女性・女系天皇「三笠宮家も憂慮」 寛仁さま、雑誌でご発言:産経
政府が女性・女系天皇を認める皇室典範改正案の通常国会提出を目指していることについて、歴史・伝統に根差さない皇室典範改正を批判している寛仁親王殿下が24日発刊の団体機関誌で、「三笠宮一族は、同じ考え方であるといえる」と、父で昭和天皇の弟宮である三笠宮崇仁親王殿下と母の百合子妃殿下も同じ意見であることを明らかにされていることが18日、分かった。
保守系の民間団体「日本会議」(会長・三好達元最高裁長官)の機関誌「日本の息吹」2月号で、小堀桂一郎東大名誉教授のインタビューに答えられた。題は「皇室典範問題は歴史の一大事である−女系天皇導入を憂慮する私の真意」。
この中で寛仁さまは、三笠宮さまが昨年10月、宮内庁の風岡典之次長を呼んで、皇室典範改正に向けた拙速な動きに抗議されたことを紹介。
寛仁さまはまた、皇室典範改正について「郵政民営化や財政改革などといった政治問題をはるかに超えた重要な問題だ」と指摘。自身のご発言に対し、宮内庁の羽毛田信吾長官らが憂慮を表明していることに関しては「私がこういうインタビューに応じたり、かなり積極的に発言しているのは国家の未曾有の大事件と思うので、あえて火中のクリを拾いに行っているようなきらいがあります」と述べ、相当の覚悟を持って臨んでいることを強調されている。
寛仁さまは昨年、自身が会長を務める福祉団体の会報に、私見として女系天皇に異論を唱えるエッセーを寄稿。月刊文芸春秋2月号でも政府の「皇室典範に関する有識者会議」の拙速な議論を批判されている。
≪皇室典範改正 寛仁さまご発言要旨≫
もしも、この平成の御代で歴史を変える覚悟を日本国民が持つならば、慎重の上にも慎重なる審議の上行っていただきたい。失礼な言い方ですが、郵政民営化や財政改革などといった政治問題をはるかに超えた重要な問題だと思っています。
典範問題は単純な政治問題ではなく、日本国の歴史が変わるか否かという大事と理解しています。遠慮なく皆さんの前でも発言するべしと現在は思っていますが、ひとたび法案が国会にかかってしまえば、皇族は政治的発言を封じられてしまっているわけですから、私は何も話せません。
これは絶対にあり得ないと私は思いますが、色々な人に聞くと、「これは陛下のご意思である」と言っている人がいるそうですね。陛下のお立場でああせよ、こうせよとおっしゃるわけがない。(女系だとか長子優先だとか)具体的におっしゃるわけがないということは声を大にして言っておきたい。
本当は、私が発言するより皇族の長老である父に口火を切ってもらいたかったわけです。母の話では、父は宮内庁次長を呼んで、あまりに拙速な動きについてクレームをつけているということでした。これは去年の10月ぐらいの話です。それから「お袋は女帝・女系になったら大変なことになること、わかっているの」と聞いたら、「もちろん大変なこと」だと言っていました。その後、父が年末に来たときに、「いいことを言ってくれたね」と、一言いって、さらに『8人の女帝』(高木きよ子著)という単行本を「読んでおいてほしい」と持ってきて、それから月刊「文芸春秋」1月号に工藤美代子さんがお書きになった論文を、「私の意見はこれと同じである」と、娘の分までコピーして持ってきてくれました。三笠宮一族は、同じ考え方であるといえると思います。
本来、われわれ皇族は黙っていないといけないということだと思いますが、にもかかわらず私がこういうインタビューに応じたり、かなり積極的に発言しているのは国家の未曾有の大事件と思うので、あえて火中のクリを拾いに行っているようなきらいがあります。
やはり民主主義なるものは「民」が「主」と書くわけだから国民一人一人がしっかりした、確固たる意見をもって、それが大多数を形成して議会政治として実を結ぶということが原点だろうと思います。ところが、あまりにも今、皇室、あるいは皇室典範に関する情報というものが、皆さんお分かりになっていなくて、女帝と女系の違いも分かっていないような方々が多い。
皆さんが考えに考え抜かれたうえで結論がAになろうがBになろうが、われわれにはそれに反対する理由はありませんが、もし情報がゼロの中で○か×かとやられたらたまりません。この記事はできるだけ広く読まれて欲しいし、真剣に(日本会議の)メンバーの皆さん方が考えてくださって、また周りの方々に広めて運動体にしていただいて、本当の世論を形成していただきたい。
皇室はこの問題について意見する立場になく、黙っていなければならない。という雰囲気の中で、寛仁さまがあえてこのような発言をなされたことに、我々は注目する必要があります。当事者である皇族の方々は、この問題に大変な危機感を感じておられるのです。
このご発言の内容は、当Blogで何度も主張してきたこととも大部分が重なっていますが、皇室典範改正問題の問題点をわかりやすい言葉で実に的確に指摘されており、そして皇族として、当事者から見た葛藤が如実に読み取ることができます。
このご発言で指摘されている通り、2000年以上の長きにわたり続いている日本の歴史が途絶えてしまう大問題であり、一度女系天皇が成立してしまえば、世界からも敬われる日本の歴史伝統は二度と回復不能となります。しかし、わずか10名程度の名ばかりの”有識者”が、わずか40時間程度の会議を経ただけで出された稚拙な結論によって、取り返しのつかない事態に至ろうとしています。また、一部では、国民の7割以上が女性・女系天皇に賛成との報道もありますが、この文中にあるとおり国民には情報がゼロの状態です。いったい国民の何割が正確に”女系・男系”の意味と、日本の皇室の歴史、世界の王室との比較や、日本の皇室が世界にどう評価されているかという情報を正確に理解していると言うのでしょうか。その全てを正確に把握していないと、結論など出せない問題のはずです。あまりに興味を持たず、女系天皇と女性天皇の区別もつかない国民の意識の低さにも問題があるのは事実ですが、テレビ等の媒体を積極的に使い、政府の責任においてこの問題についての正確な情報を国民に伝達すべきです。
重なりますが、私は皇室の意見を全く聞かないというのもおかしいと思いますし、2000年以上の日本の歴史伝統を、たった10人で数十時間議論しただけで方向性を決定付けるのもおかしいと思っています。皇室の方々の意見も広く取り入れ、また国民に日本の皇室の歴史伝統、男系・女系の意味、世界からの評価なども全て説明し、その上で各界において広く議論に議論を重ね、最終的には国民投票を行っても良いと思っています。最終結論が出るのに5年、10年かかったとしても、そこまで徹底して然るべき重要な問題です。この国家の根底に関わる程重要な問題について、結論を急ぐべきではありません。
今回のこの寛仁さまのご発言を我々日本国民は真摯に受け止め、これを契機にこの問題について、時間をかけて深く考える必要があります。
男系・女系についての詳しい内容は、当Blogでも記載しておりますので、まだお読みでない方は是非一度お読み下さい。↓
・「女系天皇」容認という問題の意味を考える 〜2600年の歴史を鑑みて〜
関連過去記事:日本・皇室典範改定問題
参考リンク:
天皇家の万世一系(男系)による皇位継承という伝統を守ろう!
日本会議
皇位の正統な継承の堅持を求める会

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参考書籍:
八人の女帝
高木 きよ子

本当に女帝を認めてもいいのか
八木 秀次

皇統断絶―女性天皇は、皇室の終焉
中川 八洋
