遺棄兵器処理 中国、予定外の要求 大型変電所ヘリポート 軍事転用狙う?
中国での旧日本軍遺棄化学兵器処理事業をめぐり、中国側が当初の予定になかった大規模変電所やヘリポートの建設を要求していることが二日、明らかになった。処理施設建設予定地の吉林省ハルバ嶺は、ロシアや北朝鮮国境に近い地政学上の要衝。与党からは事業終了後に中国側が施設解体に応じず、人民解放軍の弾薬保管やミサイル格納などに転用する可能性を指摘する声が出ており、今春、現地調査に乗り出す方針だ。
与党関係者らによると、中国側は新たにヘリポート建設を要求してきたほか、五万−七万キロワットの処理能力を持つ変電所の建設を非公式に打診。三十万−四十万発の化学兵器処理に必要な変電所は数千キロワット規模とみられており、中国側の要求は大幅に上回っている。
また、ハルバ嶺を訪れたことがある関係者らの調査で、処理施設建設予定地の周辺道路や施設内の道路は、すでに数十トン級の戦車や装甲車が通行できるほど頑丈に舗装されていることが判明した。
これに対し、日本政府は「処理施設の基本設計が完成する今年度いっぱいまで、所要電力量は分からない」(内閣府遺棄化学兵器処理担当室)と説明するだけ。舗装道路についても、「軍用車両が通行できるかもしれないが、あくまで化学弾を運搬する車両のためのもので、軍用車両の通行は想定していない」としている。
施設建設を含む処理事業は日本側の負担で、少なくとも二千億円程度に上るとされる。内閣府の高松明遺棄化学兵器処理担当室長は産経新聞に対し、「化学兵器処理の終了後は施設を解体する」と説明しているが、現時点では「中国側の同意を得たわけではない」(遺棄化学兵器処理担当室)といい、事業終了後の施設解体をめぐる中国側との協議は妥結していない。
一九九九年七月に締結した遺棄化学兵器に関する日中覚書は、日本が処理費用をすべて負担するだけでなく、処理の過程で起きる事故も日本がすべて補償する内容。このため、日本側が事業終了後に施設の引き渡しと解体を求めても、中国側が新たな遺棄化学兵器の発見などを理由に応じない可能性がある。
昨年十一月に自民、公明、民主の議員団による現地調査が中止され、処理事業の実態は不透明なまま。与党はこうした状況を問題視しており、自民党の閣僚経験者らが中心となって今月中に有志議員による調査団を募り、雪解け後の現地入りを目指す。
昨年6月の産経新聞の記事から問題になった、中国における化学兵器処理問題ですが、今回の記事でさらに問題性が浮き彫りになりました。中国はこの事業を、単なる化学兵器の処理とは捉えず、明らかに”金のなる木”であり、”使えるだけ使い、搾り取れるだけ搾り取ってやろう”という意思があることがはっきりと見えてきました。”戦時中に日本が行った悪行の清算”という、いかにも日本が頭を下げながら言うことを聞きそうな口実で日本を恫喝し、高みに立って金を搾り取ろうと言ういつものパターンが透けて見えてきます。
これまで述べたように、本来この遺棄化学兵器処理は、中国が戦後日本から摂取したものである上、ソ連製など日本製以外のものも多数含まれ、国際法上日本が処理を負担する義務はないものです。それを悪名高き村山富一氏と河野洋平氏が、全てを無条件で日本が処理を行うと言う、無責任極まる覚書を中国と締結してしまった為に、今日のような問題が起こっています。
当初は200万発の処理で一兆円を超えると言う、とんでもない数字が先行してきましたが、その後の日本側の努力にもより、その実数は30〜40万発に減りました。しかし今回の記事のように依然として中国側の理不尽な要求は続いています。歳出削減、赤字削減、そして増税と騒がれる中、最低でも2000億円、中国側の要求を呑み続ければその数倍にも膨れ上がろうとするこの問題について、依然として産経以外のマスコミは何故かだんまりを決め込んでいます。
この産経の記事の指摘通り、事業終了後も、大規模発電所やへリポートなどは解体されることなく、中国の軍事施設として使用されることは間違いないでしょう。中国にとってはもともとそれが目的であり、化学兵器の処理などと言うのは口実に過ぎないわけですから。
日本国民は増税され、その金で中国の軍事施設が建設される。こんな理不尽な事が行われようとしているのです。この問題は、我々国民が関心を持って監視する必要がある重要事項です。産経新聞のみが奮闘している感がありますが、その他マスコミも増税問題や歳出削減の話題と同列に扱うべきです。理不尽ながら、覚書を結んでしまっている以上、やらざるを得ない事業だと私は考えていますが、一円たりとも中国の懐に入れるような隙は作らず、日本企業や日本人の作業者をできる限り多用するなどして、その費用は日本に還元する等の事業方法を政府は取っていくべきであり、その行方を我々は厳しく見守らなくてはいけません。
参考:中国・化学兵器処理問題(過去記事)
←このBlogに何かを感じたらクリックして下さい。
参考書籍:
中国利権の真相―“赤い貴族”に群がった日本の政・官・財・メディア
青木 直人
怒りを超えてもはやお笑い!日本の中国援助ODA―誰も知らない血税3兆円の行方
青木 直人