一昨日、品川の全社連研修センターで、「患者の声を医療政策に反映させるありかた協議会」主催の勉強会、「医療基本法の制定を 今こそ!」(共催:患者の権利法をつくる会、H−PAC医療基本法制定チーム)が開催されました。
 共催三団体それぞれの医療基本法についてのプレゼンと、日本医師会今村定臣常任理事による日本医師会「『医療基本法』の制定に向けた具体的提言」の説明に続き、3団体共同骨子が発表されました。



医療基本法 共同骨子

患者の声を医療政策に反映するあり方協議会
患者の権利法をつくる会
医療政策実践コミュニティー・医療基本法制定チーム
2012年4月15日

 2012年に開催した「医療基本法制定に向けて。今こそ!」の主催・共催3団体は、医療基本法の早期制定が必要であるとの考え方で一致し、「医療基本法共同骨子」を策定した。超党派の国会議員による議員立法により、広く速やかな意見聴取と合意形成により、迅速な制定を望むものである。
趣旨
 患者にとって質の高い医療があまねく提供され、国民の救われるはずの命が救われ、取り除かれるべき苦痛が取り除かれ、病気になっても病気と向かい合っていきていける社会を、国民が力を合わせて実現することが急務である。
このため、高度の公共性に則った、患者本位かつ相互理解に基づいた医療を構築することで、憲法25条の生存権と憲法13条の幸福追求権が具現化されるよう、下記の6項目を骨子とした医療政策のグランドデザインたる「医療基本法」を制定する。
骨子6項目
1 医療の質と安全の確保
 患者・国民が質の高い安全な医療を、十分な情報提供と納得の下に、あまねく受けられるよう、医療提供等にとって必要な対策を実施する。
2 医療提供体制の充実
 必要な医療従事者を育成し、診療科や地域による偏在を是正し、医療機関の整備と機能分化・適正配置を進め、十分に連携された切れ目のない医療提供体制を実現する。
3 財源の確保と国民皆保険制度の堅持
 負担と給付のバランスに関する国民的合意を形成し、医療の質とアクセスのために必要な財源を確保し、国民皆保険制度を維持・発展・強化する。
4 患者本位の医療
 世界保健機関(WHO)の国際的な理念と日本国憲法の精神に沿って、患者の権利と尊厳を尊重し、患者本位の医療が実現される体制を構築する。
5 国民参加の政策決定
 患者・国民が参加し、医療の関係者が患者・国民と相互信頼に基づいて協働し、速やかに政策の合意形成が行われ、医療を継続的・総合的に評価改善していく仕組みを形成する。
6 関係者の役割と責務 
 国、地方公共団体、医療機関、医療従事者、医療関係事業者、医療保険者及び患者・国民等、それぞれの立場が担う役割と責務を明確にする。


 これを踏まえて、民主党の鈴木寛氏、自民党の石井みどり氏、公明党の渡辺孝男氏、みんなの党の川田龍平氏、社会民主党の阿部知子氏の各国会議員から、日本の医療が抱えている問題点、医療基本法制定の必要性についての考え方が語られ(日本共産党のみメッセージの代読)、ディスカッションが行われました。各議員とも、まだ党として議論しているわけではなく議員個人の考えという留保付きではありましたが、この三団体共同骨子に全面的に賛同し、制定に向けて努力することを約束していただきました。

 もちろん、私たちの問題意識が各政党に伝わり、法制定が現実のものになるためには、国民的議論の盛り上がりが必要です。また、そういった議論を経て制定されてはじめて、ほんとうに医療関係各法規を主導する親法としての基本法になり得る、と私は思います。
 今年の11月10日(土)には、福岡でも医療基本法のシンポジウムを予定しておりますので、是非、おおくのかたのご参加をお願いいたします。