カフェと本なしでは一日もいられない。

カフェ通いと読書に明け暮れる日々。 ⓒatelier.sumire.gingetsu

February 2019

「屑の星 粒の星 名のない星々 うつくしい者たちよ」

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cafe STARDUST 店内





IMG_2384cafe STARDUST 店内








IMG_2388スコーンとハーブの香りの白湯。スコーンに添えられているのは、豆乳で作られたクリームとリンゴとレモン、エルダーフラワーのジャム。






IMG_2389すてきな器に入ったチコリコーヒー









◎星の降る夜は言葉も降るいふ とほいむかしの誰かの言葉
            ─咲耶児「匣入娘」より

STARDUSTの店主の清水香那さんがデンマークのSTARDUSTガーデンでふと思い出した、ある宇宙物理学者が話してくれた話。それは、

「私たち人間の身体を形成する細胞を素粒子レベルまで辿っていくと、
星を形成する成分とまったく同じ成分なんです。だから人間も星屑なんですよ」

というもの。
そのとき、バラバラだったパズルがカチッとはまったような不思議な感覚を味わいながら、清水香那さんはこんな風に思います。

「わたしたちは地上の星屑なんだ。わたしの内側に、「星の煌めきが宿っている」、そう感じたら、目の前の景色が静かに輝きだすような、そんな嬉しい気持ちになったのです。訪れてくれた人も、そこで働く私たちも、その場所にいるだけで、なぜか嬉しくなって内側の星のかけらが輝きだしてしまうような、そんな場所を作れたら。。。」

そして、生まれたのがSTARDUST。

『You are stardust on the earth – a beautiful little piece of universe.
あなたは地上の星屑、宇宙の美しいひとかけら。』

前回のブログで『クリスチャニア 自由の国に生きるデンマークの奇跡』(WAVE出版)をご紹介しましたが、本を読んで、STARDUSTにどうしても行きたくなりました。STARDUSTに行くのは初めてではないし、何度も足を運んでいるのですが、毎回、なぜか「はじめまして」の気分。紅茶なのかハーブなのか、店内に漂う微かな香りと天体が奏でる音楽のような音に包まれながら、星のかけらとかけらが吸い寄せられるように、いちばん奥のテーブルに進むと、「はじめまして」の気分は、「ただいま」の気分へと、ゆるやかに転調してゆきます。
高い天井の天窓から、言葉が降るように差し込む光、美しいガラスのコップに注がれたほんのりハーブの香りのする白湯、いつものオーダーのチコリコーヒー。
ふと思いついてテーブルの引き出しを引くと、そこには”The Book of Qualities″という一冊の本。取り出して読んでいたら、「見つけましたね」と笑顔で声をかけられ、「見つけました」と返事を。この本は日本語訳も出ているらしく、タイトルは「ジョイはきれな水を飲む」。きっとこの本も宇宙の美しいひとかけら。
一人のお茶時間を過ごしながら、家に帰ったら、茨木のり子さんの詩集を開こうと思っていました。心にあったのは、「夏の星に」、そして「水の星」、それから、それから──

     夏の星に

  まばゆいばかり
  豪華にばらまかれ
  ふるほどに
  星々
  あれは蠍座の赤く怒る首星 アンタレース
  永久にそれを追わねばならない射手座の弓
  印度人という名の星はどれだろう
  天の川を悠々と飛ぶ白鳥
  しっぽにデネブを光らせて
  頚の長い大きなスワンよ!
  アンドロメダはまだいましめを解かれぬままだし
  冠座はかぶりてのないままに
  そっと置かれて誰かをじっと待っている
  屑の星 粒の星 名のない星々
  うつくしい者たちよ
  わたくしが地上の宝石を欲しがらないのは
  すでに
  あなた達を視てしまったからなのだ きっと
            ─『茨木のり子全詩集』花神社刊より

北欧の小さな国に見つけた、希望の光の物語

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IMG_8692STARDUSTで飲んだチコリコーヒー








お気に入りの場所に星をひとつずつ埋めてゆく。そうすると、街の中に私だけの星座が生まれる。リラダンが友人に語ったコントのように、その星はダイヤモンドのような光を静かに放ちはじめる。
そんな星のひとつが、STARDUST。そしてこれは、STARDUSTからのすてきなメッセージだ。

『You are stardust on the earth – a beautiful little piece of universe.
あなたは地上の星屑、宇宙の美しいひとかけら。』

STARDUSTに行くと、私の中に宿る星のかけらに気づき、心が天空の星とリンクする。そして、懐かしい場所に足を踏み入れたような思いがわき起こり、それはたとえて言うと、瞑想の時間の中で宇宙を旅し、はるか遠い場所にある私の光の場、私のエネルギーフィールドに到達したときのあの感じ。

