2026/08/09 蒲田にある大田区民ホール「アプリコ」 大ホールに、OrchestraDandelion 第5回演奏会 ムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲) 「展覧会の絵」その他の演奏会を聴きに行きました。その感想・レビュー。
Dandelion
<目次>
【1】フーゴ・アルヴェーン
【2】当日の公演の感想・レビュー
【3】キャスト&スタッフ
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【1】フーゴ・アルヴェーン

 今回のプログラムの1曲目にある、スウェーデンのフーゴ・アルヴェーンという作曲家は実は初めて聞きました。例によって、ネットで少し調べてみました。

 「フーゴ・アルヴェーン(Hugo Alfvén, 1872年- 1960年)は、スウェーデンを代表する後期ロマン派の作曲家、指揮者、ヴァイオリニスト、そして画家です。ヴィルヘルム・ステーンハンマルと並び、スウェーデン音楽の黄金期を築いた重鎮として知られています。
 スウェーデンの豊かな自然や民謡を巧みに取り入れた、色彩豊かで親しみやすい作風が特徴です。

<主な代表曲>
・スウェーデン狂詩曲 第1番《夏至祭の徹夜祭》:彼の最も有名な作品で、スウェーデン民謡の旋律を用いた陽気で華やかな管弦楽曲です。
・交響曲第2番・第4番:生涯で5つの交響曲を残しており、特に第2番や、ソプラノとテノールのヴォカリーズを伴う第4番《海辺の岩礁の物語》が高く評価されています。
・バレエ音楽《山の王》:劇中曲の「羊飼いの娘の踊り」は、単独でもよく演奏される人気曲です。
・合唱曲《我が庭の奥に》:合唱指揮者としても活躍した彼による、スウェーデンで今も愛され続ける民謡編曲です。」

 個人的にオペラや声楽作品が好きなので、そういう作品を作っているのかを聞いてみました。オペラは作曲していないようですが、声楽曲は多いようです。

 「彼の「声楽作品」と「オペラに近い毛色の作品」の代表例は以下の通りです。

 1. 歌曲・声楽作品(彼の本領)
 アルヴェーンは、スウェーデンの情感豊かな詩に曲をつけた、美しい歌曲(ロマンス)の大家です。ピアノ伴奏版のほかに、自身で色彩豊かなオーケストラ伴奏に編曲した「管弦楽伴奏付き歌曲」も有名です。

・《森は眠る》(Skogen sover, 作品28-6):彼の歌曲の中で最も有名で、北欧の静けさと美しい愛を歌った傑作です。
・《夕暮れ》(Aftonstämning):哀愁を帯びた旋律が心に響く、初期の代表的なロマンスです。
・《さあ、私の心を受け取って》(Saa tag mit Hjerte):1946年に後半生の妻へ贈るために作曲された、今もスウェーデンで広く愛される愛の歌です。

2. オペラのように「歌手」が主役を演じる管弦楽曲
 アルヴェーンは、劇的なストーリーをオペラではなく「交響曲」や「劇音楽」の中に声楽を組み込む形で表現しました。
・ 交響曲第4番 ハ短調《海辺の岩礁の物語》
 実質的な「オペラ風交響曲」です。ソプラノとテノールの2人の歌手が登場します。
  ただし、歌詞(言葉)はなく、「ヴォカリーズ(母音だけで歌う手法)」で歌われます。2人の男女が荒れる大自然の中で愛を育み、やがて悲劇を迎えるストーリーが、オペラさながらの壮大なスケールで描かれます。
・カンタータ・劇音楽作品
 『ウプサラ・カンタータ』など、特定の記念祭や祝典のためにソプラノ、バリトン、合唱と管弦楽を用いた大規模な声楽曲をいくつも残しています。」

 まだまだ知らない作曲家や作品も多いです。
 《森は眠る》(Skogen sover)は、Youtubeで聴いてみましたが、今回の《夏至祭の徹夜祭》と同じく6月の夏の夜の話で、北欧の人が短い夏に求める希望が抒情的な旋律の上に流れる、美しい曲です。 交響曲第4番 ハ短調《海辺の岩礁の物語》も面白そうで、どこかで聴いてみようと思います。

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 前日に、入場無料のコンサート(ベートーヴェンの5,6,9番)を聴いてとても楽しかったので、空いている翌日にも、何かそのようなコンサートが無いか探したところ、運よく今回のコンサートを見つけました。実際は格安で入場料1,000円とあったのですが、さらに前日までは特別なクーポンコードを入れると実質無料になる、ということでこちらも無料で聴かせてもらいました。ムソルグスキーの「はげ山の一夜」や「展覧会の絵」等は大好きな曲です。日ごろ管弦楽のコンサートにあまり行かないので、今回は生演奏を聴くのを楽しみに出かけました。

