2016年03月09日

チェーンの使用に伴う首周りの黒ずみとチェーンのお手入れ方法について

TOP CHAIN 柳瀬製作所には、時々、次の様なご質問やご相談が届きます。

『鉄製のものはなぜ黒ずむのでしょう?
錆びるなら理解できるのですが・・・。
反対に言うならステンレス製は黒ずみはないのでしょうか?
ペットショップさんと話していて二人とも???でした。
ご教授いただければ (^。^) です。 』


『お客様からハーフチョークチェーン部分のコートが変色するというお話がありました
今までこのようなことはなかったのですが 真っ白のコートの子です

ステンレスでもコートが変色したりすることがあるのでしょうか??
どういったことが原因でなるのでしょうか?
また それを回避できたり 軽減する方法がございましたら教えていただけたら と思います!』

『ステンレスチェーンと鉄製チェーンの違いはなんでしょうか?
(強度とか錆びるとかいろいろあると思うのですが)

ステンレスチェーンもメッキ加工してあるのでしょうか?
もししてあるのなら、メッキが剥げるまではメッキがしてある鉄製チェーンと汚れ具合は同じなのでしょうか??

よろしくおねがいします』


『今使っているものは、首回りの毛が若干黒くなってきてしまいまして。
ステンレス製のようなのですが、他の材質、例えばチタン?などがいいのでしょうか。
また、ゴールドなどシルバー以外の色がいいのですが、ありますでしょうか?
よろしくお願いします。』


『当店のお客様で、ラブラドールの愛犬にハーフチョーク首輪を製作しお使いいただいているのですが、
散歩でチェーンのあたる毛が黒ずみ、洗ってもすぐ黒ずんでくると連絡がありました。
画像を見せて頂き ますと、確かに黒くなっていています。
お客様は、左手でリードを持ち、犬が左側を歩くそうです。
それで、犬の右側が黒くなっています。
チェーンが使用とともにくすんでくるのは気が付いていましたがこういうことになっているとは今まで
全く知らなかったので、これは良くないなと思う次第です。
被毛の濃い子以外には使えないのでしょうか?
最初使用を始めと時からだそうです。

ステンレスチェーンは、こういったものなのでしょうか?
また、こうならないようにする方法はありますか?
お客さまからも尋ねられていますので、ご回答よろしくお願い申し上げます。
ご連絡をお待ちしております。』

ワンコの首周りの黒ずみ










ワンちゃんの数から考えると、鎖屋兄弟達へお問い合わせを頂く方はあくまで氷山の一角、実際にはもっと多くの方々が、疑問に感じたまま過ごしておられる事が想像されます。

そこで今回は、この鎖屋兄弟ブログの記事として“チェーンの使用に伴う黒ずみとチェーンのお手入れ方法について”回答していきたいと思います。

上記の通り、メッキ製品やステンレス製品でチェーンが接触する首周りの毛色が汚れてくる(黒ずんでくる)というお話は実際にございます。
特に白色や毛色の淡いワンちゃんの場合での報告が多いです。

毛色が汚れてくる一番の原因は、使用に伴いチェーン部分に溜まってきた、皮脂や分泌物と埃などが合わさった汚れが被毛に付着してくるというものです。
特に、躾用として使用されるチョークチェーンやチェーンカラーでの事例が多く報告されています。

通常使用している限り、一見するとチェーン部分は常に銀色の光沢があるように見えます。
正直、私共でも一見しただけでは汚れには気づけません。
未使用品と並べて比較すると、光沢具合に少し曇りが見られる程度の違いしかない場合もございます。

しかし実際には、チェーンのコマの内側やチェーンのコマ同士が接触しあっている箇所などに徐々に溜まってきており、これが“汚れ”となってワンちゃんの首元の毛をを黒っぽくさせてしまいます。

人間の場合では、金属製バンドタイプの腕時計を思い出してみて下さい。
ずーっと腕につけていると、だんだん汚れてきませんか?
大体材質はステンレスか、その他の金属材料にメッキをしたもの、最近ではチタン製などもあります。
これはベルトの隙間に人間の汗や分泌物が付き、そこへさらに埃などが一緒にくっ付いて“汚れ”が出来てきているためなのです。

