前回のエントリーでお伝えした感染症法改正問題について、患者・感染者に対する刑事罰を行政罰に改めることで与野党が合意したとの報道がなされています。
 刑事罰が行政罰になったところで、問題は解決しません。改めて、患者・感染者を処罰の対象とすることに強く反対します。

 患者の権利法をつくる会では、この問題について、再度、意見書を提出しました。内閣総理大臣・厚生労働大臣には処罰規定の削除を、与党議員には慎重審議を、野党議員には徹底して反対することを求めています。
 この意見書でも言及していますが、この問題には、様々な団体から反対の意見が表明されています。このエントリーにリンク集をつくりましたので、是非、ご活用ください。特にリンクの了解を得ているわけではありませんが、いろいろな場所に拡散されるのは、意見を発表した団体の望むところだと思いますので。

 病気による差別・偏見の対象とされてきた人たちから、患者・感染者に対する人権侵害であるという観点から反対意見が表明されている(⑪、⑫、⑮、㉒、㉕、㉙、㉞、㊱)だけではなく、医学界から、感染症蔓延防止対策として却ってマイナスであるという意見が表明されていること(①、②、③、⑤、⑥)、感染症蔓延防止の第一線で活躍している保健師関係団体及び保健所長会も、このような法改正によって活動しにくくなることを指摘していること(㉗、㉘、㉝)が注目されます。

 いったい誰が、いかなる理由でこのような処罰規定を設けることを主張しているのでしょう。
「罰則をつければみんなルールを守るだろう」などという幼稚な考え方に基づくものであれば、まったくナンセンスです。ましてや、新型コロナ対策が効果が上がっていないことに対する国民の苛立ちを、患者・感染者に転嫁させようとする狙いであれば言語道断というほかありません。

 以下、リンク集です。

埠頭
① 一般社団法人日本医学会連合(1月14日) 
② 一般社団法人日本公衆衛生学会・一般社団法人日本疫学会(1月14日)
③ 日本社会医学会(1月14日)
④ 憲法共同センター(1月15日)
⑤ 全国保険医団体連合会(1月18日)
⑥ 患者の権利法をつくる会(1月18日)
⑦ 一般社団法人日本エイズ学会(1月18日)
⑧ 日本医療福祉生活協同組合連合会(1月18日)
⑨ 新日本医師協会(1月19日)
⑩ 公益社団法人日本医療社会福祉協会(1月19日)
⑪ 医療問題弁護団(1月20日) 
⑫ 改憲問題対策法律家6団体連絡会(1月20日)
⑬ 石川県保険医協会会長声明(1月20日)
⑭ 京都府保険医協会副理事長談話(1月20日)  
⑮ 日本医療労働組合連合会中央執行委員会(1月21日)
⑯ 全国「精神病」者集団(1月22日)
⑰ 障害者権利主張センター・絆(1月22日)
⑱ 日本弁護士連合会会長声明(1月22日)
⑲ ハンセン病家族訴訟弁護団(1月22日) 
⑳ ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会(1月22日)    
㉑ ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会(1月25日)
㉒ 薬害オンブズパースン会議(1月25日) 
㉓ 患者の権利オンブズマン東京(1月25日)
㉔ HIV/エイズ分野NGO/NPO有志声明(1月25日)
㉕ 一般社団法人日本看護系学会協議会(1月25日)
㉖ 新日本婦人の会(1月25日)
㉗ 薬害肝炎全国原告団・弁護団(1月26日)
㉘ 第一東京弁護士会会長声明(1月26日)
㉙ 医療事故情報センター理事長声明(1月26日) 
㉚ 全国ハンセン病療養所入所者協議会(1月26日) 
㉛ 一般社団法人日本公衆衛生看護学会(1月26日)
㉜ 一般社団法人全国保健師教育機関協議会(1月26日)
㉝ 日本保健師活動研究会(1月26日)
㉞ 認定NPO法人日本障害者協議会(1月26日)
㉟ 憲法改悪阻止各界連絡会議(1月26日)
㊱ 茨城県弁護士会会長声明(1月26日)
㊲ 愛知県弁護士会会長声明(1月27日)
㊳ 全国保健所長会(1月27日)
㊴ 東京/大阪HIV訴訟原告団・弁護団(1月27日)
㊵ 仙台弁護士会会長声明(1月28日)
㊶ 岩手県弁護士会会長声明(1月28日)
㊷ 全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団(1月28日)
㊸ 真宗大谷派(1月29日)
㊹ 憲法研究者有志一同(1月30日)
㊺ 全日本民主医療機関連合会(2月1日)

 なお、患者の権利法をつくる会のほか、ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会や、医療事故情報センター等複数の団体が、刑事罰を行政罰にするという方針転換を受けて、改めて反対の意見表明を行っています。