【2】当日の公演の感想・レビュー

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 会場はJR京浜東北線の「蒲田駅」から5分位のところにある、大田区民ホール「アプリ子コ」大ホール。何度か訪問したことがあるので、迷わず行くことができました。

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 こちらが入り口。「アプリコ(APRICO)」は、イタリア語で「杏(あんず)」を意味する言葉と、大田区の花である「梅(Japanese Apricot)」、そして「Art Prism in the City of Ota」の頭文字を掛け合わせて名付けられましたそうです。アプリコットの意味とは知りませんでした。

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 ロビー。右奥の方が入り口です。
 左手前には、出演者への贈り物もたくさん受け付けられていました。

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 大ホールは結構広く、座席数全1477席もあるみたいです。
 自由席なのですが、この日は少し出遅れたため、いつも座るようなサイドの通路側の席は一杯でした。
 思い切って中央からやや後のど真ん中の席に座りましたが、前に人が来なかったこともあり、舞台はとてもよく見えました。

 演奏時間の案内はありませんでしたが、14:00に開演。第1部が、三曲50分、15分の休憩後後半が展覧会の絵で40分弱、アンコールがおそらく10分程で、大体16:00頃に終演でした。
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 大編成のオーケストラで響きもよく、迫力ある音楽がとても素晴らしく、楽しい時間を過ごさせてもらいました。後半の「展覧会の絵」は、背景にAI生成の絵画が投影され、本当に「展覧会の絵」を鑑賞しながら音楽を聴き、次第に不思議な異次元世界に突入していくような体験がユニークでした。アンコールの「アルルの女」も大好きな曲で、リズミカルかつ迫力のある「ファランドール」を楽しませてもらいました。

アルヴェーン/スウェーデン狂詩曲第1番「夏至の徹夜祭」
 民謡調の、どこかで聴いたことのあるような音楽(「今日の料理?」)のメロディからはじまり、だんだん高揚していくが、その後静けさへと移行し、やがて恐らく朝を迎え、また楽しく闊達な雰囲気が舞い戻り明るく終わる、夏至の一夜の物語が音楽で語られます。
 最初のメロディは、「今日の料理」の音楽に似ているのですが、その「今日の音楽」の作曲者は、冨田勲氏らしいです。(冨田勲は、「リボンの騎士」のテーマ曲がオペラチックで実に素晴らしい作品だといつも思っています) 各楽器がいろいろに持ち回るように演奏するのですが、どのパートの方もしっかりとした演奏で、楽しいメロディを愉悦的に奏でていて見事でした。
 途中、どういったらいいのか、二種類のリズムが混じるところがあり、とてもユニークなのですが、そこの「変拍子」的なリズムもきちんと演奏されていました。
 後で調べると、途中音楽が静かになるところは、夏至祭の祭りから抜け出した恋人二人が神秘的な夜が明けるのを一緒に過ごす場面とか。ロマンチックな北欧の一夜が目の前に浮かぶような曲でした。

ムソルグスキー/はげ山の一夜
 ロシアの民間伝承である「聖ヨハネ祭(夏至の時期)の前夜、禿山に魔物や悪霊が集まって狂宴を開く」という話を音楽で描いたもの。今回の演奏は、一般的に演奏される「夜明けの鐘と静かな結末」がある、リムスキー=コルサコフ版。
 演奏はとても迫力のある演奏で、短く刻む弦の不安定な響き、金管楽器の咆哮、効果的な打楽器など、とてもパワフルな響きがホールいっぱいに広がるのも、生演奏ならではです。
 
リムスキー=コルサコフ版でききやすくなっていますが、ムソルグスキーって、本当に人には聞こえていない音が聞こえていたのだろうなと思います。

ラヴェル/ラ・ヴァルス
 恥ずかしながら、この曲も初めて聞きました。 ラヴェルの管弦楽作品というと「ボレロ」位しかしらないのですが、この曲はウィーン風のワルツで、ちょっと「ばらの騎士」の世界も思い出します。
 オーケストレーションの色どりが実に見事な点は「ボレロ」同様で、作曲者ラヴェルの技量の確からしさを十分感じる作品です。そして、演奏もそれに応じ、鮮烈な色彩を見事に感じるものだったと思います。
 最後、狂乱のクライマックスを迎えて終えるのですが、その響きもなにか「ばらの騎士」の一部にも似ているかも知れない、などと思いながら聴かせてもらいました。

ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲"展覧会の絵"
 休憩のあと、最終曲は、ムソルグスキーのピアノ曲を、前述のオーケストラの達人ラヴェルが編曲した組曲「展覧会の絵」。今回は「各局から着想を得てAIで作成した絵画をスライドで」舞台の後ろに投影されるのを見ながら、音楽を聴くという面白い趣向の演奏でした。
 さらにそれぞれの楽曲とその絵について、プログラムでも詳しく解説されていて、とても音楽の内容がよくわかるものでした。

