九州合同法律事務所

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ニュース

大野城市生活保護訴訟勝訴の報告

 先日の北九州市での生活保護訴訟に引き続き、当事務所の2名の弁護士が関わっていた大野城市における生活保護訴訟で勝訴することができましたので報告させていただきます。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/75020

(以下、西日本新聞記事より引用)

 福岡県大野城市が、生活保護受給者の女性(79)に誤って払いすぎた保護費約30万円を返還するよう求めたことの適否が争われた訴訟の判決で、福岡地裁は11日、市の返還命令を取り消した。
 判決で平田豊裁判長は、市が誤りに気付いて返還請求を決めた際、女性の生活実態や払いすぎた分の使途を調査しなかったと指摘し「全額返還によって女性の自立を阻害するかどうか考慮しておらず、返還命令は合理性を欠く。裁量権の逸脱があった」と判断した。


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北九州市生活保護訴訟勝訴の報告



 先日、当事務所の弁護士2名が弁護団の一員として関わってきた、北九州市の生活保護費返還処分の違法性が争われた事件で、処分を取り消すとの判決が出ましたので、ご報告です。

http://mainichi.jp/select/news/20140301k0000m040118000c.html

(以下毎日新聞記事より引用)

 生活保護受給者の男性が、北九州市に保護費約70万円の返還処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は28日、返還の取り消しを命じた。平田豊裁判長は、返還額から控除される自立更生費を市が考慮していなかったとして「社会通念に照らし妥当性を欠き、裁量権の逸脱がある」と決定を違法と判断した。
 訴えていたのは、同市八幡東区の柳田伸さん(65)。判決によると、1994年ごろに心筋梗塞(こうそく)を発症し、2008年6月にも心不全で入院した。仕事を辞め生活保護を受給後、県民共済の入院給付金計約78万円を受け取った。生活保護受給者の医療費自己負担はないため、ほとんどは共済などを解約するが、柳田さんは将来の自立を目指し継続していたという。
 これに対し、八幡東福祉事務所は11年4月、給付金は収入にあたるとして診断書料などの経費を差し引いて返還を命じた。
 平田裁判長は柳田さんが疾患を抱えながらエアコンを持たず、ケースワーカーにも「水風呂に入っている」などと話していたと指摘。「エアコン購入費は自立更生費として認められる余地が十分あり、返還額が異なった可能性が十分ある」として、判断を欠いた決定の取り消しを命じた。
 記者会見で柳田さんは「市は控訴しないでほしい。亡くなった母の納骨費用がなく、遺骨は家にある。納骨費用や電動自転車購入などの要望も認めてほしい」と語った。北九州市は「判決内容を精査し、関係機関と協議して対応を検討したい」とコメントした。

 
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医療法に「患者の責務」条項を新設!?

 厚労省は、12月11日に開催された厚労省社会保障審議会医療部会に、第6次医療法改正にあたり、「国民(患者)の役割・責務」の条項を追加するという案を提示したようです。
 結論的にいえば、私は、医療法にこのような条項を設けることには反対です。国民の医療に関する基本的人権、患者の権利を法律で明確にしないままに「国民(患者)の役割・責務」の条項を設けることは、患者の権利を脅かすものであると言わざるを得ません。

 この日の部会に事務局から提出された資料1「病床機能報告制度及び地域医療ビジョンの導入を踏まえた国、地方公共団体、病院、有床診療所及び国民(患者)の役割・責務について」は、本年8月6日に発表された社会保障制度改革国民会議報告書から以下のような文章を引用します。
……医療改革は、提供側と利用者側が一体となって実現されるものである。患者のニーズに見合った医療を提供するためには、医療機関に対する資源配分に濃淡をつけざるを得ず、しかし、そこで構築される新しい提供体制は、利用者である患者が大病院、重装備病院への選好を今の形で続けたままでは機能しない。さらにこれまで、ともすれば「いつでも、好きなところで」と極めて広く解釈されることもあったフリーアクセスを、今や疲弊おびただしい医療現場を守るためにも「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という意味に理解していく必要がある。そして、この意味でのフリーアクセスを守るためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は必須であり、そのためには、まず医療を利用するすべての国民の協力と、「望ましい医療」に対する国民の意識の変化が必要となる。

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患者の自己決定権と飲酒運転撲滅条例

 福岡県議会が、「飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」を可決したとのことで、新聞記者の方からコメントを求められました。
 この条例についてはまったく初耳で、どうしてわたしのコメントがほしいのか、最初はよく理解できなかったのですが、実は、患者の権利にかかわることでした。
 この条例の8条は、道路交通法上の酒酔い運転あるいは酒気帯び運転を犯した人(条例ではこれを「違反者」と呼びます)に、知事の指定する医療機関でのアルコール依存症に関する受診義務を負わせています。また、その違反者が、一定期間内に再び違反者となったときには、原則として、受診義務を負うだけではなく、知事に対して診断結果を報告する義務を負います。そして、知事が、受診及び報告を行うべき旨と受診の期限を通知したにもかかわらず、正当な理由なく期限内に受診しないときには、知事は期間を定めて受診を命令することができます。
 この命令に違反した場合、5万以下の過料に処せられます。
 飲酒運転撲滅条例は他の自治体でも例があるようですが、罰則付きのものは、どうやらこの福岡県条例が第一号のようです。このように罰則付きで受診を強制することは、患者の自己決定権侵害として憲法に違反するのではないか、というのが、コメントを求めてきた新聞記者の方の質問でした。
 その可能性が大きい、と思います。

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