準決勝がネリー怒濤の三連発で終わったとき、「爽って圧倒的エースって割に弱いじゃん」というような感想をよく目にしました。まあ和了ったのは白い雲での親倍とアッコロ&ホヤウでの親役満だけで、放銃も多くて収支最下位という結果だけ見ればそう思っても仕方ないかもしれません。でも未だに「怜とか洋榎ほどの全国上位レベルはないよね」みたいな扱いをされてるのを目にするとモヤモヤします。長野決勝のときと同じ過ちを繰り返してるなぁ…と。そう、大将戦の池田の悲劇です。

 風越女子の大将・池田華菜は決勝で魔物二人と智将一人と同卓し、一時は衣の舐めプでちょうど0点という屈辱を味わわされ、最終的にダンラスで全国行きを逃しました。リアルタイムで原作を読んだりアニメを見たりしてた人は知ってるでしょうが、そのやられっぷりから「戦犯」「池田銀行」など散々ネタにされてしまいました。しかし、ほとぼりが冷めてから「あれ、池田って実はけっこう強かったんじゃね?」と見直される動きがありました。

・そもそも大将戦開始時に総合4位で、最初から不利だった
・点差がついてるから攻めるしかなく、振り込むのも仕方ない
・役満を含む高火力の手を何度も張っている
・相手が悪すぎた

 などの理由から、今では全国でもそこそこやれるぐらいの評価に落ち着いてるように思います。ここで池田と爽の大将戦の状況を比較してみます。

池田
開始時の得点8130030300
開始時の点差-33600-81000
収支-45500-19000
同卓者

ゆみ

ネリー
恭子

 点差は池田は決勝なので1位清澄との差、爽の場合2位抜けのために必要な2位姫松との差です。こうして見ると、むしろ爽の方が池田のときより絶望的な状況というのがわかります。ここから2位抜けできる高校生なんていても照ぐらいでは。相手はネリーの底がまだ見えてないから何とも言えないけど、衣がいる分池田の方がちょっと厳しいか。ただ咲は全国ではレベルアップしてるでしょう。恭子とゆみは対応力のある智将タイプで、名門校の二番手とダークホースのエースで実力的にはいい勝負なのでは。まあ対戦相手三人の総合的な難易度としては大差ないでしょう。

 とにかくこんな無理ゲーで一時的に2位浮上して希望を見せただけでも爽ってもっと評価されてもいいと思うのです。池田が再評価された理由も爽に全部当てはまるし。能力が消費型というのはマイナス要素でしょうが、チームメイトがそこそこ強ければそんなにマイナス要素にならないんですよね。1回戦、2回戦でも最低限2位抜けできる点を確保すればいいので、1回でかいの和了ってあとはベタオリとか、3位の勝負手のときに嫌がらせとかでいいわけです。総得点で1位とか2位で大将戦に回ってくるチームなら。

 ところで、爽が連れてきたカムイは全部で何人いたのでしょうか。準決で「連れてきたカムイも残り少ない」と言った時点では使うつもりのないパウチカムイを除いてもパコロ・アッコロ・ホヤウ・フリの四人でした。「残り少ない」という言い方からして、初期状態は少なくとも倍はいたのではないかと考えられます。

これが爽の最大戦力だ!
sawaya2

■五色雲
①赤い雲…数牌が集まる
②白い雲…索子が集まる
③~⑤不明
※自分にも相手にもかけられる。効果は1局。準決開始時には2回戦で使った黒と黄がなかったが、終盤に黒は戻ってきた。

■カムイ
A[パコロカムイ]…当たり牌を掴ませる
B[アッコロカムイ]…萬子(と中?)を自分の手と王牌に集め、不要牌として他家にも送られる
C[ホヤウカムイ]…干渉を防ぐ
D[フリカムイ]…自風以外の風牌を集める
X[パウチカムイ]…禁断の術
※効果はパコロ・アッコロが1局、ホヤウが5局ほど、フリが2局だったが、口ぶりからしてパコロは相手によって数局続くこともありそう。

 これに加えて原作で描写されなかったカムイが4人以上はいるとすると…恐ろしく頼もしい。クンネチュプカムイ(月の神)で海底摸月とか、パヨカカムイ(疫病の神)でひたすら裏目らせるとか、ウェンカムイ(厄災の神)で全員十三不塔にするとかもあるのかもしれません。

 能力頼りの調子乗りタイプかと思いきや意外に謙虚で落ち着いてるのもポイント。「すごいね皆さん」「3人ともすごいな」と相手の実力を評価し、こんなんしょーがないだろって早和了りにも「普通ならオリる順目でもないんだけど、振り込んでしまった以上は私が悪いな」と自戒し、和了れなくても「前向きに考えていこうか」「嶺の上に花が咲く―いい名前の役だ」とすぐに切り替えられるメンタルを持っています。

 だいたい各校一人はいるブレーン役も担っています。明華やダヴァンの打ち筋・特性を見抜いてアドバイスを送り、リザベにも気づいた様子。選手兼監督みたいなもので、個人に掛かる負担でいったら久と並んでトップクラスでしょう。久には京太郎という優秀な右腕と美穂子という献身的な侍女がいるけど、爽にも器用な相棒と形式上のリーダーがいるからそこはトントンだとしても、試合においてはチームメイトの頼れ具合が違いすぎる。怜だってもし1回戦からフナQに代わって分析役やらされて先鋒から中堅まで3軍起用されて毎試合大将でダブルとかトリプルを使わざるを得ない立場だったら、準決に来る頃には戦力ダウンしてるでしょう。

 と、本編を読んでいれば爽の有能性といかに不利な状況だったかがわかるかと思います。「有珠山の大将って大したことねーじゃん」などと言ってるのはアニメしか見てないで原作はネットで結果だけ追ってる層なのでしょうか。

 もし5決で爽がボロボロだったとしても、それは個人の強さで他の大将に劣っているというよりチーム力に差がありすぎてこれまでに消費したエネルギーが違いすぎたからだ、と今から擁護しておきます。長々と爽を持ち上げたのはそれが狙いです。まあ爽が活躍すれば他の誰かが割を食うので、また準決のように完敗して試合後のパウチアクシデントで溜飲を下げる形が一番みんな納得の着地かもしれません。苦しむ姫子を心配して駆けつけた哩さんが巻き込まれて「おああー!」する展開で。