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『修道院のお菓子と手仕事』(大和書房刊1500円+税)





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修道院製のスリッパ






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シスター手作りの針山。スリッパの端切れを使ったリメイクです(非売品)。私の宝物。





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修道院のお菓子箱いろいろ







発売から一ヵ月以上もたってしまい、今更のご案内ですが、『修道院のお菓子と手仕事』(柊こずえ・早川茉莉共著　大和書房刊)が10月25日、刊行になりました。
この本は、北海道から沖縄までの修道院のお菓子と手仕事を紹介したもの。
私は、北海道の修道院を除く、鎌倉から沖縄までの修道院取材と執筆、コラム、記事(「不思議のメダイ教会」「修道院の売店を訪ねるときの作法」、「バザーに行きましょう」を除く)を担当しました。それぞれの担当については、巻末のプロフィールの下に明記してあります。
刊行後、いちばんよく受ける質問が「修道院に直接買いに行ってもいいのですか?」というもの。この答えは、イエス、なのですが、各修道院でも、このことについての問い合わせがよくあるそうです。そんな時は「どうぞ、いらしてくださいね」と返事をして下さっているようですが、修道院には売店があり(といっても、私たちは想像するそれとは違い、応接室のような一室に商品が並べられていて、その部屋で選ぶというスタイルです)、そこで商品を購入出来ます。修道院によって並ぶ商品に違いはありますが、お菓子の他、メダイやロザリオ、ポストカード、帽子、刺し子の布巾、お手玉等、シスター手作りの雑貨もさまざま並んでいます。そして、そのどれもが祈りの手から生れたもの。手に取ると、本当になにものかに感謝したくなるような心あたたまるものばかりです。

今、私の手元には、取材依頼や校正依頼といった事務的な手紙のやりとりを含め、100通以上もの修道院からの手紙のストックがあります。そのほとんどが美しい文字で認められた優しさに満ちたもの。日頃、メールでやり取りすることがあたりまえのようになっていたので、実を言うと、最初は大変だなぁ、と思っていました。ところが、本を作る過程の中で、だんだんこのやり取りが楽しみになり、やがて貴重なことのように思えて来ました。
中里恒子さんのエッセイに「手紙の尊さ」について触れたものがあり、そこに志賀直哉の手紙について、
「清純なあたたかさ、飾りのない品のよさ、そしてまた、文面を殺さずてきぱきと用件を片づけている気持よさ、まことに好い手紙だと思った」
と書かれていますが、修道院からの手紙もまた、そうした尊いものでした。
今、修道院の仕事は手を離れましたが、私の元には、今も時折、修道院からの手書きの手紙が届きます。あたたかい言葉と未来への福音がさりげなく添えられた嬉しい手紙。たくさんの言葉をかわすよりも、たくさんのお礼を言われるよりずっと心に響く手紙──。
修道院を訪ねた時間だけではなく、こうした手紙の一通一通もまた、清らかな福音となって、今も私の心に舞い降り続けているのでした。