特許法第29条第2項(進歩性)を理解するうえで、最も容易でない「容易」です。
たしかに、「容易」について理解するのは、容易ではありません。
と、あえてこんなことを言ったのは、特許法上の「容易」と、日常会話の「容易(easy)」は、意味が異なるからです。
「容易」については、多くの弁理士が多数論じています。
このブログでは単にわたしの私見に過ぎませんが、審査官時代にこんなイメージで考えていましたというのを述べてみたいと思います。
******************************
<参考>特許法第29条第2項
特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
******************************
特許法・審査基準上の「容易」(客観)と、日常会話の「容易」(主観)との違いを意識することが大事です。
日常会話で「容易」というときには、通常はその発言者の主観です。
例えば、ある人が「一回で弁理士試験に受かることは容易」と思ったところで、他の人にとっては、全然容易ではないかも知れません。
こんなときに、弁理士試験が容易であると思う人に対して、容易でないことを説得するのは、極めて困難です。
特許の審査においても、同じように考えてみましょう。
仮に、審査官が、主観で容易(easy)と判断し、それで進歩性を否定するとしましょう。
それに対して反論するのは、極めて困難です。
特許法上の「容易」には、客観性を持たせることが必要です。
そこで、審査基準によって、「容易」について、客観性を持たせています。
このようにして、出願人に反論の路を与えたのだと考えることもできます。
審査基準の内容を、簡単にご紹介します。
以下のいずれかで「論理づけ」ができれば「容易」とする。
(1)最適材料の選択・設計変更、単なる寄せ集めに過ぎない。
(2)動機付けとなり得るものがある。
①技術分野の関連性、②課題の共通性、③作用、機能の共通性、④引用発明の内容中の示唆
審査官に「容易」だと判断されたときに、これに反論するには、上記の(1)、(2)による論理づけができないことを主張すればいいわけです。
つまり、「容易」の反対は、「困難」ではなく、「上記の(1)、(2)による論理づけができない」です。
意見書では、このことを、淡々と述べればいいのです。
間違っても、自分の発明を容易(easy)とはけしからん!のように、感情的になってはいけません。
特許法上の「容易」は、このように、特殊な意味です。
にもかかわらず、普通に日常会話でも用いられる言葉であるために、理解が難しくなっています。
(これはある意味、第29条第2項の条文が、第36条第6項第2号違反!?)。
第29条第2項で最も容易でない「容易」、少しは容易に感じてきましたでしょうか。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
東雲特許事務所【東京都港区新橋】【東京都北区田端】
弁理士(特許庁審査官 経験者) 田村誠治
【楽しいホームページ】特許庁審査官経験者が運営する東雲(しののめ)特許事務所
http://www.patande.com/
【画期的な新サービス】最高品質・安心料金の実用新案申請代理<実案ドットコム>
http://www.jitsuan.com/
【画期的な新サービス】信頼・明確・安心の商標登録申請代理<商標ドットコム>
http://www.shohyou.com/
【ここだけの情報満載のブログ】個人発明家向け特許・発明教室~目指せ一攫千金!~
http://blog.livedoor.jp/shinonomepat/
【本音モードのブログ】弁理士のプライベートブログ~弁理士の視点&審査官の視点~
http://ameblo.jp/s-tam1104/
【Facebook】Facebookページはじめました!より密な情報交換の場をご提供します。
www.facebook.com/shinonomepat
【特許の拒絶理由対策ドットコム】特許のプロ向けのサイト、復活?!
http://kyozetu-taisaku.jimdo.com/
【特許の拒絶理由対策ドットコム】特許のプロ向けのブログ、始動!
http://blog.livedoor.jp/kyozetutaisaku/