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 「プロムナード」はいろんな場面で登場する音楽で、展覧会の入り口や、廊下など、最初は具体的な場所を歩いている様子で示されますが、最後には見てるという雰囲気が消えて、絵画の中に、すなわち歴史や記憶の大きな流れの中に消えていくという構造がプログラムに記載されていました。なるほど音楽的にも、この「プロムナード」の音楽は最後には出てこなくなってしまうのも納得できる解釈です。

 各場面の「絵」を少し載せさせてもらいます
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 最初の絵に出ている不気味な小人、グノーム。こういう「不気味なもの」「無意識な不安」に対するムソルグスキーの音楽は実に絶妙です。

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 6番目の絵の「金持ちと貧しいユダヤ人」。管弦楽の堂々たる低温と弱音気をつけたトランペットのちょっと詰まった甲高い音の描写が実に見事です

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 第9曲の「ババ・ヤ
ガ」。「バーバ・ヤーガ」とは、ロシアを含むスラヴの民間伝承に登場する、森の奥に住む恐ろしい魔女(老婆)のことです。ちなみに、ゴーゴリに「ヴィー」という化け物の話に出てくる妖怪も、この一種ではないかと思うのですが。

 この
「バーバ・ヤーガ」と「キーウの大門」は昔ブラスバンドで演奏に参加したことがあり、ちょっと懐かしいです。

 今回の演奏もとても、立派な音で、各楽器のソロの部分も非常に上手く、本当に立派な演奏でした。ラヴェルの編成によるこの展覧会の絵は、ある意味オーケストラの魅力を十分に伝える名曲だと思いますが、その魅力を余すことなく伝えてくれる演奏でしたし、絵画と一緒に鑑賞するという新機軸もとても理解を深めるもので感心するものでした。

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 アンコールは、ビゼーの「アルルの女」の第2組曲から、3曲目のメヌエットと4曲目のファランドール。これも好きな曲です。
 指揮者の
藤田淳平氏が「アルルに行ったことがある方」と会場に問うていましたが、ほぼいない状態。私も行ったことがありません。なかなかこの辺を旅行で訪問する方は「通」の方だと思います。 藤田氏は、滞在したことがあるらしいですが、伝統・歴史はあるが、南仏的な田舎でのんびりしたところ、でも最近は発展が目覚ましい、という特徴らしく、日本(東京)でいえば、蒲田にあたるところとおっしゃっていました。本当でしょうか?

 メヌエットは、小学校のころ、給食の時間になるとこの曲が流れ懐かしく聞きましたが、フルートのソロがとても見事でした。最後のファランドールは、第1組曲にある「王の行進」の悲劇的なメロディが、アルル地方の舞踏音楽・とても速いテンポのファランドールの響きに交錯し、クライマックスでその二つが溶け合い昇華していく音楽がとてもリズミカルに響きます。最後まで溌剌した演奏で、本当に楽しませてもらいました。

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 (アンコールからは写真撮影OKということで、最後のアンコールを全曲録音されていた方もいらっしゃいました。私は控えめに写真のみ)

 オペラでも市民オペラでいろいろ感心し、逆に大劇場では感じない感動を得ることも多いですが、アマチュアの管弦楽でも同じように非常に熱意が伝わ
る音楽が心打ちます。
 二日続けてアマチュアの管弦楽団を聴かせてもらいましたが、こちらも癖になりそうです。

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 OrchestraDandelion の第6回演奏会は、来年の8月22日、かつしかシンフォニーヒルズ・モーツアルトホールとのこと。来年も空いていたら(オペラの公演も盛んなのでなかなか空かないかもしれないですが)ぜひ訪問したいです。
 また、他のアマチュアの管弦楽団の案内もいろいろあり、やはりお値段は財布に優しいものが多いので色々調べてまた訪問してみたいと思っています。

【3】キャスト&スタッフ

<演目>
アルヴェーン/スウェーデン狂詩曲第1番「夏至の徹夜祭」
ムソルグスキー/はげ山の一夜
ラヴェル/ラ・ヴァルス
 ~休憩~
ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲"展覧会の絵"
 ~アンコール~
ビゼー/「アルルの女」第2組曲
 Ⅲ.メヌエット  Ⅳ.ファランドール


<演奏>
指揮:藤田淳平
管弦楽:OrchestraDandelion

Orchestra Dandelion
 東京都内で活動するアマチュアオーケストラ団体。 元々は"交響楽団たんぽぽ"という名称で活動。コロナ禍を機に心機一転し、Orchestra Dandelionとして活動する。