―それがどうしてどのようにそうなったのかは
私にもわからないのだが―


その猫のあからさまな私への愛情が
むしろ私をうっとおしがらせ苛立たせたのだ。 
徐々にこの気分の悪さと苛立ちは
苦々しい憎しみへと高まっていった。 

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私はその生き物を避けた。
ある種の後ろめたさと昔の自分の残虐な行為の記憶が
どうにかそれに対して暴力をふるうのだけは
とどまらせていた。 

私は何週間かはそれをぶったり
暴力的に虐待したりはしなかった。
しかし、徐々に、とてもゆっくりにではあったが
私はその猫を言いようのない憎悪を持って
見るようになった。

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そしてその不愉快な存在から
そっと逃げるようになった。
まるで疫病患者の呼気から逃がれでもするように。 
さらに、私がその猫を連れ帰った翌朝、猫の目が

―プルートと同じように―

片方潰れているのを発見した時
その猫への嫌悪が高まったのは疑いようはない。

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このような状況は、しかしながら
私の妻にとってはその猫を
より可愛がらせる理由になったのだった。

妻は(前にも言ったとおり)かつては
私自身の特筆すべき個性であり
また私の純粋で単純な喜びの元であった
情の深さというものをことのほか持っていたのだった。 

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私の嫌悪とは裏腹に、その猫の私に対する偏愛は
増していったようだった。 
それは理解に苦しむくらいのしつこさで
私の行くところ行くところついてきた。 

私がどこに座ろうと、むかっとするような愛情を
見せつけて 椅子の足元にうずくまったり
また膝の上に飛び乗ってきたりした。 

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私が起きだして歩こうとすれば
猫は私の両足の間に割り込んできて
あやうく私は転びそうになるし
またその長くて鋭い爪を私の服に食い込ませて
胸までよじ登ってくるのだった。 

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そんな時、私はそれを殴り殺してやりたかったが
なんとか我慢した。
ひとつには 昔の罪の記憶のせいというのもあるが
主には・・・

― 正直に言ってしまえば ―

その猫に対する恐怖のために。 

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この恐怖は肉体的な恐怖とはまったく違うものだった。
しかし、他にどう言えばいいのかほとんどわからない。
私は、この動物が私に与えた恐怖と戦慄が
単に荒唐無稽な怪奇のようなもの(と思われる)によって
より高まったということを

―たとえこの重罪人の独房の中にあっても―

認めるのが恥ずかしいのだ。 

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私の妻は私に 

一 度ならず ―
(前にも話したが)

その奇妙な猫と私が以前に殺した猫との
ただ一つの違いである白い毛の特徴について
よく見てごらんなさいと言ってきた。 

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読者の皆さんも覚えているだろうが
この白いぶちは 大きかったけれど
もともとは境目がはっきりしないぶちだった。
しかし、だんだんと
そう、気づかないくらいゆっくりと
(そして私の理性はただの思い過ごしだと
片付けようとして苦しんだのだが…)

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…それはついに輪郭がくっきりと
わかるようになってきた。 
それは今や名前を口にするのも
ぞっとするような「物」の形を表していた。

これのせいで、私はとりわけ嫌悪し恐れたし
その化け物から逃げ出すくらいだった。
その白いぶちは、いまや恐ろしい物の
ぞっとする形・・・

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そう、おお、苦しみと死を与える恐怖と悲痛の
恐ろしい機械装置である、絞首台の!形をしていた。

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そして今 私は単なる人間の苦悩というものを
さらに上回るほどの惨めな苦悩の中にいる。

そして、一匹のけだものが

―そいつの仲間を私はいとも簡単に殺した― 

畏れ多き神と同じ形に形作られた
この人間である私に、我慢のならない
苦痛を与えるのだった。

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ああ、昼も夜も、もはや私は安息という恵みを失った。 
昼間、それは私をひとときたりとも
一人にはさせてくれなかった。
そして夜は なんとも言えない怖い夢のせいで
1時間おきに 目が覚めるようになった。

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そして気づくと私の顔の上にその猫の熱い息がかかり
大きな重みがのしかっていた。
その重みは私の心臓を、まるで永遠のように
払い落とすこともできないように押しつぶそうと
するのだった。  

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このような苦痛に満ちた日々の中で
私の中にかすかに残っていた良心のかけらは
あっという間に白旗をあげた。

悪魔のような考えが私の隣にやってきて
ただ一人の友となった。

邪悪で、最も悪意に満ちた考えが。 
私自身が元々持っていた怒りっぽい気質が強まり
すべての物事や人を憎むようになった。

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そして、一方では
不平不満も言わない私の妻は
私の突然でしょっちゅう起きる
感情のままに爆発する怒りの
一番の忍耐強い被害者となった。

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ある日、妻と一緒に家の用事で
古家の地下室に行った。

― 私たちは貧しさのために
そんなところにしか住めなかった。
― 

すると、猫が急な階段を降りようとしている
私についてきて、もう少しで私は
真っ逆さまに落ちそうになった。

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私は激怒した。斧を振り上げ、怒りで
それまで私に暴力を思いとどまらせていた
子供っぽい恐怖心さえ忘れて
私はその動物に一撃を与えようとした。

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その一撃は、もちろん
もし私の思った通りに振り下ろされたなら
たちまち猫を殺してしまったであろう。

しかしこの一撃は妻の手によって阻まれた。
私は邪魔立てをされて悪鬼にとりつかれた人よりも
もっとひどく憤怒し妻の手から腕をふりほどいて
斧を妻の頭に打ち込んだのだ!

