分裂勘違い君劇場 - 優秀な人材に変身するキッカケに出会うか、未熟なまま老いていくかで述べられている内容について。

intelligent ではあるが wise ではないために今一アテにできない、という人にはいくつもの心当たりがあって、そういう人とうまく仕事をしていくことができなかった頃のもどかしさが蘇って来るようで、古傷に指を入れてこじ開けられるようで読み進めるのが辛かった。

wise ではない人というのはつまりバランス感覚のない人で、組織の力学を理解して清濁併せ呑むことができなかったり、場の空気が読めずその場にいる人たちのほぼ全員が暗黙のうちに反対しているのにそれに気付かず自分の意見を押し通そうとしてますます反感を買ってしまったりする人で、そういう人たちに対する、「そのままでは自分の理想を実現することはできないから、不毛な政治ゲームを少しでも減らすように心がけながらも、政治ゲームには政治ゲームで対抗していかなければならない」という分裂勘違い君の意見は、説得力もあるし、とても温かいメッセージだとも思う。

一方で考えなければならないのは、物事を大きく変えるような提案というのは、実は往々にして、intelligent だけれども wise ではない人たちから出て来ている、ということである。

wise ではない人の意見は、第一印象として、マネージャや周囲の人たちから見てムッとする意見であることが多い。そのネガティブな反応の内訳は、ただでさえやることが山積みなのに新しい方法の導入を提案することに対する反発であったり、誰も問題だと思っていないのに彼/彼女だけが問題だと思っているようなものについて早急な対策が必要だと言ってみたりすることに対する、ピントがずれているのではないかという苛立ちであったりするわけだが、いつか新しい方法を導入することを検討しなければ仕事が山積みの状況は改善されないだろうし、そこで指摘されている問題は、彼/彼女だけが問題だと思っているのではなく、彼/彼女だけが気付いている問題であったりすることもある。

世慣れてバランス感覚が身に付いてくると、コミュニケーションの角が取れて、周囲の人から一緒に仕事のしやすい人と思われるような人になってくる。しかし振り返ってみれば、彼/彼女の、昔の wise ではなかった頃の、世間の常識や会社での基本的な行儀作法を無視した視点や提案が自分達に気付かせてくれたことは、即効性のものではなかったけれども遅効性のものとしてはとても大きな影響があった、ということも良くあることで、wise ではない人のムッとするけれども実は後で効いてくる発言にきちんと耳を傾けることの大切さについては、この6年間のベンチャーでのマネジメントの経験で痛いほど思い知らされてきた。

分裂勘違い君の言っている wise であることの大切さは良くわかる。
しかし一方でマネージャの立場にある人たちが肝に銘じておかなければならないのは、部下が wise ではないからといって即批判せず、wise ではないが故の彼/彼女の良さをもう一度立ち止まって考え、その上で彼/彼女はその組織において wise になるべきだと判断したときにのみ、相手に対して wise になることを勧めていく、ということだと思う。

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