2018年08月12日

花背松上げ

洛北の山村に伝わる精霊送りと火災予防、五穀豊穣祈願の火の祭典。
河原に差し込んだ約千本の松明に一斉点火。
高さ20メートルの大傘に向かってその松明を投げ上げ、大傘に火をつける。
松明の火跡が実に壮観。

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行催事開催日: 8月15日 20:50〜21:45頃 ※小雨決行
行催事開催場所: 左京区花脊八桝町

 

公共交通:京都バス「花脊交流の森前」※日帰り不能。
【問い合わせ】
左京区役所花背出張所: 075-746-0215
京都バス:075-871-7521

 

広河原の松上げはコチラ
8月24日 20:30〜21:40頃 ※小雨決行
洛北の山村に伝わる古い行事で、精霊送りと火災予防、農作物の豊作を祈願する火の祭典。河原や畦道に差し込んだ約千本の松明に点火、高さ約20メートルの大傘へ松明を投げ上げ火をつける勇壮な祭。四方から上がる火が弧を描き、交錯して夜空を焦がす。
https://www.facebook.com/hirogawaramatuage2013

 

送り火ともに火の祭がやってくる
松上げ知らずして 火祭りは語れず
by 五所光一郎

左京区に残る送り火は「松上げ」と呼ばれ、その火の祭典を見ずして火祭りは語れないといえる。
火祭りの大方は松明やお火焚きで、その変容として、火渡り、火筒、山焼きなどがあるが、「松上げ」は火が放り投げられるもので、その美しさに圧倒されて、今もその光景が瞼に焼きついたままである。左京区花背八枡の「松上げ」に出かけた。
おそらく、京都人であっても、祭りの通にならないと、花背までは出かけないようである。まして、お盆の最中であり、大文字さんの前夜15日である。
花背の里まつりとして、地域住民の手で手厚く護られ俗化を免れているのかもしれない。その間隙を縫って、お盆の渋滞道路を尻目に夕闇迫る鞍馬街道に車を走らせ花背に向かう。花背峠を越え、百井別れを経て別所集落に辿り着いた。市内のコンビニで買っておいた握り飯を口に運び、車中で腹ごしらえを済ませる。気もそぞろである。夜9時に一斉点火である。国道とは名ばかりの酷道477号線を走り、大布施(おおぶせ)の集落に入った。
ここから八枡にかけての地域は茅葺民家が点在している。日本で唯一の消防駐在所や地域でただ一つのスーパー「A-COOP」、ガソリンスタンド(モービル)がある。
それだけで安堵が得られる道中をやってきたのである。やはり府道とは名ばかりの腐道美山広河原線を北行すると、山村都市交流の森の先の路肩に車が駐車している。これが目印である。そのあたりに車を留め、徒歩で河原に出ることにした。街頭一つとない山間の漆黒の闇に、地松の炎が揺らぎ道を知らせている。
川のせせらぎが聞こえる。車のテールランプも見えた。松上げの場所が近いと感じる。
更に闇の先に灯りが揺らぎ立ち、人影らしきものが判別できた。八枡の河原であろう。そこに立てられた地松の一本づつに火が点されている。午後9時過ぎである。
次々に炎が立ち、河原の広さ知らせるように、暗闇にどんどんと広がってゆく。
地松の炎が風に流されると、地松と地松の間に火の守をする人の影が浮かぶ。
白煙が舞い上がると、炎に照らされ、やがて白煙は赤く染まっていく。
河原の背後には杉木立があることがわかる。燈呂木場(とろぎば)と呼ぶ河原一帯は、まるで火の海が波打つように、炎と風とが戯れるのである。山間で見るこの光景だけでも感動し癒やされるが、まだまだプロローグである。燈呂木場に刺し立てられた地松の数は約千本だという。その地松は将棋盤のように縦横に規則正しく正方形を描くように刺されている。地松は小さく簡素な松明で、竹の先にヒノキの割り木が縛ってある。

燈呂木場のあちこちで火の守をしていた集落の男衆が燈呂木のまわりに集まってきた。頭は手ぬぐいで鉢巻、法被に腕を通し、手甲脚絆に地下足袋を履いている。その男衆が上げ松といわれる手松明をグルグルとまわしだした。
火の玉が楕円を描いている。あちらにもこちらにも円弧ができている。

一つが天高く投げ上げられた。火の玉は円弧から飛び出すようにダッシュした直線を描いた。
直立している高さ約20m程の檜丸太(燈呂木)の先端につけられた籠(大笠)の方に向かっている。
力尽きたのか火の玉は放物線を描いて地面に急降下した。
次に投げ上げられた上げ松も同様である。観衆からため息が漏れる。

「しつかりせぇー」と声援がとぶ。

鉦、太鼓が鳴るなか、燈呂木の先の大笠めがけて、上げ松が繰り返しあちこちから何度なく飛び交う。大笠に届くか届かないかの上げ松があると、場内がどよめく。
大笠に入ったかと思うと転げ落ちるものもある。
こうして、幾つもの放物線が晩夏の夜空に描き出されるのである。

歓声と溜息が交互に繰り返されていく中、観衆と男衆は、大笠に上げ松を入れる一念で連帯し、いつのまにか一体となっている。
「オッー」と一斉のどよめきが、割れんばかりの拍手が山間にこだまする。
大笠がくすぶりはじめると、次々と入っていく。そして、火の手をあげ、夜空を焦がす神火と化した。

この火は愛宕山への献火となり、火除け、五穀豊穣の祈願が込められた若狭街道沿いの集落に残る伝統行事なのである。

クライマックスのあとにはフィナーレがある。
燈呂木が揺れ動き始めた。燃え盛る大笠が燈呂木もろともドーンと地面に。
火柱が立つ。
その中に燈呂木場に刺されていた千本の地松が投げ入れられた。そして藁が投げられ燃されようとしている。火の勢いは更に増し炎を噴き出した。
夜空を焦がしていた火は大地を焦がす火となり、その姿は川面にも映しだされた。

銀河系を飛び交う幻想の放物線から、灼熱の燃える太陽の映像へと変わった。

エピローグもあった。
燃え盛る太陽に向かって駆け出した男衆が、抱えた竿で炎の中を突き上げるのである。
火の粉は舞い上がり、踊り出す。次々と男衆は挑んでゆく。その度に火の粉が立ち上がり散りばめられるのである。なんと勇壮な姿なのか。

火が落ちると、男衆は伊勢音頭を高らかに練り歩いた。

公衆電話も携帯電話も使えない京都市左京区の秘境より自宅にたどり着いた時は、既に日付は変わっていた。
小生宅のお精霊さんは、松上げの火でお送りできたであろう。

公共交通機関では日帰りはできないばかりか宿もないので、くれぐれもお足の手配を確実にされてお出かけになられるように。

その他、夏の火祭りは、







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