先日、STARDUSTのオーナーである清水香那さんが書かれた『クリスチャニア 自由の国に生きるデンマークの奇跡』を見つけた。きっとこの中にも、たくさんの星のかけらがちりばめられているはず、そう思いながらページを開く。冒頭の「旅のはじまり」で紹介されるホピ族の「聖なる予言」、東日本大震災を経験した私達へのホピのチーフからのメッセージ、著者の清水香那さんがデンマークに大きな憧れを抱くきっかけとなった「チェルノブイリの原発事故が起きる一年前の1985年に、原発を国民投票で放棄した」という記事のこと。それらは小さな光へとつながり始める。

「2011年3月11日に、東日本大震災と福島原発の事故を経験してから、この日本という国で信じられてきた薄っぺらな「民主主義」というものに、ますます大きな疑問とジレンマを感じるようになっていた私たちは、デンマークに何か希望の光を見たような気がしたのだ。遥か彼方の北欧の小さな国から放たれているその光が、とても眩しく見えた。そして2011年11月、私たちはその「光」を探す旅に出た」

そして、読みながら私も、光を探す旅に同行する。行き先は「クリスチャニア」。

世界で一番幸福な国として注目を集めるデンマーク。その首都コペンハーゲンの中心に、住民たちが創りあげた奇跡の楽園「クリスチャニア」がある。そこは、東京ドーム7.5個分に相当する敷地にある1000人に満たない人々が暮らすフリータウンで、1970年代に、廃墟となった軍の兵舎だった場所をヒッピーや若者たちが占拠したことから始まった。以来、幾度となく存続の危機に襲われながらも、住民たちの団結力でそれを乗り越え、現在に至るまで45年以上も自治区として存続してきたという。
ここでは、デンマークの法律とは一線を引いた「独自の法」が優先されていて、生活雑貨店や飲食店のほか、コミュニティセンターや病院施設も存在し、国歌や国旗もオリジナル。
入り口と出口には、木製の大きなゲートがシンボリックに存在しているが、そこに扉はなく、すべての人に開かれている。そして24時間閉まることはない。

本を読みながら、このクリスチャニアで暮らす人々の声、生き方が、私自身に、私が暮らす日本の未来に、美しいインスピレーションを与え、希望の光を灯してゆく。
そして、旅のおわりには、著者の清水香那さんと写真の稲岡亜里子さんのこんな言葉が記されている。

「途方もない問題を抱えている私たちは、まだまだ学びの途中だが、誰かが誰かを思いやるとき、未来を思い行動に移すとき、いつも見えない光の粒(魔法)が生まれ続けてきたのではないだろうか」

「生きるものすべてが幸せでありますように」

「夢(ビジョン)はかたちになる」

「ひかり輝こう」

読み終えたとき、私の中の欠けていたパズルのピースがストンとはまった!!

「老後をしあわせに生きる。そう決めて生きてきました」

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2月2日の「燈火節」を過ぎ、「節分」の行事を終えると、気持ちは少しずつ春に向かう。冬芽を見つけても、小川のせせらぎの音を聴いても、みずいろの空を見上げても、春はもうすぐそこまで、と思い、気持ちが浮きたってくる。そんな思いに、片山廣子さんの『燈火節』の中にある「或る国のこよみ」の中の「虹を織る」という二月の暦が重なり、さらにさらに、気持ちは浮きたつ。
日も少しずつ長くなってきた。土の中に隠れている球根からは緑の芽が伸び始め、庭のミモザはすでに黄色い花穂をぎっしり付けている。わたしはそこに、生きることのよろこびを重ねてみる。
ミモザの花穂の色から、玉子色を思い浮かべる。そこからさらに、古い雑誌で読んだ玉子色のファッションに身を包んだパリの女性のことを思い出す。
パリ。昼食のレストラン。そこにやってきた、玉子色の帽子をかぶり、玉子色のコートドレスを着ていた女性のすてきな様子と、88歳とは思えぬ見事な食べっぷり。
彼女のテーブルには、ウェイターたちが次々にやってきて、親しそうに握手をしてゆく。
「楽しそうですね」と声をかけると、マダムはこんな風に答える。
「年をとってからしあわせでいられるように暮らしてきました」
「老後をしあわせに生きる。そう決めて生きてきました」
年をかさねてからしあわせでいられるように生きるとはつまり、若き日を大切に、ていねいに生きるということだ。

「もし現在のあなたが自分の夢にほど遠い状態であっても、あせって自分を粗末にしてはいけない。あなたの「美しい年齢」がいつおとずれるにしても、それは若い「今」を大切に生きた上に築かれるのだから」─『虹を織る日々』(熊井明子著 じゃこめてい出版)

という言葉のように。
それにしても、「自分で決める」ということの潔さとその気風のよさといったらどうだろう。そこに私は、「自分で決めたことだから」という沢村貞子さんの口癖と生き方を重ねてみたりする。

☆2月の「すみれ図書室」のご案内。
Twitter、部屋の黒板では、2月11日(日)とご案内しておりましたが、こちらの勘違いで、正しくは2月10日(日)の午後2時からです。この日の「修道院のおやつ」は、十勝カルメル会修道院のチョコレート、パウンドケーキ、クッキーをご用意します。
現在の場所(北区紫野)での開催は2月が最後となり、春からは同じ北区内ですが、上賀茂神社近くでの開催となります。


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