IMG_706698歳、石窯じーじのいのちのパン』(竹下晃朗著 筑摩書房刊)






_G7A0644竹下晃朗さんのパンは、こねないパン。たたきつけたりせず、優しく扱う。









_G7A0637焼き上がったパンは、全粒粉100パーセントでもごわごわせず、柔らかく、優しい味わい。その秘密のひとつは、手回しの速度で回り、小麦を微粉にする石臼にある。







IMG_6012本を読んだり、ものを書いたり、石窯の設計図を描いたり、竹下晃朗さんの日常はとても忙しい。






京都・修学院に住む石窯パン研究家・竹下晃朗さんの本『98歳、石窯じーじ
のいのちのパン』(筑摩書房)の見本が届いた。
竹下晃朗さんのパンの原点は、生まれ育ったシドニーにある。
竹下晃朗さんは言う。
「私のパンへの思いは、オーストラリアのシドニーで生まれ、育ったことから始まった。毎朝食べていたあたたかいカントリーブレッドの馥郁たる味が忘れられないことが原点であると思う」
幼い竹下少年の舌が覚えた思い出のその味は、何十年という時を経て、多くの人をしあわせにするパンになる。
竹下晃朗さんは、修学院で、雨の日も、風の日も、おいしいパンのことを考え、石臼で粉を挽き、パンを焼いている。だが、竹下晃朗さんは、パン屋さんでも、パン職人でもなく、本職はエンジニア。だから、竹下晃朗さんが焼くパンは、どこかで販売されているわけではない。家族や友人、知人にそのパンが振る舞われることはあるが、あくまでも自分のためのパンである。
そんな竹下晃朗さんに出会ったのは、京都・静原のカフェ・ミレットだった。それは、去年の七草粥の日のことで、そのときのことは今でもはっきり覚えている。

2018年1月7日、この年のカフェ・ミレットの初めての予約客は2組の家族。それが竹下先生の家族と私の家族だった。私たちは少し離れた別々のテーブルだったので言葉を交わすことはなかったが、食事を終え、薪ストーブの前の椅子に座っていらした竹下晃朗さんの姿は一枚の絵のようで神々しく、こっそり写真を撮りたいほどだった。
その後、カフェ・ミレット、竹下晃朗さん、竹下晃朗さんが石窯を設計したいくつかのパン屋さん、たとえば、伏見区のBARLEY LIFE、イルチエロ、左京区のごはんぱん工房つぶつぶ、手塚山のそれいゆ…と、新しいドアが次々に開き、星座のように目に見えないラインがつながって行くことになって行った。

生きていると、たくさんの人、もの、出来事に出会う。そして、いろいろなものを手にすることが出来るが、この手につかんだものを手放して行かなければならないこともある。人生を振り返ってみると、何とたくさんのものを手放して来たことか。それでも、手放さなかったものは、砂金のようにこの手に残っている。その砂金が、角野栄子さんの言う「その人の魔法」になるのだと思う。
そして、竹下晃朗さんの「魔法」は、パンだったのだな、と思う。ただし、それは巷にあふれているリッチな配合のパンとは一線を画した、小麦本来の味がする全粒粉100パーセントのいのちのパンだ。
この世界にはニセモノがあふれている。だから、せめて自分の世界に何かひとつくらいホンモノを据え置いておきたい。竹下晃朗さんに出会って、そんな風に思うようになった。それが私の前に開いた魔法のドアのひとつだったと思う。

☆10月の「すみれ図書室」は、10月27日(日)の午後2時からです。
今月の「修道院のおやつ」は、大分トラピスト修道院のバタークッキー、安心院の聖母修道院のクッキーいろいろ、そして、天使の聖母トラピスチヌ修道院のマダレナをご用意します。
「すみれ図書室」の場所は上賀茂神社隣ですが、詳しい場所については、このブログのコメント欄(非公開です)にご連絡を明記の上お問合せください。あるいは、TwitterのDMまたは、 sumiretoshoinfoアットgmail.com までお問合せください。ただし、このアドレスは案内専用ですので、その他のお問い合わせには使えません。

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