チェーンカラーやチョークチェーンも同じ。
ワンコは人間に比べると皮脂の分泌量が多いはず。
さらに体毛もあるわけですから、使用に伴い鎖の細かい部分や内側に徐々に汚れが形成されてきているのです。
チェーンを一見しても全然分かりませんし、色の黒っぽいワンコだと、汚れ自体が目立たず、ワンコの首周りが汚れていることに気付く事は無いと思います。(私がそうでしたから)

ペット用のチェーンを洗うという発想が普段の生活の中では存在していないので、ある種仕方のないことですが・・・。
(獣医師さんでも気づかれなかったという例がございました)

ステンレス製であれば、概ね2−3日に1度程度、訓練後に、石鹸(ハンドソープ)や家庭用の食器用洗剤をよく泡立てて、チェーン部分をガシャガシャ洗い、あとはタオルなどで水気を良く拭きとって頂ければ、大丈夫かと思います。
鎖自体が手に引っ掛かるような感覚が出たら、表面の油分や汚れが取れた証拠です。
もしかすると洗う前よりちょっとキラッと光るかもしれませんね(笑)

ワンちゃんの犬種や個体によっては、皮脂の分泌が多い子もいますので、常時装着されておられる場合には、チェーンの汚れが思った以上に早く進む事があります。
毎日、ワンちゃんのお腹周りや首周り(顎下など)、目や耳をお手入れされていらっしゃるのであれば、その際、一緒にチェーン部分を拭いて頂くのもチェーン部分への汚れ付着を減らすことになり、被毛の黒ずみを低減させることに繋がるかと思います。

鉄製チェーンなどメッキ製品の場合でも、ステンレス製チェーンと同様に家庭用洗剤をつけて洗う事は・・・・、注意をすれば不可能ではありません。
メッキ製品の場合には、乾燥を速めるために、出来ればお湯と洗剤で優しく洗ってあげ、水分を良く拭き取って下さい。
鎖のコマ同士が当たっている部分やナスカンといった付属金具の内部には水分が残りやすいので、良く拭いた後、さらにドライヤーなどで温風を吹きつけ完全に乾燥させれば多分大丈夫です。乾燥が不十分だと錆が生じてきますのでくれぐれもご注意下さい。

水洗いが怖い場合には、ウェットティッシュや消毒用のエタノールを利用する方法もあります。
エタノールの場合には、薬局などで出来れば“無水エタノール”をご購入になり、水:エタノールを2:8か3:7で割ったアルコール水を作って布や紙に含ませて鎖を拭いてあげて下さい。これくらいのアルコール水であれば鎖に付着した皮脂汚れも溶け出してくれますし、アルコール水もすぐに揮発しますので錆びる心配もほぼありません。軽くドライヤーで温風を吹き付ければなお安心です。(完全にアルコールを飛ばせば、ワンコへの害もないですが、火にはお気をつけ下さい)
この方法であれば、革製のハーフチョーク首輪や首輪をお手入れする事も可能です。(アルコールできれいにした後は、長持ちさせるために保革クリームなどでのお手入れが必要になるかもしれません)

この、消毒用エタノールを利用した汚れ落とし方法ですが、何点か注意事項がございます。
70%から80%のアルコール濃度は、ばい菌を殺せるだけの能力がある反面、皮膚の弱い方やアルコールに弱い方にはご注意いただきたい濃度でもあります。(肌が赤くなる、アルコールで気分が悪くなるなど)

また、市販のハーフチョークなどの場合、テープや平紐、付属金具などは、その材質によって、強いアルコールで拭くと変色・変性してしまう場合がありますので、ご注意下さい。
(特に透明なビニールチューブ類は白く変化してしまう場合が多いです)

アルコール濃度が高いほど、油汚れが溶け出し易くなりますが、逆に水分の割合が高いと通常の汚れが落ち易くなるという性質があります。
ですので、アルコール濃度はもう少し低くなっても(=水の割合が多くなっても)良いかと思います。
でも鎖部分の乾燥だけはしっかりしてくださいね。