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妻はうめき声もあげず
その場に崩れ落ち死んでしまった。

この忌まわしい殺人はこのようになされた。

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私はすぐさま それも完全なる熟考のうえで
妻の死体を隠すことにした。 

しかしたとえ昼であろうが夜であろうが
近所のものに見られずに死体を家から
運び出すことはできないと思った。 

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たくさんの計画が私の脳裏によぎった。
ある瞬間には、私はその死体をバラバラに切り刻んで
燃やしてしまおうかとも思った。 

またある瞬間には 地下室の床に
墓穴を掘ろうかと思った。

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そしてまた、庭の井戸の中に放り込むこととか
それをあたかも普通の商品かなにかのように
荷造りして箱に入れポーターを呼んで
どこかに運び出させようか・・・

などいろいろ考えた。 

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しかし、ついに私はそのどれよりも
はるかにいい考えを思いついた。 

その死体を地下室の壁に塗りこめることにしたのだ。

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そう、中世の僧たちが
殺した犠牲者たちを
そうしたと記録されているように。 
そのような目的には
この地下室はおあつらえ向きだった。
壁の構造は雑で、粗い漆喰はまだ
最近塗られたものであった。

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そして湿った空気のせいで漆喰は
あまり固くなっていなかった。 
さらに、壁のひとつには偽煙突か
暖炉かに見せるための突起部があって
そこにもしっくいが塗られて
地下室の赤色に似せてあった。

私は、そこのレンガが簡単にはずすことができて
そこに死体を入れ、誰にもあとで調べられないように
元通りに壁を塗ってしまうことが可能だと確信した。

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そして、その計算は 実際裏切られることはなかった。
バールを使って私は簡単にレンガを外し
注意深く死体を内側の面にもたせかけ
ほとんど苦もなく死体をあの位置で支え
そのあと全ての物を元ごおりの位置に戻したのだった。 

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私はできうる限りの用心深さで
モルタルと砂、毛を調達し
古い壁との違いがまったくわからないように
壁土の準備をした。 

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そしてそれを使って注意深く
レンガ積みの上を塗っていった。

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やり終わった時私は自分の仕事に満足感を感じた。
壁には少しも塗り直された形跡は残っていなかった。 
ごみも 細心の注意を払って拾った。 
そして私は勝ち誇ったかのように周りを見回し
こうつぶやいた。

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「さて、これで少なくとも私の苦労は
無駄ではなかったぞ」 

私が次にすることは
このような苦しみの元凶となった
あの動物を探し出すことだった。

なぜかというと 私はついにあれを
殺してしまうことを心に固く決めたからだった。 
もしこの瞬間に、あの猫を見つけたら
猫の命はないに決まっていた。

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しかし、そのずる賢い動物は
私がさきほど怒って暴力をふるったのに警戒してか
今の私の気分のところへ現れようとはしなかった。 
忌むべき生き物がいなくなったことで
私の胸の中に生じた安堵の感覚は言葉で説明したり
想像したりできないくらいに強く
この上もない至福だった。 

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その猫は夜の間は姿を現さなかった。
私はこうして猫がうちに来てから初めて

(ああ、魂に殺人者という
重荷を負ってではあっても!)


少なくとも一晩は、ぐっすりと
うなされることもなく眠ったのである。  
二日目も三日目も過ぎた。
私を苦しめるそれは帰ってこなかった。

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私はもう一度 まるで自由を得た
人間のように息をついた。 
その怪物は、怯えて
もうこの家から永遠にいなくなったのだ。
私は二度とそれを見ることはないだろう。
私はこの上なく幸せな気分だった。

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自分の陰湿な行為に対しても
ほとんど罪悪感を感じることもなかった。 
捜査機関からいくつかの照会をうけたが
問題なく解答してやった。

家宅捜索さえ始められたのだが
もちろん何も発見はされなかった。
私は自分の今後は安泰だと思った。 

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私が妻を殺害してから四日目に警察がやってきた。
まったく突然に、家の中を再びきびしく捜索し始めた。
しかし、私は自分が隠した場所が発見されることは
絶対ないと確信していたので、何の不安も感じなかった。

警官たちは 私に捜査に同行するよう命じた。
彼らは隅々までくまなく調べ上げた。 
最後には それでもう三度目か四度目になるが
彼らは地下室に降りて行った。

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私は一筋の筋肉さえ動かさなかった。
私の心臓は、まるで何の罪もなく
まどろむ人のそれように静かに拍動していた。
私は地下室の隅から隅まで歩いた。 
私は腕を胸の前で組んであちらこちらと
悠々と歩き回った。

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警察は完全に満足をし、帰る準備を始めた。
私の心の中の歓喜は強すぎて
抑えておくことができなかった。
私は勝ち誇って、たった一言でも言ってやり
彼らに私の無実を二重にも確信させようと
つい興奮してしまった。

 「皆さん」

警官たちが階段を上っている時
ついにこう切り出してしまったのだ。

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「私は疑いが晴れてまったくうれしいです。
どうかみなさんのご健康を祈らせてください。
そして、そうですな、もう少し礼儀正しく
していただけたらと思います。
ついでながら、皆さん、この、そう
この家は実によくできています。

(私は何か気前良く言ってやりたい気分を
抑えきれなくて、自分が何を言っているのか
ほとんどわかっていなかった。) 


この家は実にがっしりとと作られていると
言っていいですよ。
これらの壁は・・おや、お帰りですか? 皆さん?
ここの壁はしっかりとした構造になっています」 

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私は、ここで、単に正気を失ったとも言える
空威張りから、手に持っていたステッキで
まさに我が妻の死体がその後ろに立っている
レンガ積みの上をドンドンと叩いたのだ! 

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しかし、おお、神よ!

どうか私をまもり私をサタンの毒牙から救いたまえ! 
なんと、私が叩いたその残響音が静まるや否や
墓の中から最初はくぐもって途切れとぎれの
子供がすすり泣いているような泣き声が聞こえてきたのだ。

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その声はすぐに長く高く続く叫び声となり
まるで地獄に落とされた者たちの声と
地獄に堕として大喜びしている悪魔たちの声とを
合わせたような、恐ろしいようなまた勝ち誇ったような
嘆き悲しむような金切り声になった。 

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その時の私の気持ちを話すのもばかばかしい。
私は気を失いそうになりながら反対側の壁の
ほうによろめいた。

しばし 階段の上を歩いていた一行は
極度の畏敬と恐怖とのために身動きできずにいた。

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しかし、次の瞬間には1ダースもの屈強な腕が
その壁を壊しにかかっていた。
壁はごっそりと崩れ落ちた。 
遺体はすでに腐乱し血のりと共に固まって
目撃者たちの目の前にすっくと立っていた。 

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その頭上には赤い大きな口を開き
隻眼を爛々と光らせたぞっとするような獣が座っていた。

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ああ、私はその獣の邪智により殺人を犯し
またそれが知らせる声によって
絞首人への署名をすることになったのだ。

