ネットラジオに関わる音楽著作権について、何がどうしてだめなのか、どうすれば問題を合法的にクリアできるか、などの情報をまとめた文書です。
目次
1:はじめに
2:著作権の種類一覧
3:著作物の利用
4:各権利内容

1.はじめに
ネットラジオをはじめる際にぶつかる壁の一つに、音楽著作権に関する問題があります。ここではそういった問題に関して、何がどうしてだめなのかとか合法的に著作権をクリアしていく道筋なんかをまとめようと思います。
ここでいうネットラジオとはShoutcast等に代表されるリアルタイムストリーミング配信型のものをいい、オンデマンド配信や録音ファイルをストリーミング配信する場合は含まないものとします。

2.著作権の種類一覧
 一口に著作権といっても非常にたくさんの種類があります。
下記がその一覧です。著作者は著作物を作り上げた瞬間に下記の権利を独占排他的に手に入れることになります。
あなたがちょっと落書きしただけでも、創作性があればその作品に関して下記の該当する権利がばばっと手に入ります。

著作権の権利

           
著作権
著作人格権
著作隣接権
           
実演家の権利
レコード製作者の権利
放送事業者の権利
有線放送事業者の権利
               
 
   
 
 




3.著作物の利用
CASE1:音楽CDなどから音楽をネットラジオで配信する場合
まず権利の所在ですが、この場合楽曲自体の著作者である作詞作曲家さんの「著作権」と、著作隣接権者である実演家とレコード製作者の「著作隣接権」 が働くので、これらをクリアする必要があります。
具体的に働く権利は以下になります。

著作権の権利

           
著作権
著作人格権
著作隣接権
           
実演家の権利
レコード製作者の権利
放送事業者の権利
有線放送事業者の権利
               
 
   
 
 
 一つずつ見ていきましょう。
まず楽曲の著作者である作詞、作曲家等がもつ著作権のうちの公衆送信権が働きます。
著作者はその音楽CD内の自分の著作物(作詞家なら詩、作曲家なら曲)を公衆に送信する権利を独占排他的にもっています。
次に著作隣接権のうちの実演家の権利です。
CDの中にはギターをひいたり歌ったりと色々な方の実演も収録されているので、その彼らが有する権利が働くことになります。
実演家には著作隣接権として「送信可能化権」 が与えられていますので、これが働きます。

次に著作隣接権のうちのレコード製作者の権利です。 いわゆる「原盤権」というものになります。
音楽CDというのはスタジオを借りたり実演家を集めたりエンジニアを集めたりして みんなでマスターテープ(原盤)を作り上げます。
この原盤を作り上げた人が著作隣接権のうちのレコード製作者の権利、原盤権をもち、 これを複製してCDをたくさん作って売ったりする権利をもつことになります。
原盤権をもつ人というのは事前に契約で決まっている場合が多く、アーティストのプロダクションがもったりレコード会社がもったりとさまざまな場合があります。
原盤権の所在がレコード会社とは限らない場合が多いという日本独特の事情があり、著作隣接権にはJASRACのような一括窓口がないので この許諾を得るのには一苦労というのが現実です。

以上の権利をクリアすれば「一般の音楽CDから音楽をネットラジオで配信する」ということが日本の現行著作権法上で合法的に可能になります。


CASE2:楽曲を演奏、歌唱する場合

著作権の権利

           
著作権
著作人格権
著作隣接権
           
実演家の権利
レコード製作者の権利
放送事業者の権利
有線放送事業者の権利
               
 
   
 
 

 クリアすべきは著作者である作詞、作曲家さんの公衆送信権です。
やや微妙なところですが、著作権法二条7に

7 この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。

とあるので、自動公衆送信を行うネットラジオはリアルタイムで歌唱、演奏をしても働く権利は上演権、演奏権ではなく公衆送信権かな、という判断をしてみました。
となるとこれはインタラクティブ配信などの名前で各音楽著作権利管理団体さんも枠を設けている場合が多いので、現実的にクリアすることも容易と思われます。
また勝手に変え歌などを歌ってしまうと、同一性保持権なんかが働いてくるかもしれません。

4.各権利内容
詳細な条文は省略していますので、さらに詳しく知りたい方はご自分で条文をお調べになることをおすすめします。

著作権【複製権】
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

【上映権】
著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。

【上演権/演奏権】
著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する。

【公衆送信権】
1 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

【口述権】
著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

【展示権】
著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。

【頒布権】
1 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
2 著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。

【譲渡権】
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

【貸与権】
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

【翻訳権/翻案権】
著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

【二次著作物の利用についての原著作者の権利】
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
著作人格権
【公表権】
著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。

【氏名表示権】
著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

【同一性保持権】
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
実演家著作隣接権
【録音権/録画権】
実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。

【送信可能化権】
実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。

【商業用レコードの二次使用】
放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(当該放送又は有線放送を受信して放送又は有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第五号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項及び第三項において同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。

【譲渡権】
実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

【貸与権】
実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。

【放送のための固定】
実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。

【放送のための固定物による放送】
第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。

【放送権/有線放送権】
実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
レコード製作者の著作隣接権
【複製権】
レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。

【送信可能化権】
レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。

【二次使用料徴収権】
放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(当該放送又は有線放送を受信して放送又は有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第八条第一号から第三号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。

【譲渡権】
レコード製作者は、そのレコードをその複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

【貸与権】
レコード製作者は、そのレコードをそれが複製されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
放送事業者の著作隣接権
【複製権】
放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。

【再放送権/有線放送権】
放送事業者は、その放送を受信してこれを再放送し、又は有線放送する権利を専有する。

【伝達権】
放送事業者は、そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利を専有する。
有線放送事業者の著作隣接権
【複製権】
有線放送事業者は、その有線放送を受信して、その有線放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。

【放送権/再有線放送権】
有線放送事業者は、その有線放送を受信してこれを放送し、又は再有線放送する権利を専有する。

【伝達権】
有線放送事業者は、その有線テレビジョン放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその有線放送を公に伝達する権利を専有する。