楠木新(くすのき あらた)
楠木新の自己紹介

*講演・セミナー・研修および取材などの
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新卒採用

2015年06月16日

就活生と先輩との面談

最近は、就活生がビジネス街にめっきリ増えた。
選考が、8月からになったので本格化する時期が全体に後ろに
ずれているのだろう。

採用する側も対応できる期間というのが自ずからある。
私が担当してきたときには、大体2か月未満で終了していた。
日常の業務があるので、採用に注力できる期間には限界があるのだ。

そういう意味では、今頃から初めて、8月の初めに決着をつけるという
のは当時のタイミングからも違和感はない。

私が通っているカフェでも、先輩の話を聞く就活生がぐっと増えた。
ほとんどが一対一で話している。

昨日は、ひとつおいて隣の席に、男子就活生と女性社員が面談していた。

女性社員が結構大きな声で話すので、内容は周囲にはまる聞こえだった。

学生が少し質問すると、女性社員はしゃべるしゃべる、会社のことや
自分の体験をずっと話していた。

しばらくすると、学生がまた、ぽろっと質問すると、また自分の体験の話が続く。
質問とは直接関係のない話も多い。

学生さんも大変だなぁと思いながらも、それの繰り返し。

周囲の客は、私と同様なことを感じているが、その社員さんだけが気づいていない。
学生さんも自分の質問以上のことが返ってきているという認識はあるようだ。
面談が終わると、学生さんはフラフラのように見えた。

一生懸命なことはわかるが、相手の求めていることにもう少し配慮がほしいと感じた。
しかし自分も気を付けなければ。
同じようなことをしているかもしれないと、わが身を疑った。

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kusunoki224 at 13:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年02月06日

「採用面接のプロセスを俯瞰してとらえる」

今回のダイヤモンド・オンラインの連載
「新卒採用では、なぜ能力やスキルを勘案しないのか?」
の第五回目は、採用面接のプロセスについて書いてみました。

採用面接は、
「自分の同僚や部下として一緒に働けるかどうかを見極める」
というゴールが決まった対話なので、自ずと決まったプロセスを踏みます。

そのプロセスの構造を以下に紹介します。

オンラインよりもブログのほうが読みやすいという声もあるため、本文の引用も下記にしています。

「採用面接のプロセスを俯瞰してとらえる 」

                         記

*面接は「ゴールの決まった対話」

唐突な話になるが、皆さんは、インタビューと取材の違いが何かわかるだろうか?
実は私も最近まではあまり意識しないで二つの言葉を使っていた。

 あるプロのライターさんの本を読んでいると、
「インタビューの主役はインタビュイー(話し手)の言葉である。それに対して取材は、
インタビュイーが話す内容や意味が主役となる」というのだ。

話し手か、話した内容にポイントがあるかの違いである。

そう考えると、採用担当者が行う面接は、取材ではなくてあくまでもインタビューである。
就活生が話す内容ではなく、語る本人を見ようとするからである。

聞き手が田原総一朗、黒柳徹子、阿川佐和子の各氏であれば、同じ人からでも
それぞれ異なった話を引き出すことになるだろう。
インタビューは、聞き手と話し手のキャッチボールだからだ。

一方で、面接する側にとっては、目の前にいる学生が、「自分の同僚や部下として
一緒に働けるかどうかを見極める」というゴールが決まった対話である。
そのため質問の内容や面接の進め方は多様であっても、パターンはおのずから決まっている。

採用の合否を決める面接は、大まかに言って下記の4つのフェーズで成り立っている。
ここでは、最終面接をイメージしているが、そのほかの面接でもある程度共通している。

人事担当者は自分が行っている面接と比較してもらいたい。
面接の全体像を俯瞰した上で場数を踏めば、さらに有効なインタビューが行えることに
なるだろう。

(1)第一印象フェーズ

人と人とのコミュニケーションでは、言葉だけで伝わるのは1割未満であるとの調査が
あるそうだ。広告会社の採用責任者は私に、「採用基準は、第一印象」と断言していた。

しかし彼の発言をそのまま学生に伝えるのは少し不親切だ。
面接の中で当初のイメージが変化する人も少なくないからである。

ただ「表情」「しぐさ」「話し方」「雰囲気」は、かなりインパクトがあるのは間違いない。
その人の人生の充実度が対面した時に伝わってくることがあるからだ。
それが、「彼と一緒に働きたい」という判断に影響を与える。

