正解発表から二年以上が経ち、覆面7もすでに開催されたというのに、ようやく(今さら…)後書きです。
長いので、一応隠しますね。
■作者名
星野莢

■サイト名&アドレス
莢果堂
http://say-a.com/

■参加ブロック、作品番号、作品タイトル、作品アドレス
Bブロック B09『狐の嫁入り』
http://maskpjt.wp.xdomain.jp/block-6/b-block-6/b09/

■ジャンル
人情もの時代小説

■あらすじ
大工の太吉は火事場で若い娘を助けるが、生来のお人好しが災いして記憶をなくしたその娘と共に暮らす羽目になり……。


■意気込みテンプレを使用された方は、URLを教えてください。
http://blog.livedoor.jp/kyoukadou/archives/51962194.html

■推理をかわすための作戦は?
特になかったです。――、……や「!」「?」が未使用だったり、漢字変換が特殊なのは、時代小説らしくするためですし。
皆さんフェイクフェイク言ってくださいましたがw ジャンルフェイクの意図は全くありませんでした。

■作品のネタを思いついたきっかけは?
今回はストックネタで使えるものがなく、ゼロからのネタだしでした……。
うっかり最初に「八百屋お七」を連想してしまったのが運の尽き、時代ものから離れられず。
そういえば、昔友人たちといつか劇団を旗揚げしようと話していた時に考えていた芝居の劇中劇で、「狐火」って女盗賊が出てきたな、これ使えないかな……。というところからのスタートでした。

■ストーリーの構築において気を使った点、苦労した点などあれば教えて下さい。
最初に考えていた設定では6000字に収まりそうになかったので、設定を削りまくりました。
というか、時代小説は書いたこともなければ自分が書くなんて考えたこともなかったので、なんとか回避しようと他のネタも考えようとしたのですが、思いつきませんでした。覆面6の開催を知った時点で7月も下旬だったので、あまり時間もかけられませんでしたし。
あとは、とにかく時間がなかった!
7月下旬からネタを考え始めて、一週間前から設定を詰めて、まともに書き始めたのは締め切り前日、金曜日の夕方でした。
細かい裏を取りながら、食事と1.5時間の仮眠以外はずっと書き続けました。なので、執筆時間は実質24時間くらい?
実は、太吉とお紺がくっついた時点で、もう時間もないしここまででもいいのでは……とちらっと考えましたが、それだとタイトルの意味が通らなくなるし、そもそも話が全然変わってしまうので、自分を励ましながら書き進めました。
そして初稿を書き上げたのが締め切り一時間前。その時点で7600字を越えていました。
……ここから一時間弱で1600字以上削るの? 元から文字数を抑えてかいているのに? そんな短時間で、矛盾なく削ることなんてできるのか?
と思いましたが、とにかくやらないことには参加できないのだからと、頑張りました!
6000字ちょうどにどうにかまとめた時点で、残り時間は20分を切っていました。
ざっと全体を確認して、なんとかかんとか完成報告を送信。
ここまで危ない橋を渡ったのはさすがに初めてでした。

■削ったエピソードなどありましたか? 作成裏話歓迎です。
最初の予定では、ヒロインは同心と夫婦になるはずでした。
でも、普通の町娘でも一旦武家の養女になってからでないと駄目なのに、何処の誰とも分からない娘とか無理だろうとか、そういう事情を6000字に納めるのは無理だろうとか、回想シーンが多すぎて時間軸が面倒なことになるだろうとか思ったのでやめに。
また、娘を押し付けられるのが自然なように主人公は同心の小者か下っ引きにしようと思ったのですが、小者だと住み込みが多そうだし、下っ引きだと本業があるはずでその説明に文字を割く余裕はないし……ということで、ちょっと無理はあるけど主人公は大工の若者に。
大工なら腕が良くてまじめに働けばそこそこの実入りがありますし、資料も集めやすいというのもあります。
それに、今回文体のお手本にしたのが山本周五郎の『ちいさこべ』だったので、オマージュの意味もありました。
あと、お父っつぁんは本当は「狐火」という「殺さず、犯さず…」の三ヶ条を守る盗賊の頭の予定でした。
お紺に引き込み役をやらせたらもっと大きなおつとめができると手下に言われ、「お紺には関わらせるつもりはねェ」と断ったことが原因でもめた挙げ句刺されます。
「これからはおれが頭だ、おれの言うことを聞け」
「真っ平御免、厭なこった」「何んだとこのアマ」
というところから、冒頭の事件につながるはずでした。……たしかに、まんま鬼平の影響うけまくりだわ。
でも、文字数的に書ききれないのが目に見えていたので、お父っつぁんは独り働きに。
破落戸云々のくだりが取って付けた感があったのは、そのせいです。
あと、お紺が長屋に来た初日にお紺を寝かせた後大工道具の手入れをしながら「どうしたもんか」と考えたり、翌朝井戸端会議中のかみさん連中にお紺のことを頼みに行く場面など、細かいところもいろいろ削りました。

