独立行政法人・日本スポーツ振興センターは15日、運営する秩父宮記念スポーツ博物館(東京都新宿区)に展示していた1896年の第1回アテネ五輪の優勝メダルが盗難被害に遭ったと発表した。メダルを獲得したドイツ人体操選手の子孫が、東京五輪で活躍した遠藤幸雄さん(故人)に贈ったもので、94年から博物館で展示されていた。被害届を受けた警視庁四谷署は窃盗事件として捜査している。【前谷宏、酒井祥宏】

 センターによると、14日午前11時半ごろ、博物館2階の展示場を点検していた委託業者が、ガラスケース(縦横約75センチ、高さ約80センチ)に展示されていたメダルがなくなっているのに気付いた。ケースには他に、第1回大会の参加メダルなど3個も展示されていたが、被害はなかった。ケースには鍵が掛かっていたが、ケースの天板は固定されておらず、持ち上げると簡単に外れる構造だったという。

 展示場に防犯カメラはなく、委託業者らが1日数回巡回していた。13日午後4時半ごろの閉館時と、14日午前9時半ごろの開館時の巡回では異常に気づかなかったという。13日の入館者は30人で、14日は事件に気付くまでに、5~6人が入館していた。閉館時に外部から侵入した形跡は確認されていない。

 盗まれたメダル(直径48.9ミリ、厚さ3.6ミリ、重さ68グラム)は、第1回アテネ五輪の体操・鉄棒種目で優勝したドイツ人のヘルマン・ビィンゲルトナーさんが獲得したもので銀製。ビィンゲルトナーさんの死後、日本びいきだった息子のエーリッヒさんが1964年東京五輪の体操で「最も優れた成績を上げた選手に贈ってほしい」と西ドイツ(当時)紙の特派員記者に託し、東京五輪で日本人初の個人総合制覇を果たした遠藤さん(09年3月死去)に贈られた。

 メダルはしばらく遠藤さんが保管していたが、東京五輪開催30周年を記念して94年6月に開催された記念式典で、遠藤さんが日本オリンピック委員会に寄贈。その後、寄託を受けた博物館が所蔵し、展示していた。

 センターの高谷吉也総務部長は「ドイツの篤志家から遠藤さんが頂いた大切なメダルで、非常に残念。博物館をしばらく休館し、防犯体制を再点検したい」とコメントした。

 遠藤氏は東京教育大(現筑波大)を経て、60年ローマ、64年東京、68年メキシコ五輪に出場。いずれも団体総合の優勝メンバーとなった。3大会で獲得したメダルは7個(金5、銀2)で、99年に国際体操殿堂入りした。

 遠藤さんの長男で日大准教授の幸一さん(48)は「子供のころ、父の書斎のメダルケースの中央に飾られ、『日本に一つしかない価値あるものなんだよ』と聞かされたのを覚えている。エーリッヒさんと父の、日本や体操への思いが込められたメダルなので、盗む人がいることは残念で寂しい。盗んだ人は自ら名乗り出て返してほしい」と訴えた。

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