2009年08月31日 02:41

当〔とうせんしゃ〕

・当選者

 和歌山3区では、自民党の二階俊博経済産業相(70)が、民主党新人の玉置公良氏(54)らを振り切り、9回目の当選を決めた。


 玉置氏は比例選での復活当選を目指す。


 過去の選挙では、他候補の応援などで選挙区に戻る機会が少なかった二階氏だが、今回は自民党への逆風に危機感を抱き、地元に密着。
各市町村ごとに選対本部を設置するなど組織を強化した。


 これまで支持を受けてきた建設業界が不況に見舞われ、生活への不安から保守層からも批判を受けるなど、厳しい戦いとなったが、大票田の田辺市を中心にミニ集会や街頭演説を重ね、高速道路延伸などの実績と政治力をアピールした。


 玉置氏は、「変えなアカン!」をキャッチフレーズに、選挙区内を街宣車や自転車などでくまなく回り、スポット演説を繰り返して支持を訴えたが、分厚い自民党の支持基盤を突き崩せなかった。




 石川2区で、自民党の森喜朗元首相(72)が14回目の当選を決めた。


 民主党新人で元衆院議員秘書の田中美絵子氏(33)との対決に注目が集まったが、森氏が底力をみせた。
田中氏は比例選北陸信越ブロックで復活当選した。


 森氏は、党重鎮ながら他候補の応援を控え、地元回りを徹底する「どぶ板」選挙を展開。
小学校区ごとに国政報告会を開き、地元への貢献度を強調した。
企業や団体の推薦も多く取り付け、地元首長、県議、市議を中心とする後援会も組織力を発揮した。


 昨年9月に立候補を表明した田中氏は、自転車で遊説し、庶民目線の政治と世代交代をアピール。
国民新党、社民党から支援を受けて無党派層や若年層への浸透を図ったが、小選挙区では及ばなかった。




 神奈川13区で、民主党新人で元衆院議員秘書の橘秀徳氏(40)が、自民党の甘利明行政改革相(60)らを破り、初当選を果たした。


 甘利氏は比例選南関東ブロックで復活当選した。


 選挙戦は、松下政経塾出身で国政初挑戦の橘氏と、現職閣僚として麻生政権を支える甘利氏の事実上の一騎打ちとなった。


 橘氏は、民主党への追い風に加え、2年前から3000回以上の街頭演説をこなすなど地道な選挙活動が功を奏した。


 労相や経済産業相も歴任した甘利氏は、抜群の知名度を生かし、麻生政権の経済政策の効果をアピールしたが、小選挙区では届かなかった。




 神奈川11区で、自民党の小泉純一郎・元首相から後継指名を受けた次男の小泉進次郎氏(28)が初当選を果たした。


 民主党新人で弁護士の横粂(よこくめ)勝仁氏(27)との20歳代若手対決を制した。
横粂氏は比例選南関東ブロックで復活当選した。


 小泉氏は、後援会や党支部組織を引き継いだが、世襲批判を打ち消すため、小泉元首相や党幹部の応援を受けなかった。
駅前や街頭に立ってあいさつする地道な取り組みを続け、無党派層に浸透を図った。


 横粂氏も、駅前の演説やミニ集会、自転車を使った草の根選挙に徹した。
世襲批判は避け、政権交代を訴えたが、小選挙区では知名度不足が響いた。




 福岡7区は、自民党前議員の古賀誠・党選挙対策本部長代理(69)が、古賀氏の秘書を7年余り務めた民主党新人で前八女市長の野田国義氏(51)との「師弟対決」を制し、10選を果たした。


 野田氏は小選挙区で敗退し、比例選での復活当選を目指す。


 古賀氏は、2000年以降に行われた3度の衆院選で、選挙区内の全自治体で最多得票を獲得。
「横綱相撲」を続けたが、今回は自民党への逆風に加え、地元の市長を4期16年務めた野田氏の立候補で状況は一変した。


 党幹事長、運輸相などの要職を歴任し、これまでの選挙では公示後も選挙区入りすることは少なかったが、今回は解散前から小規模の会合を積み重ねる異例の選挙戦を展開。
従来は水面下での協力にとどまっていた公明党も、県議、市議が積極的に動き、与党支持層を着実に固めた。