面接の初めは、「外は寒くはなかったですか?」「自宅からここまでどれくらい時間が
かかりましたか?」などという軽い会話から始めるといいだろう。
いきなり「志望動機は?」と聞くよりも、エンジンをある程度かけてから本題に
入る方が、会話が弾みやすいからだ。

そして最初は簡単な自己紹介を求めることが多いだろう。
面接者は自己紹介を聞きながら、履歴書やエントリーシート(ES)に目を通して、
本人の経歴やゼミ、所属するサークルなどを確認する。
第一印象を意識しながら質問する内容を考えている。

用意してきた自己紹介を勢い込んで話す学生は少なくないが、できる人は
短く切り上げる。ダラダラした話を続けると面接者のリズムを崩すと察するからである。

(2)受容フェーズ
このフェーズでは、履歴書やESに書かれている情報と目の前にいる就活生の
発言や姿勢との間に落差や矛盾がないかをチェックしながら質問を進める。
受容フェーズの初めのうちは、この作業が中心になる。

私の場合は、高校以降の経歴を注視していた。そこに気になる点があれば
質問をはじめる。留年などがあれば必ず理由を聞く。本人の個性が分かることが
少なくないからだ。
またゼミで学んだ内容やサークルなどについて関心や疑問が生じたことについて
聞いていく。

時間的な余裕はそれほどないので、結論に至ることを意識しながら進める。
取材ではなく、インタビューなので、発言内容よりも、雰囲気や態度を見ながら、
本人を全体として受容するように努める。

他の採用担当者に聞いてみると同様な対応をしている人が多い。
「面接者は自分の話をあまり聞いていない」と発言していた学生がいたが、
面接者のことをよく把握していた例である。
彼は複数の会社から早々に内定を取得した。

学生側はどうしても受身の姿勢なので、ホンネを引き出すためには、面接者は
できるだけオープンな姿勢で話を聞く方が良いだろう。
先入観を持っていたり、「総務分野で活躍する人が良い」「バイタリティのある人を
採用したい」などと自分の指向を規定していると、それが暗黙のうちに相手にも
伝わって、自由な話の展開を阻害することがある。

このフェーズの後半は、質問から派生したテーマが対話の中心になる。

(3)決断のフェーズ

受容フェーズの後半になってくると面接者の内心は決断をどうするかに移ってくる。

1時間弱の面接でその人の全体像を把握することは難しい。そういう制約の中で
決断しているのが実態だ。

あえて判断結果を分けると下記の3つのパターンになる。
A.スムーズに採用OKと判断できる場合
B.どちらにするか判断がつかない場合
C.話の途中で不合格と判断する場合


Aの場合は、互いに良い結論を出せるウィンウィンの関係にある。
ただし、面接者は、学生の自社に対する志望度合を確認しなければならない
ので、早い段階で次のフォロー・フェーズに入る。

Cの場合は、面接者は決断のストレスから解放されるので気分的には
ぐっと楽になる。こちらも結論が出れば次のフェーズに移行する。

AやCの場合は、話の途中で結論が出るので面接も比較的早く終了する。
そういう意味では、面接に費やした時間とその結論との間には相関関係はない。

Bの場合は、厳密に言うと、合格ラインの境界線上にいるので判断できかねる
場合と、魅力はあるが、本人の全体像を受容できない(よく分からない)ので、
決断できない場合に分かれる。
後者は、学生が面接者のキャパシティを越えているケースも含んでいる。

Bのケースでは、面接が終了してから学生のことをもう一度思い浮かべながら
結論を出すことが少なくない。また採用枠と面接対象の学生数を再確認して、
彼に対する他の人の面接コメントを読み返しながら検討することもある。

それでも決着がつかない場合は、他の社員にもう一度会ってもらう、または
結論を先送りして、その後の採用状況をにらみながら決める場合もある。
かなり日数が経ってから内定の連絡を入れるのはこのケースが多い。

