2016年09月

 久しぶりの救援ニュースです。相次ぐ台風襲来で熊本地震の被災地にも被害をもたらしています。先日も「ブルーシートの架け替え」の声があちらこちらから上がっているというマスコミ報道がありました。

 

 さて、熊本地震の被災地で、被災者を悩ませているのが擁壁や宅地問題です。私たちが支援活動を行っている西原村でも、斜面に建てられた家が多く、擁壁に被害があってなかなか再建できない、宅地にひび割れがあり不安だという家がたくさんあります。

 どのように対処したら良いかもわからない、というお宅もあるため土木の専門家の方々と一緒に訪問し、宅地の安全調査、応急対応のアドバイスなどをしてもらいました。

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 Mさん宅は、高い壁の上に建っているお宅で、壁全体が大きく割れて、家の前の通路、宅地部分に段差や地割れがおこり、きづらくなっていました。

そのままにしておくと雨が地割れ部分に入って、さらに地割れが激しくなるので、水が入らないようにブルトをかけていましたが、ブルトをかけていると段差がわかりづらく、先日おばぁちゃんがコケて、腕やに怪我をしてしまいました。

 擁壁自体は村の土地のものなので、来月には修理の予定だそうです。ひとまず応急処置として、家と軒先の空洞部分に土を入れ雨が入らないようにした方が良いと専門家からアドバイスいただきました。


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 擁壁に関しては修理のための公的支援制度もありますが、細かい条件があり全ての人に当てはまるわけではありません。(参考:http://www.vill.nishihara.kumamoto.jp/library/images/kouhoushi/saigairinji18gou.pdf

 

 こうして、宅地被害はなかなか素人では手が出せない部分が大きく、業者を待つしかない現状ですが、多額の費用がかかるため「応急的にでも自分で何とかしたい」という声も上がっています。

 ボランティアでお手伝いできるのは、あくまでも応急処置ですので、今後の復興に向け擁壁や宅地をどのように再建するのかを真剣に議論していく必要があるでしょう。          (頼政 良太)

 台風12号は熱帯低気圧にかわり、復旧作業が続く九州地方には特に大きな被害を出さずに通り過ぎましたが、これ以上雨の被害を出さないでほしいものです。

 当センターと連携している水俣病被害者互助会の谷洋一さんが熊本地震報告第10報をだしています。その中の報告をかいつまんでお伝えします。
 少し前に、西原村では熊本大学・減災型社会システム実践研究教育センターの渋谷秀敏教授と鳥井真之准教授による「熊本地震の発生メカニズムや今後の状況」、「熊本地震における地震地表断層とその周辺の影響」の講演があったそうです。
 その内容は、西原村は阿蘇外輪山の外側に位置しているが、その中の大峯という山が9万年前噴火し、火砕丘によってできた地域であり、1300年ほどの周期で大きな地震が起こっている。今回の地震は約2メートルの横ずれと2メートルの沈下が起こっているが、これは今回突然起きたものではなく、9万年の間に繰り返し起こり、約50メートル沈下しているといえる。本来は隣接する高遊原台地(熊本空港がある)と同水準だったものが沈下を繰り返してきたと言える。だからと言って、危険という状況ではなく、今後は日奈久断層中部や南部(八代海)地域のほうが強い地震が起きる可能性が高いと言える。ただ、一部地域では山に亀裂が起こっているのなど、住宅再建には向かない箇所もある。というものだったそうです。
住民にとっては裏山の崩壊などはないかなど、切実な疑問や質問がありました。このリスクを踏まえて同住宅を再建するのか?今後の住民の選択が迫られることになります。と谷さんは伝えています。
いくつか移転を希望している集落や世帯があるようですが、住民ひとり一人が熟考を重ねる時間が必要だと思います。もちろん被災者の人にとっては、早く安心・安全に暮らせる住環境が必要だと思いますが、十分な話し合い、考える時間が必要だと思います。

