きょうです。
先日、とある大学併設のカウンセリングセンターから、心理検査所見についての医師側の意見を求められたので、 行ってまいりました。
そこで、WISC-Ⅳ心理検査の保護者へのフィードバック用紙を見せていただいたのですが、各指標の数値が無い・・・
これ、数値が無いと意味が無いですよね?と質問すると、公式の研修会などで、保護者への数値のフィードバックはしてはならない、と言われたとのこと。

え?そんなバカな、と思いつつ、ちょっといろいろ調べてみました。
そうしますと、こういうサイトが出てまいりました。
日本版WISC-Ⅳ テクニカルレポート
日本版検査を出している、日本文化科学社さんのサイトです。

このテクニカルレポート #2 を参照しますと、このように書かれています。
1.テスト・スタンダードに則って、検査は作られ、使われなくてはならない
2.心理検査は十分な専門的研修を積んだ有資格者によって実施されなければならない
3.保護者に検査結果のプロフィールをコピーして渡すことは原則として認められない
4.学校で保管する検査結果資料は保護者に渡す報告書と同じものである
5.基本的なプロフィール分析の方法に則ること
6.保護者向けの報告書の例 
で、丁寧に例がのっています。
Evernote Camera Roll 20121023 223746

ああ。。きちんと数値を書く欄もありますね。
 ここで書かれている、IQ値をそのまま確定値のように伝えることだけは避けるべきである、が誤解されたのでしょうかね。

すこしは安心しました。

さて、この機会にここからは、心理検査に対する私見を述べたいと思います。
これまで、たくさん心理検査所見を見てきましたが、数値の羅列だけにとどまり、専門家としての心理士ならではの分析や今後のアドバイスが全く 書かれていない、お粗末な所見もありました。

数値の表示は大前提で、それをいかに独り歩きさせずに所見に盛り込むか、具体的アドバイスを踏まえて保護者や子ども、教師にフィードバックするかが大切でしょう。

心理検査をする最大の目的は、アセスメントではありません。
アセスメントをふまえて、家庭生活や学校生活や専門的治療に、具体的アドバイスや具体的指針として検査結果を活かすこと。
これが心理検査の最大の目的です。


実生活に活かせない心理検査など、机上の空論、検査者の自己満足に過ぎません。
精神科医が、多剤併用療法や空虚な精神療法に対する批判を謙虚に受け止めなければならないのと同様、臨床心理士も、心理検査のフィードバックやカウンセリングの技法について、批判があれば謙虚に受け止める必要があるでしょう。
心理カウンセリングにおいて具体的なアドバイスが欲しいのに、ひたすら受容的な傾聴につとめられても、 意味はありませんし、そのことについて意見を患者さんからいただくことは多々あります。

精神科医も臨床心理士も一致団結して、子どもたちのために、社会のために、謙虚に自己を磨いていくことが大切です。精神科医として、臨床心理士として、双方の立場からの僕の強い願いです。

本日はこの辺で、ではまた!
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