2006年12月10日
intelligent ではあるが wise ではないために今一アテにできない、という人にはいくつもの心当たりがあって、そういう人とうまく仕事をしていくことができなかった頃のもどかしさが蘇って来るようで、古傷に指を入れてこじ開けられるようで読み進めるのが辛かった。
wise ではない人というのはつまりバランス感覚のない人で、組織の力学を理解して清濁併せ呑むことができなかったり、場の空気が読めずその場にいる人たちのほぼ全員が暗黙のうちに反対しているのにそれに気付かず自分の意見を押し通そうとしてますます反感を買ってしまったりする人で、そういう人たちに対する、「そのままでは自分の理想を実現することはできないから、不毛な政治ゲームを少しでも減らすように心がけながらも、政治ゲームには政治ゲームで対抗していかなければならない」という分裂勘違い君の意見は、説得力もあるし、とても温かいメッセージだとも思う。
一方で考えなければならないのは、物事を大きく変えるような提案というのは、実は往々にして、intelligent だけれども wise ではない人たちから出て来ている、ということである。
wise ではない人の意見は、第一印象として、マネージャや周囲の人たちから見てムッとする意見であることが多い。そのネガティブな反応の内訳は、ただでさえやることが山積みなのに新しい方法の導入を提案することに対する反発であったり、誰も問題だと思っていないのに彼/彼女だけが問題だと思っているようなものについて早急な対策が必要だと言ってみたりすることに対する、ピントがずれているのではないかという苛立ちであったりするわけだが、いつか新しい方法を導入することを検討しなければ仕事が山積みの状況は改善されないだろうし、そこで指摘されている問題は、彼/彼女だけが問題だと思っているのではなく、彼/彼女だけが気付いている問題であったりすることもある。
世慣れてバランス感覚が身に付いてくると、コミュニケーションの角が取れて、周囲の人から一緒に仕事のしやすい人と思われるような人になってくる。しかし振り返ってみれば、彼/彼女の、昔の wise ではなかった頃の、世間の常識や会社での基本的な行儀作法を無視した視点や提案が自分達に気付かせてくれたことは、即効性のものではなかったけれども遅効性のものとしてはとても大きな影響があった、ということも良くあることで、wise ではない人のムッとするけれども実は後で効いてくる発言にきちんと耳を傾けることの大切さについては、この6年間のベンチャーでのマネジメントの経験で痛いほど思い知らされてきた。
分裂勘違い君の言っている wise であることの大切さは良くわかる。
しかし一方でマネージャの立場にある人たちが肝に銘じておかなければならないのは、部下が wise ではないからといって即批判せず、wise ではないが故の彼/彼女の良さをもう一度立ち止まって考え、その上で彼/彼女はその組織において wise になるべきだと判断したときにのみ、相手に対して wise になることを勧めていく、ということだと思う。
関連エントリ
・「優秀な人」について考える
・ふたつ下のヒューマンマネジメント:5分で人をダメにする技術 - 優秀な部下の能力の芽を摘み取る無能な上司
トラックバックURL
(スパム対策のため、この記事へのリンクが含まれないエントリからのトラックバックは自動的に拒否されてしまうのでご注意ください。また、トラックバックを送っていただいても何故か届かないことがありますが、当ブログではスパムや一切関係のないトラックバック以外のトラックバックを拒否することは原則ありませんので、うまくいかない場合は少し時間を置いてから再度試すなどしてみてください。複数回トラックバックを送ってみた際に同一エントリからのトラックバックが重複してしまった場合には、こちらで気付き次第整理します。)
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
仕事ではアイデアを出すことも大切ですが、それを実現することのほうがもっと大切なのでは。
実現するにはやはりバランス感覚が必要だと思います。
また、ムッとする意見に耳を傾けられる能力が上司には必要だと私も思いますが、その意見が他者により受け入れられやすくなるよう、
バランス感覚のない人にバランス感覚を少しでも持ってもらうことも、仕事上大事なのではないでしょうか。
いつまでもその上司の下で働くわけではないのですから。
コメントありがとうございます。くらぽんさんのおっしゃる通り、バランス感覚は大事だと思いますし、スキルがあってバランス感覚があるのがもっとも望ましい状態だとも思います。
ただ、何かしらの分野でずば抜けて高い才能を持っている人には割と高い確率でバランス感覚が欠けていて、そういう人が普通の企業に入って一度丸くなってしまったケースを何度か見ている中で、このエントリに書いたように思うようになりました。
もちろん、ずば抜けているわけではなく、ちょっと優秀な程度でしかないのにバランス感覚が悪い人というのは考え物で、そういう場合にはバランス感覚を身に付ける必要があると思います。
原尻淳一さんの本からこちらに来てしまいました。
とっても共感しました。
バランス感覚はとっても大切、でも丸くなっていくってことでもあるのか・・・(ある意味、保守的になるのか)
分裂勘違い君のような猛々しさが消えていくような気もするけど、でも、分裂君のような存在も大切で、受け止めるってことが大切なんでしょうね。
ずば抜けた上にバランス感覚があれば最高ですね。
balanceとヒトコトで言ってますけど……
●stable
●neutral
●labile
……くらいに分けて話をしないと中途半端で終わっちゃうんではないかと。
