2016年05月

<災害時におけるボランティア事情-17>
 熊本地震救援ニュース第35報に、足湯に来られた被災者で脳梗塞を患われた方の話を紹介しました。「(脳梗塞で)左側が思うようにいかんのです。(足湯を受けて)あぁなんか左肩が楽になってきたような感じがします。」という内容です。
 足湯というのは、バケツにくるぶしが浸かる程度のお湯を入れて、15分ほどつけているだけで、少し手を擦って上げます。それだけのことですが、この方のように脳梗塞を患っておられる方でも、血行がよくなって上半身に反応を興されるということがあります。
 この方は脳梗塞の後遺症として歩行困難という後遺症が残っているのかどうかまでは確認できていませんが、もしそういう後遺症が残っているならば、実は足湯で足の方にも血行をよくなるケースがあり、少し歩行を楽にする効果がある場合もあります。

 実は、以前兵庫県のT市で足湯講習会をした時に、15年前に脳梗塞で倒れられ、以来歩行困難という後遺症が片足に残り、足底板を装着して歩いておられた方に、足湯をして頂きました。すると、見る見るうちに足から上半身まで温かくなり、15年間ご自分で足を上げるということができなかったのが、ご自分の意志で足が上がるようになったのです。
 知人の方が傍にいたのですが、もうびっくりです。「あら~、Mさん。人のサポートなしで足があがるじゃない?」と目をパチクリさせていました。もちろん本人もビックリです。たった1回の足湯で、こんな現象がおきるなんて私も驚いたのですが、推測するには脳梗塞で倒れられ、もう足は動かないものだと思い込んでおられたのだろうと思います。
 足湯をきっかけに、自力で足を動かすという一歩を踏み出せたというのは凄いことだと思いました。以来、いままで車の乗り降りにサポートがいたのですが、今ではご自分でサッサとやっているとのことです。“なんと不思議な湯の力”です。

◎小説『苦海浄土』の著者石牟礼道子さんが、入所しておられた熊本市の老人ホームで水俣病と熊本地震のことを語られました。
-水俣病と熊本地震。人災と天災の違いはある。「ただ、語り伝えることの大切さは、共通しているのではないでしょうか」-と。(朝日新聞、2015・5・24)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12372757.html

*引き続きご支援をお願いします。
「熊本地震」活動支援金を募集しています。
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「熊本地震」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

*なお、「熊本地震」支援活動の一部は、公益社団法人Civic Forceからのご支援を戴いてパートナー事業として展開しております。

<災害時におけるボランティア事情-16>
●足湯ボランティアが超人気!
阪神・淡路大震災から、災害後の避難所で続けている足湯ボランティアがだいぶ定着してきました。参加される大学生にも違和感なく受け入れられています。
21日~22日は、福岡大学の方12名、中央大学4名、関西学院大学4名の方が足湯活動に参加してくれました。そこに当センターの21年前からボランティア仲間の親子が子どもたちへのおもちゃのプレゼントを抱えて福岡からお手伝いに来てくれました。

大学生のみなさんは、講習会を受けた後、2チームに分かれて避難所で足湯活動をしてもらいました。西原村には西原中学校、山西小学校、河原小学校、西原村構造改善センター(福祉避難所)の4つの避難所があり、多くの人たちがいまだ避難生活をしています。もちろん他にも村外や県外にも避難生活に強いられている人も多くいます。避難所では、ご高齢の方が多く、若い学生の方が来てくれるとまるで孫が来てくれたかのようにとても喜んでくれます。中には「こんなこと息子にしてもらったことないです。本当にうれしいです。」「(脳梗塞で)左側が思うようにいかんのです。(足湯を受けて)あぁなんか左肩が楽になってきたような感じがします。」と話してくれました。
また、避難所に残っている人は、一日中何もすることがなく、退屈な時間を過ごしています。そこで足湯をしていると「足湯ボランティアで誰かと話しができるとストレス発散になる」、「日中、畑に出ていると人たちはストレス発散できるが、室内にいる人たちはずっと同じ場所にいるからストレスがたまる。気持ちよかったありがとう」と話してくれました。
また別の人も「気持ちいい。長生きできる。仕事頑張れる。夜はまた揺れるかなぁという恐怖でなかなか眠れなかった」と話してくれて、学生さんも「手をもむなんて初めてだったけど、お話をしながら楽しくできたし、喜んでもらえてうれしかった」とお互いに笑顔が生まれました。
(*ちなみに、足湯活動で使っているオイルは公益社団法人Civic Forceの協力関連企業さんである「john masters organics Tokyo」よりご提供されたものです。なお公益社団法人Civic Force様には、熊本地震発生以来当NGOはご支援を頂いています。)
オイル_s

構造改善センター_s
もとちゃんのおもちゃのプレゼント_s


●28日博多発のボランティア・バスに関する記事が、今朝の西日本新聞で掲載されています。まだ空席がありますので、この情報をみなさん拡散してください。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/246956
申し込みは、当日ボランティア・バスに同行する武久真大さんに電話してください(武久080-5248-5523)。