 野田氏は、党本部の全面支援を受け、「政権交代」を旗印に急速に支持を拡大したが、比例選の重複立候補を辞退する背水の陣で臨んだ古賀氏に及ばなかった。




 比例選南関東ブロックで、民主党前議員の藤井裕久元蔵相(77)が7回目の当選を決めた。


 藤井氏は、新生党時代から小沢一郎代表代行を側近として支えてきた。
今回の衆院選には出馬せず、政界引退を表明していたが、民主党政権が現実味を帯びる中、党の重鎮としての活躍が期待され、公示直前になって比例単独での立候補が決まった。


 比例名簿順位は単独35位だったが、民主党の歴史的大勝で上位掲載の小選挙区候補が次々と当選を決め、藤井氏も議席を確保した。




 愛媛1区は、自民党前議員の塩崎恭久氏(58)が、民主党新人の永江孝子氏(49)らを下し、5選を果たした。


 永江氏は小選挙区で敗退し、比例選での復活当選を目指す。


 安倍内閣の官房長官を務め、父子2代で40年間守り続けた厚い地盤を持つ塩崎氏と、地元民放の情報番組で18年間リポーターを務め、県内で抜群の知名度を誇る永江氏による事実上の一騎打ちとなった。


 与党への厳しい逆風に危機感を強めた塩崎氏は、初めて公明に推薦を依頼し、各地区をくまなく回るかつてない「どぶ板選挙」を徹底。「民主党の政策は成長戦略のないばらまき。子や孫の世代に借金のつけを回してはいけない」と民主党を批判し、逃げ切った。


 社民、国民新両党の推薦を受けた永江氏は、「天下りや税金の無駄遣いをやめさせるには政権交代しかない」と訴え、反自民票の受け皿となったが及ばなかった。




 奈良2区は、前回衆院選では「郵政造反組」で今回民主党の公認を得た滝実氏(70)が、自民党前議員の高市早苗氏(48)らを下し、5回目の当選を果たした。


 高市氏は比例選近畿ブロックで復活当選した。


 滝氏は前回、自民党を離党し、新党日本から立候補したが、「小泉旋風」のあおりを受け、奈良1区から国替えした高市氏に敗れた。
比例選で復活当選し、その後、無所属を経て、衆院解散当日に民主党入りした。


 今回は2人の立場が逆転。
2区は大阪に勤務する“奈良府民”ら無党派層が多く、風に影響されやすい地域で、滝氏は民主党への追い風に乗った形になった。


 昨年から民主党参院議員と一緒に街頭演説を繰り返し、「有権者に顔を見せる」という民主流の活動を徹底。
科学技術相などを務めた高市氏に対し、運動量でも勝った。


 高市氏は今回、自民党への逆風に苦戦を強いられた。
支援団体や企業回りで組織固めを図ったほか、小学校区単位に張り巡らせた後援組織もフル活用し、ミニ集会や地元の祭りにこまめに出席。
街頭演説も積極的に行ったが、小選挙区では及ばなかった。




 栃木4区は、民主党の山岡賢次・国会対策委員長(66)が5回目の当選を果たした。


 小選挙区で敗退した自民党の佐藤勉総務相(57)は、比例選北関東ブロックで復活当選した。


 山岡氏は1996年の小選挙区比例代表並立制移行から4回連続で佐藤氏に小選挙区選で敗れ、うち3回比例選で復活当選してきた。
今回は、民主党への追い風に乗って無党派層を中心に支持を広げ、初めて小選挙区選で議席を獲得した。


 佐藤氏は、業界団体や県議団などの組織力を生かし、現職閣僚としての実績をアピールしたが、一連の事務所費問題への対応に対する批判から、小選挙区では支持が広がらなかった。
また、平沼赳夫グループで無所属の植竹哲也氏(39)に保守票の一部が流れたこともマイナス要因となった。




 京都1区は、民主党新人の平智之氏(50)が初当選を決めた。


 小選挙区で敗退した自民党元幹事長の伊吹文明氏(71)と共産党国会対策委員長の穀田恵二氏(62)は、比例選近畿ブロックで復活当選した。


 昨年9月に出馬表明した平氏は、選挙区内の路地をひたすら歩く作戦で、知名度向上と支持拡大を図った。
解散後、鳩山代表が2度来援するなど党の支援も厚く、競り勝った。


 伊吹氏は、50を超える後援会と地方議員がフル回転。
「京町衆の良識を信じる」と呼びかけたが、党への逆風を受け、8期25年にわたって守り続けた選挙区での議席を失った。


