2010年05月

消えぬ心のつめ跡 新型インフル国内初感染から1年(産経新聞)

 新型インフルエンザの国内初感染者が神戸市で確認されてから、16日で丸1年となる。国の行動計画は「強毒型」を想定していたため、兵庫県、神戸市はパニックと風評被害の中、学校の臨時休校や施設の閉鎖など、さまざまな感染防止に向けた対応を迫られた。結果的に被害は予想を大幅に下回ったが、初の感染者が確認された県立高校では今も複数の生徒が心のケアを受けるなど、“インフルショック”の爪痕(つめあと)は消えない。

●卒業まで終わらない

 「今も、心に傷を抱えている生徒がいる。1年たっても、『終わった』とはとても思えない」

 当時3年の男子生徒が初の国内感染者とされた県立県立神戸高校(神戸市灘区)の岡野幸弘校長(58)は、硬い表情を崩さずに語った。

 感染した生徒たちはカメラの放列の中、防護服姿の職員によって病院へ運ばれた。岡野校長は「『自分はバイキンか』とショックを受けたり、『自分のせいで学校が止まってしまった』と自分を責める生徒もいた。当時の生徒たち全員が無事卒業するまでは終わらない」と強調した。

 神戸高校の翌日、生徒の感染が確認された県立兵庫高校(同市長田区)では昨年来、校舎内10カ所に設置した消毒液での感染予防が習慣となった。今月14日朝、江本博明校長(59)は全生徒に「私たちは騒動を乗り越えたが、克服したのではない。いつ健康や命を脅かす事態が発生しないともかぎらない」と引き続き注意を呼びかけた。

 「たとえ強毒性のインフルエンザが発生しても、助け合い知恵で工夫できる兵庫高校である限り、乗り越えられると信じている」

●「過剰反応」

 厚労省によると、この1年間で日本では約2068万人が新型インフルエンザに感染、198人が死亡した。通常の季節性インフルに毎年約1千万人が感染し、1万人が死亡するとされるのに比べると、被害は明らかに少ない。

 神戸市の矢田立郎市長は「思い返すのも嫌」と1年前を渋い顔で振り返った。「過剰反応だったと言わざるを得ない。経験を反省材料に、日本全体でとらえ方を考えるべきだ」。兵庫県の井戸敏三知事も「あの経験を踏まえ独自の対応計画は作ったが、今後は、強毒型の場合にきちんと運用できるか検証が必要」と強調した。想定と現実の大きなギャップが、そのまま混乱の大きさを象徴する。

●団結して乗り越える

 だが、新型インフルの混乱は今も続く。製造が遅れたワクチンが供給され始めたのは昨年10月下旬。感染の中心となった小中高校生に届くころにはピークが過ぎており、医療機関は現在、大量の在庫を抱えている。神戸市保健福祉局予防衛生課の担当者は「発生直後から今まで、国の方針のブレのあらゆるつけが、最前線に立たされた市町村にきている」とこぼす。

 「阪神大震災以来の危機」ともいわれた神戸の新型インフル騒動では、主要産業の観光も大きな被害を受けた。キャンセル客が約2万人、損害は4億円にのぼったという有馬温泉では、初感染確認直後から、観光客を取り戻そうと「清潔・安心」PRの清掃活動や、旅館福袋など知恵を絞ったキャンペーンを展開。有馬温泉観光協会の當谷正幸会長は「昨年秋までには客足を取り戻せた。苦楽はみんなで乗り越えるんだという連帯感が、一層強くなった」と胸を張る。

 17日には「LOVE有馬クリーンアップ」と銘打ち、一般客も巻き込んだ日帰り入浴付きの清掃イベントを実施する。當谷会長は「どんな危機にも揺るがないブランドを、みんなで作り上げていきたい」と話した。

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検証 医療ツーリズム元年(1)「注目浴びる検診ビジネス」(医療介護CBニュース)