<災害時におけるボランティア事情-15>
 西原村でのボランティア活動に、農業支援が加わってきました。一応、一般のボランティアセンターと分けて、農業支援ボランティアセンターという形で受付も別にあります。
 まだ罹災証明の発行も終わっていないのに、復興の話をするのもやや抵抗があるのですが、西原村の復興には農業の再建抜きには考えられません。以前にも紹介しましたが、唐芋の苗付けボランティアを募集しています。下記に西原村「布田地区」の唐芋農家さんを紹介していますが、苗付けの期間は5月いっぱいと言われています。つまり、いわゆる農家さんにとっては、復旧も、復興も、ともすれば住まい再建も、どれも二の次なのかも知れません。農家さんにとっての「減災サイクル」は、発災からスタートするのではなく、この今しかできない「芋の苗付け」がスタートなのです。こういう事情を見ると、やはり被災者を一括りにしては被害が見えないのです。一人ひとりの被災者に寄り添わなければならないとはこういうことをいうのではないかと痛感する次第です。

<西原村布田地区の様子>
 この地域は断層の真上にあり、197世帯のほとんどが地震の被害を受け、全半壊の多い地域です。ここでは5人の方が亡くなりました。「ここにはもう住めない」という人、「畑があるから離れない」という人、まだまだみなさんどうしたらいいのか心を悩ませています。片付けをしているお宅にお邪魔してお話を伺いしました。ここでも危険宅地と危険家屋の赤紙が貼られ、それでも自宅から物を運び出しています。唐芋農家さんで、1町歩もあり、先日やっと芋の苗つけを終えたそうです。「もう片付けも疲れたし、気分も落ち込むし、こうして話ができて明るくなったよ」と最後に笑顔で見送ってくれました。
西原村の名産の唐芋の苗付けは雨の降る前日でないとできないそうです。芽を切って貯蔵庫で少し貯蔵して元気な状態にしてから植えるそうです。苗付けのタイミングがあるようですが、いまは地震の影響でそれも難しい農家さんもあるようです。農業ボランティアもそのお手伝いに追われています。
(◎ニュース第31報で紹介した「寺本わかばさん」(神戸大学)が、21日毎日新聞夕刊に紹介されています。)
古里支援1年休学(20160521毎日新聞夕刊)


●28日福岡発のボランティアバスには、まだ空き席があります。無料です。是非参加してください。参加希望者には詳しい資料を送ります。詳細の問い合わせは、村井まで090-3160-3816です。 (メールでの申し込みは、 info@ngo-kyodo.org まで)

<お願い>
 今のところ、ボランティア・バスは合計20台を予定しています。でも、みなさんのご協力があればそれ以上のバスが出せます。一台(27人乗り)に要する 費用は、約10万円です。50人の賛同者から、一口2000円のご寄付を頂戴すれば1台のバスが出せます。みなさんご協力くださいませ。
*お手数ですが、ご寄付は下記の郵便振替口座で振り込んでください。「通信欄」に「ボラ・バス」と記入ください。
 郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
銀行から振り込む時は
 ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

<災害時におけるボランティア事情-14>
  5月20日づけ神戸新聞「論考 2016」に、上田紀行さん(東京工業大教授)が投稿された記事を読んで、阪神・淡路大震災後も同じだなぁと感じた。
 上田さんが投稿した内容は、「水俣病公式確認から60年」という節目を受けて書かれたものだが、ここでは「水俣病公式確認から60年」については触れない。上田さんは、久しぶりに水俣に行って初めて気づいたことがあるという。それは「全国から水俣に引き寄せられた多くの若者がいた。」ということだ。事実、私の知人も40年以上前に水俣に住み着き、被災者と共に裁判闘争をしながら、平時には水俣病被害者の介護に奔走している。一方、21年前の阪神・淡路大震災後、全国からたくさんのボランティアが駆けつけてきた。その中にも被災地に住み着き、21年が経過しても神戸を拠点に国内外の災害支援に関わっている人もいれば、現在の神戸のまちづくりや多文化共生などに関わっている人もいる。

 こうした人たちに共通することは、あり得ないような「原発災害」に遭遇したり、日常の食生活の中心になっている魚介類を食べて「水俣病」を発症するという「水俣病事件」に直面したり、阪神・淡路大震災のような大規模災害に遭遇して、「この国は、これでいいのか?」という疑問を持ち、究極には自分自身を含めて、「一人ひとりのライフスタイルの見直し」に気がついた人たちといえるのではないかということだ。

 作家の高村薫さんは、2015・8・29づけ毎日新聞「発言」で次のように言っている。
「戦後70年の己が足下を見つめ、持続可能な社会のために産業や経済をいかにして新しい座標軸で捉え直すか、縮小する社会をいかに再構築するか、私たち一人一人が智恵を絞り、天変地異をなんとかやり過ごしながら自分の足で立つのみである。」と・・・・。