私はその怪物を墓の中に塗り込めてしまっていたのだった。  



(終わり) 

 
Hiroshi Yoshimura - A・I・R (Air In Resort) (full album)


Bob Dylan Joey Alternate Version

アモンティリヤアドの酒樽 
The Cask of Amontillado (1846)

エドガー・アラン・ポー
 Edgar Allan Poe(1809-1849)

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「◉草楽房・ペンは剣よりも強し?(その2)」

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フォルトゥナートという男から受けた
幾度にも渡る傷・・・
私はそれに精一杯耐え続けた。  

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しかし奴は、危険を省みないような
思い切った侮蔑で私を辱めたのだ。
私はそのとき復讐を心に誓ったのである。

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私の性分をとてもよく知る人なら
そんな脅迫めいた言葉が私の口から出て
くるなんて夢にも思わないだろう。
しかし、長い月日を懸けてでも
私は復讐を遂げたかったのだ。
これは絶対に変わらない

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――だが、この確固たる決心によって
考えられるだけの危険は排除して来たのだった。
ただ罰を与えるだけに留まらず
私自身が罪に問われることなどないようにして
奴を罰しなければならない。

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悪事を正そうとする者が相手の報復に屈してしまえば
その悪が取り除かれるはずはない。
そして、復讐する相手自身に
悪であることを復讐者が解らせてやらなければ
同じ様に悪事が正されたことにはならないのである。

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知っておいてもらいたいのだが
私は言動や行動の一つ一つに気を配り
フォルトゥナートが私の好意に
疑いなど抱かないようにしてきたのである。

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習慣のように奴に笑顔を向け続けたが
そこにある笑顔が奴の死を望んでいたものだ
というこに奴は気付きもしなかったのだ。

多くの点で奴は評判が高く
同様に恐れられてもいたのだが、奴――

(
フォルトゥナート)  「私の目はごまかせん」
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つまり、このフォルトゥナートには一つの弱点があった。
ワインに対する審美眼には誇りを持っていたのだ。  

本当に美術品に精通している
イタリア人なんてのはほとんどいない。
彼らの大部分は英国人や墺州人の金持ちを
詐欺で騙すことにその情熱を注いでいるのだ。

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フォルトゥナートもそんな同邦人と同じく
絵画や宝石類に関してはイカサマ師だったが
年代物の古いワインのことになると
奴は真剣そのものであった。
 
この点で私は本質的には奴と変わらない

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――なにせ私もイタリアの
ヴィンテージワインには詳しく
買える時には大量に
ヴィンテージワインを買い漁っていたのだから。 

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私がその友人に会えたのは
謝肉祭の熱狂も最高潮という日の黄昏時だった。

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奴は酒をかなり飲んでいたため
ひどく上機嫌な調子で私に声を掛けてきたのだ。
そいつは道化師が着るような斑の服を着ていた。
斑に縞のぴっちりとした衣服に身を包み
頭の上には鈴のついた円錐形の帽子がそびえている。

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奴を見ると私はとても嬉しくなって
決して離すまいとその手を固く握ったのだった。   
そして奴に向かってこう話し始めた――。

 「おお、フォルトゥナート君
君に会えるなんて幸運だね。
今日は随分と顔色が良いじゃないか。
ねえ、ところでアモンティリャード酒
だって言う酒樽を手に入れたたんだけど
どうにも疑わしくってね」

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「何だって?」

奴は声を上げた。

「アモンティリャードが、大樽で? 
そんなはずあるか!だって謝肉祭の真っ最中だぜ!」

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 「僕もおかしいとは思っているさ」

と私も言葉を返す。

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「ああ、僕は馬鹿なことをしたよ。
こんなとき、君に相談もせずに
樽一杯分のアモンティリャードの代金を払うなんて。
でも君をなかなか見つけられなくてね
それに掘り出し物が無くなってしまうん
じゃないかって臆病になってしまったんだよ」

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 「アモンティリャードだぞ!」

 「胡散臭い話だってのは分かってるよ」  

「本当にアモンティリャードか!」  

「だから僕はそれをはっきりさせないといけないんだ」

 「アモンティリャード!」  

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「どうも君は忙しいみたいだから
僕はルクレシの所へ行ってくるよ。
見る目のある人と言えば、それは彼だからね。
きっと彼は教えてくれる……」

 「ルクレシなんかにアモンティリャードと
 シェリー酒の見分けがついてたまるか」

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 「でも彼の酒を見る目は君に匹敵する
と言って聞かない連中が未だにいるらしいけど」  

「なら行こう、さあ行くぞ」  

「何処へ?」

 「お前の屋敷の酒蔵にだよ」

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 「ああ、それは駄目だ。
君の善良な心につけ込んでるみたいじゃないか。
それに君には用事があるんだろう。
だからルクレシの所に……」  

「用事なんて無いぜ … だから行こう」  

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「駄目だよ。用事は無くても
君は酷い風邪を患っているだろう、知ってるよ。
地下の酒蔵は耐えきれないくらい
ジメジメしているからね。
だからそこら中が硝石で覆われてるんだ」

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「それでも行こうぜ。風邪なんて何ともない。
それにアモンティリャードだぞ! 
お前は騙されてるんだよ。
それにルクレシにしてもな、あいつなんかに
シェリー酒とアモンティリャードの区別なんて
つくわけがないだろ」 

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そうやって話しているとフォルトゥナートが
私の腕にしがみついて来た。

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そして私は黒絹の仮面を被り
身体をぴたりと包むように外套を引き寄せながら
奴が急かすに身を任せて自らの屋敷へと
向かったのだった。 

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屋敷には召使も誰もいなかった。
というのも謝肉祭を祝って陽気に過ごそうと
皆散り散りに出て行ったからだ。

私は朝までは戻らないと彼らに伝え
そして屋敷から出ないようにとはっきり命令もした。
こういった命令をすれば召使いたちは一人と言わず皆
私が背を向けると同時にすぐに姿を消すのだ。
私はそれを十二分に分かっていた。 

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壁に張り出した燭台から二つの松明を取り
一つをフォルトゥナートに渡す。

そして部屋の中の様々な家具の前を通り過ぎ
頭を下げながら奴を地下の酒蔵へと続く
狭い道へと案内した。
後ろから付いてくるよう注意を促ししつつ
長く曲がりくねった階段を下りていく。

