どうもこんにちは。
ブログを書きまくっているせいか、挨拶からスタートするという文法に慣れてしまったL_striesです。

いやでも、挨拶って大事だと思うんですよ。
レポートでいうアブストラクト、漫才でいう掴みみたいなもので、これがあるからブログを読んでもらえる、みたいなものなんじゃないですかね? と思い込んでます。

特に、私のような無駄に長文を書いている老害には、こういう所が重要なのではないかという気がするんですよね。
自分の分かりにくい文章は、それはそれで問題あるんでしょうけども。

でも難しいんですよねえ。
短く簡潔にを心掛けようとすると、レビューなんて究極的には「つまらなかった、おわり」に落ち着いてしまうわけでして。
……Amazonで「このレビューは役立ちませんでした」評価でも受けとけ、って話ですよね。

色々なモノのレビューを書いている人間としては、死活問題レベルの重要な話ではありますが……。
まあ、面白おかしく叩きたいなら匿名でKOTYeに投稿するのが1番分かりやすい気はしますが……私がやりたいのは、そういうことではないので。
今後も書きながら、模索していくこととしましょう。


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って、気がついたら長文になっているというアレ。
本題に移りましょうか。

本日は、小売店の陳列についての「日記」です。
折り畳みます。





一般論として「お店には売り上げ(利益)を伸ばすために、陳列に物凄くこだわっている」のです。

コンビニは分かりやすい例ですが、
・売り上げ数の多い飲料品・弁当は店の奥側に置いて、その通り道にある商品を買わせる
・シェービングクリームや洗顔料など日常的な消耗品を、目のつきやすい入口の近くに置いて「買うの忘れてたから今買おう」と思わせる
・本棚を窓際に置くことで、立ち読みしている客が窓付近に立つことになり、無意識的に店内の混雑を思わせ、客を店に入らせやすくする
などがあります。

書店が本を出版社ごとに並べているのは、商品の種類の絶対数が多いので、分類することで探しやすくする(=買いやすくなる)という本の商品的性質を利用しているものでしょうし、
スーパーでは、特売商品の横に「それと関連する定価の商品」を置いて、利益を高めるという方法がありますね。
このように陳列を工夫することで、売り上げを伸ばすということは、どこの店でもやっていることです。


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そんな話を前置きとしつつ、予備のスーツ買ってきました話をさせていただきます。

前回、スーツを買いに行ったときは、洋服屋的セールストークこええよおおおお、とめっちゃコミュ力不足感のある緊張をしてたワケですが、
その時に経験値を積み重ね、レベルアップした私に怖いものなどあんまり無いぜー! という変なテンションで2駅ほど離れた『AOKI』へ歩いて行ってきたのですが。

なんというか、別の意味で怖くなった、のですよ。



『AOKI』の何が怖かったって、本当の本当に「他の小売店のような陳列の合理性を一切感じなかった」のです。

だだっ広い店内に、スーツをただただ並べているだけ。
チラシの商品を目立つ位置に置くなんてことはない。
『温度調整機能つきスーツ』『ウォッシャブルスーツ(洗濯できるスーツ)』など、機能性スーツを分けて置いているんけでもない。

……なんだ、このお店は、と。


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もちろん、このような売り場においては、そういった合理性が裏目に出るということも想像できます。

たとえば、色や柄について分類して並べるとしたら、どうせ黒単色のスーツが売れ筋商品なので
「広い店内の1ヶ所にお客が密集する」
という事態が予想されますね。



これを避けるためには
「店内をある程度のブロックに分割し、その中でお客の買い物が完結するように陳列する」という手が考えられます。
店員が3人としたら、店内を3つに分けて、その中にそれぞれ機能性スーツや柄など、多様なスーツを詰め込むことで、客が1箇所に固まることが防げます。

これが、買う側のことまで考えた、陳列の戦略です。


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しかし、売る側のことだけを考えた戦略となると、もう少し話は違ってきます。

先も言ったように、陳列とは「利益を上げるために行う手法」なわけです。
利益を上げるために、お店側がするべきことは何でしょうか?

常識的に考えれば、たくさんスーツを売ることではないですよね。
例えば、スーツを買いに行った客が「今日は半額だからスーツを2本買うか」となることは考えにくいです。
また、ふらっと立ち寄った客がスーツを買っていくことも考えにくいでしょう。

ですから、店側がするべきことは何か、という問いに対する答えは「スーツをわざわざ買いに来たお客に、なるべく高いスーツを売りつける」ことになるはずです。



この点においては、普通の小売店というよりは飲食店に近いのかも、と思いました。

コンビニやスーパーは、売れ筋商品を目立つ所に置いて「買う予定の無かった商品を買わせること」が多いですし、
洋服屋は長袖or半袖あるいはメンズorレディースなどジャンルを分けて陳列することで、多くの目的の商品を客の目につかせることで「1点でも多くの商品を売ること」に重きが置かれます。
つまり、小売店は普通は数を売ることを考えるのです。

逆に、飲食店は高級なメニューやセットメニューなどによって、1人の客がたくさんお金を払うようにすることを重視します。
これを「客単価を上げる」と言ったりします。
人間は朝昼晩しか食事をしないのです。つまり、客の食事「回数」には必然的に上限があります。
これが普通の小売店とは異なる所で、だからこそ小売店とは別の戦略を取っているわけですよね。

そして話に挙げた『AOKI』は、客が1年に買うスーツの数がそう多くないことを考えれば、明らかに「客単価を上げる」という飲食店の戦略を取らざるを得ません。



これを踏まえると、ようやく陳列を含めた店全体の『合理性』、つまり戦略が見えてきます。

・チラシの商品を目立つように置かない(客単価を上げるため)
・雑然と商品を並べている(低価格商品を探すことを困難にさせる)
・ネクタイや靴下をレジや試着室付近に配置(「セットメニュー」のように勧めやすくするため)
・一般的に店員の数が客の数よりも多い(思考時間を与えないこと、セールストークなどにより高い商品を買わせる)

客の満足度なんて存在しねえ、と言わんばかりの超ごり押しセールスですが、普通の人間なら「1年間に何着もスーツを買わない」ので、言ってしまえば「その客がどう思おうが、店側はあまり気にしない」わけですよね。



これに気付くまでは「ワケわからん、あのお店は意味が理解できない」と、分からないことに対する恐怖でしたが、
これに気づいた現在は「客から金をむしることしか考えてないのか」と、純粋な恐怖に襲われております。



とりあえずは、この戦略に騙される人が少しでも減るように、この日記を書くことにしました。
みなさまもお気を付けください。