Mac にはたくさんの美しさと楽しさと憧れがある。
滑らかなフォント、スムーズに拡大縮小するウィンドウ。
上級者にもうれしい端末エミュレーターの標準搭載、
クリエーターや Geek が使っているというブランドイメージ、
iPod や iPhone を世の中に送り出すアップルへの憧れ。

ブログでも、
「Windows よりも Mac を勧めたい10の理由」はよく目にするが、
「Mac よりも Windows を勧めたい10の理由」はほとんど見たことがない。

しかし、そんな Mac に惹かれて Mac を使い始めたものの、
Windows の方が良かったと感じて Windows に戻ったという話も割とよく聞く話だ。

私自身も8年前と半年前に二度ほど Mac を購入して移行を検討したが
二度とも数ヶ月で Windows に戻ってきてしまったという過去があるのだが、
最近、親しい知人で Windows から Mac への移行に悪戦苦闘している人が
いるので、今日は彼女から聞いた体験談をレポートしてみようと思う。

1. mixi に画像をアップするのに一苦労

彼女はほぼ毎日、mixi に日記をアップしている。
日記の内容は毎日作っている料理の紹介が中心だから、
Windows を使っていた頃には、デジタルカメラから My Pictures に保存した写真を
mixi の[参照]ボタンからファイルチューザーを開き、縮小版を一覧表示させて
今日 mixi にアップする写真をどれにしようかと見比べながら選んでいたのである。
彼女にとってはこの作業自体が毎日の楽しみの一つだった。

Mac に移行した第一印象は、やっぱり Mac はワクワクする!というものだった。
デジタルカメラを USB につなぐと自動的に起動する iPhoto。
2006年、2007年という風に時系列に自動的に写真をフィルタリングして表示してくれるし、右下のスライドバーで拡大縮小ができてとても使い心地が良さそうである。

iPhoto で今日アップする写真を3つ選び、さあこれから mixi にアップロード!
悲劇が訪れたのはこの時だった。

mixi の[参照]ボタンで表示されるファイルチューザーには、iPhoto で見ていたような
画像の縮小版の一覧表示ができない。ファイルチューザーを触っているうちに縮小表示が
できるところまではたどり着いたが、サムネイルは一枚ずつしか表示されない。*1
Windows だったら Explorer でもファイルチューザーでも、
どんなところでも選びたい画像を縮小表示して一覧から選ぶことができた。

これは不便だから何かやり方があるはずだと思い、彼女は Mac を使っているクリエーター系の知人に相談。そこで返ってきた答えは、

「私は iPhoto で画像を一度わかりやすい場所にエクスポートしてから mixi にアップしている」

というものだった。

エクスポートの際のファイル名は、デフォルトではデジタルカメラが自動採番して付けられたファイル名。どの画像がどのファイル名だったのかがわからなくなり、最初はファイル名を覚えるようにし、次にエクスポート時に 1, 2, 3 などのファイル名を自分でつけるようにした。

ただ、それでも日記を書くたびにエクスポート先のフォルダを空にしたり、
1_1 といった形で別の名前をつけたりしている混乱したりしてしまうので、
彼女は最終的には、iPhoto からエクスポートするときにファイル名を紙に書いておくという方法を選んだのだという。

「Windows ではこんなことしなくてよかったのに。パソコン使ってるのに、紙に書くなんてね(苦笑)」

彼女は寂しそうに微笑んだ。

2. Web ブラウザが頻繁にフリーズする

彼女が PC でやりたいことは、基本的に次のようなものだけだ。

1. mixi で日記を読み書きする
2. mixi で気になったニュースを読む
3. Yahoo! オークションで買い物をする
4. Google で検索をする
5. hotmail でメールの読み書きをする
6. 過去に撮影した写真を見る

かなり mixi への依存度が高い気もするが、IT 業界以外で特に PC で何かを作っているとかでなければ、意外とこんなもんなのではないかと思う。

6. を除くとすべて Web ブラウザ上での操作になるので、彼女にとっては Web ブラウザの安定性と使い心地がとても重要になる。

ところが、購入後自分でインストールしたソフトは Keynote と Firefox くらいなのに(あと、以前私が一時的に借りた関係で MySQL と Ruby と Ruby on Rails も入っている)、ブラウザがかなり不安定になってしまっているのだという。

具体的には、Firefox で mixi にアクセスすると、トップページは普通に表示されるけれども、[1件の日記へのコメントがあります]というようなリンクをクリックしても何も起こらなくなることがよくある。

Firefox が不安定なのかと思ってそういう時は Safari を立ち上げて mixi を見るようにしているが、Safari もよく固まるので、両方とも固まってしまった時には強制再起動するようにしている。

ひどいときには10分に一度くらい再起動している時もあるそうだ。*2

これも Windows の時にはストレスなくできていたことなのに、と彼女は言う。

3. 他にも細かいことが色々と

デフォルトの設定だと、ダイアログが開いたときにスペースとかリターンを押しても確定しないとか、Windows のタスクバーはわかりやすくて良かったとか、
OK ボタンとキャンセルボタンをタブキーで移動したいとか、
グリグリ動かなくていいから普通に動いてほしいとか、
他にも細かいところで Windows を懐かしむことが色々とあるそうだ。


ここで書いたのは、ブラウザの参照ボタンから画像のサムネイルを一覧表示できなかったという話と、Web ブラウザがよく固まるという話という二つの話に過ぎない。
Mac には冒頭に書いたことの他にも素晴らしい点がたくさんあるし、
何よりデザインがかっこいいということはそれ自体重要な価値である。

OS の移行一般に、慣れているものから不慣れなものに移行するわけだから、
移行先の OS が使いにくいと感じるのは当然のことであり、それは何も Windows から Mac への移行に限った話ではない。

それでも、彼女は Windows では特に誰から教えてもらうこともなく、
特殊なソフトを入れたりすることもなく、
上に書いたような操作は何の問題もなくスムーズにできていたのだという。*3

Windows には、Mac のような熱烈なファンはそれほど多くないかもしれない。
けれども、Windows は極めて多くの人が意外とストレスなく毎日使うことができている OS だという事実には、これはとんでもなくすごいことだな、と、改めて驚かされるのである。



*1 この点について良いやり方があれば、彼女に伝えたいと思うのでぜひ教えてください。

*2 少なくとも私が使っていた Mac はここまで不安定ではなかったので、環境の問題もあるのだと思う。ただ、私の場合にも Windows より不安定だと感じることが多かった。

*3 もちろん、本当に「最初から迷わず使えた」かどうかは疑問で、
昔から人が使っているのを横で見ていたり、ちょっと使うときに教えてもらったことを覚えていたり、OS そのものの使いやすさではなく、周囲に教育環境が整っていたからこそ Windows をストレスなく操作できていたところもあるだろう。



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