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そしてようやく階段の最下部に辿り着き
モントレゾール家の地下埋葬所カタコンベの
湿った土の上にお互い足を下ろしたのだった。   
我が友人の足取りはふらふらと定まらず
奴が大股で歩くと帽子の鈴が音を鳴らした。  

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「酒樽は……」

・・・と奴は呟いた。

 「もっと奥さ」

と言うのは私だ。

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「でも真っ白い蜘蛛の巣には気を付けてくれよ
この広い洞窟の壁で微かに光ってるやつだよ」   

すると奴は僕の方を振り返り
酩酊で涙を垂らしている二つの霞んだ眼球で
私の目を覗き込んだ。  

「硝石か?」

と奴はしばらくしてから尋ねた。

「硝石さ」と返す。  

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「ところで、いつから咳が出るようになったんだい?」

 「ごほん、ごほん、ごほん!……
ゴホ、ゴホ、ゴホ!……
エホ、エホ、エホ!……ごほん! 
ごほん! ごほん!」  

この哀れな友人は
しばらくの間言葉を返せそうに無かった。

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しかしそれでも

「何でもないさ」

と奴は答えるのだった。  

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「来なよ」

私は意を決した。

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「戻ろう。だって君の健康が大切だからね。
君はお金持ちで、評判も良いし
それに皆が尊敬してやまない最愛の人間だよ。
君は幸せさ、昔の僕みたいにね。
君がいなくなるなんて寂しいよ。
アモンティリャードなんて大した問題じゃないんだ。
さあ戻ろう。今に悪くなるよ。
僕は責任は持てないし、それにルクレシがいるじゃ…」

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「もうたくさんだ」

と奴は言ってのける。

「この咳は全然何でも無いんだ。
死にゃしないさ。咳なんかで死んでたまるかよ」

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 「そうか――そうだね」

私はそう返す。

 「ああ本当に、君を不用意に不安に
させるつもりは無かったんだよ
でも、出来るだけの用心はするべきさ。
このメドック産のワインなら僕たちを
この湿気から守ってくれるよ」

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私はそこで
黴臭い墓土の上に並べてある瓶の列から
そのメドックワインを取り出し
瓶の首を叩き飛ばした。

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 「飲みなよ」

ワインを差し出しながら私は言った。

奴はいやらしい目付きのままそれを唇まで持ち上げた。
だが途中で動きを止めると、鈴の音を鳴らしながら
僕に向かって馴れ馴れしく会釈をしてきた。  

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「頂くよ。
ここらの周りで眠る埋葬者の冥福を祈って」

そう奴は述べた。

 「じゃあ、僕は君の長生きを願って」   

奴はまた僕の腕を掴み、私達は前へ進んだ。

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 「この酒蔵は……」

奴が呟く。

「……随分と広いな」  

「モントレゾール家は・・・」

その呟きに私は答える。

「多くの人間を抱えていた名立たる一族だったからね」

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「お前のとこの紋章はどんなだったけな
 忘れてしまったよ」  

「淡青色の下地に黄金色の巨人の足。
その踵かかとに牙を喰い込ませている邪悪な大蛇を
その足が荒々しく踏みつぶしているのさ」  

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「じゃあ家訓は?」

 「Nemo me impune lacessit
―我に歯向かう者は必ず罰せられん―さ」  

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「なるほど!」

そう、奴は叫んだ。   

さっきのワインが奴の瞳の中で輝き
鈴が音を鳴らす。
メドックのおかげで
私の気まぐれな空想にも熱を帯びてきた。

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骸骨の積み上げられた長い壁を通り抜け
大小様々な樽が混ざり合う中で
私達は地下埋葬所カタコンベの奥の
さらに奥へと進んだ。

そして再び立ち止まり
この時、私は勇気を出して
フォルトゥナートを二の腕で押さえつけたのだ。

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 「硝石だ!」

と私は声を出す。

「見なよ、どんどん増えてきてる。
苔みたいに天井に張り付いてるよ。
僕らは川底よりも下にいるんだな。
だから、その水滴が骨の周りに滴り落ちてるんだ。
なあ、戻ろうよ、手遅れになる前に帰ろう。
だって君の咳は――」  

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「どうってことないさ」

奴はそう言う。

「さあまた進むぞ。
だが、まずはメドックをもう一杯」   

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私は奴を押さえつけていた腕を崩し
デ・グラーヴ産のワインが入った
大きな酒瓶を奴の前に差し出した。
奴がそれを一息に飲み干すと
その瞳が荒々しく輝き出した。

そして声を立てて笑い
わけの分からぬほど興奮しながら
奴は酒瓶を頭上に投げたのだった。   

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驚いて奴をじっと見つめていると
奴はまたその動作、異様怪奇な動作を繰り返した。

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「全然わかってないな?」

そう奴が聞いてくる。

 「ああ、うん」

と私は返した。  

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「ならお前は同志じゃないんだな」  

「どういうことだい?」  

「お前はフリーメイソンじゃないってことだよ」

 「え、いや違うよ」

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そう言って、私は奴の言葉を否定する。

「いや、僕もその仲間なのさ」

 「お前が? そんなわけあるか! 
 メイソンなのか?」  

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「メイソンさ」

そう私は告げた。

 「証拠は ?」

と奴が言い出す。

「証拠を見せろ」  

「これさ」

私はそう答えて、折り目のついた外套の下から
石工メイソンの使う鏝こてを取り出した。  

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「ふざけるなよ」

二、三歩、後ずさりながら、奴は叫んだ。

「もういい、アモンティリャードの
ところにさっさと行くぞ」

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「そうしようか」

私はそう言いながら
その工具を外套の下に仕舞った。

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そしてまた自分の腕を奴の前に差し伸べると
奴はその腕に重く寄り掛って来た。

そうして私達はアモンティリャードの探索を続けた。
背の低いアーチの列を抜け、下り、進み
そしてまた下る。
そんな風にして深奥の地下聖堂に辿り着いたのだ。
手にしていた松明は燃え上がるというよりも
その汚れた空気のために白熱し光り輝いていた。  

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その聖堂からかなり離れた突き当たりに
あまり広くない聖堂がもう一つ姿を見せた。  

