楠木新(くすのき あらた)
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2017年06月18日

「生活感という共通項がない」

今週の「 こころの定年/研究会」(6月21日)でファシリテーターをお願いする
藤波さんが『定年後』の登場された一部を下記に紹介いたします。
少し長くなりますが、参加者にとってのご参考でもあります。

―生活感という共通項がない(『定年後』(中公新書)P92~

地域での過ごし方などを高齢者同士で議論する場でファシリテーター(会議の進行役)を務める
藤波さん(65歳)に話を聞いたことがある。

30人くらいの会合で集まった男女比はほぼ同数。前半は男女混合で2グループに分け、後半は
男女別に2グループに分けて進めると様子が全く様子が違ったそうだ。男女混合のグループでは
男性の発言が多く、女性の発言は少なかった。男性同士、女性同士に分けたグループでは、
女性のグループはすぐに小さな塊でおしゃべりが始まりにぎやかになるが、男性のグループは
それほど盛り上がない。

そこで、初めから男女別に分けたグループで話し合いをして、前半の女性グループの熱量を
後半の議論に持ち込むと、活発で多様な意見が出ることが多いそうだ。その際、藤波さんは
前半の男性グループの話し合いがスムーズに進むように注力する。

男女のグループの違いを藤波さん聞いてみると、女性グループは「生活感」という共通の基盤が
あるので、どんな話も自分たちの生活に引き付けて互いに語ることができる。ただ、世間話で
終わってしまうことが多い。それに対して男性のグループはそういった共有できるものがないので、
発言者固有の視点からの議論になりやすい。女性のみにはない発想が生まれるメリットが
ある反面、固有の話題なので中には興味を示さない人も出てくる。そこでどのようにバランスを
とるかが、ファシリテーターとして腕の見せ所だそうだ。

この話を聞いたときに「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨地蔵通商店街(東京都豊島区巣鴨)
を歩いた時のことを思い出した。その日も多くのお年寄りでにぎわっていたが、ほとんどがおばあ
ちゃんばかりで、おじいちゃんの姿は少なかった。

その時に感じたのは商店街の店舗である。まさに生活に根差した店ばかりだった。婦人服、小物、
雑貨、寝具、袋物、和菓子、お茶、団子などの店がずっと続いている。私が小さい頃に耳にした
「メリヤス」を看板に掲げた肌着の店もあった。

これに対して男性が集まる商店街のイメージは湧いてこない。逆に年配の男性が集まるという意味
では競馬場、パチンコ店がそうかもしれない。生活や日常というよりもむしろ非日常の世界である。

女性は、カルチャーセンターに行けばすぐに友人ができて、近所にもお茶飲み友達がいて、いつも
周りに人がいる。歳を取っても楽しく暮らしているように見える。一方で、男性は一人で活動して
友人ができない。なぜなのだろうか。渡辺淳一氏は、先ほどのインタビューで、「男は同僚や取引先
といった仕事に関係する人を除いて、ほとんど人間関係を持たない。そもそも群れることができない
生き物なのだ」と述べている。

何でも男女別に分けて決めつけるのはナンセンスであろうが、やはり男女間の違い、仕事と生活
とのギャップというのは一つのポイントであろう。

先ほどの藤波さんによると、男女一緒になった議論の時も、会社の論理というか、肩書や自分の
立場にこだわるタイプの男性はうまくグループの輪に入っていけない。彼らの特徴は井戸端会議
ができないことだそうだ。そういう人は2回目、3回目の会合になると出てこなくなる。逆に、男性
でもその切り替えができる人は仲間に入ってリーダーシップを発揮する人が多いという。

もうすこし年齢の高い層になるが、医師や看護師、介護士などを対象に医療や介護の研修の仕事
をしている専門家によると、デイサービスや老人施設などのイベントでも女性はすんなり仲間に
入って楽しめる人が多い。しかし男性は二の足を踏む人が多く、そういう人は次回には来なくなるそうだ。
これらも男性が仕事と家庭とのギャップを埋めることが難しい、一つの表れなのかもしれない。
                                                      以 上
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