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『孤独をたのしむ本』(田村セツコ著 興陽館刊)






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Note in Book  「この世にノートとおしゃべりするくらい楽しいことはありません」




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ここにいろいろと書き込みます





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セツコ先生のサイン入り





『独り居の日記』(メイ・サートン)『独りの珈琲』(増田れい子)『孤宴』(葛原妙子)『一人を生きる才能』(清川妙)など、ザッと書棚を見渡しただけでも、「ひとり」を連想させる本がたくさんある。
その一冊、『孤宴』を抜き取って開き、表題ともなっている「ひとりうたげ」のページを開いてみる。ここに書かれているのは、葛原妙子さんが三月の雛の節句の前の晩にする「ひとりうたげ」。一対の紙雛の前にワイングラスを置き、そこにお雛様のための白酒を注ぐ。お膳は、輪島の沈金彫りの吸い物椀に入れたハコベを刻み込んで焼いたうす焼き玉子。豪勢な料理はないが、桃の花だけはむろ咲きの紅白をとりまぜて豪勢に挿す。

「紙雛の白く平たい顔はいよいよひらたく、わたしは桃の花の蔭に座布団を敷き、その上にぺたりとすわってたばこを吸う。茫々と何本も吸う。その時灰色の髪の毛の私もまた桃の花の色のスェーターを着ている。

 私のひとりうたげとはこの様なものである」

人それぞれ、暮らしの中に、儀式のようなものがあると思う。それは、時間や気持ちの使い方だったり、何気ない所作だったりするのかもしれない。そして、それらは縁取りのレースのように、雰囲気や香りを添えて、その人の人生の風合いのようなものになってゆくものかもしれない。
どう生きるか、ということの中には、ひとりの時間、孤独とどう向き合うか、ということも含まれていると思う。結婚していても、していなくても、家族がいても、いなくても、若くても、年をとっていても、人は「孤独」からは逃れられないからだ。
『孤独をたのしむ本』の中には、文字通り、孤独というものにある虹色の輝きを見つけるための田村セツコさんならではの100の方法、ヒントが詰まっている。目次を眺めているだけでも心がふわふわしてきて、「孤独も使いよう」なんだな、と思えてくる。

・取り乱してやわらかく生きる
・ゆるく考える
・わたしは幸せですと決める
・図書館には沈黙の友がいっぱい
・ちゃらんぽらんに生きる
・人生は想定外の旅
             etc  

ルイーズ・ドリスコルは「心の中に、夢が通える静かな秘密の場所を確保しなさい」と書いているが、心の中に一人の時間のよろこびを育てる場所を持っておきたい。孤独を楽しみ、愛する才能は、そこに蒔いた種から花開くんじゃないかと思うからだ。
この本の中にはまた、「本の中の書き込みノート Note in Book」が特別収録されていて、そこに自分なりの方法を書き込めるようになっている。つまり、「わたくしの薬箱」のように、この本を自分専用にカスタマイズすることも出来るってわけ。

「孤独はおクスリ。あなたを強くするための、おクスリ&ギフトとして受け止めて下さいね。
 孤独あっての、ふわふわです」━━「あとがき」より

☆6月の「すみれ図書室」は、6月24日(日)の午後2時からです。「すみれ図書室通信」の書き下ろしは、中山庸子さん。修道院のおやつは、大分トラピスト修道院のバタークッキーと、こちらは修道院製ではありませんが、岡山県津山市の五大北天饅頭をご用意します。