その壁には人の遺骨が並んでおり
天井高くまで積み上げられていたが
それはパリで見られる壮大な
地下墓所カタコンベの様式であった。

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静寂の中、この隠れた聖堂の三つの側壁は
こういった様式で装飾されていた。
四つ目の壁からは遺骨が引き剥がされ
地面の上に乱雑に横たわっていたのだが
或る意味その遺骨の群はそこそこの大きさの
塚を成していた。  

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そして骸骨が取り外されて剥き出しになっていた
その壁の中に、物静かな納骨室のような
奥まった窪みを見つけたのだった。
その窪みは深さにして凡そ四尺ぐらいで
幅は三尺、高さは六尺か七尺と狭い。

それ自体には何か特別な使用の意図があって
造られたのでは無いらしく
埋葬所カタコンベの天井を支えている幾本もの
巨大な柱のうちの二つの支柱
その間に出来た隙間に過ぎなかった。
そして堅固な御影石で出来た周囲の壁の一つの面が
その窪みの背を成していたのだ。 

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窪みの奥の方を覗き込もうと
フォルトゥナートがくすんだ篝火を
高く持ち上げたが、それは無意味なことだった。
その終わりなぞ、弱々しい光では見えるわけがな
かったのだ。  

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「進もう」

と言ったのは私だった。

「この中にアモンティリャードがあるんだ。
 ルクレシなら……」  

「あいつは何も分かりやしないさ」

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言葉を遮ったのは私の友人だった。  

奴がおぼつかない足取りで前に進んでいくと
私はすぐにその背後にぴたりと付いて行った。
そのまますぐ、奴は窪みの端に辿り着いたのだが
岩壁で行き止まりになっていることに気がつくと
愚かしくも当惑して立ち尽してしまった。

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直後、私は鎖で奴を御影石の壁に縛り付けたのだ。  
壁面には二つの鉄の鎹かすがいが水平方向に打ち
込んであって、その間は二尺程度の間隔があった。
そして一方の鎹には短い鎖が垂れ下がっており
もう一方には錠前が付いている。

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私は奴の腰に鎖を巻き付け
ものの数秒でしっかりと固定した。
酷く肝を潰したせいで
奴は抵抗することも叶わなかったのだ。
鍵穴から鍵を引き抜きながら私は後ずさり
窪みから距離を取った。

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「両手を伸ばすんだ」

そう言い放つ。

「壁一杯にね。硝石の気持ちにならずには
いられないだろう。全く、酷い湿気だよ。
もう一度お願いさせてくれよ
帰った方がいいよってね。
なんだって、断る? 
なら、きっぱりと君を置いていかないとね。
でもね、その前に君を人目に付かないように
しないといけないんだよ、僕自身の手でね」

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 「アモンティリャードは!」

そう絶叫したのは我が友人だったが
奴はまだ驚愕から正気を取り戻してはなかった。

 「そうだったね」

私は答えた。

「アモンティリャードだった」 

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こんなことを言っていたとき
私はさっき話していたような山積みの骸骨の周りで
忙しなく作業をしていた。
その骸骨をわきによけると
すぐに石材とモルタルが姿を現す。

この建材に私の鏝こてを交えて
私は窪みの入口をせっせと塞ぎ始めた。 

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フォルトゥナートの酔いが
もう限りなく醒めてきているのが
分かったときには、私はかろうじて
一段目の石煉瓦を積んだかどうかというところだった。

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私が気付いた最初の兆候は
窪みの奥からの低く呻くような泣声である。
それが酔っ払いの泣き声などであろうはずが無かった。
それから長く、そしてしつこい沈黙があった。  

私は二段目を積み、三段目、四段目と積んでいった。
そしてその時耳にしたのは、怒り狂ったような
鎖の震えである。
その耳障りな音はかなり長く続いた。

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その間、作業を中断して
骸骨の上に腰掛けていたのだが
私はひどく満足した心持ちで
それに聞き入っていたのかもしれない。
しばらくして鎖の音が静かになると
私は再び鏝を手にする。

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そして五段目と六段目、七段目を
邪魔されることも無く積み終わり
石壁は今や私の胸元近い高さになっていた。

ここでまた手を止めて
造りかけの石壁を跨またぐように松明を掲げる。
そして弱々しい光で中にいる人影を照らし出した。

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一続きの大きく、甲高い叫び声。
それが鎖で繋がれた人影の喉元から
突如として弾け出る。  
まるで乱暴に私を後ろへ押しやろうとして
いるかのようであった。

ほんの束の間であったが私は躊躇した
私は震え慄おののいた。
突剣レイピアを鞘から抜きつつ
窪みをその剣先で探った。
しかし、この咄嗟の思いつきこそが
私の心を落ち着けたのだった。

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地下祭堂カタコンベの堅い岩肌に手を置くと
満たされていくのを感じる。
そして再び石の壁に近づき
喧しいあの男の叫び声に向かって
返事をくれてやった。
何度も叫び声を返してやり
叫ばせるように促した。

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声の大きさでも声の強さでも
私は奴の叫びを凌いでいたのだ。
私がこんなことをしていると
喧しく叫んでいた男は黙ってしまった。 

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今やもう真夜中で
私の作業は終焉の幕を引こうとしていた。  

八段目と九段目、そして十段目を完成させ
最後の段、つまり十一段目の一部を積み終えり。
だがそこには残っていたのだ
モルタルが塗られ隙間に合うように造られた
石煉瓦が一つ。

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私はその重さに苦労しながら
その石を決められた箇所に置こうとした。
だがその時、窪みの奥から低い笑い声が飛び出して
私の頭髪を逆立たせたのだった。

その笑い声のあとには悲しげな声が起ったのだが
それがあの気位の高いフォルトゥナートのものだとは
理解し難かった。  

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そして、その声は語る――。

 「ハハハ!……ヒヒヒ!……とても良い冗談だ
本当に……素晴らしい戯れだよ。
こいつを話の種にして屋敷で大いに楽しく
笑い合おうじゃないか……ヒヒヒ!……ワインを
交わしながらな……ヘヘヘ!」  

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「アモンティリャードでね!」

私はそう付け加える。

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 「ヒヒヒ!……ヘヘヘ!……そうそう
アモンティリャードだ。
だが、随分と遅いようじゃないか? 
屋敷の連中は御屋敷で俺達を待ってるんじゃないのか
フォルトゥナート夫人やその他の衆がさ。
なあ、こんなとこ出て帰ろうぜ」

