原爆症の認定申請を却下された愛知県内の被爆者2人が国を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が11日、名古屋高裁であった。高田健一裁判長は、1人について疾病と放射線との因果関係を否定した1審名古屋地裁判決(07年1月)を取り消し、原爆症と認定した。一方、この2人を含む4人が1人300万円の支払いを求めた損害賠償請求は棄却した。

 原爆症と認定されたのは、白内障の中村昭子さん(83)=愛知県一宮市。膵嚢(すいのう)胞の森敏夫さん(85)=同=は、認定されなかった。

 1審判決では、中村さんの白内障について、「60歳で発症し、老人性白内障とみても矛盾しない」と退け、森さんの膵嚢胞についても、医学的知見がないとして、放射線起因性を認めていなかった。

 原爆症名古屋訴訟は03年4~6月、中村さん、森さんを含む4人が提訴し、1審判決では他の2人が原爆症と認定された。

 昨年12月には1審で敗訴した原告に政府が3億円を拠出して基金を作る原爆症救済法が成立(4月施行)したが、名古屋訴訟弁護団は救済法施行までは訴訟継続を打ち出していた。【式守克史】

【関連ニュース】
原爆症認定:救護被爆、認定緩和へ 広島・長崎の指針、全都道府県に通達--厚労省
原爆症認定訴訟:倉敷の川中さん「被爆者に寄り添って」--地裁で結審 /岡山
原爆症認定訴訟:東京高裁判決 長崎訴訟の原告、弁護団「全員救済に期待」 /長崎

冥福祈り再発防止誓う…東武線踏切事故から5年(読売新聞)
佐渡のトキ 擬交尾確認…高まる繁殖への期待(産経新聞)
基礎から臨床への「橋渡し研究」強化を―文科省作業部会(医療介護CBニュース)
雑記帳 長谷川等伯展で「オマージュ」ラスク(毎日新聞)
<札幌7人焼死>用途変更問題で立ち入り検査(毎日新聞)