何年か、患者さんとお付き合いをしていくようになると、口腔衛生のことばかりでなく、
他の様々な話もするようになります。初孫の写真を、嬉しそうに見せてくれたり、
卒業式や、結婚式など、人生の節目節目の出来事を、私達、歯科衛生士と一緒に、
分かち合ってくれるようになります。
狭い個室の中で、一時間毎に、繰り広げられる、数々の人生模様。
それは、患者さんとの確固たる信頼関係の上に成り立つものです。
医療従事者として、患者さんと、いかに良い関係を築いていくか、患者さんに
どれだけリラックスして、診療に臨んでもらえるように出来るか。
私達の、歯科衛生士としてだけではなく、人間としての資質が、多いに問われるところです。

立場上、患者さんの健康状態を、6ヶ月ごとに確認しますから、結果として、患者さんの
プライバシーに関する、いろいろなことを知ることとなります。もちろん、診療室内で
交わされた情報は、全て門外不出です。それを前提に、患者さんは、私達を信頼して、
情報を公開してくれるわけです。

患者さんが打ち明けてくれる話は、いつも、楽しい、幸せに満ちたものばかりとは、
限りません。時には、患者さんの話に、図らずも、感情を抑えきれず、涙してしまったり、
診療の終わりに、普通はしなくても、思わず、"がんばって" っと、患者さんを
抱きしめてしまったこともありました。
このようにして、お互いの感情交換を通して、より一層の信頼関係を築いていっているわけです。 

ある日、私は、HIVの患者さんを診療することになりました。
その患者さんは、私にこう言いました。
"私は、HIV感染者で、二十年近く、この病気と共に生きているけれども、この病気は、最悪で
万が一、君に感染させたら大変だから、どうか、僕の歯をクリーニングする時、
細心の注意を払って、慎重に行って下さい。"

いつも、とても朗らで、明るく、おしゃべりな患者さんが、つい最近、子宮ガンとIMG_6434

診断されたと打ち明けてくれました。彼女は、気丈にも、これから始まる抗がん剤治療の
副作用で髪が抜け落ちてしまうのに備えて、今の自分の長い髪で、これからカツラを作って
もらいに行くのだと、笑顔で話してくれました。(写真と本文は関係ありません)

生きて行く限り、避けて通ることのできない、肉親との別れ、それに向かうプロセスで、
両親の介護に奮闘する日々…
もし、私が歯科衛生士という職業を選んでいなかったら、こんなに沢山の人生のドラマに、
接することもなく、そして、そこから学ぶ機会もなかったと思います。
今、歯科衛生士として、毎日患者さんの人生に接し、共に分かち合い、学び、励まし合えることに
医療従事者としてのみではなく、一人の人として、感謝をしながら、
毎日の診療に従事しているところです。


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