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 「ああ、わかったよ」

私は言った。

「じゃあ、帰ろうか」

 「そうだよ、後生だ。
一生の頼みだ、モントレゾール!」  

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「そうだね」

私は言った。

「一生のお願いだね」 

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しかし奴の言葉に耳を澄ましても
返事は空虚なままだった。
私は我慢できなくなり
はっきりと聞こえるように呼び掛けたのだ――。  

「フォルトゥナート!」   

返事は無いが、私は再びその名を呼ぶ――。  

「フォルトゥナート!」   

依然として返事は無い。

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私は残っていた石壁の隙間へ松明を押し込み
窪みの中に落とし込む。
だが、返って来たのは鈴の音だけだった。  

胸元で吐き気が込み上げてきた。
この地下墓地カタコンベの湿気が
私の胸を痛めるのだ。

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そして急いで仕事を終わらせる。
最後の石煉瓦をあるべき場所に押し込み
その上からモルタルを塗り上げた。
そして真新しい石造りの壁の前に
骸骨で出来た古い塁壁を再び築き上げた。

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あれから半世紀の間
誰一人として彼ら亡者の眠りを妨げる者はいない。

In pace requiescat――死者よ、安らかに眠れ!

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Skinshape-Life & Love

The pen is mightier than the sword.

ペンは剣よりも強しwiki
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「◉草楽房・ペンは剣よりも強し?

エドワード・ブルワー=リットン
(1803年 ~ 1873年)

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「◉草楽房・魔導書に関するメモ(その1)」

「ペンは剣よりも強し」というのは
エドワード・ブルワー=リットンの
とある小説からの引用らしいのですが
少なくともリットンにとっては
この言葉は本当にそうなった・・・

『聖書』には、遠く及ばないにしても
ブルワー=リットンさんの著書はすべて
魔導書であることは確かなようです

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「◉草楽房・卍と逆卍…(その3)」

チベットに興味津々のナチス・ドイツ軍は
多額の予算を使ってチベットを調査している
おそらく、彼らは「ヴリルパワー」を探して
いたものと思われます・・・


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《ヘブライの館》
ナチスとチベットの妖しい関係


「◉草楽房・ヴリルパワー(その18)」

ナチス・ドイツは…当時、戦争をしていた
イギリスの魔術師に負けないようにと・・・



(ダライ・ラマ)  
  「ナチス・ドイツが戦争で勝った時には…
  どうか、我々の小国を保護してください」
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「◉草楽房・卍と逆卍…(その6)」

イギリスもまたナチスの魔術に負けないように
自国の魔術師を集め、ウィンストン・チャーチル首相は
そのアドバイスを受けていた・・・


(チャーチル)   V.V.V.V.V.
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「◎草楽房・気になったニュース(その5)」

= ☆

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「◉草楽房・ヴリルパワー(その2)」



われ、真実の力によりて生きながらに万象に打ち克てり


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「◎草楽房・気になったニュース(その6)」

= ★

(チャーチル)  「こうか ?」
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「◉草楽房・気になったニュース(その7)」


ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

(リンゴ・スター) 「二倍・二倍」
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「◉草楽房・リンゴ・(スター)を超えて行け」

ナチス・ドイツ軍とイギリス軍は共に魔術を使って
戦争に勝とうとしていたという真実…

それが 
ヴリルパワー !

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「◉草楽房・卍と逆卍…(その7)」

アリス・ベイリーのノイズを通した秘密の首領は
ヒマラヤのチベット人の感じらしい


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「◉草楽房・みんな異端(その23)」

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「◉草楽房・みんな異端(その1)」

ここらへんの伝説は、陰謀マニアの間では有名な話なので
そこらへんをまとめた映画も制作されています


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「◉草楽房・ヴリルパワー(その26)」


『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』予告



日本では猫を動物実験に使っていた時代が
かつてあったみたいなんだけど・・・

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「◉草楽房・そろそろ40日?(その2)」

ナチスの時代のドイツでは
魔術的な目的で猫を使っていた
ことがあったみたい

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『内なるネコ』 ウィリアム・バロウズ
山形浩生・訳、河出書房新社


・・・引用・・・

「ラスキー(猫)を通してはっきりとキキの姿が見えた」

「キキはわたしを捨ててマドリードに行った。
 去って当然だった。
 当時のわたしは末期的な麻薬中毒」  

元恋人のキキ 
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「ナチス親衛隊の指導層への参入儀式は
1カ月えさをやり、慈しんできた
飼いネコの目をえぐり出すことだった。
この訓練は哀れみという毒素をすべて排除し
完全な超人をつくるように考慮されている」  

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「ラスキーの目をえぐれだと? 
放射能まみれの空に届くほど賄賂を積まれても御免だ。
そんなことをして人の役に立つのか。
わたしは、ラスキーの目をえぐるような肉体には住めない」

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「動物愛のような質的価値を
量的価値に交換するような取り引きは
不名誉なだけでなく、とことん間違っているだけでなく
ばかばかしい。
あなたは何も得ないからだ。
あなたはあなた自身を売り渡してしまうのだから」

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「◉草楽房・みんな異端(その9)」

黒猫を使った魔術(動物実験)は
パワーが強すぎるみたいだから
やらない方がよさそうだ・・・


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「◉草楽房・亀の道」


Pink Floyd - Sorrow

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「◉草楽房・ヴリルパワー(その3)」

そのとおり

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エドガー・アラン・ポーwiki

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《月刊ムー》
ナチスを動かしたヴリル伝説の聖典「来るべき種族」解読


・・・引用・・・

ユートピア小説「来るべき種族」

読者諸氏は『来るべき種族』
(原題: 『The Coming Race』)
という小説をご存じだろうか? 

