先日某所で講演をする機会があったのだが、
そこでお会いした大企業に所属されている方からの発言でいくつか印象的なものが
あったので、ブログに書くことにした。
中にはぐったりしてしまうような内容のものもあるのだが、
会社が大きくなるとこういうことが起こりえるのだという自分への戒めも込めて。
そこでお会いした大企業に所属されている方からの発言でいくつか印象的なものが
あったので、ブログに書くことにした。
中にはぐったりしてしまうような内容のものもあるのだが、
会社が大きくなるとこういうことが起こりえるのだという自分への戒めも込めて。
1. 2ch へのアクセス禁止で開発効率が大幅に低下
とある大手 SI の方の話。
会社で 2ch へのアクセスを禁止したところ、開発の速度が目に見えて低下したので、
何が起こったのかと現場にヒヤリングしたところ、今までは困ったときに
2ch で聞いて問題を解決していたが、2ch にアクセスできなくなって、
はまってしまったときにどうにもならなくなってしまったとのこと。
これは Messenger / Skype を禁止している会社にも同様のことが言えるだろう。
プロが 2ch で聞くというのはどうなのかという意見もあるとは思うが、
会社の枠を超えた横のつながりでのコミュニケーションが遮断されることは、
それ自体が大きなリスクにつながるという話。
2. 人事評価制度の歪みを解消するためにあえて優秀でない人材を採用
某大手ハードウェアベンダーでの話。
優秀な人材を集めたプロジェクトを立ち上げたが、うまくいかなかった。
その理由は、メンバー全員がモチベーションも高く、アウトプットも評価できるものだったが、
人事面でプロジェクトメンバーの平均評価をBにしなければならなかったので、
何人かには最低のC評価を出さなければならなかった。
C評価を受けたメンバーからは不満が続出。しばらくしてそのプロジェクトは成果も出なくなり、
プロジェクトは解散した。
すると、別の参加者が言う。
「うちはその問題を解決してるマネージャが結構多いですよ。
わざと優秀でない人を雇って、他のメンバーの平均評価を上げるんです。」
この話にはかなりぐったりした。
3. 社内では使われない自社パッケージ
こちらはまた別の大手 SI の方の話。
自社でパッケージ製品として開発しているグループウェアがあるが、
社内では自社のパッケージはあまり使われず、他社のパッケージが使われている。
理由は自社のパッケージが使いにくいから。
それならパッケージ改善プロジェクトでも立ち上げればよいのにと思うわけだが、
部門が違うので言いにくかったり、他社製品の調査のためにという言い訳が
まかり通ったりしているので、多分このまま状況は変わらないのだろうとのこと。
保守の問題があるから簡単には捨てることはできないかもしれないが、
そんな状況なら少なくとも新規の販売は差し止めた方がよいのではないかと思う。
自社でも使いたくない製品を買わされる側はたまったものではない。
もちろん、問題点がわかっているのだから、
パッケージを改善していくのが一番良いと思う。
4. 競合他社への販売禁止を条件に出されパッケージ販売を断念
外資系大手ベンダーを渡り歩いてきたベテランの方の話。
曰く、日本でパッケージが発展しないのは、一つの業種の中での競合が多すぎるからである。
ある会社にパッケージを提案すると、競合他社に販売しないことを条件に出され、
それは飲めませんと答えると採用を見送られる。
アメリカでは業種ごとの No.1 がはっきりしていて、同業種内での日本のような競争はない。
日本では「うちの会社だけの特権」という形でこの業種では御社にしか販売しない
という約束をしないと大型の商談は成立しなかったのだと言う。
もちろん、今では状況はかなり変わってきているとは思う。
ただ、パッケージが普及しない歴史的背景としてそのようなことがあったのだということは印象に残った。
5. IPAのプロジェクトで間接業務に忙殺される
こちらは特定業種に特化した中堅 IT ベンダーでの話。
中堅とは言っても社員は500人以上でそれなりの規模。
社内で進めていたプロジェクトがIPAからの助成金を受けることになったが、
金銭的支援は得られたものの、報告やチェックの類が非常に細かく、
また求められるドキュメントも分量を増やすことを求められ、
資金的には援助が得られたものの、間接業務の割合が増大し、
プロジェクトが減速したという話。
例えば交通費の清算で言うと、最安値のルートかどうかを一つ一つチェックされ、
最安値になっていないものがあると指摘を受けるので、移動の際に少し時間がかかっても
最安値での移動を余儀なくされた等々。
ただ、IPA のプロジェクトの中には未踏ソフトのように手続きよりも結果を重視するものも
あるので、一概に IPA = 細かなチェックとドキュメントの山 ということではないと思う。
上記のような話は大きな会社では当たり前のことなのかもしれないが、
日本の IT 業界の競争力がなかなか高くならないのは、
こういうことの一つ一つの積み重ねがあるからなのではないかと思った。
経営者にはまずこれを読んでもらいたいですね
War For Talent
大切な視点ですね。
とある大手 SI の方の話。
会社で 2ch へのアクセスを禁止したところ、開発の速度が目に見えて低下したので、
何が起こったのかと現場にヒヤリングしたところ、今までは困ったときに
2ch で聞いて問題を解決していたが、2ch にアクセスできなくなって、
はまってしまったときにどうにもならなくなってしまったとのこと。
これは Messenger / Skype を禁止している会社にも同様のことが言えるだろう。
プロが 2ch で聞くというのはどうなのかという意見もあるとは思うが、
会社の枠を超えた横のつながりでのコミュニケーションが遮断されることは、