熊本地震レポート52報でも以下のようにお伝えしています。
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2004年の中越地震災害発生後の集落移転について調査・研究していた東北工業大学の福留邦洋准教授(元新潟大学 災害復興科学センター)にお越し頂きました。福留先生は「集落移転は数種類ある。防災集団移転促進事業のみではない。この集落にとって移転と考えるのであれば、様々な選択肢を考えたうえで皆さんの納得する話にした方がよい。大事なことは、話し合いをしっかりして皆さんが納得すること。お互いが何を考えているのかを出し合っていくことが大切。東 日本大震災では、バラバラになってしまったので話し合いがうまくできなかった。家庭の中でも意見も違うこともある。そこも含めて話し合いをすることが大切。」ということをお聞きしました。
先の中越地震で辛い思いをされた被災者の一人は、「大変でしょうが、あせらないで下さい。じっくり考えましょう!」と、その後に発生した中越沖地震の被災者に伝えられました。
この当事者が、当事者に送られたメッセージは、いつまでも教訓とされています。
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被災された方々も、地域のコミュニティを大切にしながら、どうすればいいのかまだまだ答えが出せない状況です。中越の被災者のメッセージを心に留めながら、あせらずゆっくり住民主体のまちづくりを進めていきたいです。
                                                                               (増島 智子)

 西原村に建設された小森仮設住宅での支援活動が徐々に行われています。今回は「西原村―木もくプロジェクト」(もくもくと読む)を紹介します。なお同プロジェクトを担当されているのが丸山真実さんという女性ですが、当センターの新しいスタッフ(2ヶ月間)として頑張っています。
 これは仮設住宅にお住まいの方々の要望に併せて、棚や踏み台、表札、簡易下駄箱、縁台などを作って差し上げる木工ものづくりのことです。リーダーは地元ボランティアや相談・設計アドバイザーとして尽力されて来た「藤本工務店」さんです。実際に活動をするときにはお二人のつながりから、熊本近隣の木育プロジェクトや林業関係者、建設関係者、技術学校の先生や学生ボランティアに協力してもらいながら、月1回程度で、活動しています。
 
 これまでに7月に2回、8月に2回開催し、仮設住宅で収納スペースが少ないということで、住民さんひとり一人のライフスタイルに合わせながら棚づくりをしてきました。
8月27日(土)~28(日)は2日間で42世帯の方が参加し、天理教防府学生会のボランティアなどに協力頂きながら、棚づくりを行いました。中には、解体する自分の家から床材とテーブルの脚をもってきて新たにテーブルを作る方もいたそうです。解体材の使用は藤本工務店さんのご夫婦がぜひともやりたいと言っていたことのひとつです。それは、解体する家の材を使うことで、思い出の保存につながるように、今後もこういう対応をしていきたい、と願っているそうです。

 また、参加した住民さんの中には日曜大工が得意な人がいて「また教えてやるけん」とうれしそうに話してくれたそうです。仮設に住むお父さんたちを外に出す、生きがいづくりの一環としても定期的にワークショップを開催できればと考えています。

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 同時に仮設での手すりや段差解消などバリアフリーの住まい環境現地調査がありましたが、今後仮設の環境改善の要望が増えることが予想されるので、保健師さんや理学療法士、作業療法士などで発足したJRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)などにも協力を仰ぎながら活動を続けていきたいと考えています。またこのことは、西原村の仮設に限ったことではないので、他の地域でもこのような活動が広がっていけば、うれしいですね。

 東日本の被災地でも仮設に暮らす男性への関わりが少なく苦労していました。そこでボランティアが仮設のはきだしの窓にベランダを住民さんと一緒に作っていました。そうすることで男の人も参加できて、生きがいづくりにつながったケースがありました。ボランティアはあくまでもきっかけ作りで、そこにいる被災者の方が主人公になれるように、熊本の現場でも活動しています。  
                                                         (増島智子)

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