イギリスの政治家・作家の
エドワード・ブルワー=リットン(1803~1873)による
“ユートピア小説”というジャンルに分けられる作品だ。
ここでその内容をざっと紹介しておこう。  

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主人公は偶然、地球の奥底にある
地底世界に入り込んでしまう。
そこにはヴリル=ヤと呼ばれる社会があり
その住人“アーナ”は、神秘のエネルギー
“ヴリル(Vril)”を操り、超文明を築いていた。

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ヴリル=ヤに受け入れられた主人公は
アーナの社会をつぶさに観察していく。
地底世界の伝説によれば
彼らはいつの日か地上に出現するという。

 『来るべき種族』は、地球内部の
先進的文明社会を舞台に繰り広げられる
超エネルギー・ヴリルと自動人形を活用するアーナ
そして格差や差別、労働も戦争もない
ヴリル=ヤについての物語である。

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「◉草楽房・キリストの教会と無神論の破壊」

今回、この『来るべき種族』の翻訳を
自費出版から始め、単行本として完成させた
翻訳者の小澤正人氏
(愛知県立大学外国語学部教授)
にお話をうかがう機会を得た。  

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ヴリルという未知のエネルギーとは何か? 

ヴリルの原点・原義とは何か?

『来るべき種族』に描かれた地底世界
すなわち当時の理想郷=ユートピアの意味は
どのようなもので
どんな形で位置づけられていたのか? 

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そして、ヴリルに多大な興味を抱いたという
ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラー(1889~1945)や
ナチスの神秘主義にどんな影響を与えたのか? 
筆者が抱くこうした疑問のみならず
小澤教授には、多岐にわたる内容をお話しいただいた。

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ブルワー=リットンとはどんな人物か?  

まずは訳書の後書きから
『来るべき種族』の著者について紹介しておく。  

エドワード・ブルワー=リットンは
19世紀イギリス、ヴィクトリア朝時代の有名作家で
日本では明治期に政治小説や歴史小説が翻訳され
人気を博している。

とくにイタリアのヴェスヴィオ火山の大噴火
(西暦79年)を背景にした小説
『ポンペイ最後の日』で知られた。

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ポンペイ最後の日】wiki

その後、当時の人々が抱いた幻想小説や
オカルトへの関心から『ザノーニ』と
『不思議な物語』が翻訳されている。  

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《国書刊行会》ザノーニ 上

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《国書刊行会》不思議な物語 下

しかし、本書『来るべき種族』は
ユートピア思想史やSFの先駆的作品に
ついての研究でしばしば言及され
またオカルト関係文献においても
よく取り上げていられるにもかかわらず
なぜか翻訳されていなかったものである……。

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来るべき種族 
 エドワード・ブルワー=リットン (著), 小澤正人 (翻訳)


このブルワー=リットンについて
小澤教授は次のように語る。  

「ブルワー=リットンという人は
きちんとした学校教育は受けていません。
家庭教育で勉強して、後になって大学に行き
小説もたくさん書きました。
思想家であり文人であり、いろいろなものを
読んでいたようです」

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 実のところ『来るべき種族』の内容から
作者としてのブルワー=リットンを
オカルト主義と直結させて考えたがる人は
少なくないだろう。

しかし、彼自身がそうしたものを信じてい
たかといえば、はっきりとはわからない。

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小澤教授によると
孫のヴィクター・ブルワー=リットン著の伝記本には
次のような内容の記述があるという。  

「ヴィクターは、祖父はこういう本を書いたけれども
どうやら懐疑派だったようだとしています。
絶対的に信じているわけではなかったようですね。
心霊関係の資料は多く持っていて心霊術の会にも
参加していたけれども、全部信じているようでは
ないらしかったということです」    

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とはいえ、直接的な行動に出たこともあったらしい。  

「娘を早く亡くしていて、その霊を呼び出す
といったこともしてもらったようです。
だからといってすぐに信じたのではなく
懐疑的な姿勢は崩さなかったようですね」    

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ただし、ブルワー=リットンの周囲の人々は
彼をオカルト主義と結びつけたがった。

伝説の秘密結社“薔薇十字団”の重鎮
などと噂されることもあったらしい。

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《国書刊行会》ザノーニ 下

だが、これには理由がある。

以下、これも『来るべき種族』の
後書きからの紹介になるが
1842年に出版された『ザノーニ』の
「序」に、次のような内容の一節がある。  



 何年か前、まだ作家としても人間としても
駆け出しであったころ、たまたま私
(ブルワー=リットン)は
薔薇十字団という名で知られる不思議な組織の
真の起源と教義とを知りたいという気を起こした。

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やがて私は不思議な老人と知り合い
古代の叡智を学び、不死に近い存在となった男
ザノーニの物語を渡される。

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この「序」は作品の一部であるから
「私」を単純にブルワー=リットン本人と
完全に同一視するわけにはいかないが
彼が早い時期から神秘思想に関心を持って
いたことは確からしい。

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『来るべき種族』は、地底人アーナと
神秘のエネルギー・ヴリルについての物語だ。
アドルフ・ヒトラーも魅力を感じたというヴリル。

彼はアーリア人種至上主義を自らの
イデオロギーの中核に据えたことで知られる。

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白人至上主義】wiki

ブルワー=リットンは・・・
小説の中にサンスクリット語の要素を盛り込みました。
ヴリル=ヤの人たちが使っている言語というのは
もしかしたらサンスクリット語の流れを引いているかも
しれないとしたのです。

こうした要素がアーリア人至上主義思想を強める
ことになりました。太古、地下に逃れたアーリア人が
アーナとなって、謎の力を有するに至ったという解釈が
生まれたのです。

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というのも、アーリア人の系譜をたどると
伝説の地底ユートピア・アガルタとか
シャンバラの住人の末裔であるという伝説が
残っていたのかもしれない。

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それを継承するのがアーリア人
とくにゲルマン民族である。

だから彼らは
人間として一番優れた民族である……。  

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こういうふうにしておくと、重みがつきます。
ヒトラー自身がどの程度信じていたのかは
わかりませんが、落ちぶれかけたドイツを
もう一度盛り上げようとしていたわけです。

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「◉草楽房・卍と逆卍」

つまり、自分たちはできると訴えるための
裏付けとしたのではないでしょうか? 

そして彼の周囲に、この思想を積極的に広めた
人たちがいました

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カール・ハウスホーファー】wiki

《月刊ムー》
週刊ムー語教室/ナチス神秘主義思想の源「ヴリル協会」




つづく



The pen is mightier than the sword.

ペンは剣よりも強しwiki


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《precious.jp》
事実を知らないで使うと恥をかく!?名言トリビア【03】 
「ペンは剣よりも強し」は「言葉は暴力に勝る」
という意味ではなかった!?では、本当の意味は?