余談ですが、腕時計の革ベルトの肌に触れる側を清潔に保つ為、薬局などで売っている“シーブリーズ”(アルコールの入った薬用スキンローション?)をティッシュに含ませ軽く拭いておりました。
これにより、革バンドが臭くなることは防げました。
こまめにお手入れをする方であれば、ワンちゃんの皮膚への影響を確認してから、この様な商品を応用されて見ても良いかもしれませんね。

上述のようなお手入れ方法をお伝えすると、やはり次の様なお返事を貰う事が多いです。
『お世話になっております^^

チェーン使用時の黒っぽくなる原因について、アドバイスどうもありがとうございます。
その後、食器用洗剤で洗い(週1くらいで)使用しております。 ホントにたまにしか洗わずに使用していたので(月1くらい^^;)、それが原因だったようです^^;
週1で洗って使用して、今のところ首周りも黒くなることなく使用できております^^  ありがとうございます。』

無事に解決出来て私共もほっと致します。

汚れ以外の理由としては、個々のワンちゃん自身の体質もあるようです。(特に毛色の薄い子で)
鉄製メッキ製品やステンレスに含まれる、クロムやニッケルが毛色に影響するというお話を聞いた事がございます。
ただ、これについては科学的に正式な検証結果が存在しているわけではないようで・・・、どうやら仮説のひとつのようです。(文献等が見つけられませんでした)
(稀に起こる犬の毛色の変色ですし、同じ毛色の犬種でも黒ずむものと変化しないものがいたりと言ったこともあり・・・検証に値する数の正確なデータを集める事自体が難しいでしょうし、科学的な研究テーマとしても取り上げにくいのでしょう。)

チェーン部分を定期的に洗っても毛色の変色が改善されないようであれば、ワンちゃんの体質の可能性が高まってまいりますので、金属チェーン以外の材質のものに切り替えて頂ければと思います。


次に、ステンレス製チェーンと鉄製チェーン(メッキ製品)との違いについての回答です。

まず、材質面からステンレスと鉄との違いからお話させて頂きます。

ステンレスは鉄にクロムやニッケルと言った別の金属を混ぜ込んだ“合金”の一種 です。

その目的は鉄の“錆びる”という現象を抑える為にありました。
20世紀初頭から様々な研究が行なわれ、現在では混ぜ込まれる金属の種類と組み 合わせ、そして比率(割合)によって数種類のステンレスが存在して います。

私共がチェーンや金具用に使用しているのはSUS304と呼ばれるステンレスで、鉄の中にクロムが 18%、ニッケルが8%の割合で混ぜ込まれています。(その為 18-8ステンレスと 呼ばれることもあります。)
 食器(カトラリー)などにも使われているポピュラーな材質です。

素材そのものが錆に強いので基本的にメッキ処理を施すことはありません。
弊社のチェーンや金具もメッキ処理をしていないステンレス素材そのままです。(少し黄色味を帯びた銀色です)

重量的にもそんなに鉄とは変わりません。ですが、錆びに強くなるのです。不思議ですね。

ただし、鉄の一種ですから、扱い方次第では錆びる事もあります。「貰いさび」という現象です。
例えば、ステンレスの流し台にスチール製の缶を底を濡らした状態で置いておくと、丸く缶の形の錆がつきますね。
これが<貰い錆>です。
中の深い所までは錆びていませんのでクレンザーや錆び落としで擦ればピカピカに戻りますが。
このように、濡れた状態で他の金属と長く触れたままにしないことだけが注意事項です。
それと、SUS304は塩分にもちょっと弱いので、海で遊んだり、おしっこが掛かったりした場合は、その日のうちにさっと水で流して頂ければ大丈夫です。 (冬場の融雪剤の混じった水にも注意して下さいね)

強度は鉄よりも強いです。
http://blog.livedoor.jp/kusariya/archives/50426813.html

ステンレス製の方が鉄製より粘り強いという表現が適切かもしれません。
上記記事の写真の通り鉄よりも長く伸びて切れるので引張り強度の数値もかなり大きくなります。

参考までに以下に自宅ワンコへの係留チェーン使用記事が載っております。
鉄製とステンレス製の比較ですので、よければご覧下さい。

http://blog.livedoor.jp/kusariya/archives/50181418.html
http://blog.livedoor.jp/kusariya/archives/50831987.html