(4)フォロー・フェーズ

Aの場合は、内々定を出せば必ず当社に来るのかどうかの見極めが、
このフェーズの中心になる。就活の状況を聞きながら、自社への志望度を推測していく。

「第一志望ですか?」と直接聞くことも少なくない。Bでも、採用OKの方に
比重があるときはAに近い対応になる。Cの場合は、できるだけ気持ちよく
面接を終了することを意識している。

また「何か質問したいことはありますか」と面接者から呼びかけることがよくある。
冒頭のインタビューでいえば、相手に聞き手の立場を与えるのである。

面接者もこの質問を通して面接の総括をしておきたい気持ちがある。
そのため相手にどのように受け取られているのか、どういう理解をしているのか
を確認しておきたいのだ。

Bの迷っている場合では、この質問を通して結論が変わることも少なくない。

「そうか思いのほかこちらの意図を良くつかんでいるのだ」とか
「意外とよく考えているじゃないか」など、相手からの質問を受けることによって、
今までの判断を修正する場面もありうる。
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また「内々定が出れば他社は断りますか?」など、今後の対応を先取りした
発言をする面接者もいる。

以上が簡単な採用面接のプロセスである。ポイントは、時間に規定されている
ということだ。

このプロセスを経て採用可否を判断するには、概ね40分程度の時間は必要だ。
20分の面接では時間は足らず、人員を絞り込むための面接になるだろう。

60分の面接になると、学生側が自分の見解をかなり披歴できる時間がある。
逆に言えば、自分の主張がなければ60分の面接はもたない。
またBのケースで採用するかどうか面接者が迷っているとこれくらいの時間に
なることはある。

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2015年01月23日

「企業と学生とのすれ違い-認知度を上げるための企業努力とは?」

正月明けに、ダイヤモンド・オンラインの連載
「新卒採用では、なぜ能力やスキルを勘案しないのか?」
の連載で、学生の企業に対する認知度について書きました。

タイトルは、首記の表題通りです。

就職活動の仕組みの中で、なかなかうまくいかないと感じる
一つの要因は、この学生の理解面だと思っています。


下記に紹介いたします。
また直接ネット画面から読まれる方は、ここからお入りください。
「企業と学生とのすれ違い-認知度を上げるための企業努力とは?」


企業と学生とのすれ違い
認知度を上げるための企業努力とは?


君たちは
本当に「大企業志向?」


3年前まで関西大学で「学部学生のための会社学」という講座を
受け持っていた。その際に授業の合間に、就活生からときどき質問を
受けたりアドバイスを求められることがあった。

K君は、3年生の夏休み前に、インターンシップのことで相談に来た。
大企業か、ベンチャー系企業のどちらにエントリーすればいいだろうかという話だった。

K君は、「給与水準が高い」「福利厚生が整っている」「潰れる心配がない」
など大企業のメリットを並べ立てたうえで、でも自分を活かせるのは、
コンサル関係やベンチャー的な会社ではないかと熱く語っていた。

その時に、K君が語る「大企業」と私が思う「大企業」との間には、多少の
ズレがあるように感じた。
そこで、まず学生がどの程度企業を知っているかを実際に確認してみた。

そもそも「大企業とは何か」という議論があるだろうが、私は、とりあえず
東京証券取引所の一部上場企業を対象にした。

日本経済新聞の株式欄にある東証一部上場企業のページをコピーして
学生に渡した。
そして約1700社のうちで「企業名を知っている」「大略どんな事業をしているか
が分かる」の二つの要件を満たす会社をラインマーカーで印をつけてもらった。

学生は企業のことを
あまりにも知らない


2年生から4年生までの二十数名が、チェックした会社は、東証一部上場
企業の10%程度だった。

いちばん多くマークをつけた学生は、就活を終えて大手メーカーに内定を
得ていた4年生で、467社。
彼は、「就活中に知った企業が多かった。志望度の低かった業界は今でも
ほとんど知らない」と答えてくれた。
また2年生、3年生、4年生と年次が上がるにつれて知っている企業数は
若干増えるが、学年によってそれほど有意な差はなかった。

