h2kさんよりニックスにトライアングルがフィットするかというお問い合わせを頂いた。下記に書き連ねようと思う。


@lallal24 こんばんは。
自分の知る中では最もトライアングルに詳しいモコさんにお伺いしたいのですが、今季のNY試合はご覧になりましたか?
トライアングルの頻度が少ないとフィルが言っていた等とも噂が出ていますが、実際今のニックスでも△は機能するでしょうか?

@lallal24 自分の乏しい知識で見る限りでは現メンバーでは到底LALやCHIで行われていたようなセットは不可能に思います。
また、センターをハイポストに置きそこから展開する今のNYのセットと△は逆ではないかと思うのです。
ロスター的にもシューターが完全に不足しています。


@lallal24 何よりPPPで見たときに他プレイと比較して非効率的なポストプレイをオフェンスの主軸に置くという現代の主流とは真逆の方針。
選手の△適正、リーグのトレンドなど主戦術をとして取り入れるにはあまりにチグハグな状態だと思うのですが…
ご意見賜りたく思います。


@lallal24 △自体がスペーシングと選手の主体性を尊重しているという点ではとても面白いと思うのですが、現メンバーの習熟に適しているか、という点において疑問に感じています。



以下私の考え

実はニックスの試合はフィルがNYKに行ってから定期的に観ていた。フィッシャーがいたからというのもある。昨年はフィッシャーがトライアングルにアーリーオフェンスを組み合わせてうまく行っているように見えた。だがしかしフィッシャーはフィルに解任された。
理由は端的に言えば、フィルとコミュニケーションが取れなくなったという事である。

新しいコーチには元サンズHCのホナセックがなった。フィルがCHI時代に幾度となく、対戦したジャズにいたホナセックはトライアングルをやってはいなかったがジェリー・スローンがやっていた1-4セットに馴染みが深く、モーションオフェンスの重要性を理解しているからという理由だった。

フィルが採用に苦労したのは安易に想像がつく。フィルはNBAを物真似リーグだと揶揄するが、特にオフェンスに関してはその傾向が強い。

今のNBAを観て、革新的なオフェンスをしているチームはいない。
今のNBAにはDFコーディネーターはたくさんいる。両手で数えきれない。大半はJVGの派閥だが。

一方オフェンスコーディネーターは私の知る限りLACのアーモンド・ヒルくらいだ。しかしながら彼の影響力は年々低下し、今やLACのオフェンスからヒルの影響はほとんど感じなくなった。


ほとんどのチームはダントーニが最初に持ち込んだP&Rやホーンズ、スパーズの モーションウィーク、トライアングルの一部をやっている。
NBAのオフェンスはそれを理解していれば、9割方展開が読める。
フィルが物真似リーグと呼ぶ所以だ。

今それを破っているのはGSWのみでそこの頭脳だったルークを引き抜いたLALもオフェンスは目新しい。

その為、フィルは第一希望だったルークに断られてしまい、ホナセックを採用したと理解する。


①フィルがトライアングルオフェンスにこだわるのは何故か?


まずトライアングルオフェンスはスペーシングを解決する。スペーシングに加えてトライアングルは左右両方に均等に人がいるから速攻を与えるスペースが出来にくい。
スペーシングが解決すれば、オフェンスの終わり方がよくなり、DFに切り替わった時に良い状態で入れる。これは案外軽視されやすい。

もう一つはスタッフ的な理由である。

端的に言えばフィルにはオフェンスをアップデートするアシスタントコーチがおらず、もうずっと変わらないトライアングルをやっているからだ。

フィルはレイカーズのコーチを退任する時、自身が戦略を考える事は不得手でたると認めている。

シカゴ時代にはオフェンスをテックス・ウィンターが担当し、DFをジョニー・バックが担当した。途中バックはスカウト情報を漏らしたという疑いでクラウスと不仲になり、左遷された。
後期3連覇にはDFコーディネーターとしてジム・ロジャースが来た。でもオフェンスコーディネーターは引き続き、テックス・ウィンターを置いた。

フィルがレイカーズに行った時、フィルはウィンター、クレモンズ、フランク・ハンブレンという元シカゴのスタッフを連れて行った。DFの構築はクレモンズが担当したが、シャックが入る為、細かなシステムは必要なかった。

2004年フィルはレイカーズを辞めて、1年後に戻ってきた。その時スタッフはランビス、ハンブレン、ショーだった。ウィンターはコンサルタントとなった。

2008年ガソルを獲得したレイカーズはフィルも認めるくらい予想外に早く、ファイナルに行った。この時、フィルはトライアングルの習熟に力を入れていた。毎日トライアングルの練習をしていた。