それ自体が大きなリスクにつながるという話。
2. 人事評価制度の歪みを解消するためにあえて優秀でない人材を採用
某大手ハードウェアベンダーでの話。
優秀な人材を集めたプロジェクトを立ち上げたが、うまくいかなかった。
その理由は、メンバー全員がモチベーションも高く、アウトプットも評価できるものだったが、
人事面でプロジェクトメンバーの平均評価をBにしなければならなかったので、
何人かには最低のC評価を出さなければならなかった。
C評価を受けたメンバーからは不満が続出。しばらくしてそのプロジェクトは成果も出なくなり、
プロジェクトは解散した。
すると、別の参加者が言う。
「うちはその問題を解決してるマネージャが結構多いですよ。
わざと優秀でない人を雇って、他のメンバーの平均評価を上げるんです。」
この話にはかなりぐったりした。
3. 社内では使われない自社パッケージ
こちらはまた別の大手 SI の方の話。
自社でパッケージ製品として開発しているグループウェアがあるが、
社内では自社のパッケージはあまり使われず、他社のパッケージが使われている。
理由は自社のパッケージが使いにくいから。
それならパッケージ改善プロジェクトでも立ち上げればよいのにと思うわけだが、
部門が違うので言いにくかったり、他社製品の調査のためにという言い訳が
まかり通ったりしているので、多分このまま状況は変わらないのだろうとのこと。
保守の問題があるから簡単には捨てることはできないかもしれないが、
そんな状況なら少なくとも新規の販売は差し止めた方がよいのではないかと思う。
自社でも使いたくない製品を買わされる側はたまったものではない。
もちろん、問題点がわかっているのだから、
パッケージを改善していくのが一番良いと思う。
4. 競合他社への販売禁止を条件に出されパッケージ販売を断念
外資系大手ベンダーを渡り歩いてきたベテランの方の話。
曰く、日本でパッケージが発展しないのは、一つの業種の中での競合が多すぎるからである。
ある会社にパッケージを提案すると、競合他社に販売しないことを条件に出され、
それは飲めませんと答えると採用を見送られる。
アメリカでは業種ごとの No.1 がはっきりしていて、同業種内での日本のような競争はない。
日本では「うちの会社だけの特権」という形でこの業種では御社にしか販売しない
という約束をしないと大型の商談は成立しなかったのだと言う。
もちろん、今では状況はかなり変わってきているとは思う。
ただ、パッケージが普及しない歴史的背景としてそのようなことがあったのだということは印象に残った。
5. IPAのプロジェクトで間接業務に忙殺される
こちらは特定業種に特化した中堅 IT ベンダーでの話。
中堅とは言っても社員は500人以上でそれなりの規模。
社内で進めていたプロジェクトがIPAからの助成金を受けることになったが、
金銭的支援は得られたものの、報告やチェックの類が非常に細かく、
また求められるドキュメントも分量を増やすことを求められ、
資金的には援助が得られたものの、間接業務の割合が増大し、
プロジェクトが減速したという話。
例えば交通費の清算で言うと、最安値のルートかどうかを一つ一つチェックされ、
最安値になっていないものがあると指摘を受けるので、移動の際に少し時間がかかっても
最安値での移動を余儀なくされた等々。
ただ、IPA のプロジェクトの中には未踏ソフトのように手続きよりも結果を重視するものも
あるので、一概に IPA = 細かなチェックとドキュメントの山 ということではないと思う。
上記のような話は大きな会社では当たり前のことなのかもしれないが、
日本の IT 業界の競争力がなかなか高くならないのは、
こういうことの一つ一つの積み重ねがあるからなのではないかと思った。
隠れた人材価値―高業績を続ける組織の秘密
posted with amazlet on 06.09.24
チャールズ オライリー ジェフリー フェファー
Charles A.,3 O’Reilly Jeffrey Pfeffer
広田 里子 有賀 裕子 長谷川 喜一郎
翔泳社 (2002/03)
売り上げランキング: 65,998
Charles A.,3 O’Reilly Jeffrey Pfeffer
広田 里子 有賀 裕子 長谷川 喜一郎
翔泳社 (2002/03)
売り上げランキング: 65,998
おすすめ度の平均: 




コメント
コメント一覧 (16)
小野さん>1. 2ch へのアクセス禁止で開発効率が大幅に低下
開発で 2ch を使ったことが無いので、何なのですが、可能性として、その会社の技術者の大半が実はマニュアル・受け身な教えて君でした。と言うことも考慮したほうが良いように思いますが。・・・・
最近エー・アイ・ソフトの社員さんが企業名丸出しで書き込んでしまったなんてのがありました。
vista対策
ttp://pc11.2ch.net/test/read.cgi/tech/1162813293/346n-
参考までに。
開発効率が落ちると言えば、くだらないルール。書類提出、外部記憶メモリ禁止・・
後、セキュリティのためにくだらないソフトを入れて明らかにPCの動作が重くなったこと。
一番大きいのはインターネットにつなげなくなったこと。
2chに関しては、会社の悪口書きたければ自宅からでも出来るわけで。アップロードできるなら制限かける意味はわかるが、テキストしか書き込めないのならブラックリストに載せる意味がわからない。逆に、2chが使えないから効率下がるというのも分からない。教えてgooや開発向けMLなどもある。2chが使えなくなったから効率下がりましたというのは、屁理屈に思う。
これはいかん
ニートが偉い時代になる
そんなつまんねー見栄張ってどうすんだってもので。
2chは切っても問題なし。てか切るべき。