ご承知のように、東京証券取引所の一部上場企業は、日本経済を支える
主要企業がズラリと揃っている。かつての就職人気ランキングに挙がった
企業も、サントリーなどの一部の非上場の会社を除いては、多くがここに
含まれていた。

企業内容においては、時価総額、純資産の額、利益の額などクリアすべき
要件があり、上場審査の際にも、企業の継続性・収益性、企業経営の健全性、
コーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性などもチェックを受ける。
大企業の代表選手だと言ってもいいだろう。しかし学生は、10%しか知らないのである。

業界別にみると、いちばんチェックした割合が高い業界は、圧倒的に「食品業界」
である。3割程度の企業は学生に認知がある。次は「陸運」や「商業」、「金融」など
が比較的多くなっていた。

一方、「非鉄金属」(対象は24社)や「鉱業」(対象は7社)は、8割の人が1社も会社の
ことを知らない。

企業を知る手段は
テレビCM


このマーク付けが終了した後に、3つのグループに分けて受講生同士でグループ
討議をしてみた。
各グループとも学生から出た意見はほぼ共通していて、概ね下記の内容だった。

・「あまりにも、知っている会社の数が少なくて驚いた」
・「業種毎にかなり偏りがあった」
・「チェックしたのは、私達の生活に身近な会社が多い」
・「テレビCM(マスコミ)の影響が大きいことが分かった」
・「自分の出身地に関係のある会社は、まだ知っている」

こうしてみると、学生が認知している企業は、テレビCMを流している会社か、
生活に身近な会社、地元にある企業であるといえそうだ。だから一部の人気
企業にエントリーが集中することになるのだ。

翌週の授業では、東証一部上場のH食品とM金属を取り上げて、有価証券報告書
を使って二つの会社を比較してみた。

古い歴史を持ち、売上高や従業員数などの会社の規模ではM金属が、H食品を
上回っている。しかしながら学生の認知度はH食品の方が圧倒的に高い。
やはり「テレビCMが流れている」「身近である」ために認知度が高いことが分かった。
一方で、M金属は関係会社や取引先の会社も学生に馴染みのない企業が大半だった。

学生からは、就活生のレベルでは、企業のことを本当に知ることは難しいという
声が上がった。

娘が就活を始めた3年生の秋に、「会社選びの基準は何か?」と私が尋ねたところ、
「身近なものを作っている会社がいい」と彼女は答えた。
具体的には食品、繊維や薬品メーカーなどが頭の中にあったようだ。彼女はユーザー
というか、消費者の目線から会社選びを考えていた。そこには働くという観点はあまり
感じられなかった。

就活を終えた時点で、彼女は「『身近なものを作っている会社』というのは、圧倒的に
イメージが先行していた」と語り、「結局は、働いてみないと分からない」とつぶやいた。

自社のことを
オープンに語る必要がある


はじめに私のところに相談に来てくれたK君は、自分が志望していたのは、
「大企業」ではなくて、「テレビCMが流れている会社」だったと気づき、頭だけで
考えていたと反省したそうだ。
「これからは自分の足でいろいろな会社を見て回る」と語っていた。

たしかに、さまざまな業種の社員に直接会って感じることが大切で、それ自体が
大いに勉強になる。そう考えてくると、面接に至るまでのエントリーシートの役割は、
それほど重要ではない。

企業側においては、学生の実態を把握しながら、今の採用の進め方でよいのか
一度再検討することも必要であろう。

現在の応募制の下では、母集団の形成(志願者を増やすための努力)に会社や
人事部は注力している。

しかし学生との対話や本来の意思疎通が十分に行われているかどうかを再検討
した方がいいだろう。学生側の志望度もつかみかねている会社もあるという。
むしろその労力を自社のことをオープンに語ることに振り向けたらどうだろうか。

働くことの実感を持っていない学生のことを考慮すると、自社の本当の姿を伝える
ためにリクルーターや管理職を動員する手が考えられる。トップが登場してもいいだろう。

また前回紹介した、会社側から学生にアプローチすることを支援するベンチャー企業
なども活用しながら、個別に学生との関係つくりに注力すべきであろう。

たとえ労力や時間はかかっても、学生、企業の双方にとって意味のある採用活動になる
と思えるのである。

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