余りにもトライアングルの練習しかしないので当時アシスタントだったBショーが不安を吐露したくらいだ。

レイカーズはファイナルでセルティックスにやられた。この時、レイカーズにはDFコーディネーターがいなかった。まずそもそもDFをあまりやっていなかった。

次の年、レイカーズはDF構築が必要となり、フィルが任命したのはランビスだった。当時のNBAではDFコーディネーターという考えは主流ではなかった。

結果的にランビスは期待に応えてレイカーズは無事優勝したが、フィルのスタッフはランビスが抜けた穴を埋めれなかった。フィルの最終年にメタ(当時アーテスト)のお目付役としてきたチャック・パーソンが少し活躍したくらいだ。

このようにフィルにはトライアングルオフェンスをアップデートするアシスタントコーチがいなかった。
かたやポポビッチはメッシーナというヨーロッパのオフェンスコーチを採用するなどオフェンスをアップデートしてきた。

サッカーをご存知な方はわかると思うが、最近ポポビッチはファーガソンでフィルはベンゲルに似ていると思う。ファーガソンはコーチを入れ替え、戦略、戦術をアップデートした。一方ベンゲルのコーチはあまり変わらない。今のアシスタントコーチも自らの教え子だ。ベンゲルはかつて革新的な監督だったが、今やそうではない。これはどこかで見た光景では?


でもフィルの言う通り、人間は得意なもので戦うしかない。ではフィルの得意なものとは何か?トライアングルオフェンスである。





以上をもとに質問に答える。




① トライアングルオフェンスはニックスで機能するか?

機能する。
今のNBAのロスターで1番トライアングルに適しているのはニックスだろう。
まずフィルが最初にニックスを選んだ時に私はカーメロがいるからだと思った。トライアングルオフェンスにはコービーよりも適しているだろうと感じた。

まずカーメロはサイズがあり、身体が強い。ポストアップが得意でシュートもうまい。ポルジンギスはサイズがありながらドリブル、パス、シュートに長けている。

次にノアもトライアングルにフィットする。シカゴ・ブルズに憧れていたノアはトライアングルのセンターとして申し分ない。サイズがありながらパスがうまい。ローズとリーもトライアングルをやるには適した選手だ。

ではネックは何かというとトライアングルを教えられるスタッフがランビスしかいない。トライアングルをやるためのドリルを理解しているスタッフが1人だけでは心もとない。

また今のニックスにはトライアングルの経験者が主力にいない。またカーメロ、ノア、リーは30歳以上、ローズも30歳間近という状況で彼らが腰を据えてトライアングル習熟に力を入れられるかはわからない。特にリーやカーメロのコメントを観ているとそれは疑わしい。



②現在のNBAにおけるポストアップ得点効率とポストアップを中心としたトライアングルオフェンスの違い。

これはよくダントーニもコメントする内容である。確かに現在のNBAはポストアップからの得点効率が低い。
しかし私はアイソレーションからのポストアップとトライアングルのポストアップは別であるからあまり関係ないと思っている。

トライアングルに於いては△を作りながらポストアップを行い、バックドアカットやスプリットカットを行う。

ポストアップの得点効率が下がっているというよりはポストアップを活かすオフェンスをやるコーチが減ったと思う。


③ さらに機能する上で今のニックスにいないタイプの選手は?

ブルズやレイカーズのトライアングルオフェンスの鍵はピッペンであり、レイカーズではオドムやルークのようなボールを回せる選手だ。今のニックスのロスターには彼らのような選手はいない。この為ボールが動かなくなる。

私はこの点でアフラロはリーよりフィットすると思っていたが、いなくなってしまった。ハンドリングという観点でリーよりアフラロの方が良かった。

④ ではもしニックスがトライアングルをするとするならば目指すゴールは。

この点については明確な目標がある。2000年代のシャックとコービーのようなトライアングルだ。ブルズや2008年のようなトライアングルほどはボールも人も動かない。しかし圧倒的な存在感でDFを突き破る。カーメロとポルジンギス、ローズにそれが可能か?可能ならニックスのトライアングルは機能する。不可能なら機能しないだろう。



総括

ニックスのトライアングルは機能するかと言われれば、機能するだろう。またそれ以外の選択肢がないように思う。

しかしポイントフォワードが不在な為、そのトライアングルは2008年レイカーズやブルズ時代のような流動的なものではなく、2000年代のシャックレイカーズのようなトライアングルになるだろう。

その場合カーメロ、ローズ、ポルジンギスにその爆発力があるかが重要であるし、ジェニングス、ブヤチッチ、トーマス、クズミンスカスらがスリーを決められるかが鍵を握る。

ネックは
フィルのトライアングルがアップデートされていない点とコーチングスタッフにトライアングルを教えられるコーチがランビスしかいない点。

またカーメロ、リー、ノア、ローズという30歳前後の状況でファンも含め、トライアングルが機能するまで忍耐強く、我慢出来るかという事、これもネックである。

でもこれは別にトライアングルに限った話ではないと思うのだが。