反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル」号船長でニュージーランド人のピーター・ベスーン容疑者(44)が12日、艦船侵入容疑で海上保安庁に逮捕されたことを受け、捕鯨関係者からは「当然のこと」と厳しい対応を求める声が相次いだ。一方で、逮捕が格好の宣伝になり、妨害が繰り返されることを懸念する関係者もいた。SS側は豪州やニュージーランドの反捕鯨世論をあおる姿勢を強めており、逮捕で調査捕鯨をめぐる環境が好転するかは未知数だ。

 ■鯨料理店

 東京都台東区で鯨料理店「えんむすび」を営む伊藤武志さん(32)は97年から2年間、南極海での調査捕鯨に参加していた時に環境保護団体「グリーンピース」から妨害されたという。伊藤さんは「逮捕は当然。これまで日本は強い態度を示せなかったのでようやくという感じだ。捕鯨反対なら会議で訴えるべきだ」と話していた。

 ■捕鯨基地

 関東の捕鯨基地、千葉県南房総市の捕鯨業「外房(がいぼう)捕鯨」の庄司義則社長(49)は「SSの侵入行為は確信犯のような感じがする。世間の注目が集まれば支援者から資金が集まる恐れがあり、逮捕で妨害行為が悔い改められるどころか、資金が潤沢になって繰り返されないだろうか」と不安な様子だった。

 ■環境団体

 野外での環境教育活動に取り組むNPO(非営利組織)「エコプラス」の高野孝子代表理事は「SSは世界の環境団体の中で最も極端なグループだ。反捕鯨を訴えるなら、船を直接攻撃するのではなく、日本の市民に問題提起し、ともに解決策を探る方法があったのではないか」とSSの手法を疑問視する。

 ■豪州・NZ

 【ジャカルタ井田純】ベスーン容疑者逮捕は、SSが捕鯨妨害活動の拠点とする豪州や母国ニュージーランドでも速報で伝えられた。SSのポール・ワトソン代表は「日本は自分たちが船を沈め、殺しかけた相手を裁こうとしている」と述べ、反捕鯨世論をあおる意図を鮮明にしている。

 メディアを通じた反捕鯨キャンペーンを生命線とするSSにとって、今回の逮捕は「格好の宣伝材料」(外交筋)。

 ベスーン容疑者を「反捕鯨戦争の犠牲者」に祭り上げ、裁判などを通じて豪州、欧米諸国などでの反捕鯨アピールに利用する構えを見せている。

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