楠木新(くすのき あらた)
楠木新の自己紹介

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内定「とれる人」「とれない人」

2012年10月31日

「就活は最後の子育てー親ができること」

今年の7月に龍谷大学の「大学懇談会」で保護者の方を中心に、
講演の機会をいただきました。
その時の要旨が、大学における保護者会の「親和会だより」に
掲載いただきましたので下記にも紹介をいたします。

来月には、就活に関する新たな本も出版の運びです。
また12月には、大学3年生の就活も解禁になります。

また就活の季節がやってきました。

                  記

■就活は、総論ではなくて各論

就活の様子は、テレビの特集番組でもよく取り上げられます。皆さん
も関心を持って見られているのではないでしょうか。
マスコミは、厳しい就職状況の原因をリーマンショックや急激な円高
に求めるので、不況で求人数が減っていると思いがちです。
しかし大学生が増えたことも要因の一つです。ここにおられる親御
さんの世代では、4年制大学への進学率は4人に1人だったのです
が、現在は2人に1人になっている。これもマスコミが指摘しない
「就職氷河期」の隠れた理由なのです。

またマスコミは大企業を中心に取り上げますが、実際には、中堅・
中小企業に就職する大学生も多く、報道だけでは就活の実態は
つかめません。
世の中に何十万社の会社があっても、内定を得て入社に到るの
は1社限り。総論ではなくて個別論、各論の世界です。テレビ報道
に影響を受けて過度に不安を抱く必要はありません。

■ネットが変えた就活

皆さんの学生時代と一番変わったのは、ネットが就活のプロセス
に定着したことです。それ以前は若手社員(いわゆるリクルーター
)が、直接学生に声がけをして面接対象者を集めていました。
とても不特定多数の学生を相手にはできなかった。今は極端に
いえば、学生はワンクリックだけで興味をもった会社に応募でき
ます。企業側も説明会の案内を多数の学生に一斉に送ることが可能です。

このため会社に多数の応募が集中するので、選別のために就活
は長期化し、学生側は、どういう企業を選べばいいのかの相場観
をつかめなくなりました。
また各社の応募に際しては、志望理由などを書き込むエントリーシ
ートを作成しなければなりません。応募が多いということは、それだ
け落とされる回数も増えるのです。

大学での私の授業を受けていたK君は、最終面接で立て続けに
不合格になった時には、「好きでもないスナック菓子を毎日一袋
部屋で食べないと気持ちが治まらなかった」といいます。
学生側の負担は大きくなっているのです。

■企業側の採用は変わっていない

一方、企業側から見た採用の本質は30年前と何も変わってい
ません。就活に関する本を書くのに相当数の採用担当者に取材
した時も同じ答えが返ってきました。

企業側の採用基準は、最大公約数的にいえば「自分の部下や
同僚として一緒に働きたいかどうか」です。学生側の視点で言いか
えると、立場や価値観の異なる人とうまくやっていく力量なのです。
しかし受験の延長からか、学生は他の人より能力のある人が
採用されると勘違いして、自分のアピールに重点をおく人が多い。
そのため採用側と学生との間でギャップが生じています。

そういう意味では、面接は、コンテストではなくてコミュニケーショ
ンの場なのです。この点を頭に入れておかれると良いと思います。

■就活は最後の子育てー親ができること

私は以前、80人余りの3年生に「就活の際に親にアドバイスを
求めるか?」というアンケートを実施しました。
面白いことに、イエス、ノーがちょうど半数ずつに別れました。
彼らの話を聞くと、親子の関係は百者百様です。
子どもを支援する統一したマニュアルは存在しないといってい
いでしょう。

また受験などとは違って、一方的に教える、支援するという関係
ではもちません。上から目線だと「それじゃ、お父さんはなぜ毎
日ネクタイを締めて会社に行っているの?」という恐ろしい質問
を浴びせられる可能性だってあるのです。

たとえアドバイスはできなくても、できる範囲のことをしてやれば
いいと思います。取材では、エントリーシートの作成を手伝ったり
、知人の会社員を息子に紹介する親もいました。
長期にわたる就活では交通費もかさむので資金的な援助をして
いる両親もいました。

私が娘の就活をルポして感じたことは、正面から子どもと向き合
っているかどうかが大事だということです。
子どもと私達との間にある考え方のギャップはどこにあるのかを
考えてみる。たとえば、「(親が)今から就活するとすれば、どうい
う会社を訪問するか」を親子で話し合うのもいいと思います。

会話を通して目の前の子どもに自分は一体何ができるかを検討
してみる。その姿勢が真剣であれば、何も与えるものがなくても
子どもたちはがんばれると思います。

長年進路指導を担当している高校の先生が、
「親が『本人の好きなようにしたらいい』と、放任の態度をとってい
る場合は、良い結果が得られない」と語っていました。

今、子どもが不安を抱えて就活という船出をしようとしています。
子どもが成長できる姿を見るチャンスが目の前にあるのです。
これを逃すと子どもと向き合う好機はもう巡ってこないかもしれ
ません。
まさに最後の子育てです。
こんなまたとない機会を逃さない手はないと私は思います。
                               
                                 以 上

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kusunoki224 at 06:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)