書き上がってから削除したエピソードもありました。
腕の良い大工だった太吉の父親は太吉が五つの頃火事で逃げ遅れて亡くなった……のですが、文字数の都合でカット。
燃えさかる祠に太吉が迷わず飛び込んだのは、そうした事情があったからでした。
また、太吉が色男云々と出てきますが、あの前に、着る物と髪を整えたお紺を見て「好い色の着物だな」と言っておすみさんに気が利かないとどやされるシーンがありました。
「色男」はそれを受けての冷やかしなので、本当は全然色男じゃありませんから!
あと、枕屏風で部屋を仕切って寝る場面とか、同心が小者を連れていた描写もカット。
それと、最初お紺は「おこん」でした。文字数を減らすために漢字にしたのですが、今となっては「お紺」の方がしっくり来ますね。

■その作品の続編または長編化のご予定は?
続編……ではないですが、お紺はいつか太吉に事情を打ち明けるのか気にされている方が結構おられたので、それに関する後日談を後書きに付けようかと思ったのですが、まだ書けていません。
でも、ご想像にお任せする方がいいのかも?

■その作品で気に入っている箇所はどこですか?
なんといってもお父っつぁんですね。
お父っつぁんはもしかしたら故郷に残してきた家族がいたのかもとか、稲荷信仰が盛んな地域の出身だったのかななどと思いながら書いていました。
太吉とお父っつぁんの言葉遣いは微妙に変えています。そういうのも結構楽しかったです。
書き上げた後、しばらく頭の中の言葉使いが江戸弁になっていて大変でした。生粋の関西人なのに。

あと、過去のお題を二つ(+α)ずつ盛り込みました。
・第一回「花」……小花柄の袷、玉簪(髪に咲いた真っ赤な花)
・第三回「空」……暗みかけた空、空を仰いだ、雨粒を落とし続ける空
・第四回「道」……暮れ始めた道、途次、普請場からの帰り道
・第五回「色」……縹色、瑞々しい色気、色男
・第六回「火」……灯火、狐火、火事 等々
本来なら時代や立場を考えると縞の着物を着ているはずのお紺が小花柄の袷を着ているのはそのためです。
……あ、第二回の「星」は、お天道様(太陽)と、中の人が私星野莢と言うことで。


■推理期間中、褒められた点は?
文章をほめて頂くことが多かったかな? あと泣けるとか。
でも、一番嬉しかったのは「時代小説」と言って頂けたこと。ちゃんと時代小説になっているかどうかとても不安だったので、本当にほっとしました。

■推理されてみて、いかがでしたか?
前回もそうだったのですが、ブロック分けが発表された時点ではバレバレだと思っていました。ファンタジーブロック内で私が書きそうな話が他にあまり無かったし、話の内容も時代小説の皮を剥がせばちょっといい家族もので、いつもの私そのまんまでしたし。
なのに、いざ推理が始まるとフェイクとかステルスとか星野さんがいないとか言われてびっくりしました。
正解された方も消去法が多くて、「ここがこうだから、これは星野さん!」と自信満々に当ててくださった方があまりいらっしゃらなくて残念でした。

■正解以外に、あなたの名前があがった作品はありましたか?
B02 誰か
B03 <激情>の魔女
B04 サンシャーラ
B06 闇盗人
B10 Kindling !
B11 夜の灯しびと
あたりが上がっていたと思います。(見落としがあったらすみません。)
鉄板ブロックだった割にはいろいろ上がっていますね。
現代物の多いブロックだったら、もっと紛れられていたかも?

■あなたの作品の作者だと推理された方はいましたか?
深海いわしさん、梶つかささん、市川イチさん、ゆめのみなとさん
だったと思います。その中では、ゆめのみなとさんと間違われた方が多かったような。


■推理してみて、いかがでしたか?
■あなたの推理はどのくらいの正解率でしたか?
推理してないので、この2問はパスします。


■この企画に参加して、改めて気づいたことはありますか?
やっぱり、同じお題でも解釈の仕方、消化の仕方は人それぞれなのだなあと思いました。
みんなちがって、みんないい。

■参加作品の中で印象深い作品をあげてください。
A05 エダの花火
A08 dead???:エンドorスタート
A09 火消し参り
B04 サンシャーラ
B05 人類に炎を取り戻してくれたペンギンのお話
C02 桜都狂騒劇場
D04 アマヤドリズム
D08 火童子
E10 朱樂院家の焼失
E12 プロメテウスの崖
F02 命がけの結婚
F07 火のないところに煙をたてるお仕事です。
F09 千匹皮姫
G07 TOMOSU
G08 恋愛未満コンロ。
……読んだのがかなり前なので、覚えているところで。

■参加作品の中で印象深いタイトルの作品をあげてください。
A01 世界の秘境から 〜夏だ!花火だ!お祭りだ!真夏の六千文字スペシャル〜 今回は通常放送より三千文字拡大版!豪華六千文字にてお届けいたします!
A12 IRCオリンポスログ@プロメテウス炎上

■参加作品の中で面白かった3作品&一言感想、お願いします。
D04 アマヤドリズム
 一期一会って感じがいいですね!
D08 火童子
 異類交流譚っていうのかな? こういうの好きだー。
F02 命がけの結婚
 眼鏡! 眼鏡!


最後になりましたが、拙作を読んでくださった方、感想をくださった方、推理していただいた探偵の皆様、そして主催のネジ子さま。
二年も経って今さらではありますが、本当にありがとうございました!