Twitter を始めてから半年が過ぎようとしている。

使い始めて3ヶ月位して思ったのは、Twitter には3つの段階があるということ。
3段階目の「What are you thinking of?」が楽しくて仕方なかったので、
家でも会社でもブラウザのトップページを Netvibes から Twitter に変更した。

しかし、その頃私が見ていた世界は Twitter の二つの世界のうち
実は一方の世界だけだったということに気付かされたのは、9月21日のことだった。

日経デジタルコアの「仮想世界はIT時代閉塞の現状を打破できるか?」というパネルディスカッション中に Twitter について言及したところ、Twitter 上で、livedoor reader 開発者の mala 氏に突如として DIS られたのだ。
@lalha は32人しか follow してないのに twitter の何を語ってんだ。

最初私が感じたのは、「それは違うだろう」という抵抗感だった。

というのも、以前から RSS や Twitter について、フィード登録数や Follow 数が少ない人間は語る資格がないという趣旨の発言を見るたびに、どちらもこんな素晴らしいものなのに、重鎮と呼ばれる人たちがそういうことばかり言っているから新しく始めた人や魅力を感じ始めた人が引いてしまうのではないかと感じていたからだ。*1

正直、今でもそうした感情はある。

ただ、この日の mala 氏の発言は、パネルディスカッションの内容そのもの以上に
魅力的だったし、心に突き刺さるところがあった。

その夜、私は mala 氏が見ている世界を少しでも感じようと Follow 数を
32人から400人に増やした。そして Twitter には二つの世界があることに気が付いた。

■ 精読と速読、二つの Twitter
Follow 数を増やそうと思ったのは、mala 氏の次のような発言がきっかけだった。

lalhaはitkzとかよんでないわけだよね
twitterでは日々面白いことが起きていて、ウォッチしてる数が少ないと面白いことに立ち会うことも少ない
少なくとも自分は自分に興味を持ってくれてる人には興味があるよ。700ぐらいならほんとは全部読みたい。
twitterとかtumblrとかなくてitkzが注目されることができたのかな。Bloglinesとはてなブックマークがなくて俺が注目されることがあったのかな。

自分が使っていた Twitter と、mala 氏が使っていた Twitter は、同じ Twitter と呼ばれるサービスであるにも関わらず、まったく別のものだったのだと感じた。

9月21日以前、私にとっての Twitter は
「What are you thinking of?」に答えてくれるサービスだった。
興味を持っている人が日ごろどのようなことを考えながら生活しているのか。
いま世の中で起こっていることについてあの人はどのように思っているのか。
そういう情報を提供してくれるサービスだった。

私が Follow していたのは32人で、
Twitter の文字数制限140字を目一杯使って、
一つの書き込みに必ず一つメッセージが込められているような書き込みをする人を
特に選んで Follow していた。

一つ一つの書き込みを、流し読みするのではなくよく考えながら読む。
これはいわば「精読の Twitter」である。

9月21日深夜、400人を Follow した私に押し寄せてきたのは、
これまでの10倍以上の大量の「みんなが何をしているか」という情報だった。

みんなが今この時間に何に対して反応して、
どこで感動してどこで怒って、何を目にしているのか。
それはまるで、動き続ける今というこの瞬間を切り取って映す鏡のようなものだった。

精読していた時のように一つ一つをじっくり読むことはしづらくなったが、
それからの Twitter は、明らかにこれまでの Twitter とは別のメディアだった。

道路の中央分離帯に立って左右に行きかう車やバイクの動きを、
一つ一つ細かくじっくりは見ずとも全体として見るような感覚。
これはいわば「速読の Twitter」である。

■ 実世界 < SNS < 精読の Twitter < 速読の Twitter
実世界で日々顔を合わせる人はある程度限られている。
SNS でフレンド登録する人も実世界で互いに知っていることがほとんどだ。

それが、精読の Twitter で一つ広がった。
こちらから一方的に興味があるだけでも気軽に Follow して、
それをきっかけにコミュニケーションのパスがつくられていく。

速読の Twitter ではこれがさらに広がったと思う。
とりあえず Follow している人がいたので何となく Follow してみたり、
プロフィール画像が気に入ったので Follow してみたり、
自分を Follow してくれて興味を持ってくれたようなので Follow してみたり、
いざ Follow してみると、面白そうなことを書き込んでいるので ReplyTo してみたりする。

今という瞬間にみんなが何をしているのかという情報を提供してくれる Twitter というサービスの上で、知らない人同士でもメッセージを送りあったりして、コミュニケーションがまず始ってから相手を認識するという逆転現象が普通に起こる。

こんな面白いことが起こっているのに、見過ごす手はない。

■ とまあいろいろ考えた上で
結局、精読の Twitter にはそれはそれで手放しがたい良さがあり、
速読の Twitter のみにしてしまうと絶対見逃したくない人の発言も見落としてしまったりすることがあったので、アカウントを二つ用意して、精読の Twitter 用と速読の Twitter 用に分けて運用することにした。

・速読用のアカウント: http://twitter.com/lalha
・精読用のアカウント: http://twitter.com/lalha2

この形で運用すると、精読用の方でフムフムとうなずいていた後に
速読用の方を見てみるとみんなが一斉に反応していることがわかったりして、面白い。



*1 これはネットゲームの世界で、MMORPG のヘビーすぎるユーザーたちが寝食忘れてゲームばかりやっており、そこまでやり込まないと MMORPG をやっているとは言えないなどと発言しているのを見て普通に生活を送っていきたい社会人が躊躇して踏みとどまることと似ていると思う。かく言う私はネトゲでそういうことをやって大いに反省したことが今までに幾度となくある。



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