鉄製チェーンの場合には、鉄素材の上に、まず下地メッキとしてニッケルもしくは銅メッキを施し、その上から、クロムやスズコバルト合金、ニッケルなどを メッキしています。
ですがメッキ自体はとても薄いものですし、目には見えないピンホール(メッキが付いていない箇所)も必ずどこかに存在しています。
風雨などの影響がない屋内でじっとして動かさない状態であれば、割合長く持つのですが、係留用やチョークチェーンとして使用する場合、鎖同士が擦れあったり、地面などに接触したりする為に、メッキ膜が早く磨り減ってしまいます。
その為、早晩錆が発生してくる事は否めません。

メッキされた鎖の“錆止め加工”というものは私共も聞いた事がございません。メッキのの種類によっては、剥離や変色を抑えるためのニス止め処理を行う場合もありますが、チェーンが擦れるような使用の場合にはすぐにダメになってきます。
個々人で錆止めスプレー(クレのCRC556)などをかける等の工夫をされると長持ちするかと思いますが、ワンコの毛や皮膚に接触する上では?な方法でもありますね。

水に濡れても、すぐに良く拭いてしっかり乾かしてあげれば、割合長くお使い頂けると思いますが、そのままにしておきますとキケンです。
濡れたままの状態で夏の直射日光などにさらされると、乾くよりも先に、ほんの数時間で赤錆が出てきてしまいます。(特にメッキ厚の薄い、鎖同士が触れ合う部分から)

ステンレス製の場合には、材質自体が水濡れに強いのでメッキの必要はありませんし、首輪ごと洗濯して干しても大丈夫です。
鉄製とは違い、水に濡れたまま、日光や風に当て自然乾燥させるだけでOKです。(必ず真水で洗って下さいね)

使用に伴う汚れの付き具合に関しては、ステンレス製、鉄製の両者での大きな差はないかと思います。
ただし、私共の経験則では、メッキ処理後かなり経過したチェーンの表面には若干ですが粘着感を覚える場合がございました。

メッキ製品は空気に触れていると次第に変色が進んできます。
チェーンのメッキの場合にはニッケルメッキやクロム色のスズコバルト(合金)メッキが主流なのですが、いずれも時間とともに徐々に色調が暗くなってくる傾向があります。
この為、黒ずんでくるように感じられるのかと思われます。

但し、黒っぽいからといって古いメッキ処理製品とは一概には言えません。
メッキ処理を行った時の条件によって、明るい銀色から黒っぽい銀色まで仕上がりに変化が生じますので、古いかが気になる場合には、手にとって、表面の触り具合や、チェーンの内側に錆の発生は見られないか等からも判断して下さい。

ステンレス・チタン共にシルバーのような黒ずみが起きる事はありませんが、空気に触れていると徐々に光沢が失われくすんだ感じに変わってきます。
メッキ製品に比べるとかなりゆっくりとした変化に感じられるかと思います。

先述の、“首周りの黒ずみ”に関連して、『首周りに銀色の粉が付く事があった』というお話を伺った事もございます。
メッキ処理製品であれば、チェーン内側や溶接箇所付近からの細かなメッキ剥がれが原因ではないかと推測されます。
一方、メッキ処理をしないステンレス製やチタン製であっても、製造メーカーごとの研磨・洗浄処理の方法によっては“擦れによって金属粉が落ちてきている”可能性はゼロではありません。
首周りへの銀粉付着は、最終工程での洗浄処理をしっかりしていれば、起こらない現象です。

スプーンやフォークといった食器類(カトラリー)も実際のところ、工業製品です。
初めて使用する前には必ず洗いますよね。
ワンちゃんが身につける金属製チェーン類もやはり工業製品です。
少しでも気になるようでしたら、ワンちゃんに着けてあげる前に洗ってあげて下さい。

製品の特徴を理解し、大切なワンちゃんの為、上手に使ってあげて下さいね。

今回の記事が皆様の参考となれば、鎖屋兄弟達も幸いです。

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