 1区は、共産党が全国唯一の「必勝区」に設定したが、穀田氏は小選挙区選では及ばなかった。




 東京1区は、民主党元議員の海江田万里氏(60)が、自民党の与謝野馨財務・金融相(71)らを破り、5回目の当選を決めた。


 与謝野氏は比例選東京ブロックで復活当選した。


 海江田氏は、4回連続で与謝野氏と対決し、4年前は約4万8千票差で大敗。
これまでの対戦成績は2勝2敗だった。


 国政への復帰を目指した海江田氏は、朝夕の駅頭に立って政策を訴え、「徒歩遊説」と称しては、車が入れない細い路地まで歩いて回る「どぶ板」を徹底。
民主党への追い風にも乗り、議席を奪い返した。


 麻生内閣の主要閣僚として知名度の高い与謝野氏は、支援した大物都議が相次いで落選した7月の都議選以降、地域密着型の戦略を強化したが、小選挙区では麻生内閣や自民党への逆風をかわすことは出来なかった。




 岐阜1区は、民主党新人の柴橋正直氏(30)が、自民党の野田聖子消費者相(48)らを抑え、初当選した。
野田氏は、比例選東海ブロックで復活当選した。


 柴橋氏は、元銀行マンで小沢一郎政治塾出身。
選挙戦では、若さと政権交代を訴え、無党派層に加えて自民党支持層の一部も取り込んだ。
前回衆院選落選後、岐阜市内をくまなく回る地道な選挙活動が功を奏し、2度目の挑戦で現職閣僚を破る金星を挙げた。


 野田氏は前回、郵政民営化に反対したため自民党の公認を得られず、「刺客」として送り込まれた佐藤ゆかり氏と激しい選挙戦を演じた。
佐藤氏が前回獲得した8万1000票の行方が注目された。
小選挙区選では、佐藤氏を支援した自民党県議や支部の一部役員らが柴橋氏の支援に回るなど、前回のしこりが表面化したことも響いた。




 北海道5区では、民主党元議員の小林千代美氏(40)が、自民党の町村信孝・元官房長官(64)を振り切り、2回目の当選を果たした。
町村氏は比例選北海道ブロックで復活当選した。


 民主党は同区を政権交代に向けた「象徴区」と位置づけ、鳩山代表や小沢代表代行らを小林氏の応援に投入。
政府・党の要職を歴任し、自民党最大派閥の会長でもある町村氏に競り勝った。


 町村氏は、当初から逆風の選挙戦を覚悟し、党支部や後援会、業界団体をフル回転させる組織戦を徹底した。
一方で、期間中は他候補の応援にはほとんど出ず、選挙区内に張り付いた。
「党より人」を前面に出し、政府与党が実施してきた景気対策や8期連続当選を背景とした政治力を街頭で猛アピール。
党からも舛添要一厚生労働相らが応援に入ったが、小選挙区では及ばなかった。




 群馬4区で、自民党の福田康夫前首相(73)が7選を決めた。


 民主党新人で元フジテレビ記者の三宅雪子氏(44)との対決で注目が集まったが、知名度に勝る福田氏が保守票を手堅くまとめた。
三宅氏は比例選北関東ブロックで復活当選した。


 昨年9月に突然、首相を退任した福田氏は、「政権を投げ出した」と有権者からも批判を浴び、陣営の危機感は強かった。
しかし、「群馬のことを全く知らない人に将来を任せられない」と、父・赳夫元首相以来の「福田ブランド」をアピール。
何度も中曽根外相の応援を受けるなど、中選挙区制時代の「福中戦争」を乗り越えて自民党が一丸となり、民主党への追い風をはねのけた。


 7月下旬に立候補を表明した三宅氏は、連合など労働組合の支援を得て、「真夏の雪子が政治を変える」をキャッチフレーズに選挙戦を展開したが、小選挙区では圧倒的な知名度の差は縮められなかった。




現役閣僚・元閣僚・派閥領袖すら負けるのか…。
何たる事か…。

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