阪神・淡路大震災後、「自分探しのボランティア」という表現もマスコミに登場した。県外から来た多くのボランティアは、「自分探しから、支え合いの担い手」となった。こうして「自分の足で立つのみ」を実践しているのだ。

<熊本地震から1ヶ月、西原村葛目地区のようす>
この地域は8世帯16人の小さな村です。雨が降ると土砂崩れが起きる可能性もあるので、心配している地域の一つです。危険宅地の張り紙と危険家屋の赤紙が貼ってあります。それでも仮設を申し込まず、ここに住み続けたいと避難所から戻り暮らしている人もいます。「小さな村で、もうなくなる。もうここで死ぬんだ。悲しい・・・」と話してくれました。慣れ親しんだ家が、土地がどうなっても、離れたくないのです。新緑の季節で緑がまぶしい山間の小さな村に地震が与えた影響はとても辛い現実でした。
 スタッフの鈴木隆太は、毎日「顔を見るだけ」と通い続けています。神戸大学の寺本わかばさんも被災地を回り、被災者の声に耳を傾けています。「住めないと思っていても、自宅に戻ってきてしまう。」「片付けばかりしていたら気が滅入る」「今までは畑や庭をしていたけれど、ずっと避難所にいたら、動かないからお腹も減らないし、眠れないし、生活に楽しみがない」と被災者の悩みは絶えません。
下布田 (4)_s
下布田 (16)_s


●28日福岡発のボランティアバスには、まだ空き席があります。無料です。是非参加してください。参加希望者には詳しい資料を送ります。詳細の問い合わせは、村井まで090-3160-3816です。 (メールでの申し込みは、 info@ngo-kyodo.org まで)

<お願い>
 今のところ、ボランティア・バスは合計20台を予定しています。でも、みなさんのご協力があればそれ以上のバスが出せます。一台(27人乗り)に要する 費用は、約10万円です。50人の賛同者から、一口2000円のご寄付を頂戴すれば1台のバスが出せます。みなさんご協力くださいませ。
*お手数ですが、ご寄付は下記の郵便振替口座で振り込んでください。「通信欄」に「ボラ・バス」と記入ください。
 郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
銀行から振り込む時は
 ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

<災害時におけるボランティア事情-13>
 先日ご紹介した西原村万徳地区にある「六地蔵」さんの修復および開眼法要が、高野山真言宗のみなさまのご協力で無事執り行われました。高野山真言宗のみなさま、厳粛な読経も唱えて下さいましてありがとうございました。
 そもそも、この六地蔵さんは村の指定文化財なのですが、地域の方が地震で倒れ側溝にはまったままの六地蔵さんを見て、忍びないのでなんとかならないか?という相談がボランティアセンターに持ち込まれたことから始まります。
 毎朝散歩をされている方なら気持ちがよく伝わると思いますが、散歩の途中であるお地蔵さんや神社仏閣がいつものように「お参り」ができないとなると、どこか落ち着かないというか、しっくり来ないのですよね!
 例えば、こうした場所で朝のラジオ体操でもしていると、やはりみんなで「なんとかしょうよ!」となるのでしょう。つまりこういう施設の修復というのは、被災を受けたコミュニティ再建にとって、とても大切なこととなるようです。こういうことから中越地震(2004年)以来、コミュニティ再生のためにということで、こうした修復費用が復興基金から拠出されたケースがあります。復興基金は、こうして柔軟な使途が可能な場合がありますので、熊本県で是非復興基金を設置して欲しいものですね!
IMG_0452_s
IMG_0461_s


<ボランティア・バスに関連して>
 28日に、福岡からボランティア・バス(27人乗り中型)を出すことが決まり、みなさまにご案内を差し上げましたが、西日本鉄道と九州産交バスが下記のようなサービスを18日から実施しているようです。使われる方がいるでしょうから、是非みなさまこの情報を拡散してください。

●ボランティアのバス代割引    
▽西日本鉄道(福岡市)と九州産交バス(熊本市)は18日から、熊本地震の被災地で活動したボランティアを対象に、熊本発福岡方面行きの高速バス「ひのくに号」が1000円で乗車できるサービスを始める。割引額は最大1160円。各地の社会福祉協議会などが発行する「ボランティア活動証明書」を運転手に提示する。「熊本交通センター」や「益城インター口」などから乗車可能。6月30日まで。西鉄お客さまセンター=(0570)001010。

<お願い>
 今のところ、ボランティア・バスは合計20台を予定しています。でも、みなさんのご協力があればそれ以上のバスが出せます。一台(27人乗り)に要する費用は、約10万円です。50人の賛同者から、一口2000円のご寄付を頂戴すれば1台のバスが出せます。みなさんご協力くださいませ。
*お手数ですが、ご寄付は下記の郵便振替口座で振り込んでください。「通信欄」に「ボラ・バス」と記入ください。
 郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
銀行から振り込む時は
 ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター


-- ※"まけないぞう"支え合い募金

↑このページのトップヘ