 韓国人の男女2人が、3月27日から2泊3日の日程で、秋田県を訪れた。検診と観光を組み合わせた医療ツーリズムの実証事業の参加者だ。

 初日は、武家屋敷などで知られる角館市街を散策し、2日目に秋田市内の工藤胃腸内科クリニックで検診を受診、3日目に市内でショッピングを楽しんでから帰国するというプラン。受け入れには同クリニックのほか、県観光課や秋田キャッスルホテル(秋田市)などが連携して当たり、今回は韓国の旅行会社のスタッフがモニター参加した。
 検診の結果、異常は見付からなかったが、参加者らは「施設の充実ぶりに驚いた」と、満足した様子だったという。

 秋田-ソウル間の航空便は2001年10月に就航し、現在では週3便運航している。片道2時間ちょっとという手軽さもあってか、冬季の週末には、ウィンタースポーツを海外で楽しむ韓国人観光客で約150人乗り旅客機の搭乗率は8割ほどと好調路線だ。

 昨年には、韓国の人気俳優が主演のテレビドラマで秋田県がロケ地になり、来日韓国人が激増した。ロケ地をめぐるツアーでは、旅客機を295人乗りに変更してもなお、キャンセル待ちが出る盛況ぶりだった。これが秋田の知名度向上につながったと関係者らは見ている。
 工藤胃腸内科クリニックの特別顧問を務める工藤進英医師は、「日本では、地方にも相当高度な技術を有する医療機関があるのが強み。都市部にあるごく一部の病院が優れているアジア諸国と異なる」と話す。

 ただ、工藤医師は危惧も抱いている。「医療ツーリズムは、既に世界規模で大きな市場になっている。日本でも優れた医療が提供できることを強くアピールして競争にさらしていかないと、ガラパゴス化してしまう」。

■中国・蘇州から長崎に40人
 長崎市では1月29日-2月1日、検診に観光を組み合わせたツアーの実証実験を行い、上海から9人が参加した。
 事業の推進役を担ったのは、市や国際観光コンベンション協会、市商工会議所、医療系ベンチャー「アンドメンタル」などで構成する「ナガサキ・ウェルネス・ポート協議会」。
 協議会の座長は長崎大医学部の小澤寛樹教授が務め、研修目的で同大を訪れている中国人医師らがボランティアで通訳を担当した。ツアー参加者からの評価は前向きなものが多かったという。

 実証事業を受けて同市では、検診ツアーを6月から本格的にスタートする予定だ。今後、九州地方の他県の医療機関にも連携を呼び掛けることも検討している。
 ターゲットは、個人ビザが昨年解禁された中国の、中堅ビジネスマンや富裕層。参加費には50万-60万円程度を想定している。ほかの検診ツアーとの差別化を図るため、日本の経済や金融の最新事情を学ぶ「ビジネス研修」をプランに組み込むという。

 第一陣として、蘇州から約40人が参加することが既に決まっている。さらに、中国国内の旅行会社が上海市内で開いた説明会には70人ほどが参加したといい、アンドメンタルの鶴田祐二部長は、蘇州と同程度の参加を見込んでいる。

■成田を医療ハブに
 千葉県内の医療関係者らでつくる「医療構想・千葉」(竜崇正代表)が2月7日、成田市内で開いたシンポジウムの会場には、医療、旅行業界、行政の関係者ら200人以上が集まった。
 シンポジウムでは、成田空港と県内の医療機関をつなぐ「成田医療ハブ化構想」を竜代表が提唱すると、小泉一成市長も席上、「空港周辺の土地を利用した医療機関の立地の可能性も十分に考えられる」「海外の空港と一体での新しいサービスも考えられるのではないか」などと語った。

 政府が昨年末に閣議決定した新成長戦略の基本方針では、医療サービスと観光を組み合わせたメディカルツーリズムを、アジアの富裕層をターゲットに推進する方向性を示した。6月には、より具体的な新成長戦略を示す見通しだ。こうした国の動きを後押しに、自治体や医療、旅行業界の関係者らが医療ツーリズムに熱い視線を送っている。

 「海外から患者を呼び込め」。日本の医療界を巻き込んだ新たな試みが注目を集めている。医療ツーリズム元年の各業界の取り組みを探った。
(この連載は田上優子、兼松昭夫が担当します)


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