すぐにアイシングする方がいます。
その数は決して少なくありません。

すぐに「アイシングしろ」という治療家もいます。
その数も決して少なくありません。

しかし、自然治癒力を正しく理解する者は、アイシングが人間の持つその偉大な力を発揮するのを妨げる行為であることを深く理解しています。


確かに人間の身体には、冷やすとその後に温かくなる「反熱作用」があるのは私も知っています。

しかし「どのくらいの温度で冷やすのが適切か?」「どのくらいの時間をかけるのが適切か?」確実に治せるアイシング方法を正しく答えられる治療の専門家がどれだけいるでしょうか?

私には答えられません。

確かに冷やせば痛みは一時的に無くなるのかもしれません。
しかし、それは痛みを鈍化させごまかす手段に過ぎません。

痛みを取り除くことが、治療においてまず最優先させるべき事項であることは、十分に理解しています。ですので、「赤く腫れたり」「ズキズキと我慢ならない痛み」がある場合に限り、アイシングは有効だと考えています。

一方、痛んでダメージを負って疲労した組織には、血流を多くして患部にいちはやく酸素と栄養分を届けなければなりません。
これは生身の身体が持つ自然の摂理なのです。
その動きを止めようとするアイシングは、回復のエネルギーを奪ってしまう行為なのです。

また、アイシングがケガや故障の回復を遅らせる行為というだけであれば、まだいくぶんか救われます。
筋肉や腱、靭帯といった軟部組織に度を超えた冷却を施すと、縮んだ状態でロック(拘縮)してしまうことがあるのです。特に損傷を受けた軟部組織については、そのリスクが格段に高まります。

筋肉が拘縮するとどうなるかは、過去記事をご覧いただければご理解いただけると思います。

→【過去記事】「筋肉が拘縮するとどうなるか?

人間は機械ではなく生身の身体です。
研究室の実験から導かれた理論通りに動くとは限らないのです。

多くの反発・異論を受けることを覚悟で敢えて言います。

アイシングを捨てる勇気を持つ者から、故障・ケガのループから抜け出ることでしょう。


余談ですが、アイシングに熱心なある五輪アスリートが金メダルを獲ったその後、故障がちで成績もパッとしないのが気になっています。私はその原因をアイシング信仰による筋機能の低下ではないかとみています。