友人に誘われて高田馬場まで舞台演劇を観に行った。僕はこう見えてもお芝居とかコントとか、そういった類が好きなのだ。高校時代も、演劇部に知り合いなんていないのに一人で観に行った事もある(えぇ糞みたいな学生ですとも)。
 とにかくジャンルは問わず何かを表現したくて、大学では演劇サークルか武道系の部活で最後まで迷っていた程だ。あとサバゲーもやりたかったけど。
 ただ持って生まれたどもり癖と物覚えの悪さで「人の前には立てんな」と思い、拳法をやっているわけだ。

 今日観たのは國學院大學の演劇サークルの舞台だったが、僕には無い「若者らしさ」「演劇に対する気迫や情熱」といったものを感じられて、こちらも何か熱い情熱を貰った感じだ。演技も良い意味での「学生っぽさ」があって好感が持てた。ただそれと同時に「同年代がこんなにハツラツと何かに打ち込んでいるのに、俺は今まで何をしていたんだ」と、何やら気が滅入ってしまった。建物から出てきた時、空は重い色をしていた。空よ、お前も嘆いているのか。

 来週から拳法部の合宿が始まる。それを考えるとさらに気が落ち込む。
 しかし、武道を選んだのは僕自身だ。そして僕は拳法が好きだ。今度の合宿だって乗り切ってみせるという気概は持っている。心が折れてはいけないのだ。
 今日、名も知らぬ同年代の人達から情熱を貰った。煌々と燃え滾る情熱を。そうだ、僕も打ち込める物を持っているのだ。拳法だ。僕は武道家だ。
 危ない役目は真っ先に引き受けるのだ。女性、子供、老人、弱い人を守るのだ。喧嘩が始まったら仲裁に入るのだ。悪さをする奴がいたら懲らしめるのだ。それが武道家の「表現」だ。武道家もまた表現者。今は、畳の上で情熱的な演技をしたいと思う。