ある本にこんなことが書いてあった。
「進化した星から地球にやって来る魂は、来る前に過去の記憶を消される。さもないと彼らは地球に来るなり発狂してしまうから。」
 彼らのいた星ではすべての人々が助け合って平和で幸せに暮らすのが当たり前なのに、地球の人々は自分たちのことしか考えず、争い、傷つけ合い、地球環境を破壊するのが当たり前になっている。彼らの常識は地球では全く通用しない。だから発狂するしかないのだ、と。
 すべてのものは根底で繋がっていて、何一つ無関係なものはない。たとえば地球上の生物の食物連鎖について深く探究してみれば、自分にとって邪魔だからと環境を汚染するゴミをどこかに捨てれば、それは回り回っていつか必ず自分に跳ね返ってくることがわかる。たとえ時間はかかるにせよ、他者を傷つければそれは必ずいつか自分をも傷つける。それは真実とは何かを深く追求したことのある人なら誰にでもわかることである。「自分さえ良ければ」という考えは決して自分のためにならないのだ。けれども地球ではそのことはほとんど無視され、この世で生活していくためには仕方ないのだ言い訳しながら、大多数の人間がこの世の常識に迎合して生きている。そのように自分自身を傷つけながら生きる姿は、真実を知る者の目から見れば狂気の沙汰でしかない。
 人間が本当にあるべき姿とは何か。それは「自然」であることに他ならない。すべての調和を生み出すのが「自然」である。人間は本来自然の一部であって、自分が本当にすべきことをしたいと感じ、本当に食べるべき物を食べたいと感じていたはずだ。ところが現代人はその感覚をほとんど忘れ、常に「この社会において何が自分にとって有利か」を考えて行動するようになってしまった。その結果、人々は自然な環境、自然な食べ物、自然治癒、自然な生き方から大きく逸脱し、「自分たちさえ良ければ」という狂気に陥ってしまったのである。他者を尊重するということは、すなわち本当の自分自身を尊重するということであり、それこそが自分にとって最も幸せで快適な生き方であるはずなのに。
 これまでもこの世の常識に疑問を感じ、世の中の変革を志した人々がいた。ひょっとしたら彼らは進化した他の星からやって来て、消された自分の記憶を思い出した魂たちなのかもしれない。けれども彼らは社会の常識に妥協して生きる多くの者によって潰され、あるいは狂人として扱われるしかなかった。人は自分には理解できない、あるいは理解するのが恐ろしい人を「狂人」と見做す。その人によって自分の常識が覆され、自分がこの世で築いてきたものが崩れ去ることを恐れるからだ。
 けれども今まさに形勢は逆転しようとしている。この世のすべての人が、常識に合わせて生きることがますます辛くなり、あるいは病気になり、あるいは追い詰められつつある。この世の常識こそが「狂気」であったことに、人々が気づかざるを得なくなって来たのだ。今こそ、これまで「狂人」と見做されて来た人たち、自分の中の「狂気」を押し殺すために苦しんできた人たちが、本来の力を発揮するときが来たのである。
 このようなことを言う私自身は、どうして発狂せずにいられるのか、と思われるかもしれない。私もかつて「狂人」と言われたことがあった。1994年に自分が離婚する理由について、そうしなければ戦争が起きてしまうから、と周囲に語った時である。そのことはまさしく真実であったが、この世の常識からはかけ離れていた。周囲の人々を唖然とさせながら私がそれを実行することができたのは、天の助けがあったからだと思う。その後もたびたび他人を驚かせることはあっても、「狂人」扱いされることもなく暮らしていられるのは、おそらく私が女だからだ。女性エネルギーは基本的に受動的である。だから水面下で人々の意識を変えることに貢献することはできても、変革を引き起こすための決定的な働きをすることができない。
 これまで自分の中の「狂気」を押し殺して来た男性は本当に大変だったと思う。この世で「まともに」生きていくために、本当の自分自身を否定して押し込めるしかなかったのだから。今こそその「狂気」のエネルギーを解放するときである。これまでそれを解放したい欲求に駆られることがあっても、そんなことをしたらこの世のすべてはどうでも良くなってしまい、社会において無難に生きていくことができない、と自分に言い聞かせて我慢してきたのではなかったか? しかし今の「無難な生活」は果たしてそれを維持するために努力するに値するようなものだろうか? この世のことなどどうでもいい、と思える瞬間がなければ、社会を根底から変革することなどできない。
 男性が自分の中の「狂気」を解放するためには、それを完璧に受け止めてくれる女性が必要だ。その女性は、男性の「破壊的で暴力的な」エネルギーを「強烈な愛」のエネルギーに変換し、真の変革を惹き起こす。すべての男性にとってそのような女性が存在する。その人が誰なのか、ほとんどの人はもう気づいているはずである。
 時代は今、すべてを変革できる男性エネルギーを切実に必要としている。