【JR西強制起訴】思いを託す JR脱線・被害者へ〈3〉

 --裁判が始まる前、何を期待していましたか

 「林真須美死刑囚は捜査段階、ずっと黙秘していました。でも裁判では、口を開くんじゃないかと。だからぜひ傍聴したいと思っていました」

 --大きな注目を集めた毒物カレー事件の初公判には、5220人の傍聴希望者が集まりましたが

 「被害者支援弁護団が裁判所と交渉して、被害者用の傍聴席を5席とってもらいました。われわれは裁判の素人。被害者が刑事裁判と向き合っていく上で、弁護士のサポートは欠かせないと思います」

 --乗客106人が亡くなったJR福知山線脱線事故ほど被害者が多くないにしても、4人が亡くなり、ヒ素中毒になった被害者も63人います。5席では足りないですよね

 「初公判では被害者の会の役員を中心に、その後の公判では傍聴を希望する人の中からくじ引きで選んだりしました。でも平日の丸一日ですし、裁判が長引くにつれて傍聴が難しくなった人も多かった」

 --判決が確定するまで初公判からでも10年かかりました。やはり長かったですか

 「裁判をやっている間は長かったです。でも終わってみると短いというか、こんなものか、と」

 --判決には納得がいきましたか

 「死刑という結果は当然だと思うんです。でも結局、動機は10年かかった裁判でも分からないまま。否認しているから、謝罪の言葉もない。われわれ被害者は、だれが犯人かということと同じぐらい、なぜこんな目に遭わなければならなかったかを知りたいのに」

 --裁判が終わっても消化不良ですね

 「どんな事件でもそうだと思うんですが、裁判が終わろうとも被害者に終わりは来ない。でも世間の人にとっては違う。きっと裁判が終わった今年は、7月が来てもカレー事件が報道されることは少ないと思います。そしていつか、真須美死刑囚一人が死んで本当に終わり。まだまだ疑問も怒りも悲しみもぶつけたいのに。真須美死刑囚の再審請求、あれは無罪を訴えるものですけど、それすらも何か新しいことが分かるきっかけになるのではないかと思えてしまう。それだけ複雑な気持ちなんです」

(聞き手 福富正大)

 ■和歌山の毒物カレー事件 平成10年7月25日、和歌山市園部の夏祭りに出されたカレーにヒ素が混入され、4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒を罹患(りかん)。被害者の会副会長である杉谷安生さんの高校生だった長女も入院した。殺人などの罪に問われた林真須美死刑囚(48)は無罪を主張し、1審和歌山地裁で95回、2審大阪高裁では13回の公判が開かれた末、21年4月に最高裁が上告を棄却して死刑が確定。真須美死刑囚は同年7月に再審請求している。

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