木質バイオマスのエネルギー利用は当社の大きなテーマですが、森林から得られる木質バイオマスは電気や熱といったエネルギーよりも先に、素材としてのマテリアル利用に大きな価値があります。

一般に、木材は建材などの素材として、あるいは紙としてのマテリアル利用が上流にあり、その次にエネルギー利用(つまり燃やしてしまう)という流れがあるべきです。

その意味で、伐採した健全な木材を丸のまま燃やして熱に変えて、蒸気タービンを回して発電して、熱は捨ててしまうような、現在、日本のFIT制度で行われているバイオマスのエネルギー利用は論理的にも、経済的にも、そして環境的にも間違っています。なぜなら、発電効率を含むエネルギー利用効率が極端に低く、3割を切るような状態だからです。

昨年来、中央省庁では、なんとか国産のバイオマス燃料のコストを引き下げられないかといった議論が出てきており、現在、技術開発の予算が執行されようとしています。

日本のように、国内の森林・木材のカスケード的・循環的な利用が実施されていない地域において、燃料コストを引き下げようとすると原木代が極端に低くなりますから、いよいよ、FITによるバイオマス発電は地域に貢献できない産業となってしまいます。

本質的には、発電だけして熱を捨てているようなバイオマス発電事業者に熱利用を義務化し、熱電併給する場合にのみFITで買い上げるような制度に変更すれば良いでしょう。そうすれば、総合エネルギー利用効率は7割以上に高まります。

事業者にとっては、熱利用のための新たな投資が必要となりますが、欧州のように熱供給を公共のインフラだと考えれば公共事業としての整備も可能ですし、熱の販売による収入が出ることで、実質的に、燃料コストが低下することにつながります。

また、エネルギー利用効率が向上することで環境面での合理的が高まり、かつ地域経済に貢献できる制度になると思います。

なぜ、FIT制度におけるバイオマス発電で熱利用を義務化しないのか、政府の委員会には欧州の制度に明るい識者も居るはずですが、そういった流れにならないのが不思議でなりません。

2011年の東日本大震災による原発事故を受けて2012年に導入されたFIT制度ですが、あれから10年が経つのに合わせて、大幅な制度変更が必要だと感じます。

ちょっと長いので今日はこの辺で。