この言葉の元ネタとなったのが
ヴリル パワーの産みの親
エドワード・ブルワー=リットンさんで


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ブリル協会wiki

「◉草楽房・みんな異端(その20)」



エリファス・レヴィさんが
その名前に改名したのは
1853年

その翌年の・・・

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1854年にイギリスで小説家
エドワード・ブルワー=リットンと知り合い
リットンの属している薔薇十字協会に加入して
大きな影響を受ける。

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『来るべき種族』エドワード・ブルワー=リットン

さらに興味深いところは、そのリットンさんの孫が
満州事変を捜査したリットン調査団だというところ


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( MIJK VAN DIJK'S FOR GIRLS REMIX )


「◉草楽房・ヴリルパワー(その17)」
「◉草楽房・ヴリルパワー(その18)」

このロゴマークとポスターのデザインは
あの横尾忠則さんだったみたいです 

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cinra.net
NHK大河『いだてん』題字&ポスターは横尾忠則


横を只乗り

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「◉草楽房・復讐に関するメモ」

ロバート・アントン・ウィルソンの著書
『コスミック・トリガー』の日本版の表紙も
横尾忠則さんの作品です

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「◉草楽房・みんな異端(その19)」



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「●草楽房・内なるネコ

エドガー・アラン・ポー・・・

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「◉草楽房・ヴリルパワー(その15)」

猫には復讐しないの選択肢はない・・・
しかし、その方法は暴力的なものとは限らない




Radiohead – No Surprises (Piano Cover by Josh Cohen)

インド仏教の頂点に立つ一人の日本人僧
佐々井秀嶺さんのニュースがあったのでメモしておこう


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《niftyニュース》  2019年11月15日 11時15分
インド仏教徒1億5000万人の頂点に立つ“日本人僧” 
佐々井秀嶺84歳とは一体何者か?
 

「◉草楽房・南相馬に行って来た」


  それと・・・

このニュースもメモしておこう

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《NHKニュース》 2019年11月17日
沢尻エリカ容疑者 「以前から使用していた」趣旨の供述


以前にピエール瀧さんが逮捕されたニュースを
観た時に感じた暗号は、これでした 


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『サニー/32』予告

本当はいい人なのに・・・
悪いやつの役をリアルにやりすぎて
それが、霊的なもの(神・悪魔)たちから誤解された
・・・という可能性があるという話でした


映画『凶悪』予告編

「◉草楽房・ヴリルパワー(その8)」

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「◉草楽房・ババ抜き(その22)」

霊的な存在のというのは・・・

人の潜在意識を操作し


一人一人の人間の目を通してこの世を観る・・・

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《コトバンク》
天に口無し人を以て言わしむ


「◉草楽房・宇宙的インボウ」

沢尻エリカさんと言えば・・・

以前に結婚していた
この   高城剛さんを想起する

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高城剛
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「◉草楽房・わたしはインターネットで
何をしてきたのか?
(その1)」




昨日考察した「黄金の夜明け団」でも
美人の女優さんが活躍していたみたいだし

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モード・ゴーン
Maud
「◉草楽房・黄金の夜明け団」

これは、何かある !

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「◉草楽房・みんな異端(その22)」

エリファス・レヴィも女神崇拝に
何かあると感じていたみたいだし・・

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「◉草楽房・みんな異端(その20)」


Ariana Grande - God is a woman

「◉草楽房・みんな異端(その1)

高城剛さんの最近の活動は こんな感じみたい

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《note》 2019/05/30 01:09
高城剛読者感謝祭
「GREEN RUSH」行ってきました。


何故に高城剛さんを以前から知っていたかというと
氏の最先端な考え方に興味があったからではなく
武邑光裕さんの教え子だという話を記憶していたから


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武邑光裕wiki

武邑光裕さんは… ロバート・A・ウィルソン著
『コスミック・トリガー』(八幡書店)の翻訳者なのです

この本の翻訳も  
武邑光裕さんです
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「◉草楽房・みんな異端(その23)」

今福龍太さんとの共著もある

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「◉草楽房・ないものがある世界(その5)」

「◉草楽房・ないものがある世界(その6)」

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「IBIZA→高城剛→武邑光裕」

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メディアの遺伝子―デジタル・ゲノムの行方
高城 剛  (著), 米沢 麻子 (著), デリック デ・ケリコフ
(著), 福富 忠和 (著), & 2 その他


・・・で、その教え子の高城剛さんも興味深い

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149夜『デジタル日本人』高城剛|松岡正剛の千夜千冊

・・・というわけ


Miharu Koshi and Haruomi Hosono
 Swing Slow (1996) FULL ALBUM


沢尻エリカさんの出演作品から何かを読み取ってみよう

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「◉草楽房・ヴリルパワー(その29)」

人間失格

 
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」本予告(60秒)

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「◉草楽房・みんな異端(その14)」

猫は抱くもの

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「◉草楽房・平等・カルマ・贖い(その2)」

 
映画『猫は抱くもの』本予告

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《AFP》 2019年11月18日 5:55
香港、大学周辺でデモ隊が火炎瓶
「実弾」使用やむを得ないと警察


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「◉草楽房・〔続々〕神が殺人を命じるとき」

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《日刊スポーツ》
沢尻エリカ容疑者、MDMAは風邪薬のカプセル内に


大友克洋 漫画『AKIRA』より
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「◉草楽房・気になったあれこれ(その4)」

食べる女(笑)

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「◉草楽房・ヴリルパワー(その13)」


映画『食べる女』 本予告

万華鏡写輪眼で観てみるか・・・

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「◉草楽房・〔続〕神が殺人を命じるとき」

なるほど・・・

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おそらく・・・

黒猫の「復讐」が残っているんでしょう

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「◉草楽房・ヴリルパワー(その4)」

やっぱり、エドガー・アラン・ポーが怪しいわ

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「◉草楽房・復讐に関するメモ(その2)」

黒猫

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「◉草楽房・アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

エドガー・アラン・ポーは
現実に猫を虐待して殺したのだろうか?


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シュレーディンガーの猫wiki

それは、誰にもわからない

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エドガー・アラン・ポーwiki

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The_Cask_of_Amontilladowiki



つづく

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